管理人: 2012年2月アーカイブ

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三重県尾鷲、松阪などへの旅で得たものは思った以上に多い。
ボクの旅が、所謂「旅行」と違うのは
例えば民俗学のフィールドワークなのであって、
見たもの、聞いたことが総て後々ディスクワークの素となるからだ。
今年に入っての旅である長崎県佐賀県だけではなく、
昨年の熊本県、鹿児島県の旅に関する
後始末(帰宅後の整理)が終わっていないというか、
旅先で持ち帰った情報が、
その土地や、料理を体系化する素粒子のひとつなのであるから、
旅の重さは宇宙的に思えるほどだ。

三重県の旅は一泊旅行で、比較的気分の軽いものであった。
が得たもの、情報の素が巨大だった。
そのひとつがサンマに関すること。
例えば『秋刀魚の歌』の
佐藤春夫は和歌山県新宮市出身であって、
詩は「幸薄い妻がとってきた青いミカンをしぼって食べる」、
その食卓の情景をうたったものだが、
これは熊野地方全体の食習慣だ。

さて帰宅後、『聞書き 三重の食事』を読む。
一度軽く読んでいても、十分に読むことはできない。
その土地に行ってから、課題を持って読んでこそ意味がある本だ。
三重県でも伊勢平野の料理に『かど飯』がある。
「かど」は伊勢平野でサンマのこと。

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秋に売りに来たサンマの尾を目に通し
円く輪にして、「かど先」(この場合の「かど」は「庭」のこと)で
藁の火で焼く。
この身をほぐして、ご飯に醤油味で炊き込むのだ。

ここに問題があって秋に売りに来たサンマの産地と、
無塩ものであったのか、塩物であったのか、
もしくはぬか漬けであったのか。
ボクの推測では、サンマは伊勢湾でとれたものではなく、
熊野灘から来たもので、
無塩ではなく塩物もしくは干ものだったのではないか?

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そこで試しに北海道産塩蔵サンマを焼いて、
ご飯に醤油味で炊き込んでみた。
これが予想以上に簡単で、しかもうまかった!
青魚を炊き込んだのに、あっさりしている。
しかも味わい深く、ついつい食べ過ぎてしまうくらい。
その上、そのまま食べるよりも、お茶漬けにして
もっともっと、もっとうまい。

普段の料理(食事)のヒントは
意外にも伝統料理にあり、などと思うのだ。

作り方
北海道産塩蔵サンマ1本。
醤油小さじ2分の1(サンマの塩加減によって違う)
胡麻少々、青じそなど
作り方
1 塩サンマを焼き、一度冷やす。冷やしたほうがやりやすい。
2 炊飯の用意をし、ほぐしたサンマの身を乗せ、醤油を入れる。
3 後はたくだけ。
臭みが気になるならせん切りのショウガを。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 サンマへ



ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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1時半を過ぎている。

長崎に来たらチャンポンと皿うどんを食べようと思っていたので、

近くにあった普通の中華料理店で皿うどん。


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一度、ソースをかけて食べてみたかったので、

ちゃんとテーブルにあったのをまわしかけて食べてみる。

皿うどんとは、ようするにチャンポンの具を

あん(片栗粉で)にし、揚げた麺にかけたもの。

当然、そのままでもうまいのだが、

この酸味のあるウスターソースをかけるのもよろしいな。

長崎の中華料理で重要なのが、獣肉と海産物の出合い。

これが福建省からの華僑がもたらしたものであるとするなら、

本当に明治期にきたものなのか、安土桃山までさかのぼれるものなのか?

 

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帰り道、カステラを売る店で桃カステラと

普通の竿型のものを買い、数軒先の酢屋ですし酢と酢を買い求める。

カステラの『松翁軒』で、佐世保で買った

「こうさこ」が「口砂香」であることが判明。

漢字がわかったのはいいが「口砂香」とは何か?

例えば落雁との違いは?

和菓子の歴史本は我が家にあったはずだが。

ちなみに東京ではこのような仏事用の菓子を「打ち菓子」という。

商店街の端っこまで来て、どっと疲れが襲ってきた。

午前4時から、現在の時刻は1時半過ぎ。

とにかく市電で西浜町まで。


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念のため浜屋デパートの地下食品売り場を見たが

めぼしいものはなにもない。

浜屋デパートは地物に力をそそいでいないようだ。

地下からエスカレーターに乗ったときに

なんとなく腹に痛みが走る。

それにやたらに寒い。

マフラーでも買おうか、と思案するが諦めて長崎駅へ。

 


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途中、天満市場の『山下くじら店』の前に

クジラの湯引きがあり、なんともうまそう。

「ここで食べられますか?」と聞くと、

「どうぞ」というので狭い入り口におなかを使えさせながら入り込む。


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おかみさん二人でやっている店で

ゆでたクジラを大振りに切り、橙をしぼってくれる。

冗談で酒が欲しいなんて言ったら、なんとちゃんと冷や酒が出てきた。

このゆでたクジラがうまい。


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長崎では「ゆかけ」などと言うらしいが、

いろんな部位を使って、またクジラの種類によっても味に違いが出る。

「これも食べて」と出てきたカキとともに

冷や酒がくいくいいけてしまう。

お代をたずねると、とってくれない。

恐縮しごくに店を後にする。


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この新大工町の小さな市場群が面白い。

歩いていて楽しい。

長崎に来てグラバー亭や大浦天主堂などを見るというのも悪くないが、

新大工町や築町を歩いてみると、

長崎で長崎らしい観光をするのがくだらなく思えてくる。


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ご夫婦でやっていた小さな店で

ブリの内蔵の湯引きを買い、その場で食べる。


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これもいい味で、こんなものを売っているところが

長崎なのだろうな、なんて考える。

住宅地直結の市場なので、刺身や総菜類など非常に多彩で、

旅人であることが残念でならない。


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青果店、乾物店も見ていて飽きない。

ここで干しゆず、カマスの子の煮干しを買う。

長崎の水産物で重要なもの、ベニサシ(ヒメジ)の

南蛮漬けを見つけたら店の人がいない。

結局買えなかったのが残念だ。

『魚和』という店も大きくて品揃えが魅力的だった。

 


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1月18日ホテルを出て長崎駅へ。

市電の一日乗車券を買い、長崎駅から築町まで、銅座市場を探す。

ぐるぐる回ってたどり着きはしたが、すでにほとんどの店が閉まっていた。


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市場と言っても商店街に近い。

入り口に豆腐などを売る店があり、猫がのんびり毛繕いしている。

ここで新大工町の市場がにぎやかだと聞き、

西浜町から市電に乗り諏訪神社まで。

停車場に「シーボルト記念館」の文字を見つけて、

ここが鳴滝に近いことがわかる。


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電車通り(新長崎街道)に平行に商店街があった。

人が歩いてほどよい幅と、商店が密集して楽しい。

高度成長期以来の市街地開発担当者と建築家の愚か過ぎることは

実はこのような商店街を見ればすぐに気づく。

人類はほどよい密集、密度が好きなのであり、

広すぎる、大きすぎる空間が必要なところは限られているのだ。

秋田市の市街地開発をしたヤカラは明らかに能なしだし、

愚か者である。

また三重県松阪市のメイン通りを広く空疎にして

便利にしたつもりで街を台無しにするヤカラもバカである。

ついでに書いておくが市街地の再開発というのは

最低でも100年単位でやるべきで、短期間でやってはいけない。


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通りから商店街に足を踏み入れると

酢屋(製造販売)があり、和菓子屋があり

老舗らしいカステラを売る店がある。

そして無数の市場。

一番大きい市場「新大工町市場」に入ると残念なことに休みだった。

がその奥にあったのが長崎玉屋というスーパー。

魚売り場など、なかなか品揃えがいい。

一度出て小さな市場をしらみつぶしに歩いてみる。


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ブリといえば世間では氷見だとか、若狭だとか
まるでテレビ、雑誌がいいそうなことに終始する。
ようするにブリと言えば脂が命的な表現をする。
まるでブリ自体の味は忘れ去ったかのごとくだ。

ブリは大好きな魚で寒い時期になると食べたくなるが
あまり脂のありすぎたものは、嫌いである。
避けて通りたい。
そこにあるものは「脂ののった身」
ではなく「脂のかたまり」だ。
魚としての旨みが感じられない。

おいしいブリの条件とは脂ののり具合ではなく、
「脂とブリ自体の味わいのバランスがとれていること」なのだ。
ではその最高にバランスのいいブリはどこにある、
熊野灘にあったのである。

今年、熊野灘のブリはあまり豊漁ではない。
なかなか手に入らない、貴重なものとなっているようだ。
それを市長の岩田昭人さんが用意しておいてくれた。

これを岩田家で朝食で食べたのだが、やや硬く、
鮮度がよいのでうまいことは、うまいのだが
ちょっとだけ「?」であった。
そして翌々日のこと。
水揚げして3日以上たって自宅で刺身にしてみた。
これが誰も想像できないのではないか、と思えるほどにうまいのである。

あらためて大型魚は寝かすべきなのだ、ということに気づき、
あたらめて脂と旨みのバランスのよさに感激した。
一切れ一切れを愛おしむように食べて、
一切れごとに、うまさの衝撃を感じる。

世界中のみなさん、尾鷲にブリを食べに来ませんか?
そしてブリの真の味に目覚めませんか!
今期最高のブリを用意していただいた
岩田家の方達に感謝!


岩崎鮮魚店 三重県尾鷲市坂場町5−33

岩田昭人さんの三日に一魚

熊野灘ブリ漁の近況は
紀州熊野灘海産物四代目日記

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ブリへ




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タクシー運転手さんに言われるまま、バイパスで迂回、

一般道に出ると、正面に「右折長崎駅」の文字。

右手に諏訪神社、交差する道路に市電の線路が見えて、

市電が左手に遠ざかる。

 

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市街地に入ると築町まではそんなにかからなかった。

ここにも赤いヒョウタン型の提灯が下がっている。

入り口に女性がポツンと魚を売っていて、

目の前に活けのヒラメと外套膜を開いて

内臓をとりのぞき、墨をきれいに洗ったコウイカを売っている。

長崎県ではこのようにコウイカを開いて、

墨を丁寧に洗いながしてしまうのが普通らしい。

これは四国などでも見られるもので、

東西のコウイカの扱いの違い面白いな。

活けのヒラメを締めて棒秤ではかり、

売っているところだった。

棒秤はあきらかにヒラメをのせた側に傾いていて、

これは「得だな!」。

 

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この女性に「どこから来ているんですか?」と聞くと

「茂木から来ています」という。

長崎市茂木町(1967年合併)は天草灘に面する漁村であり、

ビワでも有名である。

『長崎料理史』(和田常子 柴田書店 1958)に

船(団平船)を漕いで街に魚を売りに来る婦人達がいるとあるが、

ここに「下の部落から来る」は茂木のことなのだろうか?

棒秤は珍しいので「量っているところを撮影させてください」

とお願いすると親切にもモデルになっていただいた。

 

築町は長崎市のまさに中心地にあり、

普通の街角に水産関係の店が並んでいるだけなのだ。

ただやはり魚屋はすばらしい。

小さな店が多く、エビの専門店などもあり、

また野菜の入ったすり身を作っている店などもある。


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その道路を挟んで前になんだかにぎやかな店があって、

『茂木鮮魚直売所』とある。

ここは茂木町から来た女性たちだけでやっている店で

ザルに小魚などを並べ、また店の前に活魚を泳がせている。

 

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まず目に飛び込んできたのがイゴダカホデリ。

こんなにまとまってこの魚を見たのは初めて。

赤い体側に、濃い赤の斑紋が浮き上がっている。

鮮度がよいとこんなにきれいな魚だったのか、

思わず一ザル買ってしまう。

「イゴダカホデリ」は確か長崎での呼び名。

ちなみにボクを旅行者とみて

ご婦人方は「カナガシラ」だという。

どうやらカナガシラとイゴダカホデリは同じように扱われているようだ。

長崎では節分のときに「金頭」を食べる風習があり、

「金持ちになる」という言い伝えがあるようだ。


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活けのマダイ、アオハタ、ヒラメ、マゴチ、オニオコゼ、ガザミなども魅力的だが、

なんといっても小魚のたぐいが素晴らしい。

 

大きなスジウズラガイがあって、これは飾りかもしれない。

シログチ、クラカケトラギス、イボダイ、シロギス、コショウダイ、

ベニサシ(ヒメジ)、イトヨリ、ソコイトヨリ、タチウオ、マアジ。

ガンゾウビラメ、メイタガレイ、ハモ、マアナゴ、ゴテンアナゴ。

イネゴチ、ホウボウ、マトウダイ、カワハギ、コモンフグ。

カミナリイカ、コウイカ、ケンサキイカ。

アカイシガニ、クマエビ、アカエビ。

ゲンコがあり、「これモチガレイ」と教えてもらう。

なんと岡山県日生と同じ呼び名だ。

 

ついつい大量買い、思発泡スチロールに詰め込んでもらう。

こんなときいつも思うことだけど、ここで一年くらい暮らしたいな。

毎日通っても築町には発見がありそうだ。

 

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宅急便を出しに道路を挟んだ店に行くと、

たぶん小振りのマエソと思われる煮干しがあって、これも購入。

その隣のすり身も一袋。

「やっぱり天ぷらにするんでしょうね」と聞くと

鍋の中に落として水炊きにするのだという。

このやりとりが後になって

長崎の食文化にとって重要なのだ、と気がつく。

 

宅急便を出して、腕時計を見ると9時。

あまりに疲れたので頭がぼーっとなりくらくらする。

思わず手を上げてタクシーをひろってしまう。

 


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1月18日午前4時に起き。大急ぎで着替えて飛び出す。

タクシーはすぐに拾える。

魚市場のある京泊まで20分前後。

場内に入ると魚市場の片山さんが迎えてくれる。


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地物だけではなく、以西底引き網、

沖縄海盆への遠征もある巨大な水揚げ港。

冬枯れのときなのに並んでいる魚貝類の量ははんぱではない。

佐世保同様珍しいものはないが、その種類と量に圧倒される。

並んでいる魚をとにもかくにも総て撮影する。

 

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山に一の印「山田屋」というトロ箱を見つける。

これは明らかに以西底曳き網漁の獲物だろう。

国内の食生活を大いに変えたこの漁のことは

もっともっと知っておく必要がある。

 

ウチワエビ、ガザミ、サルエビ、キシエビ、アカエビ。

アオリイカ、ミミイカ、ジンドウイカ。

コウイカはすべて内臓を取り去って外套膜を開いている。

マダコ、イイダコ、クロアワビ、メガイアワビ、テングニシ、アサリ。


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マナマコはやはり大村湾産。

カスザメ、シロザメ、ナヌカザメ、ホシザメ。

ウツボ、ハモ。

マエソ、マトウダイ。

アヤメカサゴ、カサゴ、オニオコゼ、マゴチ、ホウボウ。

ホウライヒメジ(?)、クロダイ、キダイ、マダイ、ヘダイ、コショウダイ、ムツ、シログチ、シロギス、マアジ、カンパチ、ブリ、シイラ、イトヨリ、ソコイトヨリ、アカアマダイ、シロアマダイ、ハマフエフキ、タカノハダイ、メイチダイ、チカメキントキ、アラ(クエ)、アラ、アカハタ、アオハタ、オオメハタ、アカムツ、ヒラスズキ、スズキ。

マサバ、ゴマサバ、サワラ、スマ、タチウオ、クロマグロ、マルソウダ。

ウマヅラハギ、カワハギ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、シロサバフグ。

メイタガレイ、ヒラメ。


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サンマがトロ箱に入って小山をなしている。

東シナ海に入った群だろうかか?

 

競り場を一通り見て、仲買の棟に入る。

各店舗が大きい。

魚種の多さもさることながら、やはりここでも量の多さに驚く。

ここにもサメが並んでおり、なかでもカスザメらしいのがあり、

「売ってほしい」と交渉したが先客がいた。


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長崎ではナヌカザメ、ホシザメ、カスザメ、オオセなどを

湯引きにしてさかんに食べるのだ。

ヒョウモンコウイカとマツバガニ。

ヒョウモンコウイカはまず関東では手に入らない。

 

6時半過ぎまで見て回り、

場内の食堂でウチワエビのみそ汁をメインに朝ご飯。

7時前にタクシーで市内築町を目指す。

7時を超えると市内への道路は渋滞する、というのでバイパス経由で行くがやはりところどころ混んでいる。


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2012年1月17

長崎駅まではシーサイドライナー。

長崎駅には2時半過ぎに着く。

駅のカフェでメモをテキスト化して時間をつぶし、

午後3時過ぎに東横イン長崎駅前にチェックイン。

少し休んでホテル前からタクシーを拾って大波止にある夢彩館紀伊国屋書店へ。乗ってみたら歩ける距離、馬鹿なまねをしてしまった。

紀伊國屋で長崎・九州関連の新刊書を買う。

長崎にこのような大型ショッピングセンターがあるなんて、少々がっかりする。


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夢彩館正面からまっすぐ山の方へ、

坂を上ると文明堂本店を右に見る交差点。

どんどんまっすぐ上っていく。

古書店『銀河堂』にケータイをかけ場所を教えてもらいながら

まっすぐ坂を上る、坂を下る。


観光通、思案橋あたりをうろうろ。

地元の方らしい乳母車を押していた女性に聞くと、

親切にも連れて行っていただいた。

あやしい風体のオヤジなのにご親切にしていただき

「ありがとうございました」。


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にぎやかな商店街のなかにある『銀河堂』で長崎本を数冊。

『銀河堂』で大正堂という古書店を教えてもらい、

ここで掘り出し物多々。

 

大正堂の方においしいすし屋の在処を聞き、

観光通りにある「小吉」へ。

カウンターだけのこぢんまりした店で、店の方は男性ばかりで

飾り気がなく、なかなか雰囲気がよろしいな。

この店のおつまみに、ゆでたクジラがあった。

魚もうまい。


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活けウチワエビの握りに、この殻などで作ったみそ汁がうまい。

 

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そこから「吉宗」まで歩き、茶碗蒸しと蒸しずし。

「吉宗」は老舗なれど、洗練されず、店の方の対応も気取らず、

周りを見渡すと地元の方も多いようで、

観光客相手の今時の店ではないよさがある。

これで今回目的とした「すし」は完了。

 

食べ疲れてホテルまで帰る。

できるだけメモをテキスト化し、

11時半であることを確認してダウン


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店の前に川が流れていて、橋を渡ると商店街になる。

アーケードがあり、まことにきれいな商店街だけど、

やはりあまり活気がない。

スーパーを見つけて入る。

魚売り場を見ると「諫早名物 福田屋のうなぎ蒲焼」があり

見たところかなり黒く焦げている。

いなりずしを見つけると、やはり「きつねずし型」。

入り口近くにムツゴロウを形どった「むっちゃnまんじゅう」のがあり、

当然、2つ買う。

 

物産館のようなものがあり、

野菜などなかなか見るべきもの多々。

アミの塩辛がある、クジラがあるのが特徴的。


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また長崎では「かまぼこ」ではなく「かんぼこ」なのだ

というのも実際に見てみないとわからないものだな。

古いウナギ屋さんがあって休業日だった。


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ここで諫早名物だとある「森太白飴」を買い求める。

商店街をぶらぶらして書店を見つけるが地元本はなし。

諫早の商店街の路地に魅力的な食堂などをみつける。


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島原鉄道本諫早駅に至り、JR諫早駅まで一駅だけの鉄路。

諫早から来た列車に少女が赤ちゃんを

ねんねこで背負っているイラストが描かれている。

これは間違いなく宮崎康平の島原の子守歌を模している。

 

島原鉄道諫早駅は終点にあたり、ホームは諫早駅の一部のよう。

切符を渡すと、諫早駅に入り、ぺらっとした紙切れを渡され、

それでJR駅を出る。


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諫早駅前にある西友に入ってみるが、思った以上に魚貝類がない。

諫早駅軒下に赤い提灯が下がっている。

これなんだろうね。


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1月171250分諫早着。

佐世保駅前からタクシーでうなぎの老舗「北御門」まで。

諫早は九州ではうなぎで有名だが、特にこの「北御門」では

楽焼きの器で供するところが珍しい。


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古い建物だろうと思っていたら3階建ての近代的なビル。

二階にどうぞ、と上がると1時を過ぎているせいか、閑散としている。

小上がりに座って竹ご膳1950円。

窓の外には川が流れていて、

犬の散歩をしている人がいるが寒そう。


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ほどなく膳が運ばれて、楽焼きの独特の舟を思わせる容器の上にウナギが5切れ。

ウナギの下に醤油色の汁があるが、これがタレなのだろう。

ご飯にみそ汁、香の物、余計に思えるデザート。

松竹梅とあると中を選ぶことにしているが、梅で良かったのかも知れない。

 

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焼いたウナギを蒸すというのは柳川と同じだ。

でも諫早市内総ての店が蒸しているわけではないようだ。

なぜ蒸すのか?

考えてみるに合理性からではないだろうか?

大量にウナギを焼いて置く、

例えば東京なら蒸すところまでやっておくのと同じ。

それを客が来るたびに蒸す。

 

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さて焼いて蒸したウナギはやけにあっさりとして、

脂が抜けて上品である。

嫌みのない味とでもいうのだろうか。

なかなか食い過ぎの身には優しい限りではある。

ただしウナギに求めるしつこさというか、

野性味はかなり薄くなってしまっている。

例えば柳川の『本吉屋』の場合、ご飯にのせて蒸している。

ウナギの脂は濃厚なタレとともにご飯にしみて、

なかなか豪快な味わいとなっているのだ。

そこへいくとこちらは味に特徴がない。

 

関東などでのウナギに対する一種思い込みがなければ、

これはこれでいいように思える。

夜など、酒の肴としてはむしろこの軽い味わいがよいのかもしれない。

小一時間もいたろうか、レジで諫早の地図をもらって橋を渡って商店街へ。


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佐世保駅で駅弁売り場を見つけて「平戸のあごめし」700円を買う。

1026分のシーサイドライナーで佐世保に別れを告げる。

大村湾を右に見ながら「あごめし」を食べる。


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包装紙を取ると干ものだろうか、

アゴ(ホソトビウオ)に皮付きが数片ちらばり、

飛び子、青じそがその間に散らばる。

素朴ななかに「あごのだうまみ」の風味が生きている。

ホソトビウオの煮干しをだしにして、

その煮干しをほぐしたものか、と思ったが、

どうにも皮付きの身が柔らかい。

原材料を見ると「飛び魚(一夜干し)」とあり、

干ものを薄味で煮て、その煮汁でご飯を炊きあげたものかも知れない。

素朴な味わいのなかに佐世保(製造者の『松僖軒』は佐世保)という

地域性が感じられる。

なかなかよろしいなー。


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6時半過ぎ、米倉鮮魚店の米倉宏太郎さんに

佐世保朝市まで送っていただく。

佐世保魚市場から15分ほどで

『佐世保朝市』の看板が見えた。

 

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九州北部にある佐世保はまだ夜明け前。

非常に寒い。

暗闇からのぞく朝市は屋根だけでがらんと広く、

床面の6割がたしか出店者がいないように思える。

いつもながらに市場歩きの前は

うきうきふわふわして落ち着かない。

あたりはまだ暗く、市場の中の明るさとの対比が大きく、

入り口近くにあった水仙の花の前で

一息ついて浮き立つ心を静める。

 

台に板を渡しかけたくらいの簡単な店舗ばかりで、

なかにはちくわを入れた段ボール、かごだけという人もいる。

野菜、相物、練り製品、魚などが売られている。

寒さのせいだろうか、野菜の種類は少なく、

お客もまばらで閑散としている。


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花やさんを見ていると「沖縄菊」という文字を見つける。

たぶん厳冬期、沖縄から菊の切り花が送られてくるのだろう。


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練り製品が豊富なのも長崎県の特徴である。

今回気になったのが高島竹輪。

高島という島には竹輪やさんがたくさんあり、

どれも味がいいのだという。

1本だけ買い、食べて見るととてもうまい。

なんといっても表面のやや強い焼き具合が、

いい風味を作っている。


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魚店はそれぞれ大きく地魚中心で魅力的だ。

野田鮮魚店、松本鮮魚と魚屋が二軒並び、品揃えが豊富だ。

イカが並んでいて、スルメイカ、アオリイカ、

ケンサキイカ、メガイアワビ、アサリがある。

マガキは地元九十九島産で小振り。

これがまことにうまそう。

九州ならではのもので「びら」というものがある。

タイラギの貝柱以外の部分で

ヒモ(外套膜)が「びらびら」しているのでこの名があるのだろう。

これが実はまことにうまいもので、

関東で売っていないのが残念でならない。


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ウチワエビ、キシエビ、サルエビ、アカエビ、イセエビ。

ヒラマサ、マダイ、シマアジ、イサキ、サヨリ、スマ、

ホウライヒメジ、サワラ、スズキ、アカムツ、クロダイ、

アオハタ、キジハタ、メイタガレイ、マイワシ、キビナゴ、

マサバ、マアジ、キダイ(レンコ)、カサゴにメバル。

活魚槽のなかもにぎやかそうである。

場内には他にも鮮魚を売っている店がある。

佐世保に観光に来たらホテルの朝食の前にここを散歩して、

素晴らしい魚をお土産に自宅に送ってはいかがだろう。

わざとらしい観光客目当てのものよりも

数倍魅力にあふれていると思う。

 

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さすがに長崎にはアゴ(ホソトビウオ)の干ものが多い。

乾物などを売るお母さんのところで

「あごのみりん干し」、「あご丸干し」を買い、

和菓子などを売る店で白い餅状の生地に

あんこを巻き込んだ「けいらん」

仏壇などに飾るという鯛をかたどった

「こうさこ」というものを買う。



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「こうさこ」の意味、漢字は売っている人も知らなかった。

地納豆があったので買い求める。

 

朝市内の食堂でうどんとおでん。

うどんを食べていると市場で店を出している人だろう、

「今日のおかずは?」なんていいながら顔を出す。

8時前、疲れが足に来て朝市を後にする。

この朝市、厳冬の季節なので、

この寂しさなのかもしれない。

また来なくてはならない。

 

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さて、朝市の食堂で昔の写真が貼っていた。

昭和30年代ではないかというその白黒写真が魅力的だ。

路上にそのまま置かれた野菜。

たくさんのトラック。

木造家屋の上にある空が広い。

朝日がまぶしく、差し込んでいて早朝なのがわかる。


こんな写真を見ると、最近の街作りは

空間を作りすぎていると思う。

実は人類には密集が心地よいのだ。

密集する場がないと心が空虚で攻撃的になる。

この密集した市場の健全な空気感と

無味乾燥な大阪駅・京都駅周辺とを比べてみて欲しい。

時代はすでに縮小、密集に変わりつつあり、

堺屋太一などのいうコンパクトな街作りを行うべきなのだ。

まったく最近の街作りをするヤカラ、

建築家の頭にはコンクリートが詰まっているに違いない。

その作り出す物には腐敗臭がして困る。

 

午前8時、ホテルに帰り、少々休息。

メモの整理。

10時前に戸尾商店街に向かう。

魚屋でクジラとマントの湯引きと

すぼかまぼこを買い、送ってもらう。

高島竹輪とともに平戸でつくっている

「すぼ蒲鉾」は非常に興味深い。


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「すぼ」とは「わらすぼ」のことで

「わらすぼ」とは「わらしべ(藁蘂)」のこと。

すなわち魚のすり身を板にのせるのではなく、

棒状にして藁(わら)をまとわせ、

くっつかなくして蒸したものだ。

ちなみに関東でお馴染みの板にのせた蒲鉾を

西日本では「板つき」もしくは

「板つけ」ということが多い。

後でアミガレイ(コケビラメ)の干ものを

買い忘れたことに気がつく。

長崎でもコケビラメのことを「アミガレイ」ということ、

アミガレイの干ものが珍しくないことがわかったのはいいが、

非常に残念。


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