2009年6月アーカイブ

 最近マンボウの入荷が多い。
 それで、ついつい毎日のように買ってしまう。
 マンボウは“身と肝のセット”と“腸”に分かれているのだけど、買ってしまうのは腸、すなわち「マン腸」だ。

 普通の人にとって、食用として市場に並ぶマンボウって、珍しいのだろう?
 観光で築地などを歩いている、いわゆる一般人が、マンボウの(残骸の)前に来ると必ず足を止める。
「マンボウって食べられるのね!」、こんな言葉が必ず漏れ聞こえてくる。
 さて、マンボウと書かれた箱には、白っぽい不思議な物体が入っている。なんじゃこれは? マンボウにはとても見えやしない。

 マンボウは鉛色の背に、銀色の腹、楕円形で尾の部分がハサミで波状に裁ちきられているようだ。
 英語ではOcean sunfish、「大洋の太陽の魚」だ。
 世界中の温帯・熱帯の海洋を漂よっている。大洋に浮かぶ銀色の身体に太陽の光を受けて、まるで海にも太陽が浮かんでいるようだ、ということだろう。
 そんな海に浮かぶ太陽は、ときに定置網に入り込み、ときどき漁師に銛を打ち込まれる。
 大きな大きな魚なのであって、小さくても畳半畳、デカイのになると畳二畳、1.5トンくらいになる。

 港などでコンクリートの上に放り出されたマンボウの、大きく見開かれた目が、印象的で、ときに悲しい。
 こんな大きな体ではとても運べやしない、港で水揚げされると、さっそくマンボウは解体される。
 食べる部分は【手で割けるほど柔らかい身】、【脂たっぷりの肝】、【ぶにょぶにょしているが丈夫な腸】、そして地域によっては【皮というか白い寒天質の部分】。肝は黄色だが、その他総てが乳白色だ。
 漁港では身と肝で箱詰めされ、腸だけは別に箱詰めされる。
 市場にやってくると、中身だけでは、とても「これがマンボウだ」なんて思えない。
 関東の市場ではありふれた商材だけど、例えば仲卸(水産物の卸業者のひとつ)の店員に「マンボウ1キロくらいくれないか」と言う。
「はいよ」と、身と適当な大きさの肝を袋に詰めてくれる。
 その一連のやり方はテキパキ手なれたものだが、「マンボウの身って面白いっすね」なんて言うことも少なからずだ。
 市場人にとってもマンボウは、ふわふわとらえどころのない物体なのだろう。

 マンボウのもっとも基本的な料理法は「肝和え」。
 身を適当に手で割き、叩いた肝と和える。
 海辺で揚がったばかりを肝和えにしたものは、それはそれはうまいものだ。
 ただマンボウの水分の多い身は鮮度が落ちやすく、都会に運ばれた時点で、やや生臭い。
 都会の居酒屋で食べる「マンボウの肝和え」、それなりに人気があるようだが、これは珍しさが先にたってのものだろう。
 対するに最近ぐんぐん人気となっているのがマン腸料理だ。
 腸の中華炒め、焼き物、椀種など、どれをとっても非常にうまい。
 なかでももっとも人気なのが焼き物だろう。

 ようするに塩コショウ、ニンニクの風味などをつけて焼くだけ。
 焼きとりのタレで焼いてもいい。
 串を打って焼くと、初めて食べる人は、焼きとりのシロのようだけど、「違うな」なんて戸惑うに違いない。
 食感はシロに近く、それよりも柔らかい。そして魚と言うよりはイカのような旨味がある。

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 ボクは夏が来るたびにマン腸の塩焼きでビールを飲む。今日もマン腸、明日もマン腸で食べ飽きない。
 ほんまにマン腸はうまいね、なんてしみじみ思う。
 マン腸はビールにも日本酒にも合う。
 酒をセーブしている身には危険な存在でもあるな。

【焼きマン腸の作り方】
1 マン腸は厚み1〜2センチほどの白い長方形の物体である。大きさはマチマチ。これを軽く水洗い、水分を布巾などで拭き取り、適当に繊維に対して切れ目を入れておく。
2 塩コショウ、日本酒、ニンニクすり下ろしをまぶして手で揉む。

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3 これを最低でも小一時間おく。下味をつけておくと2,3日楽しめる。
4 ガス台の上に餅焼きの網を3〜5枚重ねて、強火で金ぐしに刺したマン腸を焼く。とにかく短時間に強火で焼くのがいい
 個人的には身が縮むがよく焼いた方が好き。焼き加減は好みでいろいろ試してみるといい。

2009年6月25日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マンボウへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 土曜日の早朝のことだ。
 何気なく『マル幸』の前を通りかかると、冷蔵ケースの端っこになかなかいい感じのアカムツを発見した。
「いいアカムツだな」
「いいだろ」
「3800円(1キロあたり)かー。やっぱりいい値段だねー」
「いい値段だろ。でもまけないよ」
「どこ産」
「“さがら”ってあったけどな。どこでしょ?」
「静岡県の相良なのかな。それは珍しいや。仕方ない買おうか」
 ボクと渡り合っているのが『マル幸』のクマゴロウ。
 まあ、駆け引きの相手としてはそんなに手強くない。
 小振り、280グラムしかなく、それでも1本1000円はする。
 これを少々オマケして“いただく”。
「ありがとうね。またまけろよ」
「いやなこった」
 このアカムツが値段はともかく、この日の寂しい入荷状況の中では唯一よかったのだ。

 アカムツは近年ではもっとも値段の高い魚のひとつだ。
 福島県、新潟県以南のやや深海に生息している。
 そんなに珍しい魚ではない。
 底曳網か、釣りでとるのだけど、産地では姿を見ない日はない、というくらいに揚がる。
 ただ、問題なのは、とにかく非常にうまい魚だということ。
 当然、うまい魚だから食べたい人は多い、その需要を満たすほどにはとれない。
 この需要と供給のバランスの崩れが高値となって現れているわけだ。
 冷静に考えてみるとアカムツのうまさと、秋、旬のサンマのうまさを比べると、そんなに大きな開きがあるわけではない。
 あえて言えば五分と五分。
 ところが方や貴重品、方やワンサカとれるとなると、価格は月とスッポンなのだ。
 なかなか手に入らないものは、よけいにうまく感じるのだろうか? 人間というものは。
 そうだ、忘れていたアカムツが高いのは姿がよいからでもあるな。
 鮮度がいいと身体全体が、まさにルビーの輝き、目がこれまたルビーのようだ。
 あっといかんいかん、またまた書き忘れたが、この魚、近年はアカムツというよりは「ノドクロ(喉黒)」といった方が通りがいい。
 ここで「なんだノドクロかー」と思われた方はなかなか魚に精通している。
 まあ、玄人はだし、とまではいかないが、玄人モドキくらいには思える。
 「喉黒」のいわれは、喉から腹腔まで真っ黒な剥がれやすい色素が張り付いている。
 まるで「墨を飲んだような魚だな」という人もあり、至言。
 美しい姿に真っ黒な腹の内、食べたらうまい、というのもなにやら妖艶ではないか。

 アカムツの旬は寒い時期だろう。
 ちょっと時季はずれながら、脂がのっている。
 意外に味が落ちないのも、この魚の特徴だろう。
 これを焼き切りにする。
 皮目下に旨味があるので、これがいちばん好きな食べ方。
 やはり、脂ののりはイマイチながら、やっぱりアカムツはうまいな。
 皮下に脂と旨味がある。
 これで辛口の酒があって、土曜日の夕べはなかなか充実していた。
 まんぞくまんぞく。
 脇で梅がアカムツの端っきれを食べている。食べ終わって、なおかつアカムツのあったところを何度もなめている。やっぱり梅ちゃんは魚の良し悪しがわかる、天才アイドル猫なのだ。

【アカムツの焼き切りの作り方】
1 水洗いし(鱗とはらわたを出し)三枚におろす。肝は捨てないで取り分けておく。腹骨、血合い骨を抜く。
2 べた塩をする。ようするにたっぷり塩を振りかけるといい。
3 三枚に下ろした身から水分が浮き上がってきたら、水洗い。水分をよく拭き取る。
4 金ぐしを刺して、強火であぶり、冷水に落とす。肝は湯引きして冷水に。
5 刺身状に切る。肝と柑橘類を添えて出来上がり。
 単に柑橘類をかけて食べるのがいちばんうまい。
 塩気が足りなかったら、柑橘醤油で。

2009年6月20日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカムツへ
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 イネゴチを買った。
 コチの仲間で一般的に食用とするのはコチ(マゴチ)とイネゴチ、ワニゴチの三種。
 コチの存在が突出しており、同じように見えるワニゴチ、イネゴチは入荷してきても、コチモドキ的な存在だろう。
 値段からしてコチの半分くらいしかしない。
 愛媛県八幡浜からまとまって入荷してきたのを見つけて、腹を触りながら、どれくらい成熟しているのか、知りたくて、1本買い求める。
 キロ当たり1000円ほどで400グラム弱。
 一本400円でおつりが来る。
 下ろすと、残念ながら雄で白子を抱えている。
 コチ科の魚は真子がうまい。
 まあ、白子だってうまいもんだよ、と我が家独特の下ろし方で、白子をそのまま残して、頭部と腹を一緒に裁ち落とす。
 これを片身とともに海老名の海老さんからいただいた塩麹に漬けて、軽く干す。
 塩麹とは、たぶん麹に塩、水分を加えて軽く発酵をさせたもの。
 新潟から山形にかけて、よく食べられている三五八漬けに近いものだと思われる。
 違いは餅米の存在ではないだろうか? どろっと乳白色のものをスプーン一杯味見に食べると、甘みがある。

 干すときにも焼くときにも麹はあえて落とさなかった。
 ただ粘度が弱いので、そんなに表面にはついていない。
 この塩麹干しがうまいのだ。
 イネゴチはコチ類ではそんなにうまいとは思えない。
 脂がないので焼きたてをかぶりつくように、食らうと、芳醇な麹の香りと甘みがきて、イネゴチの白身の部分はつけ足しのようだ。
 救いはイネゴチは真子だけでなく、白子だって、うまいのだということを、改めて確認できたことか。
 このように淡白すぎる魚の味を補うには、やっぱり発酵食品がいちばんいい。

 イネゴチよりも塩麹に感心する一品となったが、このような優れたものを探し出してくる海老さん、やるじゃないの! そして、ありがとう!

2009年6月21日
ふじの木農場 新潟県三条市西潟
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 車切りの後に20センチ以上の見事な雄バスの塩焼きが出てくる。
 下あごにくっきりと追い星が見える。
 背ごしには骨の軟らかな雌を、塩焼きには骨は硬いものの身にうまみのある雄を使う。
 たぶん火力の強い熱源で急速に焼き上げたものに違いない。
 包丁目を入れた切り口が、きつね色に盛り上がっている。
 箸をつける前から、香ばしい旨味をともなった香りが立ち上がってくる。
 覚悟はしていたものの、雄バスの小骨の多さ、小骨の硬さはかなりのもの。
 その小骨の煩わしさを、厭い忘れるほどに、この塩焼きはうまい。
 例えば活けのスズキを焼くと、ときどきこのように絶品となるが、それ以上に独特の風味があってハスはスズキに優る。
 身に甘みがあって、皮の香ばしくうまいことは名状しがたい。
 二杯酢が添えられていたのだが、初手こそ形ばかり浸したものの、むしろ邪魔にすら思う。

 塩焼きを、いつの間にか手づかみで食らっていて、指が塩だらけとなる。
 おしぼりで指を拭き、ぬぐっているところに、若い女将さんが、
「ハスを見ませんか?」
 呼びに来てくれる。
 ついていくと、青いバケツをもって、ご主人が立っている。
 のぞき込むと、そこには大振りの雌が1尾。
「車切りにする雌です。これが、なかなか手に入らんのです」
「ちょっと赤いんですね。ふっくら太っているようだし」
「春から、今くらいまでが、いちばんええときですな」

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 この『やまに』は江戸時代には京都二条城に魚を納めていたという。
 それで山に二条城の「二」で屋号となったという。
 現在京料理というと、若狭の「ぐじ(アカアマダイ)」やハモなど海魚が有名であるが、本来内陸の都で食べられていた魚は淡水魚が中心であったはず。
 フナ、コイなどは琵琶湖からの輸送にも耐えただろうし、イサザ、モロコ、アユなどは加工品として京都に送られたのではないか?
 ここで戦国時代に思いを巡らせると、織田信長は尾張の人で、尾張は淡水魚を盛んに食べていたはず。
 永禄11年(1568)京を牛耳っていた三好氏を追い落とし入洛したとき、都で食べたのも淡水魚(湖魚)だったのではないだろうか?
 三好氏に使えた料理人を召し出し、料理を作らせる。これが水くさくてまずいというので、切れと命令したとの逸話が残る。
 この水くさくて薄味だというのは、尾張地方の淡水魚料理、ふなみそや甘煮などに比してのことで、京都・琵琶湖周辺の淡水魚料理の薄味であったことを言っているに違いないのだ。
 この料理人は信長好みの料理を作り直して許される。

 閑話休題。
 塩焼きの後には魚田がきた。

2008年7月21日
滋賀県米原市世継736
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハス
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参考/『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会編 サンライズ出版)


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ナガメバル騒動記

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 生物にも「珍しい度」というのがある。
 それこそ深海にしかいない珍妙奇怪な魚とか、南極海にいかないと見つからないものとか。
 いろいろあるけど、とにかく探そうにも探せない。
 例えば、国内ではまだ数個体しか見つかっていないともなると、「珍しい度」がもの凄く高いということだろう。
 さて時間を金曜日にもどそう。
 北海道紋別市(オホーツク海に面している)の『まるとみ渡辺水産』さんから、
「一見メバルっぽいんですけど、漁師も港の人間も誰も見たことのない魚がとれまして、送りましたので種名がわかりましたら教えてください」
 との話が飛び込んできた。
 このとき、なんとなくナガメバルではないか、と思ったのだ。
 理由がなくもない。
 先週、アカガヤが入荷してきており、当然、魚類検索をひらくことになる。メバル類の検索過程でいつも真っ先に目に飛び込んでくるのがナガメバルなのだ。
 この魚がまことに正体不明。
 どうにも情報が手に入らない、という代物なのだ。
 魚に興味がある人なら、解説を読んだだけで、非常に珍しいに違いないとピンとくるはず。

 そして日曜日の午後、やってきたのがまさにナガメバルだった。
 たぶん国内では2個体目、もしくは3個体目だろう。
 珍しいからといって珍妙な姿をしているわけではない。
 平凡過ぎるほど平凡な姿だ。
 ここで「珍魚、必ずしも珍妙ではない」という格言を残しておきたい。
 ここでいつもなら魚類学の専門家に食べてもいいか、問い合わせるのだけど、検索はいたって簡単だった。
 珍しさよりも、味を確かめて見たいというのを優先することにする。

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 少量の刺身、塩焼き、これが非常に美味だった。
 魚類学者のみなさん、ナガメバルはもう一切れしか残っていません、悪しからず。

2009年6月21日
まるとみ渡辺水産
http://marutomi-kani.com/
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イネゴチのページを改訂
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アカムツのページを改訂
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ヒラメのページを改訂
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マフグのページを改訂
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ナガメバルのページを作成
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掲載種 2011


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築地土曜会を7月4日に行います。
場内を回る店員は自由枠以外は満杯となりましてが、懇談会のみの参加は募集中です。
今回から、参加者にはぼうずコンニャクバッジをお配りします。
また場内のお魚の試食、お土産つきです。

興味のある方、質問などは。
掲示板に参加してください。
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
詳しいことは
http://csi.or.tv/tsukiji/doyoukai.html


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 地方に行くと必ず立ち寄るのがスーパーマーケットだ。
 あくまでも「スーパー」ではなく「スーパーマーケット」なので悪しからず。
 この両者の違いは「スーパー」は全国展開のチェーン店舗、「スーパーマーケット」は地元系と、ボクが勝手に決めている呼び分けなので、変に追求しないように。
 さて、尾鷲市のスーパー「サンバード」もなかなか楽しかった。
 なによりも鮮魚、水産加工品が充実している。
 同行したやがらさんなど、途中にあった道の駅で売られているものと同じなのに「半額だよ、半額」なんて目の色が変わってた。
 そこで地味なんだけど、惹かれるものが「シイラミリン」と書かれた「シイラのみりん漬け」だ。

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 手にとってカゴに入れるには理由が必要となるのだけど、この「シイラミリン」には本当にみりんが使われている。
 当たり前だろ、と思われる人は水産加工の素人だ。
 「みりん漬け」とか「みりん干し」とか「桜干し」なんて加工品はあくまでも商品名なのであって、商品の原材料を正確に表すものではない。
 「みりん○○」の多くが砂糖とか水飴を使って甘みを出している。
 しかも「シイラミリン」の裏面の原材料をもっと詳しく見ていくとシイラは尾鷲産というのがいい。
 この朝、大量に水揚げされるシイラを見ているので、これだけもスンゴイ魅力を感じてしまう。
 旅人の理想は港で水揚げを見て、水揚げされた魚を即食べられる、実際に買って帰れるということなのだ。

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 買って帰ったら味の方もなかなかよかったのだ。
 みりんを使うと硬くなりがちなのだが、しっとり柔らかいし、甘さが控えめなのがこれまたいい。
 スーパーマーケットで格安で買ったのに、これほど上物であるというのが、またうれしい。

 こんなささやかなことだけど、旅人の熊野感というか東紀州感というのは、こんなものでよくなるのだ。

岩田昭人さんの「一日一魚」
http://www.pref.mie.jp/OKENMIN/HP/ichigyo/
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 ほどなく冬瓜の煮物と湖産鮎の山椒煮がきた。
 実をいうと若女将に「飲み物はどうしますか?」と聞かれて、午後にかけての日程から「お茶にします」と言ったのが、ここでぐらついてくる。

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 鮎の山椒煮がうまいのだ。
 炊き方(関西なので)は平凡ながら、炎暑を来た身に山椒の香りが心地よい。
「冷やが欲しいな」
 なんとほんの数分で初志が崩れてしまう。

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 そして車切りがきた。
 背ごしに切った雌のハスを、洗いにしている。
 口に入れるとコっと一瞬、骨が歯に当たる。
 ハスにはまったくクセも臭いもない。
 むしろ淡い旨味がツンと浮かんできて、はかなく消え去ってしまう。
 消え去ったら、またもどかしく数切れを口に運び運び、これは夏らしい味わいだと、我知らず喜びがこみ上げてくる。

 ハス料理が食べられるのは琵琶湖周辺でも、米原市世継周辺のみだったらしい。
 何軒か軒を並べていたハス料理を出す料亭が、今では『やまに』一軒のみとなっている。
 これは時代とともに人の嗜好が移り変わってしまったことも理由に挙げられよう。
 だがしかし、ハス料理が衰退したもっとも大きな理由は、ハスそのものがとれなくなったからであるようだ。
 生きているハスがなければハス料理は作れない。
 その生きているハスの確保が難しいらしいのだ。
 部屋のすぐ西にある琵琶湖、そこに定置網の一種、えりが見える。
 天野川河口はその昔ハスの宝庫であったという。
 船一艘見あたらない湖面にその面影はない。

 産卵期を目前にして、もっともハスがうまくなるのが4月から7月まで。
 そのハスの十尾に一尾しかとれないのが雌だという。
 生きている雌でしかできないのが車切りであって、めったに出合えない一品なのだ。
 その点、今回はついていた。
 しかも名物にうまいものなし、の真反対、車切りの非常にうまいのにも驚く。
 
2008年7月21日
滋賀県米原市世継736
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 徳島県人は竹輪好き。
 なぜなら子供の頃から竹輪をおやつ代わりに食べているから。
 名物の竹の棒に巻きついた鄙びた竹輪とか、刻んでうどんに入れる竹輪とか。
 ほんまに竹輪はうまいよな。
 でも気に入らないのが関東のちまちました生食用の竹輪。
 これじゃ、竹輪のよさがどこにもない。
 もっと素朴で、味のいい竹輪が食べたい。

 そんな日々のなかで銀座にある熊本県のアンテナショップで見つけたのが、日奈久竹輪というもの。
 日奈久とは地名であって、熊本県八代市というからには前に見えるは八代海。
 エソやグチ(ニベ科)なんかが豊富にとれるところだ。
 5本入りのパッケージにも味がある。
 しかも1本100円というのがうれしい。

 さて、5本丸ごと皿に盛り食卓に。
 丸かじりした竹輪の甘みが控えめで、なかなか魚らしい風味があっていい。
 竹輪としては軽い味わいなので、いくらでも食べられるという感じだ。

 竹輪好きが日奈久竹輪発見2009年6月9日とでも書いておきますか。

2009年6月9日
日奈久竹輪今田屋
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アカガヤ発見!

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 地味なんだけど珍しい魚というのがある。
 珍しいにもいろいろあり、それこそ年に数尾くらいしか入荷してこないとか、手に取ったら過去数個体しか見つかっていない、というのもある。
 アカガヤも関東の市場では珍しいのだけど、たぶん北海道などでは雑魚のたぐい。
 「ときどきまとまってとれるので、そんなときだけ出荷してみよう」、産地では、このような存在なのだろう。
 しかも困ったことに、地元の人にも、この雑魚がなんだかわからない。
 標準和名(図鑑などに掲載される)はもとより、日常的な呼び名すら曖昧だったり。
 出荷するときにも似たような魚の名前をつけてだす。
 今回は根室からきたもので、箱には「柳の舞」とある。
 標準和名のヤナギノマイとは似ていることは似ているが別物。
 でも市場関係者で何人が「別物だ」と気づいただろう。

 アカガヤは抱卵しており、体長20センチ弱と形が揃っている。
 仲卸で1箱1500円(キロあたり300円)というのも安すぎる。
 安すぎる原因は体が柔らかく、鮮度がイマイチなのもあるが、やっぱり正体がわからないからだろう。

 ともかく久しぶりにアカガヤ発見!
 買い求めてきて、丸揚げにして食べたら、子供達が大喜びだった。

2009年6月18日
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 3キロのイトウはマリネーにして、刺身、フライ、ムニエル、塩焼きなどいろいろ試行錯誤。
 それでも余ったので、中華『さくら』のまささんに丸投げ。
「どんな料理でもいいから、後はよろしくね」
 この“後はよろしくね”がボクにはいいんだよな。
 翌日、『さくら』に入るや、「あれ、どうなった」というと、まささんが、
「いろいろ考えたさ、ちょっと待ってなよ」
 なんていいながら、フライパンに下味をつけたイトウの切り身を並べ、最後に皮をかりっと焼き上げる。
 一方の火口で少量の肉と野菜を炒め、ホワイトソースをつくる。
 ようするにホワイトソースにイトウを乗せただけなんだけど、きっと、ここにはまささんの創意と工夫があるはずだ。

 まずは皮から攻めてみる。
 皮は二層になっており第一層はぱりっとして香ばしく、第二層は脂を感じる、ゼラチン質ともいえそうな部分で、濃厚な旨味がある。
 この香ばしさ、二層になった複雑なうまさに夢中になる。
 ホワイトソースとからめると、これがまたいい。
「だめだめ、なにしてるの。皮ばっかり食べちゃダメだろ。皮を小さく切って、身と配分して食べなきゃ。困るな素人は」
 もう遅い。
 身と、残ったホワイトソースで、ご飯を一膳。
 なんという絶妙なバランスだろう。
 ご飯ととともに食べても、これまた素晴らしい。

「オカアサン、お茶と、漬物もよろしく」
「まささん、あとスープ、スープ、スープが来てないよ」

●注/八王子総合卸売センター中華『さくら』では毎日日替わりで、うまい定食を出してます。我がままを言わないお客大歓迎だそうです。ボクを見習え!
5月26日
八王子の市場に関しては
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 三重県尾鷲の旅は面白かった。
 岩田昭人さんに会えただけでもうれしかったのに、いろいろ教えていただいて、これがまた新鮮でもあった。
 帰路につく時間がせまったとき、岩田さんがなにやら真っ白で不思議な物体をお土産に持たせてくれる。
「これマンボウの皮」
 岩田さんの顔に、わずかばかり、いたずら小僧のような笑みが浮かんでいた。
 帰宅してから、もう一度岩田さんに食べ方など問い合わせてみる。
「真っ白い固まりでしょう。薄く切ってから湯引きしてください。それを酢みそで食べるだけなんです。これといって味はないんですけど、夏らしいっていうんかな、まあ食べてみんとわからんでしょうね」

 真四角な固まりを取り出すと、滑りがあるわけでもないのに、ツルっと滑っていく。
「おいおい待て待て」という具合に追いかけて、つかまえて薄くスライスする。
 これをほんの数十秒湯引き。
 辛子酢みそに乗せて食卓に出す。

 辛子酢みそにからませようとすると箸から逃げる。
 だましだまし口に放り込むと、酢みその味がして、噛むとじわりと何かが出てくる。
 甘いといえば甘いし、魚の旨味らしいものだといえば言える。
 まったく生臭みのないもので、食べた後味が爽やかである。

 これはもっぱら酒の肴だと思ったら、姫が生醤油につけつけ、レモンなどをしぼって食べている。
「おいしい?」
「おいしくない、けど食べちゃうな」
 それなら食べなくてもいいでしょうに。
 マンボウの皮は不思議な味だ。
 ふと岩田さんの、いたずら小僧のような笑みを思い出すのだ。

岩田昭人さんの「一日一魚」
http://www.pref.mie.jp/OKENMIN/HP/ichigyo/
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hiramasa0906.jpg

 撮影用に一キロ弱のヒラマサを買う。
 大分県産であり、鮮度がよくイエローのラインがきれいだ。
 すばらしい画像がとれたけど、このサイズではうまくない。
 今回はちょっと一工夫してマリネーにする。

 最初にヒラマサは三枚に卸して皮を引き、振り塩をしておく。
 半日ほど寝かせる。
 白ワインと白ワインビネガーを合わせて煮立たせる。
 冷まして、塩コショウ、タイムで香り漬ける。
 塩を洗い落として、約一日マリネーして出来上がりだ。

 まだ若いヒラマサは、こんな料理の方がいい。
 もっともっと鮮度がよければ刺身にしてもいいのだが、関東に送られてきたものでは、なかなか眼鏡にかなったものは見つからない。
 マリネーに日本酒でもないだろう。
 今回は泡盛。
 ボクにはワインは似合いません。

6月7日 
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 まるで民謡を思わせる名の「トゴットメバル」。
 なぜ、民謡なのか、というとボクが勝手に“かけ声”というか“合いの手”、例えば「とごっと、とごっと、よーいのせ」が浮かんでくるだけだ。
 そして、見た目が可愛らしいのだが、ウスメバルと比べて、脇役に思えて仕方がない。

 ただ味の方はなかなかあなどれない。
 大きくなってもせいぜい20センチオーバーだが、きめ細やかな身質で、料理を選ばず美味である。
 コイツを築地場内で見つけた。
 近海ものの、大きな単位を扱っている店で、5キロ箱に8尾だけ残っている。
 キロ当たり1000円はウスメバルの半額以下だろう。
 仕事に向かう途中なので全部は無理だ。
 おずおずと、「半分買えますか?」とたずねると、「できたら全部買いなよ」というのを「仕事があるので、なんとか半分を」。
 無理をおして4尾買い求めてきた。
 当然、産地なんか聞けるわけがない。
 たぶん駿河湾産だろう、そんなことを思いながら帰ってくる。

 さて作りますものは、定番中の定番である煮つけ。
 水洗いする。
 湯引きして、鱗などの汚れをとる。
 みりん、酒、醤油、砂糖少々を煮立たせて、放り込み。
 強火のままさらっと煮つける。

 きめ細やか、しかも適度に繊維質の身がほろほろと甘みがあってうまいね。
 しかも煮汁に旨味が出ていて、これに身をほぐしほぐし食べると最高だ。
 ご飯にも酒の肴にも、どっちでもいいのだが、平日なので、煮汁で飯をかき込む。
 当然一膳だけ。
  
2009年6月9日
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6月15日の食日記

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 朝方、6時前に起きる。
 昨日(本日)は結局、尾鷲の甲殻類の撮影を半ばまでで断念。
 朝ご飯は尾鷲で買った、間引き大根のぬか漬け、生卵、シイラのみりん干し、尾鷲で買った豆腐、ご飯、具だくさんみそ汁。
 午前8時過ぎまで画像整理。
 その後市場へ。

 市場には根室から青マス(カラフトマス)が来ており、買うべきか悩んだ末に断念。
 尾鷲から持ち帰ったベニテグリ、ワキヤハタ(ショウワダイ)を『市場寿司 たか』にもらってもらう。
 本日多忙につき致し方なし。
 ベニテグリとワキヤハタを握りに。
 ともに二かん。

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 お隣の『さくら』でお茶。
 濃いめでうまい。朝から牛肉飯を食べている人がいて、うらやましくなる。

 午前中、撮影、画像整理。ときどき仕事。
 正午過ぎ、カツオのはらみ干しでご飯。
 午後も撮影、撮影、画像の整理。
 夕方一度中止。

 夕食はゼゼラの佃煮、チンチロイカ(スルメイカの子の塩煮)、タチウオのみりん干し、竹輪、鶏の唐揚げ、チルドシュウマイ、岩田農園のキュウリ・ロメインレタス・ニンジンのサラダ、ソーメン、ご飯。

zezera.jpg
海老名の海老さんにいただいた山椒の実でたいたゼゼラの佃煮。海老さんへのお返しは、これだな。「さくら」に預けて置くからいつでも取りに来てね

 食後も撮影、画像の整理。

本日撮影した魚貝類/
ニゴロブナ、ゼゼラ、ビワマス
トゲヒラタエビ(?)、イガグリエビ、オウストンガニ
ヨメヒメジ、ワキヤハタ、オキヒイラギ、ヤセエビス

ousuton0906.jpg
これってオーストンガニでいいんだろうか? 難しいな

 午後10時前疲れててダウン。
 一日中慌ただしい日だった。
 文庫本をときどき読む以外に、テレビもラジオも見ず聞かず、新聞も読めなかった。
 ただ今、体重91キロ。

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琵琶湖、尾鷲の旅

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 深夜東名を西に向かい。初めて入る伊勢湾岸道路、亀山から新名神、突っ切ったところが草津で、少し北上すると栗東インターとなる。

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 滋賀県でも守山市は初めての土地。
 ここで湖魚を見て、ふなずし体験。

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 午後となり、「かたた屋」にておいしい昼食と湖魚料理。
 午後長けて、尾鷲に向かう。

 たいした渋滞もなく、午後5時過ぎには尾鷲に着く。
 なによりも岩田昭人さんに会い。
 温泉につかり、尾鷲の魚を飽食した。
 痛飲、痛飲で、いつの間にか布団にくるまっていた。

 翌日曜日。
 午前6時前には尾鷲漁港。

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 熊野灘の海の幸に驚きを感じつつ、興奮して絶句。
 岩田昭人さんをして『一日一魚』の題材に事欠ぬ理由を知る。
 尾鷲の珍魚、珍エビと対面。

iwata0906.jpg

 その後、岩田さん自慢の農園に移動。
 いろいろ珍しい野菜を見て、また頂き。
 再度温泉。

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 お昼は尾鷲の、すし屋「一重」にて尾鷲の地魚すしを堪能した。

 帰路、少々渋滞に巻き込まれて、深夜0時過ぎに帰宅する。
 疲れたことよりも、興奮さめやらぬ旅となる。

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ホッキのかき揚げ

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「なんだかぱっとしないね」、近所の魚屋さんと、つい愚痴をこぼしてしまう。
 このところ市場にはめぼしいものが、まったく見られない。
 なにも買わないのも寂しいのでウバガイ(ホッキ)を三つ。
 三つで一キロ近くある。
 キロ当たり800円なので一個では240円くらい。
 考えてみると、高価なものなのだ。

 しかも本日作りたいものが、かき揚げときている。
 関係ないけど、夕食のメニューというのが、「ポトフ、スパゲティ(ポトフ用)、ぺちゃトンカツ、カナダスポットの焼き物に湯引き、刺身、ホッキの湯引き、そしてヒモと貝柱のかき揚げ、生トマト」。
 ウバガイとカナダスポットは撮影用という役割もある。
 『市場魚貝類図鑑』の画像を大きくしているので、二枚貝の撮影法も変えようとしているのだ。

 さてさて、ヒモと貝柱は湯引きして、冷水にとる。
 よく水分を取り去り、ミョウガ、セロリの葉と茎と合わせて、少々塩味をつける。
 後はかき揚げに。

 二枚貝のヒモや貝柱は揚げると、なかなかいい味なのだ。
 表面かかりっとしていて、なかから旨味のある貝らしい味が出てくる。
 そこにミョウガとセロリの香り。
 夏らしいかき揚げとなって、今年初めて出してきた扇風機に当たっているのだ。

2009年6月11日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ウバガイへ
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 湖東天野川ほとりに世継ぎという不思議な名の集落がある。
 ここには、その昔「ハス料理」を名物にする料亭が軒を並べていたという。
 そして今に残るのはたった一軒のみ。
 それが『やまに』である。
 江戸時代には二条城に魚を納めていて、そこから山に二条城の「二」を頂いたものだとのこと。

 米原駅からタクシーで数分で琵琶湖に出る。
 少し北上すると、天野川の橋を渡り、川にそってくだると店の前に出る。

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 まさに琵琶湖畔にある。
 天野川では数人の釣り人が湖産アユを釣っており。
 河口に向かうと、思った以上に大きい琵琶湖が見える。
 ちょうど正面に「えり」が見える。
 要するに定置網のことで確か俳句の世界では「えりさす」というのが春の季語であるはず。

biwakosanai0906.jpg

 思ったよりも新しい無愛想な建物の表に「やまに」と看板がある。
「ごめんください」というと若い可愛らしい女将さんが迎えてくれた。
 部屋に通されて、その二方から琵琶湖が望める。
 品書きを見せて頂き、当然ハス料理のフルコース。
 そこに「車切りだけはどうしても食べたいとお願いする」
「車切りはめったに出来ないんですが、少しお待ち下さい」
 待つこと数分、おしぼりを持ってきてくれて、「車切り大丈夫です」とのこと。

 さて、ここからハス料理のフルコースが始まるのだ。

2008年7月21日
滋賀県米原市世継736
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハス
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サザエのページを改訂
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ボラのページを改訂
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スズキのページを改訂
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/suzuki.html
サヨリのページを改訂
http://www.zukan-bouz.com/fish/datu/sayori.html

ココノホシギンザメのページを作成
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イトウのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/sake/amemasu/itou.html
アメリカウバガイのページを作成
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掲載種 2010


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 1990年代半ばに国内(東京湾)で発見されたアメリカ原産のホンビノスガイが、このところ急速に増えている、らしい。
 なぜ、そう思うかというに市場で毎日のように見ているからだ。
 アサリがない日はあっても、ホンビノスガイを見かけない日はまずない。
 キロ当たり600円ほどだから、安いと思って買うと、非常に歩留まりが悪いので、バカガイなどと比べて、単価を二倍にして、まだ割高感がある。
 例を取ると、ホンビノスガイがキロあたり600円なら、実質的な価格はこの2倍半くらいを考えていい。
 すなわちキロ当たり1500円くらい。
 貝殻が厚くて、歩留まりが悪いというとウチムラサキを思うが、それ以上にこちらの方が貝殻が厚い。

 最近わかってきたことだが、ホンビノスに限ってはあまり大きいものはよくない。
 特に酒蒸しとか焼くとかするなら、手の平にのせて、4つ、5つというのを探す。
 手の平に2つ、3つで持てあますほどだと、身が硬くなり安く、料理しづらい。
 今回のものは5つほどで1キロを超える。出来たら買いたくない代物。
 小振りのウバガイ(ホッキガイ)くらいある。
 貝をむき身を取り出すのがちょっと大変。
 貝棒で割りながら、なんとか剥き、足の部分を半割にして、ワタはそぎ取り、捨てる。
 ヒモや貝柱と軽くゆで、水分を拭き取り、まな板の上でトントンとたたく。
 無駄な水分が抜けるとともに柔らかくなる。

 カルパッチョソースはトマトのコンカッセ、白ワイン、ワインビネガー、レモン、ハッサク、ニンニク、タバスコ少々、塩コショウ。
 まずはヒモと貝柱をトマトと和える。
 ニンニクの香りをつけた皿にホンビノスの身を並べ、中央にヒモと貝柱。
 適当にソースをかけ回し、冷蔵庫で冷やす。
 彩りのピーマンを置き出来上がりだ。
 これが予想以上にうまい。
 酸っぱいソースに、あまり旨味の感じられないホンビノスが素直に同調している。
 シコっとした食感もいい感じだ。
 もしもあったら、ここにエシャレットとかフレンチソレルがあると豪華な感じになりそうでもある。

 お父さんのために作った料理なのに、なぜか家族一同うれしそうに食べてしまった、意外な一品であった。

2009年6月7日
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 年4回行っている築地土曜会は7月4日に実施します。
 今回は築地場内のお店とも連係をとり、またいかに優れた魚が場内に溢れているかなどを解説します。
 恒例通り、場内巡り、その後、中央区の社教センター厨房で魚の処理の指導、また懇談会を行います。
 場内で見つけた、これといった魚を社教育センターで食べてみるというのも行いますので、ふるって申し込みください。

詳しくは
http://csi.or.tv/tsukiji/doyoukai.html
細かな情報や意見交換は
掲示板で
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi


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 朝方6時半過ぎに我が家を出る。
 ほとんど始発のバスに飛び乗り、中央線、山手線と乗り継ぎ、新橋で築地行きのバスにのる。
 8時過ぎに場内着。

 本日の築地場内の人出多い。その割りにすし屋の行列が短い。
 朝ご飯は『天房』と決めていた。ところが本日は満員。今日は普通のめし屋の方が人気があるのだろうか。

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 『小田保』でアジフライ定食。どうしたことだろう。この定食900円がいただけない。
 マアジが大きすぎるのだ。『小田保』のアジフライはこのようなものだったっけ?
 アジフライのアジは大きすぎるてはダメなのだ。
 1尾を開いて、一枚のフライというのがいちばんいい。
 片身で揚げていて、しかも旨味に欠ける。
 まさかと思うけどある疑惑が浮かんでくる。
 店内では肉じゃがを肴に酒盛りする常連さん。
 これが本来の築地の店のありかた。

 場内にはなんらめぼしいものがない。
 青森からたくさんきていたのがミネフジツボ。大きさでキロ1600円から2700円の開きがある。
 『村清』に山口県水産試験場と山口県漁連山口支店が養殖した「紅きらら(カイガラアマノリ)」を試食してくれるようにお願いする。

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「ハタポン、ちゃんと売り込んでおいたよ!」

 『神奈辰』にハモの卵があったので買う。
 『稲良』でマグロの切り落とし。

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長崎県産ハモの真子

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ボタンエビの冷凍ものをチェック。カナダボタン(カナダスポット)の箱が目立つ

 10時過ぎから大都魚類で会議(そんなに大げさじゃない)。
 島根の加工品をいかに売るかが、話の中心となる。

 やっちゃ場により、児山池のヒシの実が売れないか、問い合わせる。
 『くしや』で聞く限り、入荷量にもよるが見込みアリとの答え。

 12時、銀鱗文庫に移って、築地銀鱗会と打合せ。
 7月4日の「築地土曜会」のサポートをお願いする。
 淡竹さん、快諾。

 お昼は東都グリルでビール。
 濱長の福地さん、近所まで来ていたヤガラさん、尻高鰤さん。

 帰宅すべく、都バスの乗り込んだら新橋行きだった。
 なにげに窓の外を見ると熊本県のアンテナショップ。
 途中下車して日奈久竹輪など買い込む。

 午後2時過ぎの中央線で熟睡。
 5時過ぎに帰り着く。

 夕食は熊本県天草『原蒲鉾店』の「手焼き蒲鉾」、築地場内で買ったマグロの切り落とし、肉豆腐、ソーメンにトマトサラダ、新じゃが塩ゆで、ゆで卵。
 天草の「手焼き蒲鉾」なかなかうまい。これは見つけものだった。

 なんと8時過ぎにダウン。
 深夜2時に起きて内藤鳴雪の自伝を読む。
 魚貝類を調べていると、このような自伝を読む必要があるのだ。

 またうとうとする。
 本日、図鑑など進展なし。

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 サザエが安い。
 小振りの100グラムから150グラムで、キロ当たり1000円。
 1個100円から150円ほど。
 角のないタイプなので、日本海側でとれたものだろう。
 仲卸に聞くと「長崎産じゃない」という。

 久しぶりに壺焼きでも作ろうか?
 このとき八百屋で買ったものがハチクだ。
 ハチクを夕食に醤油味で炒め煮にして、バライカ(スルメの小さいもの)を酢の物にする。
 なんだか和に偏りすぎていて、サザエの壺焼きというのも、な。

 考えあぐねた挙げ句、バターを湯煎にかけて、エスカルゴバターを作る。
 初めから、エスカルゴバターで焼くのだ、と決めていれば、早くからバターを室温にもどしておいたものを。
 柔らかくなったバターにニンニクと、パセリがないのでセロリの葉をみじん切りにして混ぜる。
 サザエの身を取りだし、砂が気になるのでワタの部分など塩水で洗う。
 サザエの身(足)はフォークなどで取りだし、ワタが残ったら振るとほとんど出てくる。
 もし出てこなければ、軽く貝殻ごとゆでるといい。
 身を2、3等分に切り、ワタとともに貝殻に戻す。
 エスカルゴバターで蓋をして、温めたオーブンで強火にして焼き上げる。

 冷凍のバターロールと食卓に出すと、なかなか好評である。
 身には適度に甘みがあり、なによりもワタの苦みが何とも言えずいい。
 ニンニクの香りのバターにサザエのジュがたっぷり。
 これをバターロールで拭き取りながら食べても、ほんまに極楽気分となるほどに美味。

 サザエをエスカルゴバターで焼く、一見単純でありふれた料理だが、エスカルゴのいない日本で最初に考えて人はえらいな。
 いったい誰なんだろう?
 これ帝国ホテルとか、ホテルオークラあたりが怪しいと思うのだけど、調べてみなければ。

2009年6月1日
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 築地場内で買ってしまうもの、にマグロのパックがある。
 500円、650円、800円、1000円、1500円に2000円。
 そのときどきで、これと思ったものを買う。
 買う基準は、一般人向けにわざわざ詰め込んだものではなく、本当に切り売りする内に出てしまった端材的なものを狙うということ。
 小さくても50キロからのマグロをさばくのだから、どうしても切り落とし、端切れになったものがでる。
 これを安く売ってしまおうではないか、というのが本当のお買い得品なのだ。

 今回のものも、いかにも端材的なもので、値段もそれなりに1パック650円。
 400グラム近く入ってこの値段は嬉しい限りだ。
 これを適当に切り、辛子酢みそを作り、ネギを合わせて、無骨な丼に盛る。

 これが滅法やたらにうまい。
 ピリっと辛子のきいた麦味噌で作った酢みそ、長ネギの辛さと香り。
 これをまぜこぜにからませて食べる。
 一切れ一切れの味の濃いこと。
 酒で洗い流すときの心地よさよ。

 酒は島根県益田市『扶桑鶴 純米酒 高津川』。
 この酒を送ってくれたヤマトシジミさんに、酒の方もだだものではない、とご報告したい。

2009年5月30日
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 早朝から『三文役者の死』(新藤兼人 岩波現代文庫)を読んでいる。
 これは精神的に追いつめられている証拠なのだ。
 評伝は、自己から逃避できる。朝一番から逃避行動に走っているようでは、今日一日ろくなもんじゃない。
 朝7時前、家族は活動を始めようとしない。
 気になるけど、そんなものはどうでもよくなっている。
 やっと本日姫が休みなのだとわかって、無理矢理市場に連れて行く。
 市場は月曜日だというのに閑散としている。

 疲れているのをおして、薬屋のお姉さんに、「今日はきれいだね」と言ってあげる。
「毎日言われると疲れるわ」
 本当かな。

 朝ご飯は姫は『さくら』のつけめん、ボクはニラがいっぱい入った野菜炒め定食。
 まささんに、「オレかなり痩せたでしょう」というと、「逆に太ったんじゃない」と返される。
 そんなことはない、5月下旬の帰郷する前は98キロ、今朝は92キロなのだから。

 市場を一周するが、なんにもない。
 夏枯れには早すぎるだろう。
 『市場寿司 たか』でカツオのゆびき、マトウダイの握りを撮影する。
 姫は撮影中、イクラを二かん。
 最近、たかさんと古い握りの再現をしている。そのひとつがカツオをゆびく、またすしネタにしょうゆをからめて握るというもの。

katuotuo0906.jpg
これは生のカツオを醤油にさーっとつけて、握ったもの。これがいけるのだよ

 正午まで、「すし本」と仕事。
 正午過ぎに都心へ。
 夕方帰途に着く。
 三鷹駅中で袋入り珍味を買い求める。
 島根から送られてきたカレイの珍味と、三鷹駅で買った珍味を食べ比べる。
 どっちもあんまりうまくない。
 むりやりビールで流し込む。
 これが夕食。

 やっぱりボクって不幸だな!
 三文役者、殿山泰司のように生きられたらな。

八王子の市場に関しては
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 朝から本降りの雨、これは梅雨間近を思わせるもので、市場には青梅が盛りと入荷している。
 コチが目につく季節となっている。
 八王子総合卸売センター、『高野水産』に二種類のコチ。
 値段の違いは産地の違い、かたや内房産、かたや大分県産らしい。
 今回は千葉県内房だろうというのを1本買い込んでくる。
 体に張りがあって、腹側を探ると真子、もしくは白子を持っている。
 人気があって、真子を探る余裕がない。
 ままよ、と小振りのものをやっと選んできた。

 我が家ではコチは独特の下ろし方をする。
 頭部を大きく切り取るのだ。
 下ろすとすぐに塩をまぶす。
 今回コチは白子を抱いていた。
 白子にも振り塩をして筒状になった胴の部分に戻す。
 半日置いてからじっくり焼き上げる。

 焼きたてを手でほぐして、食卓に出すのだけど、やっぱり頬の身はうまい。
 シコっと食感がよく、旨味が強いのはどうしてだろう。

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 いつも真子ばっかり探して雌を買っているが、白子もうまいのだな、なんて改めて思う。
 もともと量的には少ないのだから数分で食卓から消えてしまう。

 そんなに塩焼きがうまいなら、一本丸々焼けばいい。
 不思議なことに、コチ一本丸焼きにはめったにしないことになっている。
 さて、青葉コチ、梅雨コチ、日照りコチ、コチは梅雨が明けてもまだうまいはず。
 こんどはコチ飯でも作ろうか?

2009年6月6日
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 ここ数年、ボクの周辺で唐墨作りが盛んである。
 五島列島からボラの卵巣の塩漬けを取り寄せて、後は塩抜き、乾燥までやっている。
 これがみな良くできている。非常にうまくて市販品に負けないものとなっているのだ。
 そんな唐墨クラブ所属のjasminさん作唐墨をいただいたので、ただ食べるだけじゃもったいないとスパゲティを作る。
 ようするに唐墨スパゲティだ。

 実をいうと「作る」と書いたが、そんな「作るほどでもない簡単な料理」が唐墨スパゲッティなのだ。
 さて、いちよう作り方を披露すると。
 唐墨をボウルの中で潰す。
 ここにオリーブオイルとニンニクを加える。
 ほぐれづらかったら、スパゲッティのゆで汁を少し加えるといい。
 ここにアルデンテにゆであがったスパゲッティを放り込めばいいのだ。

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 香辛料はコショウもしくはカイエンヌペッパーがいい。
 シブレット、パセリなどは加えても加えなくてもいい。
 唐墨だけでいいのだ。
 この単純極まりないスパゲッティが非常にうまい。
 唐墨の濃厚な旨さと、渋みが存分に楽しめる

「唐墨はお父さんのつまみにするのがもったいない」
 こんなことを申す人間が一人や二人じゃないことも明記しておきたい。

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 モンガラカワハギ科は熱帯の魚だ。
 本州でとれるものはわずかでしかない。
 でも一種類だけ、ときどき大量に回遊してきて、とれてしまって困ってしまうモンガラカワハギ科の魚がいる。
 これがこれまたときどき大量に入荷してくる。
 そんなとき市場人の反応は。
「なんじゃこれ」
「カワハギか? フグかな? なんだろう」
 わいわい集まってくるのだけど、結局「カワハギにしておこう」ということになる。
 この正体がアミモンガラなのだ。
 不思議なことに千葉県銚子に多く揚がるようで、もっと面白いのは総て皮を剥いで送ってくる。

 頭も皮もなく、歩留まり100パーセント近いのに非常に安い。
 安い理由は鮮度落ちが早い、知名度がない、網もの(網でとったもの)だ、などいろいろあるんだろう。
 ボクの場合、これを見つけたら、とにかく買っておく。
 例えば一夜干しにしてうまい。唐揚げもいい。ムニエル、鍋物も工夫すると非常にうまいのだ。

 今回のものも銚子産ではないか? 表示がない。
 これを三枚に卸して塩コショウしておく。
 小麦粉をつけてムニエルに、保温しておき、同じフライパンにバターと玉ねぎを加え、炒め、白ワインで焦げ付いたものをかきとりデグラッセする。牛乳を加える。
 そこにムールガイ(ムラサキイガイ)を入れて、数分煮る。
 このコトリアードを器に盛り、アミモンガラのムニエルをのせる。

 ムニエルをコトリアードとからめながら食べていくもので、ご飯よりもフランスパンなどを用意したい。
 お父さんも白ワインといきたいところだが、一人鮎のうるかで純米吟醸なんかをやる。

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 朝方5時前に目が覚める。ぼんやりと窓の薄明るいのを見ていると、足になにか噛みついている。
 我が家の梅(猫)が足の指に噛みついては、手でポンポンとたたき、噛みついてはポンポンとたたく。
 蹴飛ばして、1メートルほど転がって、またボクの足を目がけて突進してくる。
 これではとても眠れない。
 仕方がないのでヘルスメーターに乗る。ただいま93キロ。
 寿司図鑑の改訂、企画している「すし本」の原稿書き。

 朝食は広島県福山市『マルケー食品』のサワラのねぎ塩焼き。
 タラコ、卵焼き、スナップエンドウとニンジンのサラダ、島根県宍道湖産ヤマトシジミのみそ汁、ご飯軽く一膳。

 8時半に市場へ。
 なんにもない日でため息が出る。十一屋ジャパンでキュウリの漬物、ヤマゴボウ。清水保商店で納豆、パストラミ。カワベでロース肉とホットドック用のソーセージ。
 恒川でアメリカンチェリー。
 総市でアメリカウバガイ(カナダホッキガイ)を280円で買い求める。

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輸入もののホッキガイ。これで280円

 元本郷鮨忠さんがいて、「ホッキ(ウバガイ)って(すしネタに)使います」と聞くと、
「たまにだね。1個300円位するだろ(キロ1000円で1個300グラム見当だから)、小さい福島なんかだと、どれくらい」
 ちょうど目の前に福島のウバガイがある。200グラムくらいだ。
 キロあたり700円だから140円となる。

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これが色合の薄い貝殻の福島県ホッキガイ(ウバガイ)。1個で140円見当

 1個1かんとして、400円くらいとりたい、という。
「でもこのあたりじゃ、300円くらいだろ。あんまり儲からないな」
「ときどき仕入れるんでしょう」
「仕入れるよ、うまいからね」
 8個280円のホッキ(アメリカウバガイ)は1個35円となる。
 回転寿司のホッキはほとんどがこれ。
 大量仕入れが基本の回転寿司なら1個20円弱かも知れない。

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青森県産ゆでシャコ。

 『市場寿司 たか』に行ったら、金曜日だというのにお客で埋まっている。

 隣の『さくら』でお茶を飲む。まささんが後ろ向きになって揚げ物をしている。

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 のぞき込むとエビフライに??? 「こっちはね。ヒレカツだよ」。
 てんこ盛りのサラダ、フルーツ、漬物、スープにご飯。
 若い市場人が嬉しそうに食べ始める。
「こっちはダイエットしてるんだ、まずそうに食え」と命令するが、頬がゆるみすぎだ。
 たかさんにアメリカウバガイの握り、ココノホシギンザメの昆布締め、青森から来た塩と醤油でゆでたシャコを握ってもらう。

 さて、帰ろうかとしたら、まささんが「味見していかないの」だって。
 これってダイエット中のボクへの嫌がらせだ。
 拒否しただろうって、拒否するのを拒否したわけで、食べました。うまかったな、ヒレカツ。

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 さくら夫婦はボクのダイエットを邪魔しているのだ。
 負けないぞ!

 帰宅は10時前。
 12時半まで「すし本」の原稿書き。都心へ向かう。
 途中小川町にあるオリンパスサロンで入院中のE3とレンズを受け取る。
 帰路についたのが7時過ぎ。
 三鷹駅中でサラダとライ麦パンとビール。

 帰宅は8時半。
 サラダ、ライ麦パン、島根県浜田市『善田乾魚店』の味つけ焼たこで夕食。
 「味付焼たこ」がうまい。思わずビール2本飲んでしまう。
 明日の朝ヘルスメーターに乗るのが怖い。

八王子の市場に関しては
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 アカエイという魚を知っているだろうか?
 南日本の干潟や、浅い砂地、泥場などに生息している。
 うちわのように平たくて、その上、尾がうちわの柄のように見える。
 全身の骨格が軟骨で出来ている。
 この柄の中央に鋭い棘があり、さされると激痛に長くさいなまれることになる。
 アカエイに襲われて刺されるというよりも、干潟などを歩いていて棘を踏んでしまうというものなので、深い傷となり重症を負うことになる。
 アカエイは今でこそ、食卓から遠い存在になっているが、古くから重要な食用魚だった。
 東京湾には今でもアカエイが健在で、夏になるとまとまってとれる。
 でも、最近ではなかなか売れない魚となっている。
 これが鋭い毒の棘を持っていることと関係あるのか、否か、食べなくなった理由を調べてみたいとも思う。

 さて、そんなアカエイが切り身になって、山口県山口市川端市場に並んでいる。
 調べてみたいと言うことでは、エイを皮付きのまま料理するか、皮を剥くか? というのが最近気になっている。
 金沢ではガンギエイ(エイの仲間でガンギエイ科の魚)を皮付きのまま煮ていた。
 そして川端市場のアカエイは、これまた皮付きなのだ。

「この辺りでは、アカエイ皮付きで食べるんですね」
「そうじゃな、今まで気にせんでいたけん」
 皮を剥くなんて思いもしないようだ。

 これを帰宅して、煮つける。
 煮つけて食べたら、やはり少々皮が気になった。
 でも気にすることもないか? それ以上に、これはうまい。
 コリコリとした軟骨の歯触り、上品な白身の味わい。
 まことにアカエイの煮つけは「うまいなーー」。

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 翌日は煮こごりとなっていて、この煮こごった、煮汁をご飯にのせのせ食べる。
 これがいいおかずになるのだ。
(「煮こごり」とは、魚の筋肉の結合組織、コラーゲンが煮ることによって、溶け出し、冷えると凝固して固まる。この固まったもの。料理として形に流し込み作ることもあるが、煮つけが残って、煮こごることもある)

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築地土曜会を7月4日に行います。
一般応募は6月10日から。
興味のある方、質問などは。
掲示板に参加してください。
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
詳しいことは
http://csi.or.tv/tsukiji/doyoukai.html


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 5月29日の築地場内、魚がなくて寂しかった。
 仲卸の『大音』さんに寄って、
「魚ないですね」
 なんて挨拶代わり。
「魚より人がいねーよ」
 オヤジさんがぼんやり椅子に腰掛けている。

 そんなとき、お客が来て
「ハーモニカあります」
「あります、あります
 若だんなが、白いかたまりをお客に見せている。
「いいっすね」
 お客は若くて、和食ではなく洋食系の料理人に見える。

「オヤジさん、ハーモニカってなに?」
「ハーモニカは、ハーモニカだよ。見せてやれ」
 若だんなが見せてくれたのが、不思議な物体だ。
「カジキの鰭の下のところなんです」
 よく見るとメカジキの背鰭担鰭骨だ。

 お土産に一個いただいて帰った。
 オヤジさんが「焼くか煮るかするとうまいよ」というので、まずは焼いてみる。
 塩をまぶして、オリーブオイル、白ワイン、タイム、コショウで半日寝かせる。


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 これを遠火の弱火で2時間かけてこんがり焼き上げる。
 表面がかりっと香ばしく、中はジューシーで身がとろっととろけるようだ。

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 うまいか? というと、そんな生やさしいものではない。
 それこそ「ビックリしたなもー」てなうまさに驚愕、驚天動地、思わずひっくり返る。

 大音のオカアサン、オヤジさん、若だんな、ありがとうございました。

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 北海道室蘭市にある宮森水産の伊藤さんから、メールが届いた。
「明日川崎丸魚北部市場に,ウサギザメ送ります。深海魚で、非常に珍しいです」
 メールを見た途端に閃いたのがギンザメ。
 北海道でとれるギンザメとはいかなる種なのか?
 しかも北海道室蘭→川崎北部丸魚→八王子綜合卸売協同組合という経路が開発されることになる。
 市場に着いた途端、『マル幸』へ走る。
 クマゴロウがのんきそうに魚を下ろしているので、「あれ、来てる、来てるかな」と「ほらほら早く出せ」という意味合いもあって、大声でどなる。
「あるよ」
 うれしいことに間違いなく遠路室蘭から荷は届いていたのだ。
 日本の流通業の凄さを思い知らされる。
 いつものように店の片隅にそいつはあった。
 やはりギンザメだ、けどギンザメではない。
 体に白い斑紋がある。

 おむすびハゲ君に『市場寿司 たか』まで運んでもらい。
 背の筋肉をとって、まずは握りにしてみる。
 ぜんぜんうまくない。

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最初に、たかさんに格闘してもらう。「背中の棘に気をつけてね」

 持ち帰って撮影、検索するとココノホシギンザメだった。
 初めて見るもので、うれしさがこみ上げてくる。
 宮森水産さん、伊東さんに改めて感謝感激、ありがとう。

 撮影後、三枚おろしにすると大きな肝が出てきた。
 これがゆでて食べてみたら、やたらにうまい。
 これほどうまい肝はないだろう。
 丸いものがあって、こちらは卵巣、精巣と見つかって、雄と雌であったことがわかる。
 この卵巣もうまいのである。
 コリコリして噛むとコクのある旨味がジワリと出てくる。
 身はクセがなく、揚げる、煮て、うまい。

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煮つけたら最高に美味だった。これほどうまい肝もないだろう

 帰宅後2時間で撮影、料理を終える。
 午後、伊東さんに電話すると、室蘭港に揚がったもので、「タラ刺し網でとれたものでしょう」とのこと。
 改めてお礼をして、本日もココノホシギンザメとの格闘は続くのだ。

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山口の金太郎

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 ヒメジほど地方での呼び名が多い魚もないだろう。
 名前が多いのは、産地などで非常に愛されているためである。
 島根県からの帰りに立ち寄ったのが山口市。
 山口市に素晴らしい市場があって、今でもホタルが見られる一の坂川の辺にあるので川端市場という。
 5月下旬、この市場に溢れていたのがヒメジだ。
 干したものもあって、「金太郎」という。
 これは島根県西部と同じだ。

 ヒメジの干物がいかにうまいものかは一度食べたらわかる。思い知らされる。
 今回のは丸々と太った、ゴロンとした感じの金太郎。
「そうか、これなら金太郎だ」
 赤い色から金太郎なんだ、と思っていたのだけど、これなら見た目も金太郎ではないか?

 焼くと、脂がじゅうじゅうしみだしてくる。
 この脂で揚げられたようになった皮目が香ばしい。
 またヒメジのはらわたのほろ苦さがいい。

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 これを肴に、海老名の海老さんにいただいた、海老名の銘酒「いづみ橋 純名吟醸」をやる。
 意外に男酒である「いづみ橋」4合瓶があっという間になくなる。
 海老さん、今度は一升瓶がいいな。

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 島根県浜田市の「いそまる本舗」から、「ボベ」が届いた。
 磯などにつくカサガイの仲間を、島根県では「ボベ」もしくは「ベベ」なんていう。
 普通、非常に地域的な食材で、例えば磯遊びというのがある。
 大潮の引き潮どきに磯の貝や海藻などをとる。
 そんなとき中心となるものがヨメガサラ、ベッコウガサ、マツバガイなどのカサガイ類。
 今回の浜田産「ボベ」を同定(種を検索する)するとベッコウガサであった。
 ベッコウガサはカサガイ類でももっとも味が良いとされている。

 しかし、このような地域性の高いものを全国的に売り出すところが、「いそまる本舗」の面白いところ。
 ちょっと顔が恐い工場長や、ナガさんたち送り手側はさぞや毎日、鵜の目鷹の目でうまい、珍しい、そしてなによりも面白いものを探してるんだろうな。

 浜田の浜にでもいかないと食べられない「ボベ」だから出来るだけ、その地の食べ方をしてみたい。
 それが「ボベ飯」だ。
 作り方は、「ボベ」をよく洗う。
 塩湯でして、身を外す。
 外すのはいとも簡単、ほとんどが勝手に外れてくれる。
 この身を軽く水の中で振り洗い。
 ゆでた汁は冷やして、ご飯をたくときに使う。

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ボベは貝殻から身を取り出す。汁は砂などがあるので、漉して、冷ましておく。汁と水で加減して、酒を少々。あとはたくだけ

 「いそまる本舗」のナガさんによると、浜田では塩味だけでたくというが、ボクは好みから少量の酒を加えた。
 また島根県東部安来などではうるち米にもち米を加えて、酒、醤油(甘口)で味つけする。
 これも島根県ならではのものでお試し願いたい。
 ご飯が炊きあがったら、外した身を釜にもどす。
 約15分ほど蒸らして出来上がりだ。
 釜の蓋をあけると、プーーーンと磯の香りがして、これがいやがおうにも期待を高らしめてくれる。

 この炊きたての「ボベ飯」のうまいこと。
 何と言っても磯の香り、そしてワタの微かな苦み、そして身の甘さに、ご飯に染みこんだ、「ボベ」の味。
 ついつい食べ過ぎてしまって、困ってしまう、太り気味の五十路オヤジなのであった。

いそまる本舗
http://www.rakuten.ne.jp/gold/isomaru/
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