お魚三昧日記: 2007年4月アーカイブ

 先週はたいへんだった。毎日徹夜に近い状況が続き、雑用も半端じゃなく多かった。それで昨日今日と完全にダウン。
 それでも家族を持つ身、ゴールデンウイークにはどこかに行かなくては。それで明日は戸田に行くことに。家族は防波堤釣りが大好き。でも釣りの仕掛けはまったく作れない。それで釣りの間はまるで小間使いのように働き、ボクはぜんぜん釣りができない。
 ただしせっかく来たのだから、イセエビ漁や戸田の港歩きもしてみたい。また「壱の湯」にもつかってくるつもりだ。
ボクを見かけたら声をおかけ下さい。


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 駿河湾での海の幸にいろどりを添えているのが底引き網の魚貝類だろう。伊豆半島の磯、また南西に向かって黒潮を受ける形なので温熱帯の魚が揚がるとはいうものの「駿河湾ならでは」とまではいかない。
 その底引き網漁に乗船してきた。ところは駿河湾でのトロール最大の基地(といっても寂しい観光地ではあるが)である戸田村。
 戸田は伊豆の中心、大仁、修善寺からも、そして沼津からも山道海沿いの道を一時間ほどもクルマを走らせないと行き着けない。そこは夏こそ海水浴客で賑わうが、他の季節はめぼしいものといったら細々と湧く温泉と、駿河湾の深海魚だけなのである。だから町中、「駿河湾の深海魚」、そして中でも主役であるタカアシガニのカンバンが散見する。

 戸田港の午前4時。これは底引き網では遅い出船である。乗組員の方達との挨拶もそこそこに慌ただしく乗り組む。戸田の岬を離れて船室に入ると迎えてくれたのが佐藤正次さんと、佐藤吉信さん。ついでに船長の名が佐藤滋記さんであって、皆兄弟なのかというと、あらず、戸田は佐藤さんだらけなのだという。
 船室の佐藤さんたちはまことに親切である。宇久須までの1時間足らずをカツオ漁のこと、底引き網漁のことなどを聞きながら、まったく退屈することなく過ごせた。

 宇久須沖に着いたときには夜が明けていた。佐藤正次さんが「伊豆では日の出が見らねーだら。その分、夕焼けがきれいだらが」といったのが目の前にある。まだ太陽は伊豆半島の向こう側にあるのだ。田子沖の奇岩が面白い。富士山は霞に隠れていて、風はほとんど吹いていない。

 底引き網の船の特徴は左右にある大きなドラム。ここに全長1800メートルの鉛入りのロープが2巻き。艫で第一回目の網入れが始める。まずはブイを投げ込む。船を開店させながら左舷の全長1800メートルのロープを伸ばしていき、こんどは網を投げ入れる。そして右舷のロープを伸ばしていき、ブイの地点に戻る。ブイを引き上げると、ちょうど輪になってその対角線上の端と端に船と網がある。その網をゆっくり子供が歩くくらいの速度で引いていくのだ。網の口にはマンガン(海底をかくもの)があるわけでなく、鉛つきのロープの重りでなぞるように引く。
 投網から引き上げまでは1時間ほど、巻き上げには20分から30分かかるので、一網1時間30分ほどである。網が上がって来てからが船の上はまるで戦場のようになる。引き上げた網を外して、もう一組の網をロープに結びつける。またブイを投げ、網を入れている間に魚貝類の選別を行うのだ。

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巻き上げにはだいたい20分ほどかかる

 その選別が大変である。それこそ海に生きる生物のほとんど総てが船の上にある。魚類、甲殻類、軟体類に棘皮動物、その上スーパーのレジ袋から材木まで入っている。ここからアカザエビ、ボタンエビ、ツノナガチヒロエビ、ジンケンエビ、タカアシガニ、ユメカサゴ、チゴダラ、タチモドキ、イズカサゴなどを選別していく。つるっと滑りそうになって目を落とすと無数のヌタウナギがはっていたりする。

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「ダメだないちばん金になるのは手長(アカザエビ)だけんど、ほとんどいねーな。まあカサゴが多いだけ増しか」
 二人とも黙々と大小、種類事に選別していく。そして選別が終わると大急ぎで船倉の氷の入った大きなバケツに仕舞い込む。

 第2回目の網を投げ入れると佐藤吉信さんが船室に消える。ほどなくいい匂いが漂って来たなと思ったら朝ご飯の出来上がりだった。おかずはとれたばかりのエビとユメカサゴ(かさご)のみそ汁、漬物、ゆで卵である。これが言うに言われぬほどの美味。

 第4回までの網入れで本日はどうやら不漁らしいと船長さんからため息がもれる。だいたい今期は不漁続き、その上、「今日は潮が速くなってきてる」のだという。
 やっぱり多いのはかさご(ユメカサゴ)である。またタチモドキが多いのは意外だ。これは味はいいのであるが、表面の銀色がはげやすく、手に着くと白い絵の具のようにどろどろしている。また底引きの主役とも言えるアカザエビが形も数も揃っていない。その上、やっと揚がったタカアシガニが脱皮からの回復前ということで、船長の佐藤滋記さんの顔は冴えない。

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 午後、1時になってまた佐藤吉信さんが船室に消える。当然昼ご飯を作っているのだ。船室を覗くと、艫をにらみながら、鍋から甘辛い匂いを漂わせている。

 この吉信さんの動きが早い。料理途中に船がやや速度を上げる。するとエイヤ! っと飛び出して、艫にロープ用のベアリングを突き立てる。そして巻き上げ、獲物が甲板に落とされると、すぐに網を代えてブイを投げる。また選別に戻り、そして網入れ、またまた選別。ブイを揚げて、引くための太いロープを結わえると、また選別に戻る。

 選別が終わると、船室に消えて、ほどなく「昼飯できたぞ」と呼ばれる。
 昼はツノナガチヒロエビ(赤えび)とユメカサゴ(かさご)の煮つけ。ツノナガチヒロエビの煮つけってこんなにうまいのか、と感動する。

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いちばんお金になるのがアカザエビとボタンエビ

 結局6回の網入れの獲物は少なく不漁であった。最後の網上げでの選別は戸田を帰りながら行う。右手に見える伊豆の断崖が深い緑と、若葉の明るい緑が入り交じって美しい。

 戸田港には3時過ぎに帰り着く。船上での慌ただしさがウソのように岸壁は静かで閑散としている。

 さて、本日底引き網で揚がったのは
魚類/マアナゴ、ユメカサゴ多数、イズカサゴ、ニギス、アオメエソ、ヨロイイタチウオ、ギス、タチモドキ、チゴダラ
エビ類/ツノナガチヒロエビ、アカザエビ、サガミアカザエビ、ボタンエビ、ヒゲナガエビ、ジンケンエビ、アカモンミノエビ、ミノエビ
カニ類/タカアシガニ
頭足類/チヒロダコ
巻き貝/スルガバイ、ヒメエゾボラモドキ
 また売り物にならないのは
等足類/オオグソクムシ
その他甲殻類/ヤマトトックリウミグモ
エビ類/オキナエビ、ソコエビジャコ、センジュエビ2種、ヒメクダヒゲエビ?、ナミクダヒゲエビ(量が少ないため)、ベニガラエビ(量が少ないため)、シラエビ、シラエビの仲間
異尾類/ソーヨーアナエビ、オオコシオリエビ(量が少ないため)、チュウコシオリエビ、アカモンオキヤドカリ、オキヤドカリ
カニ類/トゲナシビワガニ、ヒラアシクモガニ、オーストンガニ、コツノキンセンモドキ、アシナガマメヘイケ
無顎類/クロヌタウナギ、ヌタウナギ
魚類/ヤマトシビレエイ、ニホンヤモリザメ、ホシザメ、アオミシマ、キホウボウ、ヒゲキホウボウ、ベニテグリ(量が少ないため)、ミドリフサアンコウ、ハナソコダラ、シオイタチウオ、シマイタチウオ、ヤセムツ、サガミソコダラ、ソロイヒゲ、スジダラ、サンゴイワシ、ミナミアナゴ、ギンアナゴ
巻き貝/ヒラセギンエビス、ギンエビス、フクレギンエビス、ニクイロヒタチオビ
二枚貝/オオキララガイ、オオシラスナガイ
頭足類/ヤワラボウズイカ、オオメダコ、メンダコ
後棘皮動物など/ウチダニチリンヒトデ、テズルモズルなど多数

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滋愛荘 静岡県沼津市戸田270-3 電話0558-94-2643


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 静岡県沼津市戸田は思ったよりも遠かった。前日は帰宅が8時過ぎ。メールを見ていると都築さんからの「そろそろ行く時間ですよ」というメッセージ。これを見たのが11時前のこと。そして旅立ちは11時過ぎ。
 東名裾野を下りて三島に向かうはずが沼津に出てしまってから少々迷った。コンビニでお握りを買い、修善寺から戸田に向かって峠を越える。
 戸田港には午前2時過ぎに到着。港は漁船らしいエンジン音で騒がしい。それから3時半まで仮眠。

 港の前には慈愛丸が停泊している。そこに人影が見えて、ほどなく慈愛丸の船長さんもくる。そこから慌ただしく出港。船室に入りなさいと言われて、その人が佐藤さん、そしてもう一人の乗組員も佐藤さんであり、慈愛丸さんも佐藤性。
 宇九須沖から底引きの網を入れる。計6回いれるが不漁。様々な魚貝類を採取。またうまい朝ご飯、昼ご飯をご馳走になる。遠くに見えるのは裾野を霞ませた富士山。

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 戸田港には午後3時半に帰りつく。港でいろいろ話を聞いて、山をまた東に超える。「途中左に曲がるんだよ」と言われた場所がわからない。そしてわけのわからないトンネルが有料。これだから伊豆はいやだ。

 沼津には午後6時過ぎに到着。クルマに積んだ自転車の空気がなく、菊貞・山丁、菊地利雄さんのところで空気入れを借りて本町を目差す。この朝日湯に一日の汗と潮を落とす。この朝日湯がいい。
 それから夕食と晩酌をとる居酒屋を探すが、いいところがないんだな。途中警官に呼び止められ不審尋問を受けそうになる。
 それから沼津の街を彷徨う。助け船を出してくれたのが飯塚栄一さん。駅前の『銀座ライオン』で夕食をご馳走になる。酔っぱらってクルマに戻り、5時間ほど仮眠。ほろ酔い加減でよく眠れる。

 午前3時過ぎに競り場を目差す。沼津魚市場冷凍魚のところで山田さんに挨拶。そして底引きの競り場に。慈愛丸は不漁だったか、好漁の船もある。底引き、田子の浦の釣りもの、川津の釣りなど今回の魚市場は多彩。久しぶりに『頭屋分店』さんに挨拶。
 菊地さん、佐政水産の青木さんにも挨拶。また何人もの仲買が声をかけてくれる。午前6時に飯塚栄一さんが到着して昨日の底引き網のゴミ(捨てるべき生物)を選別。
 午前8時前に『たか嶋』にて朝ご飯。これはまたまた飯塚さんにご馳走していただく。「ありがとうございました」。競り場にもどるとシラス漁の船が帰り着くところ。また赤沢などの定置もくる。
 沼津には9時過ぎまで。そのまま沼津から東名にのる。

 帰宅は正午過ぎ。午後4時近くまで仮眠。持ち帰った生物を6時過ぎまで撮影。それから整理。
 夕ご飯は7時半から、『やいづ屋』のアジ蒲鉾うまい。また小海老の唐揚げ、ユメタチモドキの煮つけなどを肴として軽くいっぱい。

 11時過ぎにはダウン。

 翌日は6時過ぎに目覚める。大急ぎで一昨日からの画像のバックアップ。終了は8時半。
 そして八王子魚市場には8時半過ぎに到着。八王子綜合卸売センター、八王子総合卸売協同組合と回っていろいろ立ち話。帰宅は10時過ぎ。
 午前から午後にかけて雑誌『健康』の原稿を書く。なかなかうまくいかない。
 お茶漬けでお昼。
 午後から撮影。途中『市場寿司 たか』へ。
 もどってからも撮影。終了は7時過ぎ。慌ただしく夕食を作る。


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