管理人: 2008年9月アーカイブ

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掲載種 1990


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 広島県倉橋島の日美丸さんから、大きなフジツボが送られてきた。
 なんと大きなフジツボであることか。
 これがまさか市場で普通に見かける青森県産のミネフジツボと同種であるとは思えなかった。
 いったいなんだろうと、あれこれ迷いに迷った。
 そして駒井智幸先生(千葉県立中央博物館)に見て頂き、「ミネフジツボですよ」となったのだ。
●注/駒井智幸先生は甲殻類の分類ではまさにトップランナーである。

 瀬戸内海はまことに不思議なところだ。
 水温が低いので、マボヤやトゲクリガニがいる。
 北海道道東で食用になっているスナエビがいる。
 この生き物からして青森県陸奥湾に似ている。

 この大きなミネフジツボがうまかった。
 フジツボの石でできた噴火口を思わせる部分を周殻といい、なかに爪のようなものがあって蓋板という。
 蓋板が4つに分かれているのだけど、これをつまんで軟体部分を引きずり出す。
 うまく取り出せたら、この淡黄色の部分を食らう。
 濃厚な甲殻類の旨味が口全体に広がってくる。
 軟体を食べ終わったら、こんどは噴火口を逆さまにして、なかにたまった汁をすする。
 この汁が舌を押さえつけるような旨味を含んでいる。

 青森県のミネフジツボは何度も何度も食べているが、そのたびにうまいとも思い、また値段の高さも思い知る。
 今回、日美丸さんから送って頂いた、ミネフジツボを築地場内で買ったなら、間違いなく5000円以上する。
 そのほとんどを我が家で食べてしまったのだ。
 これはなんとも贅沢だ!
 蒸し上げた画像をもう一度見ながら、倉橋島にミネフジツボを取りに行きたしと思う。

広島県倉橋島 日美丸
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掲載種 1988


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 関東の市場に、必ず、毎日ある二枚貝は何種類だろう。
 アサリ、シジミ、シナハマグリにほっきがい(ウバガイ)、ホタテガイ。
 それと目立たないけどムラサキイガイ。
 9月19日に実際に見たら、八王子の仲卸全店共通して置かれてあったのは6種類だった。
 そのムラサキイガイを来る日も来る日も食べている。

 最近、ムラサキイガイに付着するフジツボに興味があって、面白いフジツボを見つけると、ついでにムラサキイガイも買い求めてくるのだ。
 ムラサキイガイにつくものはアメリカフジツボ、アカフジツボと撮影した後は、当然食べることになる。
 改めて思ったことだけど、ムラサキイガイはまことに美味だ。
 一週間くらい毎日のように食べても飽きが来ない。
 また食べたくなる。
 目的のフジツボのことは、どうでもよくなって、ムラサキイガイにのめり込んでしまう。

 さて、食べるだんになると、標準和名のムラサキイガイでは「うまそうに」思えない。
 やはり、ここではムールガイと呼び名を変えよう。
 ちなみに「Moul」だけでいいので「かい」は不要だ。
 けれども、「ムール」だけでは「ルーム」の間違いであるように思えるし、その上「貝」でない気がする。
 ということで「ムールガイ」と書いているので悪しからず。

 よく外食でムールガイが出る。
 例えば、パエリアだとか、オードブルにだとか。
 そこには1個か2個のムールガイがあるだけで、いったい何の意味があるんじゃい、とボクなど憤りを感じる。

 この黒っぽくて、目立たない貝は例えば女性が「私脱ぐとすごいのよ(こんなこと言われたことがない)」的な感じで「ワイン蒸しにすると、すごいのだ」。
 そしてやたらに食える、食らえる、切りがない。
 だから我が家では、一人前で両手の平いっぱいを目安にする。
 鍋に白ワイン、少量の水を加えて、洗ったムールガイをよいこらしょと放り込む。
 後は強火で蒸し上げる。
 調味料はなにひとつ必要としない。
 あえて加えるなら、白コショウとか香り漬けにパセリか。

 ムールガイを食べるときは必ず野蛮に手で食べるべきなのだ。
 二枚貝から身を取り出すと軟体から黒い髭のようなものが出ている。
 これを親指と人差し指でつまんで歯で身をしごき取るように食べる。
 レストランなどでは予め、この毛を取り去っている。
 その作業する時間がムールガイをまずくしてしまう。
 しかもお毛毛を取り去ると、無駄にジュ(エキス)がこぼれる。
 「レストランでムールガイを食べるな」も鉄則だろう。

 昔、大正期に国内に現れたムラサキイガイを食べた人が、「なんだか味付けしたような貝だな」と言い。
 戦後でも「味の素をいれたような味だ」なんてくどくて嫌がられたようだ。
 その濃厚な味わいがなんとも言えずいい。
 しかも、ボクにはこの旨味がくどいなんて全然思えない。
 軟らかくて、ほどよく舌の上でつぶれる軟体はまるでムースのように感じられる。

 白ワインで蒸して、白ワインを飲むのが基本形で、なにやらムールガイを食卓にのせると、レストラン気分になる。
 もちろん、脇で太郎なんかが「イチ、ニ、サン」なんてお笑い芸人の真似をしているのが気にくわないけどね。
 今回料理にも使い、食卓で飲んだのが、モーゼルワイン。
 モーゼルにも比較的辛口があるのだな、なんて今回はオマケ的な発見までしたのだ。
 その辛口でうまいワインの銘柄だけど読めませーーん。

市場魚貝類図鑑のムラサキイガイへ
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 朝は思った以上に気温が低く、「寒い」と感じるほどだ。
 それで市場に出かけると、フグをあちこちで見かける。
 八王子の市場にはフグ調理師の資格を持つ仲卸が何店舗かあり、気温が下がると、途端にたくさんのフグが集まってくる。
 ただし、ボクが目をとめるのは間違ってもトラフグじゃない。

 八王子綜合卸売協同組合『マルコウ』の前にあったのはショウサイフグに「あかめふぐ(ヒガンフグ)」、そしてマフグだ。
 この3種だと、どうしてもヒガンフグ、まぎらわしいことに市場では「あかめふぐ」を選ぶことになる。
 クマゴロウに毒の除去をお願いして、ていねいに青い紙にくるんで持ち帰る。

 市場からの帰り道、中央線の土手に彼岸花が満開となっている、明日は秋分の日。
 ヒガンフグは布巾にくるんで冷蔵庫に仕舞い込み、仕事に出かける。

 さて、火曜日の休日はありがたいような、ありがたくないような。
 どことて行く当てもなく、また我が家のご先祖の眠る墓は遙かに遠い。
 お彼岸らしいこともしないで、その夜はヒガンフグでいっぱい。

 三枚に卸して、適度に薄皮を取り、皮目を直火であぶる。
 すぐに氷水に落として、後は簡単、ほどよい厚さに切りつける。

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皮目をしっかり焼く方がいい

 今年の「初ヒガン」は、思ったよりもうまい。
 まだまだ旬とは言えず、やや旨味に欠けるが、シコっとしっかりした身質に甘味と焼いた香ばしさを感じる。
 ヒガンフグは十月、十一月、そして師走となり、どんどんうまくなってくるはずだ。
 そして来年春のお彼岸には時期が終わる。

 ちょっと深酒になってしまって、若くして彼岸に渡ってしまった兄や、またボクがまだ幼い頃に死んでしまった母のことを思う。
 彼岸にヒガンフグを食うと寂しくなるものなのだ。

9月24日のメモから
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒガンフグへ
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 八王子魚市場に「もうか(ネズミザメ)」が入荷してきていた。
 もちろん丸のままではなく肉のかたまりとなって。
 産地はネズミザメの水揚げ高ダントツ一位の宮城県気仙沼である。
 臭いを嗅いだり、触ってみた限り、鮮度良好に思える。
 こんなことをやっていたら、近所の魚屋のオヤジさんたちが近寄ってきた。
「サメ買うのかい。もうかだね」
「昔はこのあたり盛んにサメを売ってたんでしょ?」
「そうだけど、これじゃないよ。棒だよ、棒」
「だって、昔は丸のまま貨車(鉄道)できて、それぞれの店で剥いていたっていうじゃない」
「あー、そりゃ、もっと昔だな」
「オレらの時代はやっぱり棒ざめ(アブラツノザメの剥き身)が主だな」
「戦後すぐまではサメの皮を剥いてさ、それをまた売るの。こうやって(ゴシゴシするまね)漬物にする大根を磨くのに使うからさ」
「そうそう、懐かしいな。ウチのお袋もサメの皮で大根ごしごし洗ってよく漬けてたな」
「もうかは最近買わないの?」
「買わない、売れないからね。棒だって売れないよ」

 この腹側の脂ののってそうなところ(キロ当たり600円)を1キロ買ってくる。
 そして『市場寿司 たか』で刺身にする。
 通りかかったこれまた近所の食料品店のオヤジをつかまえて三人で食べてみる。
「あれれれ、うまいね。クセないし。ちょっと肉(獣肉)って感じだけど」
 たかさんはこの手のものを苦手としているが、
「うん、オレもうまいと思うな。ニンニクがあるともっといいかな」
 本当にこれがうまいのだ。
 例えば牛肉の刺身のようだ。

 実は今年の6月に広島県三次市に立ち寄った。
 このあたり備北地方は「わに(サメ)」をよく食べる地域として有名である。

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三次市のスーパーに売られていた「ねずみわに」

 この「わに(サメ)」を食べるというのは先々述べていくとして、市内のスーパーを歩くと、総ての冷蔵ケースにパック入りのサメがおかれていた。
 サメは2種類で、方や「いらぎ」というのだけど、たぶんアオザメだろう。
 こちらは安い。
 もうひとつ「ねずみわに」は間違いなくネズミザメ。
 産地表示が「宮城県」とあるからには間違いなく気仙沼だろう。
 この2種類をホテルに持ち帰り食べてみたら、なかなかうまいのだ。

 関東でサメを食べるとしたら煮つけか、フライなどだろう。
 広島県の北部でサメの刺身を食べるようになったのは、島根県で明治時代にサメ漁が行われるようになって、さかんに芸北に持ち込まれたからだという。
 サメは体内に多量の尿素を持っており、これが海水の塩分濃度と体内とのバランスをとる役目をしている。
 これが死後分解されアンモニア類として体内に蓄積する。
 アンモニアが腐敗するのを抑制して、冷蔵施設のない時代には山間部での生食用として重宝されたのだ。

 思ったよりも食べやすく、またおいしいサメの刺身を食べてみて、ますます“サメを食べる文化”の衰退を残念に思う。
 残った「もうか」は帰宅後、フライとして夕食のおかずにした。
 これぞ「シャークフライ」なのだけど家族には大好評だった。

市場魚貝類図鑑のネズミザメへ
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 春から夏にかけて入荷してくるのが、関東での「麦いか」、市場では「ばらいか」と呼ばれる小振りのスルメイカだ。
 これは基本的に箱売り、またバラで買っても単価を考えるとあるていどまとめ買いすることになる。
 いろんな料理に使うのだけど、あまったらゲソと胴を分けて冷凍する。

 今回は、夏から秋に作る定番料理であるきゅうりもみに使う。
 冷凍麦いかは解凍しておく、そこに振り塩。
 きゅうりは薄く切り、強い塩をしておく。
 このまま四半時も待つ。
 水洗いしながらもみ、塩を抜く。
 もみながら何度も味見して、丁度よい塩梅となったら水分を切る。
 よくよく水気を絞り出す。
 今回はキュウリにニンジンの繊(せん)を混ぜ込んだ。
 甘酢を作る。
 これは酢と砂糖を合わせるだけ、決して三倍酢を作ってはいけない。
 麦いかを強火で焼く。
 熱をさませて、細く切る。
 これをきゅうりと合わせて、和えて、甘酢をかけまわす。

 そう言えば、きゅうりもみにも季節感がなくなっている。
 だいたい食卓に「きゅうりもみ」がないと寂しいものだから、地生えだろうが、温室だろうが、F1だってなんでもいいのだ、とにかく、きゅうりは欠かさず、冷蔵庫に入っている。

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アラスジサラガイはきゅうりもみには適さない。味が淡泊すぎる。

 だから白貝(アラスジサラガイ)と合わせて失敗したりする。
 きゅうりと「何」を合わせるか、これを試行錯誤するのも楽しい。

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 琵琶湖のアユは大きくなっても、「子鮎」でしかない。
 秋に生まれた稚魚は氷魚(ひうお)と呼ばれ、晩秋から春まで琵琶湖周辺の食卓をにぎわせる。
 これは氷の欠片ほどから、大きくなっても出来たばかりの氷柱ほどでしかない。
 だいたい琵琶湖のアユはいつまでたっても「子(小)」なのだ。
 これを山椒の実と一緒にたき込む。

 琵琶湖周辺にはたくさんの湖魚を加工する店が並ぶ。
 それぞれ独特のやり方で「子鮎」をたくのだけど、まだ一度もまずいものに出合っていない。
 どの店のものも、少なからず個性があり、またとてもうまい。
 琵琶湖東岸、米原市世継という不思議な名の地にある「魚万」の山椒煮もやはり非常に美味であった。
 色合いはやや醤油色が強く、それにも関わらず上品な味付けとなっている。
 噛みしめるとちゃんとアユのはらわたの風味が感じられる。
 枝つきの山椒の風味も高い。

魚万 滋賀県米原市世継746-2


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 仲卸の入相(入合 いりあい)にシマイサキが1尾、ぽつんとあって、「いくら」と聞くと、量りにのせて「150円でいいわよ」というので買い込んでくる。
 その場で背開きにして、持ち帰って振り塩。
 ビニール袋で寝かして、冷蔵庫で干す。
 半日ほども干し上げて、出来上がったものを冷凍庫にしまう。

 遅く帰った日に、これをアテに酒を飲む。
 酒は「東北泉 特別本醸造」。
 この酒は室温でやっても切れがいい。

 さて、あぶった干物を適当にむしる。
 パソコンを打ちながら酒のアテとして食べるのだけど、これがなかなかうまいのである。
 味が深いというか、微かに日向臭いような、これは風味といった方がいいのだろうね、個性的なものがある。

 二杯目のコップ酒を飲み干して、ただちにパソコンを終了させてダウンする。

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 秋になってアカカマスの入荷が目立ってきている。
 不思議な魚で、産卵期が夏だとしたら、春に味がいいはずなのに、産卵後の秋から特に冬にかけてがおおいにうまい。
 うまいからだろか、値段もこの時期に高めであるように思う。
 八王子魚市場に見事なのをみつけて、値段を聞くと、キロ当たり1800円だという。
 いい値段で、明らかに高級魚だ。
 産地は愛媛県。
 軽く体表をなぞるとぬめっと脂を感じる。

 今回は、旬到来のアカカマスを、王道である塩焼きにする。
 なに、カマスの塩焼きほど簡単な料理はない。
 水洗いし、後は前後真半分に切る。
 振り塩をして、二時間ほど待つのだ。
 後は串を打ち、魚焼き器の上に耐火煉瓦を台にして、強火の遠火で焼き上げる。

 コツと言うほどでもないが、塩焼きはできるだけ焼きたてを、すばやく食うこと。
 アツツツ・ツーなんて箸を使わず、手づかみするのもいいねー。
 いいねー、いいねー、秋のカマスのうまさよ。
 どうしてこのように旨味が濃いのだ。
 まして皮下がしっとりしているのは脂がにじみ出てきている、からだねー。
 一本焼き上げると、また一本、また一本と焼き上げる。

 この真っ向勝負のうまさに酒を飲むのも忘れてしまっていた。
 秋のカマスは身体にも優しいねー。

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イセエビ科を改訂
ハコエビ属ハコエビのページを改訂
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クボエビ属クボエビのページを改訂
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イセエビ属
イセエビのページを改訂
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カノコイセエビのページを改訂
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ケブカイセエビのページを改訂
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ニシキエビのページを改訂
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ニュージーランドイセエビ(ピンク)のページを作成
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オーストラリアイセエビのページを作成
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メキシコイセエビのページを作成
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イセエビ科ミナミイセエビ属オーストラリアミナミイセエビのページを作成
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中南米産ロブスター、東南アジアロブスター、アフリカ産ロブスターを削除

掲載種 1987


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 ヤマトカマスというよりは「水がます」と言った方が市場では通りがいい。
 とても安いもので、キロ当たり(卸値)500円とか700円ほどしかしない。
 たぶんスーパーに並んでも3本200円くらいではないか?

 コイツを見つけると、ついつい6本、7本と買うのだけど、支払いはいつも3コイン以下だ。
 これを市場で開いて、ついでに振り塩。
 発泡のフタにのせて、斜めに立てかけておく。

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カマスを開きにするのは背中からがボクのやり方

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すぐに振り塩をする

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振り塩をしたら斜めにして少し水切り

 この時点で、りっぱな干物となっているのだけど、帰宅後、ザルにのせて、ラップしないで冷蔵庫で約半日。
 いつの間にか、見事な干物となっているから不思議だよね。
 さて、干物作りに最適な季節は温暖化がすすんだせいで、11月から5月いっぱい。
 この時期は外で、風干しできる。
 それ以外の時期は冷蔵庫を利用する。
 干物製造器というのがあって、非常に大きく、高いものなのだけど、実は構造的には冷蔵庫と同じもの。
 すなわち冷蔵庫は冷やす機能と、乾燥させる機能を併せ持っているのだ。

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冷蔵庫で約半日干す。これで出来上がり

 冷蔵庫で作った干物じゃ天日干しにはかなわないでしょう?
 どうだろう?
 例えば、一般に出回っている干物のほぼ100パーセントが機械乾燥だ。
 そこに天日干しが混ざり込んで、知らないで食べたらわかるだろうか?

 今回の干物だって、そんじょそこいらの市販品よりも一頭も二頭も抜け出してうまい。
 旨味は魚からじわりと、魚そのものから出たものだし。
 あぶった香ばしさもいいのである。

 今年初の「水がますの干物」を肴に、「雨後の月」を飲む。
 広島の酒なのだけど、甘くない、辛くもないけど、飲み口がいい。

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 天候が不安定な9月。
 それでもマイワシの入荷は安定している。
 とくにいいのが三河湾などからくる小イワシ。
 たっぷり脂がのっているので、刺身だ、天ぷらだ、フライだ、鍋物だって、毎日のように食べても、食べても、食べ飽きない。

 我が家では、出来るだけ市場でマイワシを卸し身にしてくる。
 頭をちょんと落として、手開きにする。
 八王子総合卸売センター『総市』のまな板で、小イワシを開いていたら、魚屋歴50年のサブちゃんが「へたくそだな」なんて手を貸してくれる。

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魚を卸して50年のサブちゃん

 さて、今回の主役は、この手開きして、取り外した中骨、小骨。
 軽く片栗粉をまぶして、カリっと揚げてしまう。
 油の温度ははじめは低温で、じっくりと。
 一度、油から取りだして、高温で二度揚げする。
 これが我が家の定番料理「骨の唐揚げ」、略して「骨から」だ。

 このようなものを作ると、すぐに反応するのが子供達で、食卓には数十秒しか存在しないのだよ。

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 魚貝類を調べていて、常に壁となるのが水産会社なのだ。
 国内に水産会社は凄まじく多く、しかも規模が大きい。
 特に大手などは外部から見て、いったい何をやっているのかぜんぜん理解できなかったりする。

 そんなときシーフードショーで見つけたのがマリンフーズという会社である。
 水産加工の世界にうといボクでも名前だけは知っているという、知名度の高い企業だ。
 ただし実際にどのような商品を取り扱っているのかなど、まったく未知の世界といえる。

 そのマリンフーズの展示会に行って来た。
 そして圧倒された。
 いろんな人から「すしだねを中心とした会社だね」と聞いていた。
 実際に製品をみせてもらって、ゆでエビとかイカのゲソなんかだったので身近な小規模なものを想像していたのだ。
 ところが取り扱う商品の多種多様なこと、また魅力的であることに驚かされることとなった。
 展示会とはいうなれば試食会なのである。
 多種多様なものが食べてくださいと並んでいる。
 この会場をマリンフーズの方に案内して頂いて、どんどん食べて、食べて食べまくってきた。

 その初っぱなが冷凍鍋・スープなどのパックなのだが、このような商品はまず買わないだろうもの。
 だいたい「お湯をそそぐだけ」という簡便さだ。

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 インスタントに抵抗があるので、期待はゼロで食べてみたら、これがよくできている。

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 次に、冷凍寿司だねで、すでに切り付けしてあるので解凍するだけで、あとは握るだけだ。
 いろいろ食べたが、マダイの湯引きが素晴らしい。
 冷凍刺身と同じと思えるもので、解凍しても、これほどに美味なのに驚く。
 また家庭向けといっていいのか、冷凍すし飯があり、これを加えると、気軽に家庭で握りずしが楽しめる。
 我が家もそうだが、子供が大きくなるごとに別々に食事をとるように変化していく。
 これは現在の普通の生活をしている限り、避けては通れない道だ。
 こんなとき、この冷凍ずしってありがたいな。

 今話題の「CAS」があった。
 ここでホタテ、ウニを生、冷凍で食べ比べてみたが、これがほとんどかわらないうまさだ。
 将来漁師さんが減り、ますます漁業が衰退していくだろうけど、この冷凍技術はその歯止めになるかもしれない。
 また日本各地の魚貝類を冷凍したものもある。

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島根県産魚も取り扱っていた

 千葉県産マダコの足、長崎産サザエ。
 もちろん中国産であったり養殖魚をフィレにして冷凍したものもある。
 これを見ていく限り、ますます魚貝類を在庫化できる状態にする傾向が強くなりそうだ。
 なぜなら解凍した刺身、加工品などの味が抜群にいい。

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家庭で簡単に刺身盛り合わせが食べられる

 冷凍寿司ネタ、新しい寿司ネタのコーナーなども見物だった。
 北海道産チカ、三陸産のイラコアナゴ、キンメダイは輸入物だったように記憶するがとてもうまい。

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 昆布締め、酢締めにすると、すでに冷凍食品であることは誰もわからないだろう。

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お総菜、おつまみなどの新しい食べ方の提案もあった

 最後に今年の恵方巻きのコーナーを見て会場を後にした。
 実をいうと多くの人たちが家庭の荒廃とか、自宅で料理をしなくなった、とか喧しい。
 ただ、それは普通の人々が怠慢になったわけでも、食に無関心になったわけでもないと思う。
 この現代があまりに複雑な価値観をもたらし、また膨大な情報を垂れ流しており、普通に生きているだけで、なかなか忙しくも大変なのである。
 ましてやこの不況であるけど、共働きは当たり前だし、子供だってアルバイトに塾に、クラブにと忙しい。
 どうやって家庭でうまいものを食うのだ?
 そんな解決法がマリンフーズの作り出すものにも見つけられそうに思える。
 「食育」も現在の社会の状況に合わせたものに変えるべきだな。

マリンフーズ
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 関東の市場でフジツボが売られていたとして、それは十中八九、いやほとんど百パーセント青森県産のミネフジツボだろう。
 ミネフジツボは青森県では古くから食べられており、養殖されている。
 不思議なことに呼び名は「かき」だ。
 “小型のグラスほどもある”というのがあって、それならチリ産のピコロコだったりする。
 両種の特徴は“大きくなる”ことにつきる。
 さて関東の市場で見かけるフジツボはこの2種だけと思って間違いないだろう。
 フジツボというのは歩留まりからして、最高値の魚貝類だと思われる。
 例えば1キロ2500円也で買って、可食部は10分の1よりも、はるかに低いだろう。
 それでも毎日のように見かけると言うことは、フジツボはまだまだ魅力のある商材・魚貝類といえそうだ。

 国産のフジツボには他にアカフジツボ、オオアカフジツボ、クロフジツボ、オオイワフジツボ(?)が食用となる。
 クロフジツボは伊豆半島などで昔から食用とされていたもの。
 ただし非常にローカルな食材だし、岩に強固に張り付くという習性から、採取はなかなか困難を極める。
 オオイワフジツボは広島県倉橋島の日美丸さんに送って頂いたものを、ボクなりに同定したものだが、これは保留にしておきたい。
 アカフジツボ、オオアカフジツボはよくブイや発泡の浮きに付着している、そのなのとおり赤いフジツボのこと。
 とても味のいいフジツボなので、今、養殖などが試みられている。

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 このアカフジツボを築地場内で発見した。
 トレイ1ぱい(約500グラム)1000円だった。
 『一吉』という仲買で産地ははっきりしない。
 「たぶん北海道でしょう。大都(魚類)で仕入れたんですけど」ということ。
 それで大都魚類に問い合わせたのだけど、どうしても産地がわからなかった。
 ちなみに現在、アカフジツボの養殖を行っているのは宮城県であるようだ。
(参考/『フジツボ類の最新学』日本付着生物学会 恒星社厚生閣)

 持ち帰って、『フジツボ類の最新学』の記述を参考に同定してみる。
 周殻(フジツボの富士の山状の殻)と背板、楯板を見る限り、アカフジツボである可能性が非常に高い。
 いくつか殻の白いものが混ざっているのも決め手になりそうだ。

 その昔、磯釣り(防波堤釣り)をやっていたとき、ときどき野宿に近いことをやる。
 当然簡単な料理を作るのだが、もっとも基本となるのがみそ汁なのだ。
 いろんなものをみそ汁の具に使い、ボクがその美味の王様に違いないと考えたのがアカフジツボ(オオアカフジツボかも)である。
 すばらしい出しが出るし、殻を割りながら食らう中身もいい味なのだ。

 その原始的な野外での食事とはうって変わって、家庭では蓋つき手つき鍋で酒蒸しにする。
 少々、水を加えて、蒸気を鍋にこもらせる。
 できるだけ早く、火を通していく。
 まあ、酒蒸しなんて簡単至極な料理で、ささーっと五分もかからない。

 富士山の噴火口から、楊枝を使って身をせせりだし、せせりだして食べるのだけど、クチバシがザリっとつぶれて、その根元の身らしきものが濃厚な旨味を綿ボコのように保有している。
 綿ボコだけど、やはり身だろうね。
 間違いなく、腹にたまらない綿ボコを楽しんだら、噴火口にたまった汁を飲み。
 ときどき蒸して出た、汁をスプーンで飲む。
 濃厚で、塩味をつけていないのに塩辛い汁は、フジツボの生体からでた旨味の全部に思える。

 残念ながらフジツボの酒蒸しは酒の肴にはなりはしない。
 合いの手に酒を飲むのがわずらわしくていけない。
 純粋に純粋にフジツボを味わう料理だ。

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 「新子」というのはコノシロの幼魚である。
 毎年初夏を迎えると、河岸の話題をさらう。
「今年の初物はいくらかね」
「二万円だったら、今年は豊漁かね」
 それが4万円、5万円(キロ当たり)になると
「今年は不漁だね」
 これは東京だけの話であって、首都とはいえ、ローカルな話だと思っていい。
 ミシュランで三つ星を獲得した有名すし屋、またそれに準じる超高級すし屋が林立する大都会だけの特異な現象ですね。

 またその首都東京に「新いか」というのがある。
 コウイカのまだ生まれたばかりのそれこそ小鳥の卵くらいから、ちょっと大きくなって桃屋の花ラッキョの瓶くらいの大きさのコウイカの子供である。
 早ければ7月下旬、8月には、こちらも河岸を騒がせる。
 はやり初っぱなは2万だ3万だの世界となる。
 でも、そんな「走り」にこだわるのは超高級すし屋だけ。
 ボクの「新いかはじめ」はたいてい9月になってから。
 この頃になると「新いか」も安いのは800円(キロ当たり)、高いので3000円くらいに落ちてくる。
 手が届くときに気をつけなければならないことは、「いいもの」と「わるいもの」との差が大きいということ。
 9月初旬の築地場内。
 探せど、めぼしい「新いか」が見つからない。
 ボクは場内でも荷(魚貝類)ばかり見ているものだから、店なんて無関係に「いいもの」に反応してしまう。

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 その日、いちばんのを見つけた。
 目の前の「新いか」、値段はいくらなのだろう。
 まことに表側の色合いがよく、身にふくらみを感じる。
「これいくらですか」
 目の前には小林亜星に似た(小さくしたような)頑固そうなご主人がいて、
「2500円ですよ」
「あの、500(グラム)買えますか」
「いいよ、このしと(人)に入れてやんな」
 若い衆が4尾いれて、
「500だと3尾になりますね」
「それじゃけちくさいな。4尾ください」
 こんな会話に、ガンコそうなオヤジさんが笑う。
 こういった瞬間がボクを築地場内に誘う。
 ちなみに築地場内に通う資格は“いいものをわかろうとする目があること”、それだけでいいと思っている。
 ついでにいっておくと、わからなくても「素直であること」はもっと、もっと大切だ。

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コウイカのエンペラをもって、「えいや!」とまな板に打ち付ける。するとトンと甲が飛び出してくる

 この「新いか」が素晴らしいものだった。
 姫に甲羅を抜かせて、水洗いする。
 胴の皮、薄皮をとり、ゲソは塩もみ。
 ゆで上げて、刺身と家族盛り(家庭料理の盛り方)にする。

 「新いか」のよさはやはり上品は甘味と、その軟らかくて、しかも爽やかな口当たりだろう。
 残念ながら4尾でもけちくさかったのだと、改めて気づいた。

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 9月11日午前7時半の築地場内。
 やっぱり場内は一人で歩く方がいろんなものを見ることが出来る。
 この日は昼前から仕事、当然、昼過ぎからも仕事なので、控えめに買い物をして、イリヤマ斎藤で熱帯系の魚を見る。
 この日はあんまり珍しいものはなく、唯一出てきたのが小笠原のセンネンダイ。
 一瞬買ってしまおうか? と思ったが、場外を出てから向かうインテリジェントビルを思うととても買えない。
 さて、なぜこの魚が「千年鯛」というのか、わからない。
 ひょっとして「専念鯛」なのかもしれない。
 この魚、過去になんどか見ているが、なぜか大型個体ばかり。
 もっと小さいのがあったら(もちろん幼魚でも)買ってみたいと思っている。

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 先週のなかばあたりから夏バテの症状が出ている。
 ちょうど朝方4時過ぎまでパソコンに向かい。
 軽くシャワーを浴びて、よく身体をふかずに眠ってしまってから、なんだか気だるい日々が続いている。
 しかも最近深酒が続く。

 そんなとき八王子総合卸売センター『やまぎし』で見つけたのがカナドだ。
 川崎北部市場で仕入れている店なので相模湾などの魚が入相でくることがある。
 それがなかなか楽しいのだけど、カナドを買ってしまうとは、疲れが脳みそをおかしてしまっている、気がする。
 カナドはいやな魚だ。
 ウロコは硬いし、棘は鋭い。
 買った途端にその鋭い背鰭がビニール袋を刺し破る。

 帰宅して、カナドをまな板にのせて考える。
 こんな小魚一匹では、料理のしようがない。
 仕方なく、三枚に卸して、とりあえず刺身にする。
 刺身と言っても小皿にこんもりといったささやかなものだ。
 カボスをぎゅーっとしぼり、生醤油を回しかけて酒のアテにする。
 ちょっともの足りなくなるほどに旨味も甘味も微かである。
 それでもカマスの干物の合いの手にはいい感じであるなー。

 新聞をひろげるとプライムローンだ、迷走台風13号だとか、レタスが高いなんて暗い話ばかり載っている。
 ボクの頭の中も真っ暗闇なので、相乗効果的に鬱に追いやられていく。

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ビワマスのページを作成
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クロアジモドキページを作成
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ミカヅキツバメウオのページを作成
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掲載種 1986


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アジのひや汁

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 宮崎県の郷土料理「ひや汁」は地域によって作り方が違う。
 例えば材料でいうと海から遠いところでは煮干しを煎ってすり鉢でする。
 海からさほど遠からぬ地域では焼きアジ(焼いて干し上げた)を、また海辺なら鮮魚を焼いて作るのだ。
 我が家で作るときにはもっぱらマアジの開きを焼いて、ほぐして使う。

 マアジはできれば少々上等のものを用意したい。
 油焼けしたようなのは汁にして苦みがでる。
 これを香ばしく焼き、骨を取り除き、すり鉢でする。
 ここに煎りごま、麦味噌(味噌なら何でもいい。お好みで)を加えて、またさらにする。

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 よくよくすったら、ここに冷やした水を少しずつ加えていく。
 ちょうどよい味加減になったら、ここに青じそ、ミョウガ、キュウリなどを放り込む。

 「ひや汁」というのはいたって簡単至極な料理で、できれば子供に作らせたい。
 今回は高校生の太郎に作ってもらったが、いとも簡単に「ひや汁」は完成した。

 氷も浮かべて、ぎんぎんに冷やして、炊きたてのご飯にぶっかけてかきこむ。
 アジの干物からじわりと旨味が溶け出して、このみそ汁のうまさは例えようがない。
 そこに香辛野菜のすがすがしさよ。

 9月となってもまだまだ蒸し暑い日が続く。
 夏バテにいちばんきくのは「ひや汁」ではないだろうか。

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サワラの酒塩焼き

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 魚偏に「春」と書くからおかしなことになる。
 まるで「サワラの旬が春」であるように思われる。
 サワラの旬は秋から春にかけて。
 春は「名残のサワラ」であって、もっとも美味な時期ではない。
 サワラのスペシャリストが揃う、岡山中央市場で聞いてみる。
「サワラは冬に和歌山とか淡路でとれるのが最高です。春になって岡山あたりまでくると味は落ちてますね」
 こんな答えが返ってくるのだ。
 だから「サワラの旬は春だ」なんて思っていたら大間違いだ。

 さて、そろそろサワラもうまかろう、と2キロほどのを買い求めてくる。
 1キロ1200円だから1本税込みで2500円見当だ。
 三枚に卸して、切り身にして、強めに振り塩。
 焼く、1時間まえに酒に漬け込んでおく。
 酒は旨味のあるものを選ぶ。
 料理用酒だけは淡麗辛口はだめだ。
 後は焼くだけだ。

 今回は焼きゴボウ、焼き里芋、甘長唐辛子にミョウガとスダチを添えた。
 まだまだ秋らしくはないが、皿の中が豊かに見える。
 外から聞こえてくるのはコオロギの声で、まだまだアオマツムシは影をひそめている。
 この時期はもっとも昔ながらの虫の集きを感じ取れる。
 そして旬目前のサワラのうまいこと。

 酒は新潟の「鶴齢」。
 ついつい飲み過ぎてしまう旨酒である。

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 子だくさんなので、料理は「子供中心」に考える。
 それでも我が家の場合、必然的に大量に魚を食べているわけで、“なんとか無理矢理でも魚を食べさせる”ことになる。
 炊き込みご飯というのは、そのような時の救世主的な料理法だ。

 サワラの皮目に焼きをいれて、ネギやショウガ、青じそなどをのせてぽん酢をかけ回す。
 ようするに「サワラのたたき」なのだけどついつい作りすぎてしまう。
 あまったサワラはもったいないので、薄口醤油にまぶしておく。

 翌朝、水加減したお釜に、残ったサワラ、ゴボウ、ニンジンを放り込み。
 酒、薄口醤油、塩で味加減して、あとはガスの火をつけるだけ。
 30分もすれば蒸らしも終わり、おいしい炊き込みご飯ができあがる。

 お金も、暇もないのに子だくさんの我が家では、こんな工夫が日々大切なのだ。
 天にかざったユズは市場の八百屋さんが「一個持ってけよ」とオマケしてくれたもの。
 こんな人情がありがたいねー。

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 「巻繊(けんちん)」とは“巻く”とか“せん切りにする”とかいう意味がある。
 主に禅宗がこの国に入ってきたとき、鎌倉時代以来使われてきている言葉だ。
 現在では主に“せん切りにする”という方に重きをおいて料理名となっているようだ。
 それで我が家の定番料理、「あんかけ」にも「巻繊」を冠している。

 血合い骨、腹骨を取り去ったゴマサバは塩コショウして片栗をまぶして揚げる。
 出来るだけカリッと香ばしく揚げて欲しい。
 片やカツオ節だし(だしはなんでもいい。インスタントでも結構)を煮立たせて薄口醤油、塩、味醂で味加減。
 ここにせん切りにしたニンジン、セロリ、ピーマン、シイタケを放り込む。
 野菜はあまり煮ないで、もう一度味加減。
 片栗粉であんにする。
 皿に揚げたコマサバを置き、あとはあんをかけるだけだ。

 皿の中でゴマサバをほぐしながら、野菜とあんごとすくって、ご飯にのせて食べる。
 こんな簡単な料理だけど、【「魚は死んじゃっても食べない」と言ってた近所の小学生がお代わりする】くらいに、万人向きのおかずである。

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我が故郷の隣町、美馬市にあるウェルが作っているプランターがいい。
美馬市産の材木を使っていて、家庭でも使えるし、コンクリートの屋上に並べておくとか、今流行のペディストリアンデッキに並べて花を植えてもいい。
意外に今までなかった新しい環境素材だと思う。益々熱くなる都会に最適なものだろう。

ウェル 移動ばたけ
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「コバンザメってうまいですよね。本当にうまいと思うんですけど、このあたりでも誰も食べないんです。僕だけだと思うんです、食べているのは」
 定置網漁師、わかしおさんは音を区切ったように、たどたどしく話す。
「どうやって食べているのかな」
「ウチでは煮たり、焼いたりですけど」
「今夜は鍋にしようと思ってるんだ」
「ああ、あー、それはいいと思いますね。合うでしょう」
 今回の「若潮便」(鹿児島県南さつま市笠沙)の中身は珍魚ひしめく中にたった一匹のコバンザメが入っていた。
 お礼の電話が、ついついコバンザメの話で盛り上がってしまう。

 コバンザメはサメの仲間じゃない。
 きっとよくよくコバンザメを見たことのある人は少ないと思うけど、頭にある小判型の吸盤を除けばいたって普通のお魚である。
 ただ、ちょっとちゃっかりもので、大型の魚にくっついて、そのおこぼれや、近寄ってきた小魚などを失敬してる。
 このずうずうしいやり方から人間世界にも当てはめて「コバンザメ商法」なんて言葉がある。

 夕方になるとガクンと気温が落ちる今日この頃、そろそろ鍋もありだろう。
 わざわざ、早生の白菜を買い、木綿豆腐を買いして、小鍋仕立てにする。
 揃えました材料は、本当に少ない。
 白菜、ニンジン、白ネギにシイタケ、木綿豆腐にかぼす。
 そこに皮をとり中骨を取り去ったコバンザメを加える。
 コバンザメの皮は硬く、とても歯が立ちそうにない。
 中骨はもっと頑丈で鋸持って来いというほどだ。

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 骨を使わない分、カツオ節だしで補ってやる。
 そこに酒と塩。
 主菜ではなく、ほんの脇役的な鍋だから簡単に作る。

 コバンザメの味わいはメダイに近い。
 スケトウダラなどよりも上の上品な白身である。
 今回のものは70センチほどの雌(めす)で大きな卵胞を抱いていた。
 そのために身に脂はなく、ややもの足りぬ味わいであった。
 加うるに、わかしおさん曰く、もっと大きい方がうまい、ということと。

 さて、コバンザメの旬を知るために、次は寒くなってからもう一度挑戦したいと思う。

わかしおさんのお魚三昧生活
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/komendago
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 八王子魚市場、ムッシュの持ってくる「ばちがいい」。
 毎日、冷蔵ケースの切り口を見てため息が出る。
 さすがにそちらは手が届かないけど、ときに見事な切り落としが手に入る。
 それがまことに素晴らしいとしかいいようがない。
 しかも安い。
「筋の多いとこだから千円でいいや」
 よろこんで買ってきたら、量がすごいのだ。
 ブツで楽しみ。
 その濃厚な旨味と、脂がたっぷりであるのに興奮し、酒がすすみ、そして結局食べきれなかった。

 余った分は細かくたたいて下ろしニンニクと生醤油に和えておき、翌朝ご飯のおかずにする。

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 白ネギ、白ごまを薬味にして、刻んだ青唐辛子を天におく。
 子供用には青唐辛子をのせないものも作る。
 この「ばちのニンニクたたき」は銘々小皿に取り、もう一度、生醤油で味加減をしながら食べる。
 見た目は地味だけど、食べると、まことに旨すぎる、ご飯の進みすぎるおかずとなるのだ。
 いつも朝から二杯飯、三杯飯になる。

 今や、米食わぬ、魚食わぬと騒ぐ世となっている。
 国もマスコミもやれ「食育」だ、食料の自給率が低いと大騒ぎだけど、こんな地味で、しかも“うますぎるおかず”があれば、そんなもの一挙に解決できそうな気がするねー。

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 我がご近所に住むnicさんにおいしい「ゆずこしょう」をいただいた。
 宮崎県児湯郡西米良村というところで田爪とみ子さんがつくったもの。

「ゆずこしょう」の「柚」はわかりやすいけど、「こしょう」は説明が必要だろう。
 これはコショウではなく、唐辛子のことなのだ。
 コショウは国内に入ってきたのは古く、天平時代(8世紀)にまで遡る。
 対するに唐辛子は室町時代。
 コショウの木が国内で育たないのに対して唐辛子は国内で手軽に栽培できた。
 当時輸入品はそれこそ気が遠くなるほどに高く、庶民には見ることもできないもの。
 唐辛子の「唐」は単に異国をさすもので、「異国から来た辛い食べ物」として名がある。
 胡椒というのも「胡」は秦・漢時代(紀元前3世紀から、紀元0年まで)から西域を表すもので、これも「異国」であって「胡椒」自体が「異国から来た香辛料」をさす言葉でもあったのだ。

 庶民の手に届いた唐辛子が「こしょう」とも呼ばれたのは当然のこと。
 これは九州だけでなく、北陸から東北日本海でも唐辛子を「こしょう」と呼ぶ。

 青い唐辛子をするおろし、柚の皮と合わせて、寝かせて発酵させたものが「ゆずこしょう」である。
 主に九州東部で作られている。
 この香りが高く、辛さに独特の旨味をともなった調味料は、ある意味、どんな料理にも合う、
 我が家では、釜揚げうどんを、そうめん汁に、ときに焼いた豚肉に、また蒸し鶏に、刺身に和え物にと活躍している。

 今回はやっと出始めた下氷のスルメイカをひも状にして、ささっと「ゆづこしょう」であえる。
 ほんの少し、生醤油を垂らしているのだけど、これがとても味わいを深いものにする。

 五十路になって、ますますこのような単純極まりない料理がうまいと思うようになってきた。
 8月の軟らかいが旨味が少ないスルメイカが、9月になってぐっと旨味を増している。
 そこにユズのなんともいい香りが包む。
 青唐辛子の強い辛さが、イカの甘味と口の中で闘っている。
 いいのである、この口中の抗ううまさが。

 酒は明らかに焼酎でなければならない。
 今回のものは同じく宮崎県の「八重桜 麦」とした。
 この麦焼酎と「スルメイカのゆずこしょう和え」がとても相性がいい。

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 今や全国に広がってしまったのがイワガキの産地。
 その昔、イワガキを食べる地域は秋田、山形、新潟、鳥取、千葉などで、そんなに多くはなかった。
 どの地方でも「ここでしか食べられない」、「ここでしかとれない」なんてうたい文句に「夏のイワガキ」を食べていたはずだ。
 でも図鑑を見る限り、イワガキの生息地は広く、ある意味「どこにでもいる平凡な生き物」でしかない。

 そして今では、それこそ日本全国津々浦々からイワガキがやってくる。
 棲息しない北海道、沖縄県は無理でも、本州四国九州と産地をあげると切りがない。
「どこのイワガキを食べても味は同じであるわけはない」だろうと、違う産地のものを見つけるたびに片っ端から食べてみる。
 秋田、山形、新潟、富山、石川、京都、鳥取、島根(養殖)、岩手(養殖)、静岡、愛知、三重(天然、養殖)、徳島、愛媛、大分、宮崎。
 これで全部かなと確かめるのが大変でもある。
 産地産地で「うまいまずい」があるのを発見した年ともなった。
 やはりまずい地域もあるのだ。

 そのトリとなったのが広島県倉橋島のイワガキだ。
 まだ漁業の対象ではないので「生で食べられるか」という細菌や貝毒の検査は受けていない。
 ボクの自己責任で「少しだけ」じゃなくて「いっぱい食べてしまった」倉橋島のイワガキである。

 倉橋島のイワガキの大きさは天然物としては中くらい。
 同じ日に入荷した同じくらいのイワガキが一個500円であった。
 特徴は平たく丸いことだ。
 この生はうまかった。
 あまり濃厚すぎるわけではなく、さっぱりしているのだけど殷々と旨味と微かな苦みが続く。
 これを酒で洗い流したときの「旨味のもどり」「旨味の消え去り方」がいい。
 5個でも6個でも、うまさを繰り返し楽しめる。

 蒸しても、焼いても上々であった。
『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんと、八王子総合卸売センター『さくら』夫婦にも食べてもらって、この加熱処理をした味わいも好評をはくした。

 倉橋島のある広島県はマガキの大産地である。
 出荷検査体勢もととのっているように思える。
 日美丸さん、倉橋島のイワガキを出荷してみないかな?

日美丸へ
http://ww5.enjoy.ne.jp/~kogera0401/
市場魚貝類図鑑のイワガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/iwakaki.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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新子をつける

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 9月になっても、まだまだ新子の季節は終わらない。
 むしろこれからだろう。
 流通の発達から産卵の早い九州からの入荷が増えたため、新子の季節は早まった。
 最近では初夏から秋までが「新子の季節」だが、江戸前でとれた魚くらいしか手に入らなかった高度成長期以前までは本来は秋の風物詩だったのだよ。

 まあ、新子の基本的な話はともかく、私流「新子の漬け方」をご披露したい。
 ともかく市場で「新子」を見つける。
 握り寿司にするとしたら1尾で1個のすしになるくらいの大きさ。
 これを八王子魚市場で見つけて、その場で開く。
 ボクが開いていると、あっちこっちから「へたくそ」なんて声がかかる。

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「ウロコを取る前に背鰭を落とすんだよ。本当にぶきっちょなんだから」

 本当なんだから「怒る気にもなれません」なー。
 数えてみると12尾ほど。
 大小あるのは、ボクの選び方があまいためだ。
「もっと修業をしろ」
 八王子魚市場のあんちゃんから声が飛ぶ。

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1 持ち帰ったら、塩辛い、高濃度の塩水を作る。

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2 ここに開いた新子をいれて4分前後。(大きさによって長さが違う)
3 これをたっぷりの酢で洗う。

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4 一度酢を切り、また新しい冷やした酢に入れて、表面が白くなったら大急ぎで引き上げる。

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だいたい3〜4分見当。すぐに白くなるので注意が必要

5 これをザルに上げて酢を切り、冷蔵庫で寝かせる。

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6 だいたい3、4時間で食べられるが、翌日がまたうまいのである。

 我が家では酢は業務用の20リットル入りを買う。
 銘柄はミツカンの「山吹」という赤酢。
 だから新子もちょっと赤く仕上がる。

 これはまさに酒のアテ。
 ちょいちょいつまみながら、酒をやる。
 面白いのは、子供達にも大人気であることだ。
 新子というのは思ったよりも脂があり、トロと甘味を感じるし、背の青い魚独特の旨味もある。

 外で鳴いているのはコオロギたちである。
 もはやセミは主役の座を降りている。
 その内、主役は外来種であるアオマツムシに代わるのだけど、こうやって季節がかわるのを感じながら、「今年はいつまで新子を楽しめるのかなー?」なんて思うのだ。

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 北海道、青森、秋田などから「ごり」としてウキゴリ属(ハゼ科ウキゴリ属)が入荷してくる。
 このほとんどはジュズカケハゼだと思われる。
 後可能性としてはビリンゴも考えられるが、これはボクの宿題としておきたい。

 入荷は産卵期の春と、秋から初冬。
 産卵期の春よりも、秋から冬にかけて美味であるように思う。
 9月の声を聞いて、「ごり」をよく見かけるようになった。
 見かけるたびに少しずつだけど買い求めてくる。

 我が家での料理法はいたって平凡なもの。
 まずは簡単に水洗いして、そのまま唐揚げにする。
 片栗粉をまぶして、揚がったら塩を振るだけだから、料理するなんてもんじゃないね。

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 もう一つはさらっとたく(煮る)。
 ボウルに「ごり」を入れて塩を振り、滑りをとるために軽く揉む。
 これを熱湯にくぐらせる。
 鍋に味醂、酒、砂糖、醤油を煮立たせて、少しつめたら、「ごり」を放り込む。

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 唐揚げは酒のアテ(肴)だけれ子供にとっても魅力的。
 たきものは、これも酒のアテだけど、ご飯にのっけてくらっても、これまた結構なものだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ジュズカケハゼ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
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 ボクの食に関する表現の最大級のものは「びっくりしたなーもー」である。
 あまりにもうまいものに出合うとまるで交通事故にでもあったような衝撃を味わう。
 そんな衝撃を八王子総合卸売センター『さくら』でくらってしまって、今立ち直れなくなっている。

 ことは一昨日まで遡る。
 広島県倉橋島の日美丸さんからハモをいただく。
 まずは握りずしにして、余ったものを『さくら』のまささんに、「なんとかしてください」とお願いしたのだ。
 これが典型的な「丸投げ」というもの。
 そして出来上がったのがシンプルな中華煮込みなんだけど、「びっくりしたなーもー、びっくりしたなーもー、びっくりしたなーもー」と三回繰り返してしまったくらいにうまかった。
 一緒に試食した寿司職人のたかさんが「隣でこんなものだされると、うちにお客が来なくなるよ」と嘆く。
 八王子で居酒屋をいとなむ、やっちゃんなんて言葉が出てこないようで黙り込んでしまう。
 どうやったら、こんなうまい中華煮込みが出来上がるのか、疑問難問、解けない謎なのだ。

 単純な鶏ガラスープの中身は骨切りしたハモ、キクラゲ、白菜のみ。
 これをあっさりと煮込んでいるのだけど、塩加減が抜群にいい。
 塩加減絶妙の鶏ガラスープのなかで、ハモがちゃんとハモの旨味を感じさせて、脂のあるハモなのでトロンと口の中でほぐれる。
 一皿を試食だけというのが辛く試練に感じる。
 これなら独り占めして、ご飯にかけて飽食したいくらいだ。

 たかさん、やっちゃん、ボクの三人で『さくら』まで行き、まささんに「おそれいりました」と頭を下げた。
 そしてそしてたどり着いたのだけど、まささんにお願いして、『さくら』で魚貝類を使った中華料理の会、もしくはコースを造ろうかとなった。
 どんな献立にするのか、魚はなににするのか、現在検討中である。
『さくら』の前を通りかかったらお尋たずねいただきたい。

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
市場魚貝類図鑑のハモへ
http://www.zukan-bouz.com/unagi/hamo/hamo.html


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オーブントースターなどで3分前後焼いて食べる

 今年のシーフードショーはとても楽しかった。
 いろいろ出合いもあったし、発見もあった。
 なかでももっとも「美味な出合い」が毎味水産の海老せんべいなのだ。
「海老せんべい」とあるけど、それはエビそのもので、「せんべい」というより「焼きえび」とした方が正確だろう。
 クルマエビ科のバナメイを乾燥して焼いている。
 そこに三河一色ならではの「海老せんべい」の技法が生きている。

 この加工品の困ることは食べ始めると切りがないこと。
 食べても食べてももの足りない。
 一般に言われる「海老せんべい」と違って、ひとつが一匹のエビなのであるから、その見た目の豪華絢爛。
 なんだか食べていて王様気分になれる。

 毎味水産水産は三河三大エビ問屋のひとつとされる。
 エビの世界では有名すぎる会社なのだ。
 そこで作り出されるエビ商品、三河産水産物の加工品に注目していきたい。
 
毎味水産
http://kotomi-suisan.jp/


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 島根県津和野の郷土料理に「芋煮」というのがある。
 小ダイかアマダイの骨をだしにして里芋と焼いた身を煮る。
 汁は大目にして、吸い物のような仕上がりにするのだけど、調味料は塩としょうゆだけだという。

 ちょうど島根のヤマトシジミさんから「鯛だし」というキダイで作った煮干しをもらった。

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 これが実にうまいだしがとれる。
 この澄んだ旨味の強いだし汁で里芋をたけば、遠く津和野の芋煮が忍べそうに思える。

 里芋は塩でもみ、米のとぎ汁で下煮しておく。
 昆布と、鯛だしを水に沈めて、火をつける。
 沸いてくる直前に昆布を取りだし、アクをすくいながら、だしの加減をみる。
 だしがらを漉す。
 酒、少量の味醂、塩、薄口しょうゆで味付けする。
 ここに下煮した里芋をいれてことことたいていく。
 里芋が口の中で軽くつぶれるほどに軟らかくたけたら出来上がりだ。

 残念なことに土曜日に閉店した八王子綜合卸売協同組合『河村青果』で買い求めた柚を刻んでちりばめる。
 器は武内立爾作の大皿。
 この美しい皿には、こんな素朴な料理が合うと鑑みた。

 津和野は島根県益田から山に分け入ったところにある。
 室町時代から栄えた町ではあるから、こんな素朴な料理にもどこか洗練されたものを感じる。
 今回の料理は『津和野の料理』(津和野の新しい文化をつくる会)によった。

ことぶき
http://www6.ocn.ne.jp/~kotokin/page4.htm
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、キダイ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/taika/kidai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
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