47都道府県すし屋図鑑の最近のブログ記事

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 中村区は膨大な人が行き交う名駅東口とは真逆で、ひっそりと人の少ない西口にある。この周辺は昔は「西口市場」があったところであるよう。砂糖だけの専門店、食材店、八百屋、衣類を扱う個人経営の店が多い。公設市場もあったようだが、今やスーパー形式になってしまっている。

 そこにぽつんとあるのが『喫茶・軽食 プリンス』。70代はじめの女将さんひとりだが、昔はご主人と夫婦でやっておられたようだ。

 席に座ると、ここが名駅から数分のところだとはとても思えない、のどかさなのがいい感じ。

 店名は「お客様はみなプリンスですよ」という意味だという。


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「小倉トースト」愛知県全域の喫茶店で出されているのだと思う。

 愛知県は喫茶店がすさまじく多い。ほんの100m前後に3店舗などということもあるくらいなので、都内の探さなくては見つからない状態からすると格段の差がある。

 その膨大な数の喫茶店が切磋琢磨しているためか軽食メニューも実に豊富である。その店独自のものも多いようだ。そんななか共通するメニューのひとつが「小倉トースト」。焼きたてのパンとあんこのみの相性は微妙であるが、バターが塗ってあることでひとつの料理として格段にまとまっている。

 あんこ好きでもあるので都内の喫茶店にもあるといいな、と思う反面、愛知だけの物であって欲しいとも思う。


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愛知県編 黄飯

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 愛知県名古屋市で端午の節句に食べるものに「黄飯」というのがある。ようするに梔子(クチナシ)で染めた強飯(おこわ)で、黒豆が散らしてある。一説には梔子には魔除けの霊力がありとのことで端午の節句に作られるようになったとも。同じように黄色く染めない「白飯」というものもある。

 ほどよい塩加減で、薄く黄に染めた梔子(クチナシ)の匂いや味は感じられないものの、白よりもより味わい深い気がする。


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 津乃国屋は名古屋市の懐かしいたたずまいの商店街の入り口にある。ご主人の笑顔がなんとも失礼ながら可愛らしいのもいい。

 同店の名物はウイットに富んだ名古屋弁の接尾語「なも」を二つ重ねた「なもなも最中」。

 ふらりと旅に出て、端午の節句にだけ売り出される「黄飯」に出合えたのは実に幸運。いい旅であった。


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 八王子の市場に通い始めて長い。市場で知り合ったすし職人は数知れずだが、なかでももっとも気の置けないつきあいをしているのが、『鮨忠 第三支店』さんだ。親子二代の職人がつけ場にいて、女将さんが店の切り盛りをしている。今や貴重な家庭的な雰囲気の味わえる店である。


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 秋川街道の荻原橋の手前、八王子駅からも西八王子駅からも遠く、市役所が近くにあるものの、どちらかというと住宅地という場所にある。八王子に『鮨忠』は少なくないので町名から「元本郷さん」と呼ばれている。


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 連れと夕暮れ時に行くと辺りは薄暗く、その一角に唯一の明かりがともっている。そこは、のれんの下がった昔ながらの平屋の店。入ると右手に漬け場、そしてカウンター、左手にテーブルがある。カウンターは4〜5席ほど、テーブルは3つで10人も入ると満杯という小体な店である。

  カウンターは地元衆で満杯だった。奥のテーブルに着く。オヤジさんはバイクでお散歩中。若旦那と女将さんが、「よく来た、よく来た」と迎えてくれる。


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 まずはおつまみ。若が「明日は休みだからさ」と断りをいいながら出してくれた刺身がなかなか新鮮でうまい。赤ゆずこしょうがきいたホヤがいい。バチの赤身に味がある。隅っこにあるのが薄焼き玉子。八王子にある「鮨忠」グループの特徴は卵焼きが薄焼きだということ。


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 若といつもながらのバカ話に花が咲く。女将さんがカウンターとのしきりに手を置き、「後ろ」と言うので振り返るとひまわりの情熱的な絵がかかっている。どうやら女将さんの自信作のようである。

 家庭的な雰囲気で、サービスに過不足はない。連れといろいろ話して、長居しても、なにも干渉されないのがこれまたいい。


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 空腹だったので「揚げもの」をお願いするとレンコンにイカリング、マアジ、エビのフライが出てきた。独特の衣で、なかなかいけますねー。


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 〆の握りは大きさがほどよく、ネタのバランスがいい。なかでも赤貝と赤身は見事な味。見た目も味も高得点の味である。休み前でなければ「新子」や「煮いか」などもあったはず。元本郷『鮨忠』さんの味を堪能できたとまでは言えそうにないが、実に満足である。

 近場にあれば毎日でも来たくなる店なのだが、ボクの家からは実に遠い。これこそが唯一残念な点である。

鮨忠 第三支店 八王子市元本郷町


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 日本全国の市場をめぐり、日本全国の市場飯を食べている。ただし、うまい市場飯にはたびたび出合っているが、魅力的な市場のすし屋はほとんどない。非常に少ないのである。

 仙台中央市場に着くと、すぐに警備員さんに教えられて、市場の棟につながる細長い歩道橋に上る。歩道橋を渡り、最初に行き着いたのが関連棟の2階で、ここが食堂街。食堂、喫茶店などがニョキニョキと、今時の建売住宅のように無機質な色で並んでいる。よくもこれほど無機質な空間が作れるものだと、設計をした人のすさまじい無能ぶりというか、不気味さにおののく。そしてまた歩道橋を渡ると水産棟に行き着く。

 場内を隅々まで散々見て歩いた。朝っぱらからの市場歩きは疲れるし、腹が減る。うまい市場飯を食べようと、仙台の市場人に教わったのが『誠鮓 市場のすしや』だ。市場人にすし屋を教わることは珍しい。

 

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 無機質な関連棟の食堂街にもどると、ニョキニョキを2つ分くっつけたという感じで『誠鮓 市場のすしや』と『みちのく汐里』の一枚看板が見つかった。どうやらこの2店舗は同じ店らしい。

 

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 店に入ると、まん丸い顔の巨漢の職人さんが笑顔で迎えてくれる。この職人さんのプニプニュした笑顔がいいのである。無機質な砂漠にやっとオアシスを見つけたようでほっとする。外観からすると期待は出来そうにない。いろいろ悩んでいると、今日はいいイワシがあるというのでイワシ丼にする。連れは市場丼。

 

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 このイワシ丼がいい意味での期待外れ、超美味であった。すし飯はややソフトで甘くもなく酸っぱくもなく、なかなかの出来だし、その上にのせられた宮城県産のマイワシが、とろとろと口溶けしながら甘い。蛇足だが、ネタの上にも刻み海苔なのは宮城県だからだろうか。

 連れの市場丼にも創意工夫を感じて、思わず、なにか追加したくなる。念押しのつもりの玉(卵焼き)をもらうと、青じそ入りで甘さ控えめ、いい味である。

 

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 玉につられて、先ほどの美味の余韻をもう一度とマイワシの握りをお願いする。やはり言うこと無しの味だ。

 このときはまだ7時前後で、すしダネが揃っているはずもないのに、こんなにうまいのは実力の表れだろう。

 

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 最後に名物の穴子。出てきたのはふんわりと厚みのある煮穴子で口の中に入れたら、溶けた。これはもう一かんといきたいね。


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 丼2、煮穴子、鰯の握り、卵焼きで計2700円くらいだったはず。安さ、お手軽度を加味するに、この店、「市場ずし」の名店とみた。

 

市場のすしや 仙台市若葉区卸町 仙台中央市場内


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 一年でもっともマアナゴの少ない時期だ。このようなとき悪戦苦闘するのが『市場寿司 たか』である。
 格安で江戸前寿司を提供しているので、ちょっと材料が値上がりすると手が出なくなる。
「おまかせに(おまかせ握り)に穴子がなけりゃ困るよな」
 なんてぼやく日々が続いている。そこで登場してくるのが「煮いか」である。
 不思議なことに今年は「ばらいか」が少ない。これはスルメイカの若いもので、市場に入荷してくるときに、並べないでどさっとランダムに放り込まれてくるものだ。「煮いか」にはこの小振りのスルメイカがいちばん向いている。
 仕方ないので、産卵期の大振りのスルメイカを「煮いか」に。今年は「ばらいか」がないせいか下氷のスルメイカも高い。
 そんなこんなで仕込んだ「煮いか」が煮穴子ほどには人気がない。これほどうまいネタもないだろうと思うのに、なぜなんだろう。答えは知名度がないためだ。「煮いか」は古くから基本的な寿司ネタのひとつだが、市販品もなく、最近では手間がかかる(本当はかからない)といって作る寿司屋が減ってきている。
 だから、だれも知らない寿司ネタになってしまったのだ。
「オレの手間はただみたいなもんだからさ」
 売れない「煮いか」を握りながら、たかさんがぼやく。

 ぼやきながら握られた、「煮いか」のうまいこと。たかさんが作るのは“煮る”のではなく、軽く煮汁に通す程度である。当然スルメイカは柔らかく、甘味などはツメでおぎなっている。このスルメの味わいがいいのである。ふわっと来るのはなんだろうね。スルメイカが持つグリシンなどの旨味だろうか、そして甘味、香りのようなものも感じるが心地よいものだ。

 ふと、マアナゴは当分とれなくてもいい、と思うのであった。

市場寿司 たか
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八王子の市場のことは
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカ
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 温暖化のためだろうか、さごち(サワラの若魚)が市場に溢れている。しかも鮮度的にもすぐれたものが少なくない。こんなにまとまって入荷してしまうと、さごちに飽きてしまったという料理人も多く、値段は安めで安定しているようだ。
 これを寿司ネタとして使う場合、酢締めにする、あぶる、という二通りの方法がありそうに思う。それでまずは実験。「あぶる」というのを試してみる。

 寿司職人、渡辺隆之さんに「あぶる」から始めようではないか? というと首をひねって、「やめようよ」という。
「『さごちのあぶり』は生のまま握って上からバーナーで焼くんだろ。ガスであぶったら皮がとれるだろ」
 我が家でなんどもやっていると言って、実際に寿司ネタを作ってもらう。

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 思ったよりも簡単に出来る。ネタの切り付けも難しいというほどではない。

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 しかも、である、これが非常にうまいのだ。皮目の香ばしさがあって、身は熱を通したためにとろっとしている。
「色がよければねー」
 たかさんの意見では血合い肉が「うまそうに思えない」のだという。

 まあ、いいではないか、これなら誰が食べてもうまいと思うに違いない。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サワラへ
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「やっぱり小泉内閣の政策は失敗だったのかな?」と思うのはその辺の街角とか、八王子総合卸売センター、八王子綜合卸売協同組合、八王子魚市場などの地方市場を見ると切々と感じることだ。この内閣の目差すところは行政の無駄を省き、それを庶民に還元するものだと思っていたのだ。それなのにどうだろう? 現在でも独立行政法人は膨大な数残るし、相変わらず役人は不正や不道徳なことをやらかしている。しかも一般人よりも過大な福祉、年金に守られている。当然代議士なんて存在自体悪そのものに思える。

 この政治にいちばん苦しめられている人たちの中に市場人もいる。地方公務員の不正な休暇が取りざたされている。むしろそれをやらない方が少数派だという。そこへいくと市場人の仕事始めは午前2時、3時なのである。そして午後2時になっても仕事は終わらない。公務員なんてヤカラにはきっと耐えられないのだろうけど、市場の運営自体が危機を迎えているときに市場人は耐えるしかない。

 この現状を『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんと、よく語り合う今日この頃である。

「しかしこの市場の面白さ、一般の方にわからないのかね。肉だって魚だって、食材だって、スーパーよりも数段上だろ。だいたい市場というのは下町人情溢れる場所だろうしね。育児ノイローゼの主婦なんかここにくると一発でなおっちゃうよ」(なんで育児ノイローゼが出てくるのかわからん)
「そうそう、こんなに人に優しい場所はないよね。コトヤさんそうだよね」

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コトヤさんちは市場から数十秒

 午前1時から働いているのでコトヤさん、『市場寿司 たか』の脇で一人酒盛りの最中。これがいちばんお金のかからないというのもあるが、たかさんのそばで飲みたいというのも大きな理由であるようだ。このところ午後2時近くなると『市場寿司 たか』は市場人が集まってくる。

 そこに顔を出したのが総市商事部(醤油や味噌、飲料水、ジュースなどを扱う)のカクジロウ君。
 そしてビックリするものが、登場する。
「なんだこれ! たかさーん、こんな丼あったっけ」
「あるよ。うまいもん全部のっけ、次いでに寿司飯は三人前。カクジロウスペシャルかな」
「まさか600円じゃないよね」
「600円だよ。コイツは年間契約で600円に決まったの」
「たかさん、ボクも契約したいんだけど」
「だめー」

 しかし悔しいな。ボクがどんなにお願いしても、このスペシャルはダメなのだ。だいたい普通に考えるとこれって2000円以上しないだろうか? カクジロウのバカ野郎。ボクよりうまそうなもん食うなんて100年早いよ。

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 さみしく八王子総合卸売センターの通路を通り、『カワベ』、『大商ミート』、『藤原商店』の前までくると、午後二時なのにまだ働いている。コマちゃんなんて忙しそうに肉を切っている。本当に市場での仕事は大変である。でもこの大変さを補ってあまりあるのが市場独特の人情味である。本当に市場人は優しいのだ。みんな市場においでよ! きっとささくれだった気持ちも一瞬で癒されます。これはぼうずコンニャクが保証しまーす。

市場寿司 たか
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八王子の市場に関しては
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 土曜日の朝飯は『市場寿司 たか』で“豪海ぶつぶつ丼”と決めている。これはその日のネタから背の青い魚を中心にとにかく小さく刻んで、すし飯にのせるというもの。毎回ネタが違うのは当然だけど、うまいのやら、もの足りないのやら、いろいろ。いろいろだから飽きが来ないわけで、わがままなヤツラばかりの市場人にはつとに人気が高い。

 そして、そして先の土曜日の“ぶうぶつ丼”が素晴らしいものだった。
 その日のネタから旬のサンマに東北は福島からきた「目光(マルアオメエソ)」。どっちも「握りにしても最高だ!」というもので赤の他人ながら仲良く丼に入って頂く。そこに来るのがタクワンではなくて野沢菜というのがちょいと気にくわない。「どうしてタクワンじゃないの」と文句を言うと、
「だって野沢菜好きなんだよ。野沢菜巻ってのもうまいんだぞ」
 たかさん、子供っぽい言い方は止めようね。孫がいるのに年甲斐もない。

 その内、「しかたないねー」なんて長屋のご隠居みたいなことを言いながら、とにかくサンマと目光(マルアオメエソ)、野沢菜を刻んで「豪海他人丼“サンマ、目光、野沢菜”」の出来上がりだ。

 意外なことにサンマと目光(マルアオメエソ)の脂からくる甘味が野沢菜に合う。サンマと目光の味わいは、方や〈回遊魚の持つ酸味を帯びたもの〉と、〈深海魚のコクがあるものの単一な味わい〉という違いがあるものの「脂を伴った甘さ」という点では共通する。そこに曲をもたらすのが青臭い辛みを伴った野沢菜の存在である。サンマ、野沢菜、目光、野沢菜と食って、とても激しくうまいのはどうしてだろうね。困った困った箸が止まらないと思う間もなく丼は底が見えてくる。コレじゃもの足りないなー、今日は“サンマ、サーモン、こはだ、野沢菜”でもう一杯いきたいなーと店の外を見ると席の空くのを待つ人がいる。
“豪海ぶつぶつ丼”の唯一の欠点は店がたて込んでくるとお願いできないことだ。わがままな市場人の中には「それでも、どうしても、お願い、たかさん」と注文するヤカラがいるが、ボクはそんな非常識な人間ではない。ちょいと後ろ髪を引かれながら店を後にするのだ。

市場寿司 たか
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 さて八王子総合卸売センターでもっともわがままな男、コマちゃん、ボクが持ち込んだ沼津の魚を握りにして一気食い。その値段たるや、ほとんど信じられない安値で食っておきながら、勝手にランキングをつけて寄こした。(画像のホウボウだけは沼津産ではない)。これを一挙公開する。驚くなよーー!

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●その堂々一位が意外にまともな答えで、「でんでん(オオメハタ)」。
以下総て市場魚貝類図鑑のURL
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/oomehata.html
「コレはね。ほんまにうまい。白身としてダントツだね。二重丸だね」

●二位はなんと定置網のかたわらで勝手に撮影用に拾ってきた、チョウチョウウオ。
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/chouchouo/chouchouuo.html
「この白身と比べたらイサキもホウボウもこんなに低いね。オレに言わせると。脂が甘かったよ」
注/この魚、ぜったいにまずいと思いこんでいた。それが今回うまかったのだ。早く改訂しなければ!

●三位が定置の小アジ。
http://www.zukan-bouz.com/aji/aji/maaji.html
「アジは小さいのがいいのかな。味(アジ)があったね」

●四位、カゴカキダイ。
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/sonota/kagokakidai.html
「脂がもっとあるとよかった。でもうまい白身だ」

●五位、ツバメコノシロ。
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/sonota/tubamekonosiro.html
「平凡だね。まずくはない。これだけ出されたらいいと思うよ」

●六位、かさご(ユメカサゴ)
http://www.zukan-bouz.com/kasago/fusakasago/yumekasago.html
「これ上品だけどもの足りない」

●七位、ごそ(ハシキンメ)
http://www.zukan-bouz.com/kinmedai/hasikinme.html
「存在理由がわからないな。キンメみたいだね。でも沼津って感じじゃない」

「白身もこれだけ食べ比べるとわかるね。良し悪しが。また次回もヨロシク!」

 という生意気なコマちゃんでした。


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 鮨忠は八王子市内に8店舗もあり、わかりづらいので、すし屋仲間ではそれぞれ町名で呼ばれている。「横川町さん」と言えば「第二支店」だし、「元本郷さん」と言えば「第三支店」、「元八王子」さんというのもある。「支店」とつくとチェーン店のようで紛らわしいが、それぞれ暖簾分けし独立した店舗なのだ。

 8月13日は観音寺のアカエビを使った玉子焼き、「ままかり(サッパ)」の握りを『市場寿司 たか』で撮影予定だった。ところが、たかさんが突然の激しい頭痛に見舞われ、午前中は病院で過ごすこととなった。仕方なく代打になっていただいたのが「元本郷 鮨忠」さんである。

 元本郷「鮨忠 第三支店」というのは八王子市内、20号線から秋川街道に曲がってすぐ、萩原橋手前にある。まあ非常に小体な店であり、うっかりすると見逃しかねない。

 午後1時過ぎにお邪魔する。店の前に立つとまた思った以上に小さな店である。間口一間ほどの入り口、引き戸をあけると、「ああ懐かしい」というか、とても魅力的な空間が広がっている。入ると5人ほどのカウンターがあり、右に4人がけのテーブルが3つ。とても宴会ができるような店ではない。せいぜい2、3人で夕食を楽しむのが限度だろう。店の最大の魅力はどこにも余分な装飾がないということ、また造りも上品で、なによりも清潔であることだ。

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 そのカウンターの奥ににこやかな「元本郷」さんが穴子の骨を鉄串に刺している。これを干して、素揚げにするのだという。
「本当は軽く焼いて穴子を煮るときの出汁にするんだけど、たまにゃこんなこともやるのよ。さて今日は何を握るの?」
 通称「元本郷」さんは八王子でももっとも高齢な現役寿司職人である。特徴はおだやかで、どこかとぼけた味のある会話がいい。二代目、女将さんの三人で店を切り盛りしている。二代目もこの初代の穏やかさと、また確かな寿司職人としての技を引き継いでいる。

 ここで「アカエビのすり身の入った薄焼き玉子」、「ままかり(サッパ)の酢締め」を撮影する。ついでに新子、茹でえび、かんぴょう巻き、薄焼き玉子なども撮影してきた。昼の握りなのでやや大振りであったが、この「鮨忠」の味は素晴らしいものだった。その内、この画像を「元本郷 鮨忠」でまとめるつもりだ。

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 二代目とは市場で毎日のように立ち話をしている。ケータイをいつまでたってもまともに使いこなせないボクには「ケータイの先生」でもある。今回の収穫は、この二代目の握った新子である。その美しさ、握りの硬さ加減、新子のしめ加減など絶品であった。また「鮨忠」の玉子焼きは薄焼きなのだが、ここのは味醂の甘味が利いていて味わいが濃いのである。すなわち薄焼きでも味に存在感がある。茹でえびもかんぴょうも総て自家製というのも特筆すべきだ。

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 さて、ボクも五十路となって、そろそろ夕べには「落ち着いた、また舌をして喜ばしい時間を持ちたい」と思うようになってきた。そんな願望が満たされるのは、「元本郷 鮨忠」のようなすし屋かも知れぬ。

鮨忠 第三支店  東京都八王子市元本郷町1丁目26-10 042-624-3135


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