2007年8月アーカイブ

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 関東だけで突出した値をつける魚がいくつかある。前々から書いてきているが、「墨いか(コウイカ)」の新子、「こはだ(コノシロ)」、「こはだ」の新子、そして「めごち」「銀宝(ギンポ)」。「こはだ」「墨いか」は江戸前寿司に欠くことに出来ないもの。「墨いか」「めごち」「銀宝」は天ぷらに欠かせぬものだ。

 今回のお題目は「めごちとは何か?」ということ。よく食材などの本を見ていると「ネズミゴチのこと」とか「ネズッポの仲間」とかあるがこれではつかみ所がない。市場に脚を運ぶ毎に「めごち」を見つけると必ず買い求めてくる。
 ここで「めごち」というのは何か? と手短に説明すると、スズキ目ネズッポ科ネズッポ属の総てと、少ないがヨメゴチ属ヨメゴチのこと。このネズッポ科の魚は同定検索が難しく、見た目で判断できないこともある。それで油断しないよう買ってきて必ず検索するようにしているのだ。

 2007年8月30日、八王子魚市場内『海老辰』にあったのがトビヌメリであった。産地は千葉県内房の竹岡。この竹岡は今や江戸前の魚の一大供給地となっている。

 さて、「めごち」にも長い年月に構築されたヒエラルキーが存在する。頂点に君臨するのがネズミゴチ、その脇に居並ぶのがヌメリゴチ、トビヌメリ。まあ横綱、大関はこのあたり。そこに関脇がセトヌメリ、前頭がイトヒキヌメリ。十両と行ったり来たりがハタタテヌメリと言うところだ。面白いのが、ここにヤリヌメリという存在がある。こいつ「めごち」界に入られぬ乱暴者ながら九州産は関脇並だから不思議だ。これはまたの機会に書く。当然値段はこの番付通りだと思って間違いない。

 閑話休題。
 一見してトビヌメリと判明したのは尻ビレの斜めに走る黒い筋からだ。「めごち」のなかでもネズミゴチとトビヌメリはわかりやすい。
 大関クラスだから根は張る。2000円を超えるのもざらである。しかも竹岡産は「めごち」の中でもブランドもの。怖々と値を聞いてみると、驚いたことにキロあたり1500円と破格。では、と触ってみて気がついた。「兄貴」なのである。(「兄貴」とは昨日仕入れたもの。「はるみちゃん」もしくは「あんこつばき」という隠語もあって、これはかなり前に仕入れた。もしくは「3日前に仕入れた」ということ)
「兄貴」でも鮮度的には良好とみた。迷わず購入。

 これを天ぷらにして昼飯のおかずとする。合わせたのは近所の旗野農園でいただいてきた青じその葉、はたまた頂き物のミョウガ。
 この「めごちの天ぷら」が絶品である。トビヌメリの産卵期は夏であり、旬も夏。皮目の香ばしさが際だち、白身のなかにもコクがある。これなら10本でも、20本でもあるだけくっちまうといううまさだ。
 この昼飯代がトビヌメリ9匹で500円ほど。まあ、比べるのも変だが、これを天ぷら屋で食べたらいくらになるかというと、千円以上は確実にする。普通は5,6匹で1500円ほどか。
 かなり低級な庶民生活をよぎなくされているお父さんには、天ぷらを自分で揚げるくらいお茶の子さいさいというやつだ。

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 八王子魚市場内『源七』の前でコイツを見つけて「あったー!」と叫びたい気持ちになる。それは黄金色のマアジ。形はそれほど大きくないが、「美しい姿」の内側には「すこぶるうまーい」がつまっている。これは淡路島周辺でとれるアジ。大阪湾、明石海峡辺りでは、なぜかマアジが金色に光るのだ。
 たぶん優れた寿司職人で「淡路のマアジ」を知らぬ人もおるまい、というほどに生で食べて天下一品である。
 しかも彼の「関あじ」がキロ数千円もするときに、こちらは高くても2000円どまり、まさに「遠くの藤原紀香よりも隣のみよちゃん。添い遂げてみたら灯台もと暗し」を思わせるものなのだ。ボクはこの可愛らしいマアジを二本買ってくる。

 まさに死にものぐるいの一週間で夕食を自宅でとるのは不可能。昼飯のおかずに致すのだ。
 帰宅したら、八王子綜合卸売センター『日本堂』で買った厳選された新潟米を研ぎ置く。昼時に、釜に火をつけて吹くまで3分、そこからチョロチョロにして七分、蒸らして待つこと20分ほど。この二分の一時間の長いこと。まるで地球を七回半まわったような気がするから不思議だ。

 よそおったご飯に生醤油に浸したアジの身をのっける。それこそ茶碗のご飯を覆い隠すほどに刺身をのせて、スダチを数滴落とす。後は一気にかき込む。そんなに一気呵成にご飯もろとも食っては味がわかるわけがない、なんて思う人よ、君は物事の本質がわかっていない。
 実は刺身の良し悪しは、飯と合わせてこそわかるのだ。炊きたてご飯の濃厚な風味、甘味、そして質量。そんな魅力的な夢見心地のなかに平凡な刺身がきたらどうなるか? 旨味を発揮できぬまま、存在理由を表せないまま消え去るのみ。対するに淡路島のマアジはどうだろう、この強敵の中で互角以上の存在感がある。ご飯の甘味とあいまって、旨さが相乗効果を生んで口の中がパラダイスと化す。

 どうしてこんな小振りのマアジにこれほどの味の実力があるのか、それこそ瀬戸内海の神さんにでも聞くほかない。
 ぼうずコンニャクの勝手な思い込みかも知れないが、淡路島のマアジ、見た目の黄金色ほどに千金の値ありと思っている。

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トビウオの羽根は前方2本が先で二股に分かれない。3本目からはキレイに2つに分かれる

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和歌山県串本市出口水産から

 トビウオの同定は難しい。特にハマトビウオとツクシトビウオに苦労している。そこへ行くと標準和名のトビウオは簡単至極。ぱっちりした大きな目、大きな胸びれを開いて見ると、前から2本の軟条(軟らかな筋)が一本で先が二股に分かれない。3本目からは分かれている。
 トビウオ科の魚は毎日のように入荷してきていて、種の季節の変化を調べていこうと思っていて、来る日も来る日もハマトビウオもしくはツクシトビウオというときに、突然のようにトビウオが大量に入荷してきた。
 今回のトビウオは和歌山県串本市出口水産からの荷。さて、トビウオの入荷はいつまで続くのか?

 撮影のために2本ほど持ち帰り、定番のたたき風にしたり、唐揚げにしたり。身自体はあっさりとあまり旨味があるわけじゃないので最近流行の「魚醤油」を使ってみたり、スダチや柚を粗塩と回しかけたり、トビウオを味わうには一工夫する必要がある。

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これは、たたき風。香辛野菜とスダチ、魚醤油と薄口醤油を最後に回しかける

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相模川のアユ

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 八王子市大和田のそば屋「まつ浅」さんは市内きっての釣りの名手。海に川にと年中魚を追いかけている。その浅やんがくれたのが相模川のアユ。やや小振りではあるが、いちばん食べてうまいサイズ。魚焼きに煉瓦をのせて頭を下に向けてこんがり焼く。焼いたそばから、食べると、まことに美味。
 太郎とふたりで一気食い。でも「あれれ」と思ったのがワタの旨味と苦み。あんまりうまい苔を食ってはいないように思えてならない。どうやら相模川の苔のつき具合が悪いように思える。
 さて、今年4回目の天然アユであったが相模川、吉野川、産地不明、霞ヶ浦と食べ比べて、残念ではあるが「感激はうすかった」としか言いようがない。
 今年、うまいアユに出合えるのだろうか? 浅やん、次は狩野川かな?
●器/武内立爾作

まつ浅そば店 東京都八王子市大和田町6丁目12-28 電話042-642-1720
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“柿の種“とは、相模湾でクロマグロのチッコイやつを言う。夏から秋にかけて相模湾にはクロマグロ、キハダマグロの幼魚、稚魚が入ってくる。これを乗合船で釣るのだけど、ときどき掌よりも少々大きいくらいのとか、せいぜい30センチほどのが混ざる。できるだけ素早く逃がしてやるのだが、手間取っていると直ぐに船上で成仏する。仕方なく持って帰っても「なんとか刺身にはなる」ものの、そんなにうまいもんじゃない。

 相模湾で「カッタクリ(疑似餌を使った手釣り)」をやらなくなって久しく、“柿の種“とも縁が薄くなった。それを八王子総合卸売協同組合『やまぎし』で見つけて、懐かしいなと買ってみた。どうやら相模湾の定置網に入ったもので、川崎北部に入荷したものらしい。

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 懐かしいけど、改めて食べてみて、「やっぱりそんなにうまいもんじゃない」と思った。例えば、この“柿の種“の刺身、醤油をつけると、そのアミノ酸の旨味に負けてしまう。だから粗塩をかけて、スダチ、柚などを回しかける。これはこれで夏らしくさっぱりした味わいで悪くはないが、うまいもんでもない。

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 さて、“柿の種“が成長して1キロを超えると「めじ(まぐろ)」と呼ばれる。クロマグロに旨味が出るのはこのサイズから。できれば7、8キロになってから食べるとしたい。
 残暑厳しきときいたずらに定置にとらわれた“柿の種“の冥福を祈りたい。

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 徳島県徳島市沖州市場で見つけたのがタチウオを短いリボン状に切り、塩で和えたもの。これが発泡トレイに入れられてずらりと並んでいる。
 一体これは何なんだろう? 仲買の方に聞いてみると、
「酢のもん(酢の物)にするんじゃ」
 と言う応えが返ってきた。
 これを小売店などで買い、各家庭で甘酢などに漬け込むようだ。

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 タチウオの旬は夏ではないかと思っている。自信なさげな表現となってしまうのが、産卵期の長さ故である。タチウオは海水温が高いと産卵が早まり、低いと遅くなる。春から秋まで、棲息する海域の水温によって産卵期がバラバラ。となると旬も以外に「夏」という単純な考えは慎むべきであるようだ。

 ちなみに土曜日の混乱状態で産地不明であったタチウオ。卸してみると抱卵していた。しかも三枚に卸しているとべったりと脂がつくほど。まさに旬のタチウオであったのだ。

 このタチウオを前身と後身に分ける。前身の背の一部分を刺身にする。これがまことにいい味わいである。何と言っても脂に甘味がある。
 後身は三枚に卸して一塩、これを甘酢に漬け込む。時期のミョウガ、生姜のせん切りを加えて、少々見た目は野暮ったいけど、まことに酒の肴にピッタリの一品。ちなみに甘酢に一晩漬け込んだ方が味がしみてうまかった。

 また前身の大方はタチウオ料理の王道、ムニエルに、真ん中の骨の部分は塩をして障子焼きにする。

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 この三品で梅錦を不覚にも飲み過ぎてしまった。

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 南さつま市のわかしおさんに九州が生息域の南限となっている標準和名のメバルがとれるのか、とれないのか? ケータイで聞いてみた。なぜかと言うと、オオメハタが鹿児島から「めばる」と書かれて入荷してきたのだ。

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 メバルはほとんどの地域で「めばる」と呼ばれている。例えば瀬戸内海で「めばる」はカサゴもしくはメバル。相模湾、東京湾でも「めばる」。だからメバルがあがる地域では他の魚が単に「めばる」と呼ばれる可能性は低いことになる。また沖合にいるウスメバルも東京では単に「めばる」と言う。でもこの魚、太平洋側では駿河湾が北限、また日本海にはいるが、東シナ海にはいない。

 と言うことで鹿児島で「めばる」というのはたぶんオオメハタ、もしくはそれに紛らわしいオオメハタ属のワキヤハタ、ナガオオメの3種類ではないかと思っている。

 オオメハタは相模湾では「白むつ」、駿河湾では「でんでん」と呼ばれ、知る人ぞ知るうまい魚なのである。刺身にも出来るがボクが好んで作るのが天ぷらである。
 小振りのを選んで尾のところだけくっつけたまま二枚に開き、高温の油でカラリと揚げる。
 天ぷらを食べるなら「揚げたて」に限る。これがなんとも「改めてうまい」。

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 静岡県沼津では「でんでんの天ぷら」は定番的なものとなっている。底引きであがるオオメハタ、ワキヤハタ、ナガオオメの小振りを選んで天ぷら盛り合わせにつける。これを観光客が「うまいね。キスじゃないしなんだろうね」と思わせるところが沼津の料理店の思うつぼだ。
 たぶん沼津だけではなくオオメハタ属のとれる土地では、きっと天ぷらを供しているに違いない。相模湾、三河湾、熊野灘、高知県、宮崎県延岡、鹿児島県鹿児島市、各地をオオメハタの天ぷらを探して旅したいものだ。

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 寝床にもぐり込み、ウトウトと甘い眠りに落ちた途端に、姫にドツかれる。
「お父、起きんかい。こら!」
「すみません、すみません、直ぐ起きます」
 と時計を見たら6時を回ったところ。まだ睡眠時間は30分でしかない。仕方ないな、と姫の方を見ると、なんともすやすやと気持ちよさそうに眠っているのだ。どうやらボクを起こしたのは、「夢の中で」ということらしい。くすぐっても、少々、揺っても起きない。
 もう一度布団にもぐり込むかどうか、迷った末に、パソコンを起こす。最近、メールがあまりこない。そう言えばケータイすら、あまり鳴らない、孤独感を感じる、寂しいな。
 ここで五十路男が泣いても、「どうにかなるって」ワケでもでもないし、まあとにかく市場に向かう。まだ朝も早いというのに、ジワジワと気温が上がってきている。そのせいなのか頭が痛いし、目がジクジクと痛い。時刻は7時近く、駐車場が心配なので八王子魚市場は通り過ぎる。
 クルマを運転しながら、改めて「腹が減っている」ことを思い出した。昨夕以来まともな食事をとっていない。猛暑でも、残暑でも、暑くても寒くても、食欲は落ちない質なので、押っ取り刀で『市場寿司 たか』のボクの座席に座り込む。
 ここでヒモマキバイさんを待つべきか悩んだ末に、ケータイを入れると、あと数秒で着くとのこと。待つほどもなく不幸のどん底にいる、“もうすぐ五十路男”がやって来た。
 ここでボクは「豪海ブツブツ丼」、ヒモマキバイさんはお任せ握り。
 この毎回変容する「豪海ブツブツ丼」の、この日の“キュウリ入りバージョン”が素晴らしい。マグロ、大黒サンマ、壷づけタクワン、玉子焼き。ボクの「カニ、イクラいらないからね」という縛りをして最高の出来である。

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これはうまい!

「たかさん、今日のブツブツ丼は素晴らしいね」
「ブツブツ丼って言うなよ。メニューにないんだから」

 食後、海老名の海老さんがたっぷりとニガウリを抱えてやって来た。その持ってきたニガウリがデカイ、他にミニカボチャ・プッチーニ、柚。最近、ニガウリは海老さんのものに限ると思ってきた。海老さんありがとう!

 場内を巡ってもあまりめぼしいものはない。海老さんがコリアンフーズでナムルを買っただけ。為すすべもなく土谷食品でお茶を飲んでいると、ヒモマキバイさんが「あの牛すじあるかな」というので『河辺ハム』へ。
 ここで、八百屋の『神定』の前で八王子の食いしん坊釣り師浅やん(八王子大和田のそば屋「まつ浅」)を発見。「おーい、今日は遅くまでいるね」というと「なにを言ってるの。この時間はいつもここにいるだろ」と立ち話。その内、「アユをやろうか?」となって相模川のアユをたっぷりいただく。浅やんありがとうね!
 ヒモマキバイさんが河辺ハムで牛すじを予約。ボクも上州牛のコマを買い求める。

 9時近くなってもお目当ての『高野水産』がもどってこない。もう諦めようか? と思った9時過ぎにやっとトラックが店の前に回り込んできた。
 それから1時間ほどはてんやわんや、店の前は喧噪を極める。魚貝類は店に並んだ途端に売れていく。とにかく安い安い。
 ボクが買ったのがケンサキイカ、タチウオ、トビウオ。このところツクシトビウオ、ハマトビウオばかりで、トビウオは久しぶりの入荷。
 ヒモマキバイさんも、海老さんも、ヒモマキバイさんの同僚の女性も、かなりたっぷり魚を買い込んだ様子。ボクは家人が風邪でダウンしているので、ここでお別れして、帰途に着く。
 風邪をひいている家人のために、八王子ふれあい市場で卵、岩本製麺でうどん、神山豆腐店で木綿豆腐、セブンイレブンでポカリスエットを買って帰宅する。

 帰ってからは病人がいることもあって、疾風怒濤のごとく時間が過ぎ去る。
 それでもケンサキイカ、トビウオ、セイロンバイ、相模川のアユを撮影。壊れてしまった甲殻類の目次の修復、サバ科サワラ属の改訂に着手、画像整理。
 午後3時に疲れ果ててうたた寝。3時半に近所に買い物。
 4時過ぎから撮影ミスしていたセイロンバイをもう一度撮影。

 夕食は相模川のアユの塩焼き、ケンサキイカの刺身、タチウオの酢の物。

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 毎味水産からいただいたフトミゾエビ、ブラックタイガー(ウシエビ)、イリアンタイガー(クマエビ)、インドエビをフライに。家人にうどん。ツルムラサキのお浸し、さらしニガウリ、トマト。後いろいろ。

 夕食後、疲れ果てて姫とアニメ映画「ミヨリの森」を見る。この映画、出来はともかく、意図するところは自然破壊はあかんよ、ということ。しかもあからさまにダム建設(今現在ダムを造る必要性は皆無だ。そんなときダムを造ろうなんてヤカラは現代にあっては鬼とも例えるべき)の悪質さを明示している。未だに意味のない自然破壊が進行しているときにこの手の映画が作られるというのは素晴らしいことかも。

 11時過ぎにダウン。


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霞ヶ浦のアユ

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 先週、船橋中央市場に行った折り、仲買で天然アユをみかけた。これが気に掛かって仕方がなかったのだが、今週になって八王子魚市場内『源七』が毎日同じアユを持ってきている。なんども書いていることだが『源七』の本拠地は船橋だ。
 仕入れの、あんちゃんに聞くと「霞ヶ浦だよ」という。これで合点がいった。
 今5月、霞ヶ浦の稲敷市小野川河口霞ヶ浦に定置網を見に行った。『川岸屋』の諸岡清志さんが定置網に稚アユを見つけて
「アユがとれるようになったのもそんなに昔じゃないよ。最初はわからなかった。それが夏になるといっぱい入るようになっただよ」
 こんな話を霞ヶ浦の湖上で聞いたのだ。千葉県からすると霞ヶ浦は流通的にも近く、持って来やすい場所なのだろう。また築地のように他県の天然アユと競合しなくても済むという利点もありそうだ。

 この霞ヶ浦のアユは色合いがやや黄色く薄い。値段は安い6本入ったパックが450円ほど。買い求めてきて塩焼きで食べてみる。

 残念ながら一口食べて河川アユの旨さがないことが明白にわかる。身の部分はアユ独特の香ばしさがあり、養殖アユとは比べものにならぬほどうまいのだが、ワタがやや泥臭いのだ。これを単に塩焼きにしたのは間違いであったと思う。例えば開きにして風干しにする。もしくは小振りなものは天ぷらとか。

 さて霞ヶ浦のアユの入荷は本日もあるのだろうか? あったらまた買ってきて風干しを作ることにする。

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さごちの幽庵焼き

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 幽庵焼きの基本は結局「地」だろう。「酒1、味醂1、醤油1」の地で味わいは決して甘くない。このちょっと素っ気ない地では漬け込む魚の良し悪しが如実に出てしまう。
 今回の魚は「さごち」すなわちサワラの若魚であり、脂も旨味ものっていない。これに大人の魅力を要求しても始まらない。今回は基本形に砂糖と魚醤油(魚と麹を合わせて醸したもの)を加える。

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 そう言えば最近「幽庵焼き」と書く以外に「柚庵焼き」とあることが多々ある。まあ本来の琵琶湖の魚を料理するに堅田幽庵(北村祐庵)が工夫したという由来からは明らかな間違いだが、この柚というのが悪くない。ボクは地に柚の香りというのが好きである。今回は海老名の海老さんからいただいた最後の柚を風味づけに使った。

 ここまで右往左往して、やっと「さごちの幽庵焼き」は出来上がった。子供にも酒の肴にもいい、しかもキロあたり500円という激安の「さごち」だから家計にも優しい一品となった。
 懐具合の寂しい月末には「さごち」、これは貧乏人の知恵ですな。

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 最近では真夏でも殻付きマガキが食べられる。珍しくない。でもこれがうまいものなのか、どうか疑問なのだ。例えば今回の宮城県石巻市のものなど痩せていて、味もイマイチよくない。
 でもこれがなかなか人気がある。この痩せたカキのどこがいいのだろう。

 マガキの産卵期は初夏から盛夏にわたり、産卵後は身が痩せている。当然旨味も減少しているはずであり、この時期に敢えて食べる必要があるのか疑問に思える。
 そこで気になるのが三倍体のマガキ。広島では既に「カキ小町」という商品名で売り出されている。これは成熟しないの産卵期の身痩せがない。

 そして今回の石巻産だが、この身痩せの状況をみると、どうやら三倍体ではなさそうである。やっぱり夏にはイワガキか三倍体に限るのだろうか。これも今夏の課題なのである。

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香りづけに海老さんからいただいた香り高い柚の皮を振る

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焦がさないとうまくない

 今年のお盆前、魚貝類が少なかった。そして市場は三連休。そんなときに作るべきなのが「煮いか」である。
 作り方は簡単至極。スルメイカの内臓とげそを取り去り、酒、砂糖、醤油、水を煮立てたところで胴を回転させながら煮る。煮る時間はたぶん3,4分くらいだろうか? これを岡あげにして置き、煮汁を少し煮詰めて、さましたところに戻す。これを冷蔵庫に保存しておくと1週間くらいは持つ。
 最初の2,3日までは「煮いか」として食べる。これが飽きたら焼いて食べるのが我が家の風である。子供達は断然焼いたのが好き。これを出すとあっという間になくなる。
「父ちゃんのおつまみだぞ」
 こんなことを言っても聞く耳持たずである。

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 久しぶりの八王子の市場。週明けなのに荷が少ない。値段もやや高値。それでもサンマだけは豊漁なのか安くて、しかも三陸まで水揚げ港が下がってきた。これから秋まで北海道から福島県までの港に分散しての水揚げとなる。

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 なにもないので、八王子綜合卸売センター『高野水産』で新子(コノシロの10センチほどのもの)とトヤマエビ(羽幌産、市場では「ぼたんえび」)、宮城県さんの殻付きマガキを買って帰る。
 仕事に出かける準備をしながらマガキの撮影をしていたら「仕事がなくなった」と電話が入る。

 うれしいこともあるもんだと「寿司図鑑」の改訂を始め、たまたま甲殻類の目次を見たら壊れてしまったいる。損傷の深刻さは画像データのリンクが総て切れていることからも一目瞭然。撮影をとりやめて夕方まで画像以外の修理をする。これから画像をはめ込むのだけど、全治15日間以上と見た。助けてくれ!

 7時まで目次の修理。夕食はトヤマエビの刺身、新子、マガキ。やっぱり夏のマガキは痩せている。

 食後またまた修復作業。泣きっ面に蜂、その上、猛暑、熱帯夜。早く秋になってくれ。


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 遅ればせながら土曜日の船橋からの市場便り。千葉県にはいくつも市場があるが、船橋がもっとも規模が大きい。なんと県庁所在地メガロポリスの千葉市の中央卸売市場よりも船橋の方が活気もあるし、仲卸の数も圧倒的に多い。当然全店舗見るのは大変である。しかし、見応えは充分と「疲労の元は取れる」と言っておきたい。

 船橋の市街地にほど近い市場に到着したのが7時過ぎ。当然相対取引、大物の競りは終了した後。のんびりと仲卸の店を見て回る。

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 残念ながら猛暑とお盆明けで荷は少ない。それでも船橋ならでは三番瀬のアサリやホンビノスガイ(白はまぐり)、サルボウ(小赤)があるし、今では日本一とも言えそうな東京湾のスズキがある。

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北アメリカ原産のホンビノスガイ。今では東京湾奥では名物となっている。船橋では「白はまぐり」

 また船橋の凄いところは築地に負けず劣らず陸送(よそからの魚貝類)でもいいものを持ってきているところ。これがお盆明けか、と見疑うようなイワガキもあるし、富津あたりのだろうかマコガレイもある。マアナゴが多いのも内房ならでは。

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 通路から通路に抜ける間だが薄暗いので、なんだか仲卸の店、そして店の空間に趣を感じる。その奥で新子を卸す人、アサリをむいている人。マグロ屋は白熱灯を多用しているので場内に浮かんでいる夜店のように思える。

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 土曜日のせいだろうか? 一般客をにらんで小分けにした魚や、半身売りが目立つ。ボクにも盛んに声をかけてくる。
「おにいさん(オジサンだけど)、マグロ買ってかない。これ一本どう、500円。今なら二本で800円でもいいよ。ダメ、ダメなら三本で千円よ。買ってかない」
 冷凍メバチだろうけど場内のマグロ屋の一般向けのパックや柵が築地よりもかなり安い。マグロ屋には明らかに一般客がついている。
 一時間ほど行ったり来たりして、やっぱりお盆明けで魚貝類の品薄なのにがっかりする。船橋名物とも言える竹岡や富津からの地魚がない。また思い切った高級魚も見受けない。

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 船橋中央卸売市場に目立った特徴はない。それを敢えて探すと貝に行き当たるだろう。市場のそこここで貝を剥いている。また貝を中心にしている店もある。これなど八王子魚市場内にありながら船橋が本拠地の源七にも言えることだ。他には船橋は寿司屋の多いところで味もいいという。そんな寿司屋に卸しているのが、場内の仲卸。新子(こはだ、すなわちコノシロの稚魚)、新いか(コウイカの子供)が目に付いた。また新子を卸しているのを見て思わず買って帰りたくなってしまう。

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 たくさんのマグロ屋、魚屋、惣菜屋のなかで一軒だけ、淡水魚を扱う「鶴長」が目を引く、4人の職人さんが膨大な量のウナギを一気に割いていく。また仲卸の店では焼いて蒸して、白焼きに、またタレをくぐらせた蒲焼きなども販売している。この白焼き、蒲焼きはうまい。ボクがお勧めの船橋土産である。

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 仲卸でもひっそりとした一角で男性が新子を女性が「小赤」を剥いて割いている。「小赤」というのはサルボウのことで剥いて開いたものを買ってきた。これを自宅でササッと洗って刺身にする。

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 今回は日曜日に大きなデータ処理、改訂があるということで、剥き「小赤」と活けのスズキだけを買ってきた。これが絶品である。

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 船橋に来るたびに思うのは、江戸の食文化を残す築地、そこにあってもっとも大切なものは一般には見えない「小技」ではないだろうか? 例えば新子を割いたり、またアカガイを剥いて「良し悪し」を見たり、はたまたマアナゴの首根っこをつかんで締まり具合を見たり。そんな見えない食文化が築地移転のよって「消え去る」かも知れない。その「小技」が産地でもある東京湾湾奥の船橋に残っている。もしも東京都が築地移転なんて暴挙をやらかすと「江戸の食文化がここだけに残存することになる」かも。船橋の江戸前「小技」の継承者達よがんばって欲しいものだ。

船橋中央卸売市場
http://www.city.funabashi.chiba.jp/ichi-kanri/index.htm


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改訂記

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ヤドカリ科を改訂
オニヤドカリをホンドオニヤドカリに訂正
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トゲツノヤドカリのページを作成
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オイランヤドカリのページを作成
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掲載種 1936


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ゴマサバの旬は?

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 ゴマサバの旬がわからなくなっている。沼津などでは「夏になるとうまくなる」と言われ、ある意味夏の魚であるかのように言われる。でも相模湾のゴマサバがいちばんうまくなるのは晩秋か冬まで、またゴマサバを名物としている高知県などでも秋から春までが漁期なのだ。
 ゴマサバの寿命は6年以上、産卵期は長く、冬から初夏までとすると大きさ、またとれる場所が重要になってくるだろう。
 そして旬というのを改めて見当するためには、1週間に数個体食べていくしかない。残念なら、その1本目の産地がわからない。これはお盆前の混乱している状況でやっと1本手に入れたからだ。
 今回のものは30センチ上、500グラムほどのもの。鮮度がイマイチであったので、塩焼きにする。
 これが脂がのっていた。旨味も上々でうまい。これならこの時期のマサバと比べてもひけは取らないように思える。
 通常、ゴマサバの旬が夏だろされるのは、マサバの味が落ちるときに、「味がおちない」ためだと言われている。でもむしろゴマサバの評価が低いのは血合いの量であるかも知れない。またゴマサバが寒い時期うまいと感じたのは、例えば「脂はあるにしても夏のゴマサバの血合いはすぐ生臭くなる」、比べて「真冬のゴマサバの血合いはあまり生臭く感じない」、そんなことが原因かも知れない。


 ゴマサバのことが知りたくて、ただただたくさん食べてみる、というのも芸のない話。でもボクなど科学者でも水産業者でもないのだから、この愚直な方法しかない。
 さて、今回の結論。8月14日のゴマサバは脂がのっていた。

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 これは我が家の夏の料理。スープとしていいのかサラダなのかわからないもの。夏バテしているときとか、暑いときには具を少なく、初夏の元気なときには具を小さく切ってザクザク入れる。

 この料理はトマトスープを作る。ここに肉系のものは入っても入らなくてもいい。魚貝類もなかったら精進でもいい。とにかく総てを冷やす。その総てというのはとりあえず冷蔵庫に入っていて、使えそうなものはなんでもいい。なくてはならないのはトマト、もしくはホールトマトのみ。

1/ベーコンの細切りを非常に弱い火でカリカリにいためる。ベーコンを取りだして、そこで玉ねぎのみじん切りを炒める。(玉ねぎを炒めるのは我が家が子だくさんで生玉ねぎを使えないため。本来は生玉ねぎを最後に混ぜ込む)
2/トマトをみじん切りにして、皮も種も取らないで放り込み。超弱火で煮込む。種皮を取った方が見た目がきれいだ。ただしボクは家庭料理と料理人の料理はまったく違う考えで作るべしと思っている。種も皮にも栄養分や食物繊維が含まれている。
3/トマトスープに甘味旨味が足らなかったら(トマトスープの旨味甘味は熱に弱いように思える。だから出来るだけ弱火で煮込む。またトマトの甘味は晩春から初夏に強く、盛夏には弱く酸っぱい)、途中で固形ブイヨンを加える。塩コショウで味を調える。また冷えてからリンゴジュース、ジューサーにかけたキウイを加える。出来上がったらあら熱をとり、冷蔵庫でキンキンに冷やす。今回は八王子綜合卸売センターの『三恵包装』で買ったキウイの100パーセントジュースを加えた。
4/毎味水産にいただいた冷凍フトミゾエビとホタテをソテー。ドジョウインゲンを茹でて、ピーマンをみじん切りにする。
5/トマトスープにベーコンを戻し、とにかく用意したものを放り込む。ピーマンなどは赤黄などあると楽しいだろうし、ズッキーニなども入れたい。

 でも家庭料理の鉄則は「料理のために素材を整えない」というもの。はっきりいって現在のテレビなどの料理番組はまったく愚かでバカ野郎としかいいようがない。「今日は鶏肉の●●風を作ります。何を何十グラム、●●を何十グラム」なんてやっている。料理を教えるなら使える可能性のあるもの全部を、理念として教えなさいよ、と怒りを感じる。「素材があって、そこから生まれてくるのが料理」、その逆は最小限、めったにない希なこととしたい。いかん五十路になって怒りっぽくなってきた。

 我が家ではこれにクリーミーに仕上げたマッシュポテトを添える。

市場魚貝類図鑑のフトミゾエビ
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市場魚貝類図鑑のホタテガイ
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 鮨忠は八王子市内に8店舗もあり、わかりづらいので、すし屋仲間ではそれぞれ町名で呼ばれている。「横川町さん」と言えば「第二支店」だし、「元本郷さん」と言えば「第三支店」、「元八王子」さんというのもある。「支店」とつくとチェーン店のようで紛らわしいが、それぞれ暖簾分けし独立した店舗なのだ。

 8月13日は観音寺のアカエビを使った玉子焼き、「ままかり(サッパ)」の握りを『市場寿司 たか』で撮影予定だった。ところが、たかさんが突然の激しい頭痛に見舞われ、午前中は病院で過ごすこととなった。仕方なく代打になっていただいたのが「元本郷 鮨忠」さんである。

 元本郷「鮨忠 第三支店」というのは八王子市内、20号線から秋川街道に曲がってすぐ、萩原橋手前にある。まあ非常に小体な店であり、うっかりすると見逃しかねない。

 午後1時過ぎにお邪魔する。店の前に立つとまた思った以上に小さな店である。間口一間ほどの入り口、引き戸をあけると、「ああ懐かしい」というか、とても魅力的な空間が広がっている。入ると5人ほどのカウンターがあり、右に4人がけのテーブルが3つ。とても宴会ができるような店ではない。せいぜい2、3人で夕食を楽しむのが限度だろう。店の最大の魅力はどこにも余分な装飾がないということ、また造りも上品で、なによりも清潔であることだ。

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 そのカウンターの奥ににこやかな「元本郷」さんが穴子の骨を鉄串に刺している。これを干して、素揚げにするのだという。
「本当は軽く焼いて穴子を煮るときの出汁にするんだけど、たまにゃこんなこともやるのよ。さて今日は何を握るの?」
 通称「元本郷」さんは八王子でももっとも高齢な現役寿司職人である。特徴はおだやかで、どこかとぼけた味のある会話がいい。二代目、女将さんの三人で店を切り盛りしている。二代目もこの初代の穏やかさと、また確かな寿司職人としての技を引き継いでいる。

 ここで「アカエビのすり身の入った薄焼き玉子」、「ままかり(サッパ)の酢締め」を撮影する。ついでに新子、茹でえび、かんぴょう巻き、薄焼き玉子なども撮影してきた。昼の握りなのでやや大振りであったが、この「鮨忠」の味は素晴らしいものだった。その内、この画像を「元本郷 鮨忠」でまとめるつもりだ。

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 二代目とは市場で毎日のように立ち話をしている。ケータイをいつまでたってもまともに使いこなせないボクには「ケータイの先生」でもある。今回の収穫は、この二代目の握った新子である。その美しさ、握りの硬さ加減、新子のしめ加減など絶品であった。また「鮨忠」の玉子焼きは薄焼きなのだが、ここのは味醂の甘味が利いていて味わいが濃いのである。すなわち薄焼きでも味に存在感がある。茹でえびもかんぴょうも総て自家製というのも特筆すべきだ。

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 さて、ボクも五十路となって、そろそろ夕べには「落ち着いた、また舌をして喜ばしい時間を持ちたい」と思うようになってきた。そんな願望が満たされるのは、「元本郷 鮨忠」のようなすし屋かも知れぬ。

鮨忠 第三支店  東京都八王子市元本郷町1丁目26-10 042-624-3135


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遠くに末広大橋が見える

 徳島市はこの国でも屈指の大河吉野川、勝浦川、鮎喰川などが紀伊水道に流れ出るところで、改めて地図を見ると、それこそ川に浮く都市なんだなと思う。その前海は河川の吐き出し口だから大量の栄養塩類が流れ込み魚貝類豊富なところだ。
 その徳島市の中心からほど近くにあるのが津田港、徳島漁業協同組合だ。ここから紀伊水道に底引き網で出船している。
 漁獲されるのはハモ、マアナゴ、サワラ、「ちぬ(クロダイ)」、スズキ、「ぼうぜ(イボダイ)」、タチウオ、カワハギ、マコガレイ、ヒラメ、シリヤケイカ、ガザミ、クルマエビ、クマエビ、小エビ類(サルエビ、トラエビ、ヨシエビなど)など多彩。なかでも徳島のハモは京阪神では最上級品とされる。

 7月12日、徳島中央卸売市場をのぞき、市内観光をして昼過ぎに徳島県水産課の里さんに水揚げを見に連れて行っていただいた。徳島市津田は徳島駅からもほんの30分ほどの距離。新町川、園瀬川、勝浦川に浮かぶのが津田島(今では単に市街地)である。

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 津田港に到着したとき、すでに水揚げは始まっていた。次々に着岸する底引き船。その前面に見えるのは市内を流れてきた新町川の河口に当たる。

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アカエビとトラエビ

 まず、目に付いたのが小エビ類。アカエビ、トラエビ、サルエビ、そして「足赤(クマエビ)」、ヨシエビ。以外にシャコが少ない。

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 大型のガザミが揚がっている。漁協の方が大型のガザミが抱卵しているのを見つけると甲羅に「2(漁協の番号)」と書いている。これを海に帰してやるのだ。これは資源保護のためにも、また外子を持ったガザミは味わいからするとけっしてうまいものではない、ということからも合理的だ。

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 マエソ、マルアジ、「ちぬ(クロダイ)」、スズキ、メイタガレイ、マアナゴに名産のハモ。タチウオはまとまった水揚げとなっている。
 ハモは慌ただしく奥の生け簀に運ばれる。これが京阪神に送られて夏の味わいである「牡丹鱧」や「鱧ちり」になるのだろう。
 この日、探したのが「ぼうぜ(イボダイ)」である。これがまったく見つからなかった。気になって、帰宅後、里さんに水揚げされる魚種を問い合わせるとやはり「ぼうぜ」は多いようである。この魚、徳島の郷土料理「姿ずし」に使われる。
 台風4号の接近で水揚げは決して多くはない。また魚貝類の種類もいつもより少ないようだ。

 水揚げされるものは岡山など瀬戸内海で見たものと魚種的にかわらない。小エビやクマエビ、シャコ、カニ、マアナゴなど。これら沿岸の魚貝類は料理法によっては美味極まりないものとなる。これが県庁所在地、市街地といえそうなところで揚がるということ。しかも朝と昼の2回の水揚げがある。昼揚がる魚貝類などまだ生きているような状態で市内の魚屋、スーパーなどに並ぶ。これなら岡山県日生、兵庫県明石など瀬戸内海の小魚によって観光地となった先進地にひけをとることはないだろう。そう言えば日生といえばマガキで有名なのだが、徳島にもマガキはある。徳島市も明石などを見習い、地ものの魚貝類を観光客などに積極的に売り込むべきだ。
 例えば、ボクなど徳島出身とはいえ今ではただの観光客に過ぎない。そんなボクが今すぐにでも欲しいのが地ものの魚が手に入る店、また食べられる飲食店の地図やリストだ。たまたま観光に来たとして、地ものの魚貝類を期待して料理屋などに入る。そこで甘エビなどが出てきたら、それこそ死ぬほど後悔することになる。対するに水揚げされたばかりの小エビの天ぷらが、「ちぬ(クロダイ)」のお造りが何気なく出てきたらワクワクするだろうね。もう一度来たくなる。自治体の水産担当者の方に期待するのは、こんな観光客への親切心なのだ。

 水揚げを見ていたら、「ウミガメがのっているようです」と里さんから声がかかる。その船の船長さんにことわって船の艫(後方)に走ると、大きなアカウミガメがじっとうずくまっている。その目がどこか不安げである。これは後ほど沖合まで運び逃がしてやるのだという。

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 水揚げを見ていたのは小一時間ほどだろうか? いかんせん帰郷の途中である。故郷には年老いた父が待っているので、午後3時には津田港を後にする。次回はもっと時間をとって見学したい。また底引き網にも乗船したいものである。

徳島市漁業協同組合
http://www.e-osakana.jp/01toku/index.asp?s=0&z=0
「漁師さんが選ぶ!旨い魚たち」
http://www.pref.tokushima.jp/generaladmin.nsf/topics/13C8210F531DFC7B49257243002A74EA?opendocument


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 八王子魚市場にダンベイキサゴが入荷してきていた。キロ当たり500円というのは安い。ボクが生きのいいのを選んでいたら、「これなんて言う貝なの」と聞く魚屋がいて、「キサゴですね。ダンベイキサゴ」なんて答えていたら、
「これキサゴっていうのかい?」
 八王子上壱分方町の寿司屋、富さんが疑り深い目でボクの方をにらむ。その目の細いこと。まるで爪楊枝が2本顔についているみたいだ。
「オレは使ったことがないなー」

 目の前にあるのはダンベイキサゴで、市場では「ながらみ」と呼ばれている。「ながらみ」には2種類があり、ダンベイキサゴとキサゴ。キサゴが穏やかな湾内にいるのに対してダンベイキサゴは外洋に面した波の荒い砂地にいる。ダンベイキサゴの産地は茨城県鹿島灘、千葉県九十九里浜などだ。関東では「ながらみ」はダンベイキサゴの方が圧倒的に入荷量が多い。

 この「ながらみ」の食べ方を知らないという人が多いのに驚く。煮る、茹でるなど勝手なことを知ったかぶりに言うが、料理法はもっともっと簡単で短時間に出来上がる。
1/大振りの丼を用意する。そこに砂抜きをして、洗った「ながらみ」と塩を入れる。
2/そこに熱湯をたっぷり注ぎ入れる。
3/蓋をして3分以上待つ。今回は片口を使ったのでラップをして蓋をした。これで茹で加減は申し分がない。出来上がりだ。

 食べるときには、熱湯はヒタヒタくらいにして余分は捨てる。身を巻き巻きしながら取り出す。身やワタにはまだ砂が残っている可能性があるので湯のなかで洗いながら食べる。これが最上の食べ方だと思っている。

 ちなみにこれは静岡県島田市の飲食店で教わったやり方。
「島田じゃ『ながらみ』はおやつのようなものだったからね、夕食にも出てきたし、丼に入った『ながらみ』は家庭の味ですね」
 通っていた料理屋「かに柳」の女将さんが教えてくれる。そう言えば島田にも長い間行ってないないな。

市場魚貝類図鑑のダンベイキサゴへ
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 東京湾の小イワシ(マイワシ)が毎日のように入荷してきている。これが小さいクセに脂がのって絶品。しかも1キロあたり350円から500円也と格安なのがうれしいなーー。
 刺身はもちろん「なめろう」、「さんが焼き」、フライ、塩焼きと脂がのっている魚はどんな料理法でもうまいうまい。そして本日は当座煮(10日間前後は保存のきく料理)にする。マイワシの当座煮はいろいろある。ボクの好みは単純な生姜と煮たもの。濃い口醤油で甘辛く、コックリ、黒っぽく作る。でもこの甘辛煮、猛暑日が続くと食べていて、なんだか重く感じる。となると梅干君が登場してくる。

 マイワシの梅干し煮というのはいたって簡単な料理である。
1/マイワシは一度煮こぼす。すなわち多めの水に並べて入れて沸騰させる。沸騰したらヒタヒタの湯を残してゆで汁を捨てる。
2/ここにたっぷりの酒を入れて、ことこと30分煮る。途中、水分が少なくなったら酒と水を足す。
3/マイワシが柔らかく煮えたら、ここに好みで砂糖を足し、また10分ほど煮る。このときにも水分を見て、足す。
4/最後に梅干しをちぎりながら好みの量入れたら、煮汁がほとんどなくなるまで煮上げてしまう。味つけは、これで充分なのであるが、煮上がる直前に醤油を加えてもいい。
 注意すべき点は水の量を常に見ていて、炒りつかせないようにすること。

 梅干し煮は酒の肴というよりは、ご飯のおかずだ。梅干しの甘酸っぱさが日本酒に合わないと思う。結局好みの問題なんだけど。

市場魚貝類図鑑のマイワシへ
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 7月13日、台風4号は四国に近づきつつあった。荒天に強い瀬戸内海でも漁船の出船はほとんどなく、せっかくきたものの魚貝類はほとんど見ることができなかった。しかたなく香川県観音寺市の漁協の方と岸壁で立ち話。いろいろ聞いてみるに、この地の名物は響灘で大量にあがるエビを使った料理、練り製品であるというのを知る。
 この地にあがるエビの代表的なものは「本じゃこ」もしくは「じゃこ」と呼ばれるトラエビだと思われる。これを練り物に混ぜて「ちくわ状」にしたのが「海老ちくわ」である。

 一本一本袋入りになっているのを家族手に手に取りだして、がぶりとやったのである。ボクは当然の如く左手にはビール。ちくわということで、ある程度、味の予想を持っている。「海老」と商品名に書かれているからには、そこにただエビの風味が加わるのだろうと思っていたのである。ところがそこにあったのはまったく予想だにしない味、食感であり、ボクはかなり大きな衝撃を感じたのだ。
「これは、ちくわではない」、「かまぼこでもない」、敢えて言うなればエビと魚のすり身を使ったお菓子、もしくはテリーヌかな? 慌ててネットで商品紹介を見ると、「小えび(えびじゃこ=トラエビ、サルエビ)の頭をとり、殻付きのままミンチにして、しぼり豆腐とすりあげた」とある。とするとふわりとするのは豆腐のためであり、微かにジャリっとするのは小エビの殻であるようだ。
 家族の方を見るとなんのためらいもなくうまそうに食っている。太郎に聞いてみると「ボクだいすきだよ」と2本目に手が伸びている。
 面食らってしまっているのはボクだけのようだ。残念ながらこのざらっとして、柔らかいちくわ、あまり好みではない。練り物特有の「足(弾力)」がないせいか、口の中でふわりと広がる甘味や旨味が濃厚に思える。さわやかではない。「足」がないちくわというと、主に東日本で作られるおでん種、加熱用のものを思い浮かべるだろう。そのまま熱を通さずに食べる、ちくわには「足」があるからだ。その加熱用のちくわより、「海老ちくわ」の方がもっと「足」は弱い。
 翌日、この「海老ちくわ」とジャガイモなどを炊き合わせてみた。ボクはこちらの方が食べやすい。ジャガイモに海老ちくわの風味が煮ふくまる。煮る内に一度膨らみ、また冷やす内にしぼんでしまったちくわが硬くしまっていいのである。

 エビの入った練り製品、「海老ちくわ」と「海老天」は観音寺だけではなく香川県のどこのスーパーに立ち寄っても「必ず置かれているもの」だった。また善通寺のうどんやさんには天ぷらなど「うどんにのせるもの」のひとつでもあった。ようするにこの「足」のない独特の練り製品は香川県を代表する惣菜なのである。

福弥蒲鉾 香川県観音寺市
http://www.niji.or.jp/home/fukuya/


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 今年のシーフードショーは得るところ大であった。たくさんの未知の食材を手に入れられたし、またいろんな知識を得られた。でも大失敗だったのが、毎味水産の出展を見逃していたことである。

 毎味水産のある三河湾一色はウナギ養殖で有名なのであるが、それ以上に日本でも有数の水産物の水揚げ港なのである。そしてなによりも目立つのがエビである。クルマエビ、フトミゾエビ、サルエビ、アカエビ、シロエビなどクルマエビ科のエビの種類の多彩さ、また量の多に、水揚げを見ているだけでワクワクすること間違いなしだ。毎味水産は、その多様な三河のエビに世界中のエビを加えて、三河育ちの藤井社長自ら先頭に立ち加工販売しているのである。またこの会社の凄いところは愛知県でも屈指のエビ問屋でありながら、三河湾海の幸の荷主として日本中に魚貝類を出荷しているところだ。

 ボクは魚貝類を探して東奔西走している。そのあっちこっち旅行くなかでも三河湾一色はもっとも魅力的なところなのである。そんな三河湾の魚貝類の魅力を最初に教えてくれたのが毎味水産の藤井社長である。
「今年はトリガイが大量だけーの、送っちゃるけー、食べてみーよ」
 晩春、ケータイがなり、藤井社長のしゃがれた声が。
 そして送られてきた三河湾産の冷凍トリガイがまことに優れたものであった。寿司職人の「市場寿司 たか」渡辺隆之さんが驚くほどの冷凍トリガイは、これ以上ない丁寧な加工がなされていた。

 会場にはそのトリガイ、また毎味水産ならではの三河湾の小エビが並べられていた。ブースをとりしきるのは藤井社長のお嬢さん。見たところシーフードショーの出展者としては地味すぎるきらいはあった。でもその並べられた商品の優秀さは見る目があればわかるはずだ。
 毎味水産は来年の出展の予定だという。次回はボクも協力しなければ、と思っているのだ。

毎味水産 愛知県幡豆郡一色町大字一色字西塩浜211
毎味水産の水産物のことは、一色さかな広場「一二味」へ
http://www.katch.ne.jp/~ishikisakana/KOTOMI/kotomi.html
毎味水産のことは
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すえドンのフォト日記
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ともにぼうずコンニャクが毎日見ている徳島のブログです。


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エゾバイを煮る

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 エゾバイ(磯つぶ)を久しぶりに煮る。煮てうまい巻き貝の多くがエゾバイ科であり、エゾバイ属である。ここには「灯台つぶ」と言われるヒモマキバイ、オオカラフトバイ、シライトマキバイ。「磯つぶ」のエゾバイ。「白ばい」と呼ばれることの多いエチュウバイ、ツバイなどがある。そのなかにあって美味である上に入荷量も多いということでエゾバイは煮るつぶの代表的なものとなっている。

 煮方はいろいろある。なかでも最近お気に入りなのが「源七風」だ。繰り返しになるが「源七」は千葉県船橋の貝問屋であり、そして八王子に店を持つ。だから八王子に居ながらにして船橋の貝を中心とした食文化を知ることができるのだ。
 エゾバイの産地は北海道噴火湾から樽前、厚岸、釧路などである。「源七」ではこれを甘辛くたきあげる。たぶん船橋で「にし(アカニシ)」を煮るときと同じ味つけなのだろう。
 作り方は酒、砂糖、醤油をある程度まで煮詰め、甘辛くややとろみがついたところにエゾバイを放り込んで数分で一気に煮上げるというもの。文字にするとまことに簡単至極だ。でもどれくらいの時間で火を止めるのかなど、やってみると難易度の高さがわかるはずである。
 短時間で煮るせいか身が硬くならず、エゾバイ自体が持つ甘さに地の甘辛さが加わって身を取り出すのに楊枝を使いながら、もどかしく感じるほどである。

 台風シーズンで市場に魚貝類がほとんどなくてもエゾバイだけはある、ということが多々ある。そんなときでも「磯つぶ」はあまり値段が高騰しない。とすると、荒天のときにはエゾバイを食え、というのも賢い選択だ。

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 コノシロの稚魚が新子なのだけど、この新子ほんとうにうまいのだろうか? なにしろ出始めの新子は重さ3グラム、体長3,4センチといったところ。二本の指で隠れるほどのを研ぎに研いだ小出刃で開いて、これまた丁寧に酢でしめる。これを一度期に4,5枚も箸でつまんで口に放り込んでもいかばかりの味わいも感じることはない。これが8月初旬ともなると7,8センチ、10グラムほどに成長してくる。こうなるとぐっと味わいが増してうまくなるのだ。
 我が家にある『すし技術教科書 江戸前ずし編』(旭屋出版)には〈4センチ〜5センチを「新子」〉、〈7センチから10センチを「こはだ」〉、〈12センチ〜13センチを「なかずみ」〉、〈15センチ以上を「このしろ」〉と書かれている。この数字は動物学的な尾叉長ではなく全長のことであろうから、「新子」と呼んでいいのは走りの時期だけとなる。8月の一匹10グラムのものは、体長7、8センチとなっていて既に「こはだ」だ。

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 でも今日の市場にあってはこの7,8センチが立派に「新子」で通っている。たぶん10センチ前後までは
立派に新子で通るのではないだろうか? この教科書が出版されたのが1975年のこと。以後の「新子」への認識の変化には興味津々である。

 この1匹10グラムの新子を『市場寿司 たか』で味わう。このサイズだとちょうど2枚づけ(2匹で1かん)となる。その二枚の身はまだまだ柔らかく、口に放り込むとすぐにすし飯と馴染む。そこに魚としての生臭さはなく、すし飯の中からしっかり身の存在を感じる。そして甘味が浮き上がり、旨味もほんの少しだけれど舌に残るのである。
 それでも、
「やっぱりうまいという点では冬の方がいいね。体長14、15センチくらいの」
 冬の「こはだ」は1975年の『すし技術教科書 江戸前ずし編』では「なかずみ」となるもの。今年はこの「なかずみ」を堪能した。
「そうだね。今年の冬にはよくしめた(酢締めにした)ね。うまかった。それでも江戸前寿司に新子がなくちゃいけないね。新子は味じゃないのかもしれないよ」
 たかさんは意外に冷静なことを言う。

 さて江戸前寿司で新子を使うようになったのはいつ頃だろう。その昔、江戸前握りは屋台に作り置きして並べて売られていた。そしてその大きさも今の数倍、とても一口では食いきれないものだった。とすると新子ではネタとなりえないのだ。ひょっとしたら江戸時代の新子というのが今の「こはだサイズ」であり、こはだが「なかずみサイズ」だった可能性もあるのである。だから新子の出始めは二枚づけ、実は「こはだの二枚づけ」、そして一枚づけはまさに「なかずみサイズ」すなわち江戸時代の「こはだ」である可能性もある。それがたぶん関東大震災のあと寿司屋で酒を飲むようになり、握りのサイズが小さくなると共にコノシロの成長段階での呼び名が出来てきた。とにかくコノシロの成長段階での呼び名は時代と共に変化しているはずだと考えられる。

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新いか1匹1400円也

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 鹿児島県は不知火海・出水は新いかの代表的な産地である。7月、8月初旬、新いかのほとんどは九州産、そして不知火海ものがいちばん多い。
 新いかの最小のものは1匹で1かん、すなわち丸漬けのできるもの。実を言うとこのサイズだと味はもうひとつよくない。旨味に欠けるし、弾力というか身も柔らかすぎる。そこへいくと1匹で2枚のネタがとれる、半身一かんというのが理想的だ。
 そんな理想的な新いかが8月1日の八王子魚市場特種にあった。
「これいくら」
 特種の担当者に聞くと、人差し指を立てて、次に親指を折って4本。
 まさか1400円ではないし、
「ひょっとして1万4000円でしょうか」
 うんうんとうなずいているよ、このヤロウ。おいおいこれを誰が買うの?
「いやー、もう半分以上はけました」
 うれしそうに言い放つ。
 気になって計りにのせると105グラム。とすると税抜き1470円である。片身1かんとして700円以上もする。
 どうやら我が家の「新いか初もの食い」は9月になりそうである。

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 境港からハツメがたっぷり入荷してきている。ハツメはフサカサゴ科メバル属の魚でメバルやウスメバル(沖めばる)と同属なのだが、なかでももっとも値段的評価が低い。これはウスメバルなどと比べて水っぽいというのか身が柔らかく鮮度が落ちやすいためだ。味わいが低い評価を生んでいるわけではない。塩焼き、煮つけなどにすると高級魚となってしまったメバル、ウスメバルに決して引けを取らない。

「これは安すぎるじゃないか」と呟くと仲卸の社長が「この辺り(多摩地区)じゃハツメを知らんのよ。どうしてこの値段で売れねーのかな」と泣くのだ。
 安いと言うことでは漁師さんにはまことに申し訳ない。でも子だくさん、貧乏暮らしには、これほどありがたい魚というのも、そうあるものではない。見つけたらたっぷり買い込むことにしている。

 持ち帰ったらまずは手早く水洗い、身に切れ目を入れて振り塩をする。これを最低でも一時間は置いてから焼くのである。この多すぎる水分をしっかり皮下から追い出すのがコツのコツ。焼くのはとても簡単。火加減も適当なら、火の通りも早い。残ったものは3,4日かけて焼いて食べるといい。日に日にうまくなるといった喜ばしい一品となる。

 味わいの中心にあるのは皮目の香ばしさだろう。その真下の白身にすら風味がある、そして旨味が強い。これほど焼き魚にしてうまい魚もそうあるものではない。

 最近では魚屋などでも塩焼きにした魚が売れているという。買い求めてきて「自宅でチン」、今ではこれも「自宅で焼く」というよりも「普通」の光景かも知れない。そんな焼き置いて、また温めるというのにもクセのない風味が長続きするハツメはもってこいだろう。

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酢いかを作る

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「すいか」を作ろうかな、というと「SUICA」は買うんだろう? と隣を歩く人につっこまれた。いやいや「酢いか」は立派な家庭料理。我が家では夏の味覚である。
 まずはバラいか(スルメイカの小振りのもの)もしくは下氷(スルメイカの箱に並べられている大振りのもの)を数本買い求める。このワタやげそを取り去り、外皮を剥き、水分を拭き取って塩をする。待つこと半日。水洗いして甘酢につけるのだ。ボクは数日漬け込んだ方が酢が馴染み歯切れがよくて好き。でも今回は今夏初めての酢いかなので半日ほどで酢の物に使った。もちろん適当に切ってそのままでも充分にうまいのだけど、家族のことを考えると、どうしても夏野菜と組み合わせることになる。
 今回のものはミョウガと大きくなりすぎた旗野農園のキュウリ。ともに塩をして下味をつけ、いちど水洗い、よくよく水気を切り、仁尾酢で作った甘酢で酢いかとともに和える。この場合あくまでざっくり混ぜる程度がいい。

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 さて、これほど夏らしい料理もそんじょそこいらにあるものではない。だから夏には欠かせないもののひとつである。一度作ると一週間以上保つ、今週も酢いかを仕込まなければ。


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夏のハタハタ

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 真夏だというのに北海道噴火湾からハタハタがやってきた。鮮度はよいと思うのだが、触ってみてハリがない。またぬめりも少ないように思えるのだ。でも安いものなので好奇心から買ってみる。
 まずはムニエルにする。これは鮮度や脂ののりがイマイチのときには持ってこいの料理法である。またハタハタでは意外な料理法ながら、冬には多摩地区のフレンチのシェフの間で密かにブームとなっている。
 残念ながらバターや白ワインを使っても、この時期のハタハタのムニエルはあまりうまいものではない。酢締め、これももうひとつだな。唯一うまいなと思ったのはハタハタのよしる漬け(能登地方のイワシの魚醤)を干したもの。これは脂がなくても皮下に風味があっていい味わいだ。
 深夜に帰り着いて、ハタハタのよしる漬けを焼く。家族はとうに寝静まっている。日付では昨日の夕刊を読みながら、しみじみいっぱい、二はい、三ばいの酒を飲む。こんな寂しい夜に、時季はずれのハタハタというのも悪くはない。

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 八王子綜合卸売センター『高野水産』に時季はずれながら小振りの平貝が、たっぷり入荷してきていた。タイラギには貝殻の表面にトゲのあるものと、ないものとがあり、これが別種とされたのは近年になってからのこと。食べる限り両種にまったく差違はない。
 でもこれほどリシケタイラギばかりそろって入荷することはめったにないのではないか? しかも日本近海産貝類図鑑に瀬戸内海、有明海と書かれているにも関わらず三河産であるのも不思議だ。
 それで撮影用に何枚か買い求めてきてついでに味わってもみることにする。残念ながら真夏のリシケタイラギは身が痩せている。しかも旨味も甘味も今イチだとしかいいようがない。

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 リシケタイラギもタイラギも食べるのは少し時期を待てと言うことか?

リシケタイラギ
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タイラギ
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 徳島に来たらぜひお土産にしてほしいものが干しえびである。地物は一キロあたり8000円前後する高級品であるが、これほどうまいものはそんじょそこいらにはない。だからキロ当たり8000円は安いのである。これを何に使うのかというと、そのまま食ってもうまいのだが、何と言っても素麺つゆの出汁に使うのがいちばんである。

 徳島県人は素麺が好きである。だからボクも夏になると素麺つゆだけは欠かさない。ちなみに徳島で素麺と言えば半田町の手延べ素麺と決まっている。これが郷里貞光町の隣なのだから夏は毎日素麺の昼ご飯だったものだ。ちなみにときどき愛媛の色つき麺の混ざっているヤツも食べていたのだけれど、これもなんだか懐かしい。(今では半田町も貞光町も、つるぎ町)
 我が家の素麺つゆはいりこ、もしくはウルメ・カツオの混合節、干しえびのいずれかで出汁をとる。なかでももっとも味がいいのが干しえびのものだ。
 干しえびは昆布とともに水に漬けて冷蔵庫で2,3日置く。これを弱火にかけて1時間ほどでゆらゆら沸いてくるのを待つ。アクが浮いてくるので取り去り、干しえびと昆布を取りだす。ここに上質のカツオ節をひとつまみ。これで出汁は完成である。味つけは味醂を少し、少し沸かしてアクを取りながら塩と少量の薄口醤油を加える。つゆが出来たら出汁に使った干しえびはもどしておく。これが素麺をすすりながら食べるとうまいのである。

 最後にどうして素麺つゆにはカツオ節が向かないのかということを明確にしておく。簡単にいってしまうとカツオ節では旨味が重すぎるのである。この重さはカツオ節にあるたぶん酸味と甘味だと思われる。その甘味が少ない方がそれこそ清涼感を楽しむ素麺には向いているのである。

 さて、やっと猛暑の夏が関東にもやってきた。これから週になんども素麺が食卓にのぼる。素麺は低カロリーだし、野菜とも相性がいい。今年は素麺で痩せることにする。

●今回の干しえびの原料はアカエビだと思われる
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 各地の中央卸売市場で見逃してはならないのが関連店舗である。各地の中央市場を歩くと飲食店・食堂、酒屋にディスカウントショップ、ぜんぜん食品とは関係のないダンス教室やヨガや指圧、はたまた薬屋さんや郵便局など様々な店舗・施設が見られる。それがまた個性的で面白いのである。しかるに徳島中央卸売市場にあるのはいたっておとなしい店舗ばかり。見た限りでは薬屋さん以外は総て食料品関連。

 特に目立つのが練り製品を扱っている店舗。関東での薩摩揚げ(さつまあげ)は徳島を含む関西文化圏では「天ぷら」と言う。その天ぷらの徳島での基本形は上天という平たいのもと小判型のものである。

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 そこに徳島ならではという竹ちくわと魚カツがどの店にも山積みになっている。

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魚カツは魚のすり身にカレー味をつけてフライにしたもの。丸、楕円、四角がある

 そして赤板だ。これは要するに赤い蒲鉾なのだがどこかしら関東の紅白蒲鉾の「紅」よりもマゼンタが薄い。まさに桃色の蒲鉾なのである。これを安っぽい蒲鉾などと簡単に思われると困ってしまうのだ、徳島県人は。なぜならば徳島うどんはこの赤板なくしては「徳島うどん」とならないからである。店先に並ぶ赤板の量に徳島うどん健在の証を見るのである。

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子供の頃、これを「いたつけ」と呼んでいた。今でもそう言うのか確かめられなかった。小田原などで作るものよりも甘口で足(弾力)が弱い

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 乾物の店も多く、目立つのは鳴門ワカメである。鳴門ワカメといっても他県や輸入ものを加工したものもあるが、ここには地元のほんまもんがあるはずである。岡山中央卸売市場で見たと同様にここにも「でべら(タマガンゾウビラメの乾物 広島県尾道産)」はある。これは明らかに瀬戸内海的な産品であるというのを知って置いて欲しい。
 板東商店などには小松島や阿南などでのちりめん(関東でのしらす干しのよく乾いたもの)、干しエビが何種類か置かれている。この小松島のちりめんは京都などでもっとも高価に取り引きされるもの。炊きたてのご飯に山盛りにのせてスダチを搾るというのが、ちりめんの徳島風食べ方である。

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 また沖州市場を特徴づけるのが肉屋の少なさだろう。青果、水産とあっても精肉などの卸は数店舗あってもしかるべき。それが一店舗しか見つけられない。またコロッケなどの揚げ物を売る店が一店舗。

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 菓子や弁当、パンなどを扱う仲卸も一軒みつけた。そこには徳島ならではの生姜風味の焼き菓子、おへぎ(おかき)、ういろうがある。この蒸し菓子のういろうも徳島のものは独特の素朴な味わいのものだ。また眉山名物の「滝の焼き餅」を思わせる和菓子もある。

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阿波の焼き菓子というのも徳島ならでは。生姜の香りのする素朴なお菓子で、これを食べると祖母を思い出す

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徳島のういろうはとても素朴なもの。小豆の風味があって美味。ボクはこれが大大大好きなのだ。

 この食料品売り場を歩きながら疲れからか立ちくらみがする。そこで市場の薬屋で250円なりの栄養ドリンク。姫に「お父、がんばれよ」と言われて、市場を後にするのだ。

徳島中央卸売市場 徳島県徳島市北沖州4の1の38
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/chuo_ichiba/index.html
徳島大水魚市
http://www.tokushima-daisui.co.jp/
徳島魚市場
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