2008年6月26日アーカイブ

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 ギンダラは関東に出てきて初めて食べた魚だ。
「たら」なんだから鍋にするか、というので切り身を買ったのだが、「安かったから買った」記憶がある。
 これがかれこれ30年以上も前になる。そのギンダラが冷凍にもかかわらず高級品になってしまったと思ったのはここ20年ほどだろう(2008年現在)。
 現在でも市場ではなくてはならない魚のひとつで、棒杭のようなのがカチンカチンに凍り付いて横たわっている。これがキロ当たり2000円前後だろう。冷凍魚としてはもっとも値の張る魚になってしまっている。

 北洋でのサケマス、タラ、メヌケ類に混ざってとれても最初は真っ黒な見た目の悪さから、目立たない魚であったもの。(北洋漁業の初期というと1950年代半ば)
 それが徐々に漁獲量が増えて、食卓では見慣れたものとなったいたのだ。
 だからギンダラといえば北洋(アラスカ、カナダ、ベーリング海)のもの、まさか国内にはいないだろうと思われていそうだ。でも少ないながら、三陸、北海道では揚がる。
 漁場がそれほど遠くないので生のまま水揚げされるわけで、これが珍しいためもあって、凄い高値がつくのだ。
 2008年6月12日、巨大な石巻魚市場に、たった一匹揚がったギンダラは3キロ上。
「1万以下では手に入らないぞ」
 とは言っても、今手に入れないと、次回は何時になるかわからない。
 尾形清雄さん(『天佑丸冷凍冷蔵株式会社』社長)にお願いして、地元の仲卸である『カネキ』さんを紹介してもらい、なんとかこのギンダラを押さえることができた。
 やはり値段は1万円に非常に近い。出費は痛いがうれしいのが倍するものだ。

 持ち帰って、刺身、煮つけ、塩焼きにしてみた。
 渡辺隆之さん(『市場寿司 たか』)にカマをあげたのだけど、「うまかったよー。やっぱり生は違うね」というのを聞いてから、我が家でも塩焼きに。
 刺身は大トロの白身、煮つけは思ったよりも絹のような繊維質の白身で濃厚な旨味があってよかった。
 そして塩焼きだけど、焼きたてのうまさは無類のものであった。
 白身からしたたり落ちてくるのは透明な脂なのだ。
 大量の大根おろしをのせて食べると、ずば抜けてうまい。
 脂にコクがあって、その割に嫌みではない。そこに独特の旨味。
 ギンダラの塩焼きの欠点は「冷めるとうまくない」ということだけだ。
 脂が強いのでたくさん食べられないのも難点だろうか?

 清水の舞台から飛び降りるつもりで買ったギンダラ。飛び降りた甲斐があったと思う。
 でも次回、また買えるのは何時の日だろう。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ギンダラへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/sonota/gindara.html


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http://www.zukan-bouz.com/

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