食べる貝・イカタコ学: 2007年8月アーカイブ

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 最近では真夏でも殻付きマガキが食べられる。珍しくない。でもこれがうまいものなのか、どうか疑問なのだ。例えば今回の宮城県石巻市のものなど痩せていて、味もイマイチよくない。
 でもこれがなかなか人気がある。この痩せたカキのどこがいいのだろう。

 マガキの産卵期は初夏から盛夏にわたり、産卵後は身が痩せている。当然旨味も減少しているはずであり、この時期に敢えて食べる必要があるのか疑問に思える。
 そこで気になるのが三倍体のマガキ。広島では既に「カキ小町」という商品名で売り出されている。これは成熟しないの産卵期の身痩せがない。

 そして今回の石巻産だが、この身痩せの状況をみると、どうやら三倍体ではなさそうである。やっぱり夏にはイワガキか三倍体に限るのだろうか。これも今夏の課題なのである。

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香りづけに海老さんからいただいた香り高い柚の皮を振る

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焦がさないとうまくない

 今年のお盆前、魚貝類が少なかった。そして市場は三連休。そんなときに作るべきなのが「煮いか」である。
 作り方は簡単至極。スルメイカの内臓とげそを取り去り、酒、砂糖、醤油、水を煮立てたところで胴を回転させながら煮る。煮る時間はたぶん3,4分くらいだろうか? これを岡あげにして置き、煮汁を少し煮詰めて、さましたところに戻す。これを冷蔵庫に保存しておくと1週間くらいは持つ。
 最初の2,3日までは「煮いか」として食べる。これが飽きたら焼いて食べるのが我が家の風である。子供達は断然焼いたのが好き。これを出すとあっという間になくなる。
「父ちゃんのおつまみだぞ」
 こんなことを言っても聞く耳持たずである。

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 八王子魚市場にダンベイキサゴが入荷してきていた。キロ当たり500円というのは安い。ボクが生きのいいのを選んでいたら、「これなんて言う貝なの」と聞く魚屋がいて、「キサゴですね。ダンベイキサゴ」なんて答えていたら、
「これキサゴっていうのかい?」
 八王子上壱分方町の寿司屋、富さんが疑り深い目でボクの方をにらむ。その目の細いこと。まるで爪楊枝が2本顔についているみたいだ。
「オレは使ったことがないなー」

 目の前にあるのはダンベイキサゴで、市場では「ながらみ」と呼ばれている。「ながらみ」には2種類があり、ダンベイキサゴとキサゴ。キサゴが穏やかな湾内にいるのに対してダンベイキサゴは外洋に面した波の荒い砂地にいる。ダンベイキサゴの産地は茨城県鹿島灘、千葉県九十九里浜などだ。関東では「ながらみ」はダンベイキサゴの方が圧倒的に入荷量が多い。

 この「ながらみ」の食べ方を知らないという人が多いのに驚く。煮る、茹でるなど勝手なことを知ったかぶりに言うが、料理法はもっともっと簡単で短時間に出来上がる。
1/大振りの丼を用意する。そこに砂抜きをして、洗った「ながらみ」と塩を入れる。
2/そこに熱湯をたっぷり注ぎ入れる。
3/蓋をして3分以上待つ。今回は片口を使ったのでラップをして蓋をした。これで茹で加減は申し分がない。出来上がりだ。

 食べるときには、熱湯はヒタヒタくらいにして余分は捨てる。身を巻き巻きしながら取り出す。身やワタにはまだ砂が残っている可能性があるので湯のなかで洗いながら食べる。これが最上の食べ方だと思っている。

 ちなみにこれは静岡県島田市の飲食店で教わったやり方。
「島田じゃ『ながらみ』はおやつのようなものだったからね、夕食にも出てきたし、丼に入った『ながらみ』は家庭の味ですね」
 通っていた料理屋「かに柳」の女将さんが教えてくれる。そう言えば島田にも長い間行ってないないな。

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エゾバイを煮る

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 エゾバイ(磯つぶ)を久しぶりに煮る。煮てうまい巻き貝の多くがエゾバイ科であり、エゾバイ属である。ここには「灯台つぶ」と言われるヒモマキバイ、オオカラフトバイ、シライトマキバイ。「磯つぶ」のエゾバイ。「白ばい」と呼ばれることの多いエチュウバイ、ツバイなどがある。そのなかにあって美味である上に入荷量も多いということでエゾバイは煮るつぶの代表的なものとなっている。

 煮方はいろいろある。なかでも最近お気に入りなのが「源七風」だ。繰り返しになるが「源七」は千葉県船橋の貝問屋であり、そして八王子に店を持つ。だから八王子に居ながらにして船橋の貝を中心とした食文化を知ることができるのだ。
 エゾバイの産地は北海道噴火湾から樽前、厚岸、釧路などである。「源七」ではこれを甘辛くたきあげる。たぶん船橋で「にし(アカニシ)」を煮るときと同じ味つけなのだろう。
 作り方は酒、砂糖、醤油をある程度まで煮詰め、甘辛くややとろみがついたところにエゾバイを放り込んで数分で一気に煮上げるというもの。文字にするとまことに簡単至極だ。でもどれくらいの時間で火を止めるのかなど、やってみると難易度の高さがわかるはずである。
 短時間で煮るせいか身が硬くならず、エゾバイ自体が持つ甘さに地の甘辛さが加わって身を取り出すのに楊枝を使いながら、もどかしく感じるほどである。

 台風シーズンで市場に魚貝類がほとんどなくてもエゾバイだけはある、ということが多々ある。そんなときでも「磯つぶ」はあまり値段が高騰しない。とすると、荒天のときにはエゾバイを食え、というのも賢い選択だ。

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新いか1匹1400円也

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 鹿児島県は不知火海・出水は新いかの代表的な産地である。7月、8月初旬、新いかのほとんどは九州産、そして不知火海ものがいちばん多い。
 新いかの最小のものは1匹で1かん、すなわち丸漬けのできるもの。実を言うとこのサイズだと味はもうひとつよくない。旨味に欠けるし、弾力というか身も柔らかすぎる。そこへいくと1匹で2枚のネタがとれる、半身一かんというのが理想的だ。
 そんな理想的な新いかが8月1日の八王子魚市場特種にあった。
「これいくら」
 特種の担当者に聞くと、人差し指を立てて、次に親指を折って4本。
 まさか1400円ではないし、
「ひょっとして1万4000円でしょうか」
 うんうんとうなずいているよ、このヤロウ。おいおいこれを誰が買うの?
「いやー、もう半分以上はけました」
 うれしそうに言い放つ。
 気になって計りにのせると105グラム。とすると税抜き1470円である。片身1かんとして700円以上もする。
 どうやら我が家の「新いか初もの食い」は9月になりそうである。

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 八王子綜合卸売センター『高野水産』に時季はずれながら小振りの平貝が、たっぷり入荷してきていた。タイラギには貝殻の表面にトゲのあるものと、ないものとがあり、これが別種とされたのは近年になってからのこと。食べる限り両種にまったく差違はない。
 でもこれほどリシケタイラギばかりそろって入荷することはめったにないのではないか? しかも日本近海産貝類図鑑に瀬戸内海、有明海と書かれているにも関わらず三河産であるのも不思議だ。
 それで撮影用に何枚か買い求めてきてついでに味わってもみることにする。残念ながら真夏のリシケタイラギは身が痩せている。しかも旨味も甘味も今イチだとしかいいようがない。

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 リシケタイラギもタイラギも食べるのは少し時期を待てと言うことか?

リシケタイラギ
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タイラギ
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