管理人: 2010年12月アーカイブ

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『からだにおいしい 魚の便利帳』は昨年秋から作り始めて、今年5月に刊行された。
ボクにとってというか、自分の名前で出した初めての本である。
内容のほとんどはボクが長年調べてきたものだし、写真だってほとんどが我がデータベースのものを使用している。
今現在出ている水産系の食材図鑑としては、明らかに最上のものであると自負している。
この値段で、これだけの情報を網羅するのは絶対他では出来得ないと思う。

ただ、本当にこれがボクの本なのか、というとちょっと違うように思い始めている。
我がデータベースは無手勝流に、まるで獺のようにがむしゃらに集めたもので、混沌としている。
魚だけではなく、食べ物、歴史などなんでも集めては、調べ、また調べ。
あまりに膨大になりすぎて、自分で作ったものなのに、全容が見えなくなっていた。
その実態は固体ではない、例えばコロイド、もしくはアミノ酸のような状態であって、まだまだ形すらない状態だった。
このような状態で一冊の本を作るのは至難中の至難なのである。

出版から半年が過ぎてわかってきたのは、本書を企画、そしてまとめた石倉ユキヒロさんの偉大さであり、また執筆協力をしてくれた方と高橋書店の若々しいバイタリティがあってできた本であるという点。
本書は明らかに皆さんに作っていただいたもので、ボクは脇役だったのかも知れない。

その上、本書を作ってから我がデータベースはアミノ酸状態から、やっと固体になりつつある。
将来の固体としての造型が見えてきたわけで、この方向性は本書を作って始めて見つけたものだ。
というわけで、改めて石倉ユキヒロさんはじめ、本書の編集制作に関わった方達に感謝の意を表明したい。

最後に、本書は我がデータベースのほんの一部を切り取ったに過ぎない。
今現在我々が日常的に利用できる水産物総てを網羅したわけでも、また比較的ひんぱんに見かける水産物総てを取り上げているわけでもない。
まだまだ情報としては不完全と言わざる終えない。
「一日一ミリでも前に!」がボクのモットーである。
より優れたデータベース、本を作るべく努力を重ねる所存なのである。



ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

ホヤ雑煮を作る

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やっと本日、仕事が一段落ついた。
今年はまことに慌ただしかった。
それじゃ、明日からは暇かというと、また新しい仕事を開始するのだ。
それでも正月間近。
ちょっとは年越し気分になろうではないか、ということでお雑煮を毎日作ることにした。

本日は宮城県のもの。
『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター)に「ほや雑煮」というものがのっている。
マボヤを焼き干しにし、これでだしを取り、新春の雑煮にするものだ。
焼き干しにしたホヤって売っているんだろうか?
いろいろ、ネットでも探したが見つからない。
それならばと本の通りに作ってみた。

ホヤを二つ割りにして振り塩、炭火で焼き、干すこと10日。
この焼き干しのホヤを半日水につけて、ことこと煮始めてから材料を買い出しに。
宮城県石巻の雑煮は野菜がたっぷり。
この具だくさんで、ホヤの苦みが、なんとも酒浸りの年末年始のなまった身体に活力をもたらしてくれる。
しかも焼き干しにして、もどしたホヤがこんなにうまいなんて、大発見。

かちんかちんだった焼き干しのホヤが、硬くもなく柔らかくもなく、ほろほろと口の中で崩れながら、ほどよい甘みと、旨み、苦みを口の中に満たす。
まったく新しい、未知の味との遭遇だ。

今回の焼き干しのホヤは12月の痩せてしぼんだマボヤで作った。
本来は、いちばん旨みの乗った膨らみのあるもので作るのだという。
今年の夏が待ち遠しい。

材料(2人前)
焼き干しホヤ7個、水400㏄、干しズイキ、ゴボウ、金時ニンジン、もやし、高野豆腐、大根、芹、角餅2個。
作り方
1 焼き干しホヤは約半日水にひたす。火をつけてことことと30分前後煮る。ズイキは水で戻す、高野豆腐も水で戻して適当に切る。

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2 ホヤの鍋に酒、醤油で吸い物加減に味付け。
3 野菜など加え煮えたら、芹を加え、焼いた角餅の入った椀によそおう。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マボヤへ



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なにげなく買ってしまう、ってものがある。
一瞬でフェロモンを感じさせる、そんな商品。
この「うにめし」などまさにそうだ。
パッケージの「いかにも」なのがフェロモンのもとだろう。
目的の買い物でもないのにカゴに放り込んでしまう危険な代物だ。
伝えるべきことが、伝わっているよさがある。

実際に近所のスーパーで手にとって、無意識に躊躇無くカゴにぽんと入れてしまっていた。
いちばんいいのはデザイン、そして小袋に分けて、それがかさばらない点。
こんなものが瓶詰めであったり、凝った箱に入っていると、それだけで煩わしい。
いまや都内でゴミを捨てるのはめんどう以外のなにものでもない。
包装は簡便簡単簡素がいい。
外見はわかりやすいものがいい。

「うにめし」のデザインは必要最小限の言語と、目立つ文字の大きさで構成されている。
そして古さを感じさせる。
懐かしいデザインだ。
この簡単で古めかしいのが、たぶん若い世代には新しいだろうし、ボクたち昭和人には懐かしいだろう。
最近はデザインすることがデザインだ、なんて思い込んでいる能なしデザイナーが多い。
愚かである。
対するに、これはまさに絶妙。

小袋のさわり心地、封の切りやすさもいい。
袋内の分量もいいのではないだろうか。
ただし味わいは、かなりキッチュで、好きな人は非常に惹かれるだろうし、ダメな人はダメかもしれない。
ちなみにボクはとてもおいしくいただきました。

井上商店 山口県萩市



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ハタハタの田楽

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秋田の賢さん、なべ婦人から今年もハタハタが届いた。
何はともかく、まことにありがとうございました。
今年も届いた秋田の味覚、堪能させていただきます。

ちょうどそのとき、何気なくハタハタで検索していて見つけたのが、山形県鶴岡市のハタハタの田楽。
鶴岡市では12月9日を「大黒様のお歳夜(としや)」といいハタハタの田楽を食べる習慣があるという。
このように何かきっかけを見つけては各地の風習、習慣などを調べているのだが、今回はまことに見事なヒットとなった。
いただいたハタハタでしょっつる鍋、そして田楽を作る。

田楽を作ると言っても、それほど大層なことではない。
軽く汚れを落としたハタハタを素焼きにし、田楽味噌を塗り、また一焙りするだけ。
ハタハタはまことにきれいで手間いらずの魚なのである。
田楽は焼けるそばからかじる。
姫も大喜びでかじる。
何本か、残して、『市場寿司』に持ち込んであぶり直して、またかじる。
これがなんともいいのである。
しかも今回の発見であるけど、皆が一様に「白子がうまいな」というのだ。
ハタハタは秋田に限るとも、たかさんが宣う。

これで酒がどんどん飲めてしまう。
近所で作っている國府鶴の生だけど、これが辛口でクイクイと喉に滑り込む。
ああ、いい気分なのだ!

材料
田楽味噌
みそ1、酒2分の1、みりん4分の1、砂糖2分の1、卵黄1個分
作り方
1 田楽味噌の材料を鍋に入れて、よく混ぜ合わせる。火をつけて練る。とろみが出てきたら、硬さの加減を酒で行う。甘いのが好きならみりんで。
2 軽く水洗いしたハタハタをこんがり香ばしく焼く。
3 田楽味噌を塗って軽く焦げ目がついたら出来上がり。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハタハタへ




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師走となって、まさに魚のうまい季節到来である。
「来た来た来たー!」って感じで思い浮かぶのが瀬戸内海は宇部でとれる子持ちのガザミ。
今年の年始に食べた宇部ガザミ、その山吹色をした内子の濃厚な味わいが、ふつふつとよみがえってくる。
超弩級のうまさだったのである。
このガザミがまだかな? というのと寒い時期のフグだ。
フグといったら下関だけど、宇部だって負けていない。
宇部のフグもうまい。

そしてそのうまい宇部の魚をどこで買うかと言うことだけど、あるんですね、すばらしい魚屋が。
それが『魚かつ』なのである。
実際に行ってみると地味で小さな店である。
だが、しかし店内に入ると、活気があるのだ。
奥では職人さんが、さかんに包丁を動かしている。
次々にさばかれるのは、地物宇部産に山口県産の鮮度抜群のさかなたち。

冷蔵ケースにはお寿司や総菜類も充実している。
さてさて、暮れになり、なんだかうまいもんが食べたくなった方に、大いに、大いに、大いにおすすめしたいのが、『魚かつ』のさかな。
特に宇部にあがる底曳きの魚は最高にいい。

師走の慌ただしさが、一段落ついたら、絶対に買うのである、宇部の魚を。
なんて思うのだ。
そして、おすすめ、なのである宇部の『魚かつ』。

山口県産海鮮広場 魚かつ





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塩ブリを作っている。
そろそろ日本海を下ろうとしている、北海道もの。
一本は買えないので八王子総合卸売組合『マルコウ』で半身買いして、一万円。
高いとは思うが、さすがに10キロ前後のブリはうまい。
背の部分を塩漬けに、腹の部分を刺身で食らう。
そして刺身の残りを漬けにする。
角長のたまり醤油と、広島県福山市のミツボシ本味醂で一晩。
これをご飯にのせて、茶漬けでサラサラと、曲がった鉄砲玉のように市場に出かける。

天然ブリのおいしさは、どうやら脂と旨みのバランスにあるようだ。
漬けにしても殷々と舌を喜ばせる。
しかも脂の強さよりも、後味の良さに、もっと口に放り込みたいという焦りを感じさせるところに、さすがは天然ものなのだな、と得心する。
そして茶漬けのよさは、ほどよい熱の通り加減と、溶け出した調味料とブリの脂にご飯を含めて調和した世界を作り出すことなのだと見つけたり。
「ああ、幸せだ」なと思うが、師走になると手が届かないのだろうな......、日本海のブリよ。

材料
ブリの刺身適宜、みりん1、しょうゆ1
作り方
みりん、しょうゆを合わせて、半日ブリの刺身を漬け込む。
11月8日記す

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ブリへ



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島根県平田市小伊津のアマダイ(アカアマダイ)は有名である。
彼のアカアマダイの一大消費地、京都中央市場でも一目も二目も置かれている。
今回の干ものは「小伊津」の文字がいきなり飛び込んで来た。
そしてパッケージがスリムで都会暮らしに、ありがたい。
最近思うことだが、発泡トレイなど、ムダな容器はいらない。
後の処理を考えると不愉快極まりない。
このスリムさだけでも買ってしまうのだが、そこに「熟成」の文字がある。
たぶん、島根半島近海産のウルメイワシを、こだわりを持って加工したんだろう、というのが推察できる。

中には一連5匹が2連。
現代の家庭にはこれでも多すぎるが、まだ増しな方だ。
これくらいなら食べきれる可能性がある。
だがしかし、一人暮らしのボクには多い。
ついでにもっとも干ものを消費しそうな老夫婦なんかにも多いかも知れない。
小伊津海旬房さんには、今度半分のパックを作ってみていただきたい。
もしくは一連ずつ使えるもの。

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さて、軽くあぶって晩酌の友とする。
この干ものがまことにうまい。
塩分濃度がちょうどいい。
甘塩なのだが、味の奥行きがあるのである。
やや乾きが強いのも、家庭で焼きやすい。

ウルメイワシは干ものにすると最上の魚なんだけど、この小伊津海旬房さんは、そのごとく作っている。
なかなかやるな!

小伊津海旬房

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ウルメイワシへ




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島根県平田市小伊津のアマダイ(アカアマダイ)は有名である。
彼のアカアマダイの一大消費地、京都中央市場でも一目も二目も置かれている。
今回の干ものは「小伊津」の文字がいきなり飛び込んで来た。
そしてパッケージがスリムで都会暮らしに、ありがたい。
最近思うことだが、発泡トレイなど、ムダな容器はいらない。
後の処理を考えると不愉快極まりない。
このスリムさだけでも買ってしまうのだが、そこに「熟成」の文字がある。
たぶん、島根半島近海産のウルメイワシを、こだわりを持って加工したんだろう、というのが推察できる。

中には一連5匹が2連。
現代の家庭にはこれでも多すぎるが、まだ増しな方だ。
これくらいなら食べきれる可能性がある。
だがしかし、一人暮らしのボクには多い。
ついでにもっとも干ものを消費しそうな老夫婦なんかにも多いかも知れない。
小伊津海旬房さんには、今度半分のパックを作ってみていただきたい。
もしくは一連ずつ使えるもの。

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さて、軽くあぶって晩酌の友とする。
この干ものがまことにうまい。
塩分濃度がちょうどいい。
甘塩なのだが、味の奥行きがあるのである。
やや乾きが強いのも、家庭で焼きやすい。

ウルメイワシは干ものにすると最上の魚なんだけど、この小伊津海旬房さんは、そのごとく作っている。
なかなかやるな!

小伊津海旬房

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