魚貝類を探す旅: 2006年3月アーカイブ

 勝浦(千葉県勝浦市)名物朝市が楽しいのは(千葉県勝浦市)古い街並が残っているからだ。今回改めてそう思った。木造二階屋の酒店、乾物店、そして古い土塀に土蔵。街のそこここに子供の手あかのついた白壁の小道。そう言えば昔遊郭のあったところもまだ面影がのこっているそうな。また1960〜1970年代の商店街の面影も残っている。これなど40歳から50歳前後の人間には郷愁を感じさせるだろう。

 初めて勝浦に来たのは25年も前、それから折に触れ朝市を見ているが昔はまだ暗い内から市が始まっていたように記憶する。それが近年、市に品物が並びはじめるのが6時過ぎ。7時になってやっと市らしくなる。そしてこの勝浦の朝市は近隣農家が野菜、米、雑穀、豆、そして餅やおこわを持ち来て、ござに並べて売る素朴なもの。魚を売る店もあるが、これは本来の形ではないのではないか? 本来は漁師町である勝浦に近隣の農家が野菜を持ってきて、魚と物々交換する。そこから市が始まったはず。個人的にはとても地元でとれたとは思えないほっき(ウバガイ)や白みる(ナミガイ)を売っているこのようなところで魚貝類を買う気にはなれない。蛇足になるがこの魚屋さんたち仕入れ先は銚子ではないかと思う。

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餅や漬物など、お土産に最適だ。

 朝7時に勝浦に到着した。港周辺の道路には朝市に向かう観光客の車が並んでいる。そう言えば勝浦市は朝市に来る観光客をあまり大切にはしていないようだ。朝市近くに市役所があり、ここにまとまった駐車場がある。ここを朝市への観光客に開放しているようなのだが、午前7時にはまだ締まっているのだ。朝早く来たヤカラは違法駐車をしろとでも言うのか?
 勝浦漁協前の道路からどぶ川に架かる橋をお渡るとすでにかなりの人出。左右に並ぶ干物屋からはカタクチイワシを焼くいい匂いがただよっている。空は晴れ渡り、暖かく風もない。家族連れが多く、素晴らしい土曜日である。
 ゴザの上に並ぶのは菜の花、トマト、キュウリ、田ぜり(田に水を張る前にとるセリ)、ほうれん草。ほうれん草はF1であるようだ。また早々とキャベツ。道路を渡って、米、モチ米、そら豆(早い)、コウサイタイ、蕗、蕗のとう、わけぎ、立派な九条ねぎ(品種としての)。庭に生えていたのだろうかモクレンの枝も売られている。コウサイタイ(紅菜苔)、菜種(菜花。菜種の葉花を食べる品種)、べかな(山東菜の大きくならないタイプ)、スティックセニョール(花芽の茎が長く伸びるブロッコリーの品種)と各種菜の花を揃えたオバサンがいてセンスの良さを感じる。

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田芹。多少アクがあるので水晒しは必須。面倒なら天ぷらにする。

 朝市で一軒だけシジミを売るオバサンがいるのだけれど、今回ここでカラスガイが混ざっているのを発見。マシジミであることは間違いないと思っていたのだが、これで確信が持てた。いったいどこで取っているのだろう。
 塩わかめ、干物、鶯の笛、絵はがき。わらび餅を売る店では店主らしいオヤジさんがワラビ粉の話をしている。どうも「わらび餅はワラビ粉から作るのか?」という質問に答えているようだ。当然ワラビ粉を使っているはずはないのだけれど、このオヤジさん講釈好きなのか「いいわけ」が長引いてしまっている。
 ここで高照寺の塀にぶつかり朝市は右に折れて続く、シキミを売る人、そして境内からの線香の香り。餅や赤飯、芥子菜漬け、紫蘇の実のしょうゆづけ。焼鳥や焼きハマグリの屋台。工芸品、アクセサリーなども売っている。道は狭く、出口にたくさんのトマトを広げて、そこだけ赤く浮き上がって見える。
 ここで道路を渡り、1日〜15日まで朝市が開かれる本行寺前の通りに向かう。ここでも線香の香りが漂い、暖かな春の日差しに墓参りする人が桶に水を汲んでいる。境内の隣にぽっこりと小山がある。ここに稲荷神社があり、それに続く急な階段が見える。ほどなく目差す『いしい』に到着。ラーメンと鰺さんが焼き定食で朝ご飯。
 また朝市までとって帰り名物「きんつば」を30個(1個40円)。たっぷりの野菜、漬物、赤飯、煮つけなどを買い込む。
 朝市での買い物の秘訣はまず一通り品物を見て回る。そして少し時間を置き、そしてもう一度、今度は買い物をしながらとって返すというのがいい。けっして一巡目で買ってはいけない。

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我が太郎が夢にまで見る勝浦朝市の「きんつば」。和菓子でいうところの金つばではなく今川焼き。

 蛇足だが、朝市を歩いていたら、驚いたことに10匹以上のダックスフントを連れた3人連れに出くわす。目立ちたいのだろうが下品。また勝浦の朝市は房総の片田舎の風情を残し、それが最大の魅力だろう。でもここでしばしば見かけるのがこれまた昔ながらの田舎の風情を残したオヤジオバチャン観光客。これが浴衣姿で歩いているのだけれど、違和感を感じるほどにだらしないのだ。観光地に行って旅館に泊まる。夕食を食べてのひととき、浴衣がけで散歩するのもカラオケをするのもいいだろうけど、翌朝、朝市や地方の市場にこんな格好で来るのはどうにも好きになれない。

 9時過ぎまで朝市。そして千葉県立中央博物館 海の博物館に向かう。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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