管理人: 2011年12月アーカイブ

昨日28日で仕事がひとつ終わり、
本日はずーっと画像とデータ整理に追われている。

hati000.jpg
高野水産のトラックはいつも満杯。これを積んだ人は偉いね!

朝は八王子総合卸売センターで魚をいっぱい買い込む。
たぶん本日と明日で鮮魚は終わりなので、めぼしいものは総て、といった意気込みでやる。
明日から濃密な仕事が始まるのに、こんなときにいろいろ先々悩んでも致し方なし、なんて投げやりなんだろうね。

hati111.jpg

本日買ったもの、
高野水産で北海道の『春木商店』という荷主さんから来た
活け締めアサバガレイ(活け締めのアサバは初めて見た)、ホシガレイ、
オウゴンムラソイ、エゾメバル?、宮城県の『カネキ』エゾアワビ。
『マルコウ』でナマコ、サラガイ。

asababababa.jpg

帰宅後、ずーっとデータ整理と改訂の準備。
午後2時、近所のヤマト運輸営業所に
鹿児島市の『田中水産』さんに送ってもらった
ハチジョウアカムツとマハタを受け取る。

そのままスーパー三徳へ。
これは常々思うことなのだが
店内でぼんやりウロウロしているオヤジたち、
どうにかならんかね?
こっちは急いでいるわけで、邪魔になって仕方がない。
荷物持ちなら妻が買い物を終わるまで外で待つのがエチケットだろう。

さて、外が薄暗くなってきた、
今年の覚え書きを年末年始まで毎日書いて行く。

年々時間がなくなる、とは思っていたが、
今年は特に猛烈としかいいようがない。
約5年前くらいに自分のなかで一段変革が起こった。
実は水産物の世界は膨大無辺なのだが、
たぶん30年くらい調べ続けると、そこに峠のようなものが見えてくる。
今がその峠の上にいる状態なのかも知れない。
「わからなかったことが一度に理解できるようになる」
今までの自分の無知ぶりに恥ずかしさがこみ上げてくる。
(10年くらいで魚貝類のことがわかったように思っている人がいるが、
それは幻想である。
10年は魚貝類のことを極める入り口に立つのにかかる時間である)

そして5年くらい前から水産物(ボクの場合食品全般総てなのだけど)が
頼みもしないのに一斉に語り出し、
それをデータベースにするだけでヘトヘトになってしまう。
午前3時、4時に魚を下ろし、料理を作ることもしばしばで、
五十路半ばの体力の限界を感じた年だった。
365日かかさず魚貝類を食べ、撮影し、そして調べているので、
今年はたぶん最小限に見積もって千尾以上の魚貝類をさばき、
そしてその倍くらいの水産加工品を食べて、撮影し、調べたはず。

そんな日々に、ひとつの結論を見つけた。
「さかな通には消費者だけがなれる」というものだ。
市場などを歩いていると、「一般人」とか「素人」とか呼ばれる人々。
ボクもそのひとりなのだが、魚貝類のことを極められるのは
消費者だけであって、プロは絶対に極めることが出来ないのだ。
(本文は続く)
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
isidaine.jpg

正月には豪華なものを食いたい。
魚貝類で豪華といえば、ついつい尾頭付きの塩焼き。
例えば京都での「にらみ鯛」などというのが思い浮かぶ。
が煮つけてもいいのだよね、豪華という意味合いで言えば。
例えば九州唐津では「くんち」に大きなアラ(クエ)を丸ごと煮つけにする。
塩焼きよりもむしろ豪華、そして絢爛ではないか!
しょう油に染まったその見た目は地味だが、
「食べたらうまそう」というのが加わると、自然と秀吉気分になれる。

正月には姿煮を作ろう!
今年はイシダイが多いようで、比較的安い。
マダイの姿煮は定評があるが、
実はイシダイの方が皮の厚さ故か、
煮つけでは上なのである。
中くらいの25センチクラスを水洗い。
ゆびきして、鱗などを完全に取り去り、
いちばん大きいテフロンフライパンで煮上げる。
水、調味料をたっぷりと、終始強火で、
調味液の泡が常に魚の上を覆っているように心がける。

ほどよくしまった白い身が、箸でサクサクはさみ取れる。
これを小皿に移して、調味液をかけながら食う。
調味液がこってり甘辛いのだが、身が持っている甘みも加わると、
「あまい」のではなく「うまい」のだよね。
この場合、酒の肴にはしないでいただきたい。
炊きたてご飯にのせては食らい、のせては食らうのだ。
お行儀悪く食うほどうまい料理であるから、
晴れ着にはちゃんとナプキンをかけたまえよ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イシダイへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
ananaruto1.jpg

大阪中央市場にある『松井泉』は焼き穴子を始め、
マアナゴ、ウナギなどの専門店だ。
その店先を通るたびに気になっていたものに
鳴門巻きというのがある。
中心にウズラの卵を置き、割いたアナゴを巻き付けて、
経木をヒモ状にして結んだもの。
今回は、店の前で暫し思案して、
10個だけ買い求める。

若旦那がいなかったので、店の若い衆に聞いて
「たきものに使うのだ」ということだけ聞く。
何度も書くが関西では「たく」というが「煮る」とは言わない。
浅さき、山椒だき、飴だきなど、
「●●だき」は総て煮ると同じようなもの。
「たく」というと「ご飯以外はたくと言いません」
なんていう関東人がいるがはっきり言って愚か者である。
もっと勉強しろ!

ananaruto2.jpg

さて、この真ん中にウズラの卵を巻いたものをたき、
真半分に切ると出る文様のことを月冠という。
月冠とは月自体が黄色く発光し、回りが黒く縁取られ、
その外側が白い光が取り囲んだ様のこと。
さっそくこの鳴門巻きを炊いてみる。
マアナゴからそれほど旨みがでないので、
鰹節だしを用意。
下ゆでした里芋と同じ鍋でたくことにする。

鰹節だし、しょう油、酒、みりんだからもっとも単純な味。
ひたひたにして、ことことと里芋煮火が通ったら
そのまま鍋どめにする。
非常に単純な料理法なので、だれでも出来そうに思える。
でもこの単純さが産み出す味がすごいのだ。

まさに絶品で甘みは調味料とマアナゴの脂の相乗効果で強く、
だしの旨さと、アナゴのエキス分が合わさった奥の深い旨みがある。
汁とアナゴの風味を吸った里芋もうまいものである。
我、大阪に住まいしていたら、
毎日でも松井泉に通ってしまいそうな素材である。

松井泉

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マアナゴへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
gonzuimisosiru.jpg

千葉県在住の岩本隼さんの本に
たびたび登場するのがゴンズイのみそ汁だ。
岩本さんは館山で漁業をしながら
詩情豊かなエッセイを書かれている。

棘に毒があり危険な魚である、
ことばかりが取りざたされるゴンズイを
食べてみようと思う人は少ないだろう。
見た目にも黒くナマズのようでクネクネと
食指の動かないことこの上ない。
が、これが外見とは真逆でうまいんだなー。

岩本さんはゴンズイのみそ汁にはカボチャが合うと書いている。
我が家でも、素直にカボチャを合わせて、
確かに相乗効果的にうまいみそ汁になって、
さすがは房総の海に溶けてしまった人のやり方は違うな、なんて思う。

作り方は簡単、まずはゴンズイの毒のある棘を
キチンばさみで切り取る。
鱗がないので内臓だけ取り去り、
昆布のかけらと野菜と一緒に水から煮て、
みそを溶くだけ。
カボチャもニンジンも
我が家にたまたま合ったジャガイモも、
ゴンズイと運命をともにして、
出来上がりの目安は具が柔らかくなったらいい、だ。

ゴンズイのみそ汁にはなぜだろう、不思議なことに甘みがある。
今回みそは鹿児島県産麦みそで、
柔らかい味わいがゴンズイと好相性だ。
ご飯とも酒とも合いますぞ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ゴンズイへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
ebimame.jpg

長年、えび豆は自家製する方がうまいと思い込んでいた。
その思い入れが崩れそうな一品に出合った。
それが『喜多品老舗』のえび煮豆(えび豆)だ。
滋賀県琵琶湖周辺の代表的な郷土料理が
えび豆である。
作り方は簡単で
下ゆでした大豆を甘辛く煮る。
その煮上がりに湖産のエビ(スジエビやテナガエビ)を加える。
エビの風味が大豆に移り、
このエビ風味の豆の味わいが官能的にうまい。

ボクの大好物は豆。
あんこに煮豆に、枝豆にピーナッツなど豆々しい日々を送っているが、
なかなか市販の煮豆でうまいのに出くわさない。
えび豆は滋賀県を代表する豆料理で、豆加工品の代表的なもの。
それで琵琶湖周辺で、えび豆を見つけたら必ず買う。
「買う、がっかりする」、そして「買う、がっかりする」。
そんななかで、この『喜多品老舗』で
ふなずしを買い求めたおまけにくれたのが「えび煮豆(えび豆)」。

ボクは原則的に水産物はもらわない。
必ず買い求める。
身銭を切るからうまいまずいが言えるのだと思っているので、
オマケをほめるのに忸怩たる思いだが、
この「えび煮豆(えび豆)」はうまいなー。
調味料が均質に素材にしみこんでおり、
その味わいが絶妙。
大豆も柔らかく、エビはエビの味がして
エビの風味が強い。

こんどいつ高島の街を通ることになるか、
わからないが、あのまことに美しい街に行くことがあったら、
『喜多品老舗』に寄らない、なんて出来ない相談なのだ。

喜多品老舗
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
mibaisiru.jpg

画像は沖縄県那覇市牧志で食べたミーバイ汁。
沖縄でミーバイはハタ類のこと。
ハタ類のみそ汁で、これにご飯やスンシーイリチーがつく

毎日のように食べる(のむ)のがみそ汁。
だが、都内に住んでいると、
家庭でも外食でも
汁の実はいつも同じだったり、
代わり映えのしないものばかりだったり。
東京のみそ汁文化の程度は非常に低いな、なんて思う。

それからすると沖縄は見事だ。
東京では脇役のみそ汁が、堂々主役になっている。
ようするにトンカツにみそ汁がつくのではなく、
みそ汁が中心にあり、ご飯と互角であって、
脇になにか欲しいとすら思わない。
完全無欠の二頭両立的なあり方が許される。
また北に目を移すと、

北海道で、東北で、
タラや海のカジカをみそ汁仕立てにする。
玉ネギに
ジャガイモやニンジンが
ごろごろであったりして、
こちらも明らかに主役であって脇役ではない。
スケトウダラのぶつ切りに
肝がたっぷり鍋に煮えている。
やや甘口の仙台みそで仕立てた汁のなんとも
「このまま死んでしまいそう」感は
汁をすすってから一週間殷々と続く。

かねがね魚貝類の食べ方で最上のものはみそ汁だと思っていたので、
ここにみそ汁という独立したコンテンツを立てていく。 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、管理人2011年12月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブは管理人: 2011年11月です。

次のアーカイブは管理人: 2012年1月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。