2008年2月アーカイブ

ぼうずコンニャクです。
本日は築地厚生会館宿泊。
明日は朝4時から場内を巡り、築地で朝ご飯を食べます。
ボクは平凡な風采の上がらない五十路オヤジです
見かけましたら声をかけてください。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 島根県隠岐に関する情報がありましたらお教え下さい。
 隠岐では「べこ(アメフラシ)」、海草類、また様々な水産物に出合いたい。
 また隠岐ならではという食品、加工食品、野菜などにも大いに期待が出来そうです

●一般的なものはこのブログに、個人的な部類、商業的なものはメールにていただけるとありがたいです。
メール
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 島根県浜田市は水産加工業の盛んなところ。港で水揚げを見た後に空き時間があったので、地元のトーボさん、ヤマトシジミさんに案内されて「浜田食品市場」(島根県浜田市黒川町)という小さな市場をのぞく。この小さな市場で、ほんの短い間歩いただけで面白いものが五万と見つけられた。
 この市場の素晴らしいところは、観光化されていないせいもあって、地元の昔から食べられていたものが無造作に並んでいることだ。乾物、調味料、クジラ、練り物、菓子パンにお弁当、惣菜、すし。どれを見てもボクには面白く、興奮をおぼえるものばかりだ。

 今回とりあげるのは、中でももっとも地味で、しかも名品だなー、と感心した「いかの酢漬」。

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「いかの酢漬」は昔からある、浜田では、あまりにも在り来たりで目立たない加工食品であるようだ。
 スルメイカで作ったものと、「真いか(ケンサキイカ)」の2種がある。うれしいのはイカはどちらも地元浜田にあがったものであるという。
 安くて、うまそうで惹かれるところ大なのだけど、ひとつだけ問題点があって、ボクが旅の途中であり、この一袋がかなり重い。それをおしてついつい買ってしまった。

 佐々木商店に電話を入れて、この「酢漬」のことをお聞きした。すると「酢漬」を作り始めたのが先代のときで40年ほど前。原材料は地元産のスルメイカと「真いか(ケンサキイカ)」。ケンサキイカのものは水揚げ量が少ないので貴重であるとのこと。浜田市内でともに1袋たっぷり入って400円前後。
 地元での料理法は酢の物に入れるのが一般的。だから主に夏の食品との認識があるようだ。

 松江、浜田などで買った食料品は益田の「JFしまね」佐々木さんにご迷惑ながら宅急便にて送ってもらったものが、ボクが帰宅した日に到着していた。
 真っ先にとりだして食べてみたのが、この「いかの酢漬」である。
 調味された酢に漬かったままを食べると、かなり酸っぱい。それで、これに「ゆずほの香(白だしぽん酢)」を加える。これは家人などが喜んで食べたが、やはりまだ酸っぱい。
 そこで取りだしたのが鹿児島県種子島で使われている独特な大根のけん突き。これは大根をややささくれだったケンに突き出すもの。粗塩をまぶして少し置き、水洗いする。

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種子島のケン突きは非常に優れもの。だんだん作るひとが少なくなっていると言うが大丈夫だろうか?

 これを「酢いか」と混ぜてガラスの大鉢に無造作に盛りつけてみた。急場なので薬味、色味の野菜は用意できなかった。見た目は白っぽくて悪いが、味は絶品というか身体が癒されるもの。
「白いか」は、小さくてもケンサキイカなので柔らかく、酢に漬かっていても微かに旨味甘味が感じられる。そこに塩で殺した大根のケンが合わさって、塩味と酸っぱさが絶妙に釣り合っている。
 家族は、これにまた「ゆずほの香(松江市 米田醤油店)」をふりかけて食べている。おお、こうするとますます酒との相性がよくなる。

「浜田市にこのような伝統的だけど目立たない食料品が、末永く残るといいなー」とつくづく思う。そして、この「現代の文化財的食料品(これはボクの勝手な造語)」が生き残っていくためには「浜田食品市場」のような地方の小さな市場が「絶対必要」だ。浜田市民で食に感心のある方達よ、この小さな市場を大切にしていただきたい。
 また中国からの輸入食品などでの農薬混入が問題になり、国あげての“食育”が叫ばれている。そんなご時世に、このような身近で優れた食品を忘れたら「あきまへん!」。

 遠く島根県浜田市からの「いかの酢漬」を肴に熱燗を傾けながら、旅の疲れが徐々に蘇るのを感じている。
●2月16日記す。

佐々木商店 島根県浜田市国分町1981-197
●『佐々木商店』は浜田市でカレイの干物、酢だこ、焼きイカなどを製造している。

島根県庁
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島根県水産課
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JFしまね
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鳥取への旅での成果
ホタルイカモドキのページを作成
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掲載種 1973


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 最近では時期になって初めてホタルイカを見かけるのが冬となっている。そして産地は兵庫県浜坂もしくは鳥取県岩美町網代港である。なかでも目立つのが『浜勝商店』のもので、これはデザイン性が高いだけでなく、品質も高いからではないかと思っている。ということでボクの場合ももっとも初期にホタルイカを買い求めるとしたら『浜坂商店』のものである可能性が高い。

 長閑な朝で、さて、『浜勝商店』にもどると、ぜひとも見たいと思っていたのが、ホタルイカの塩ゆでである。山陰のホタルイカは富山のものとともに大量に関東の市場で見かける。その多くがゆでたホタルイカで市場では三連のケースに収まっている。
「ホタルイカの塩ゆでを拝見させてください」
『浜勝商店』の浜田社長にお願いする。

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 加工場に入ると、なかではハタハタの干物などを作っていた。
 工場内はちりひとつなく、床もきれいに磨き上げられている。働いているオバチャンたちも楽しそうだ。

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 そのいちばん隅にホタルイカをゆでる四角いお風呂ほどの釜がある。工場の方がコックを持って、じっと待っているのは、ホタルイカをゆでるに最適な温度になるのを待っているようだ。
 かたわらには大きな四角いバスケットに入ったホタルイカ。
 十九百さんが、
「まだ少ないけんね。こうやって人がゆでるんですわ、最盛期になると機械に変わります」
 ゆでるタイミングを待っている方がゆで汁をなめてみろと差し出す。
 塩分濃度は思ったよりも低く、飲んで塩辛いというほどでもない。むしろゆで汁から出来上がりのゆでホタルイカの味が想像できる。

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ゆでたホタルイカはできるだけ早く冷やす

 沸騰してきた釜にホタルイカを入れる。時計を見ながら、ホタルイカをゆで汁に沈めて、たぶん数分で、こんどは氷水にとる。
 これをザルに上げて出来上がりなのだけど、ここからホタルイカモドキなどを選別してケースにのせる。
 ホタルイカをゆでるときには塩だけではなくアミノ酸など調味料を使っているのではないか、勝手にそう思っていたが、使っているのは塩のみ。添加物無しの加工品であるのがわかる。

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茹でたてのホタルイカ。ぷっくり膨らんでいる。

 ゆで上げたばかりのホタルイカモドキとホタルイカを食べてみる。ともに茹でたてで非常にうまいのだが、ホタルイカにあって、ホタルイカモドキにないものは唯一旨味の濃厚なワタである。けっしてホタルイカモドキがまずいわけではないが、十九百さんは「これがないとダメなんです」と言う。

 ホタルイカをゆでる工程は単純極まりないもの。しかし塩加減、ゆで加減は非常に熟練をようするものだと思える。また2月のホタルイカは最盛期の2倍以上する高級品。でも漁獲量が少ない分、手仕事で仕上げられているという付加価値もある。

 事務所では奥さん(浜田末子さん)が「ばばちゃん(タナカゲンゲ)」の卵料理を作ってくれて待っている。口の中に残っているホタルイカの旨味を感じながら工場を出る。

鳥取市岩美町浜勝商店
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鳥取県岩美郡岩美町
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 島根県を東西に横断するというのは大変だ。その昔、出雲の国と石見の国と分かれていて言葉も習慣すらも違っていた。その両国をながながとクルマで走る。
 その石見の国の江戸時代においての一大産物「銀」と「銅」を積み出していたのが大田市の港港なのだ。

 出雲から岩見に向かう行程は大変であった。地元を知悉するヤマトシジミさんは押し気味の時間を稼ぐため、それこそ道なき道を山越えに次ぐ山越えで大田を目差す。
 その車中での会話。
 トーボさんが
「和江には漁協蒲鉾という名物があるんですよ」
「ええ、漁協蒲鉾は商品名なんですか? それへんでしょー。もっとよく考えてつけて欲しいな」
「でもうまいんですよ」
 こんなときのとトーボさんの表情がどこか不可思議で印象的である。「わかってないなー」という思いが顔に出るのかもしれない。
 さて、この会話が後々になってヤマトシジミさん、トーボさんの失笑を買うことになる。

 幾山越えて着いた和江の港は雪と大波寄せくる荒れ模様だった。これがボクのせいかのかトーボさん、もしくはヤマトシジミさんのせいなのかはおくとして。
 水揚げもなく、いろんな人とお話ばかりで寂しいな、と思っていたときに思い出したのが「漁協蒲鉾」のこと。
 お願いすると漁協の竹下佳伸さんが工場に案内してくれた。
 この方が漁協蒲鉾を積極的に開発され、販売促進に回られた方だった。ステンレスのテーブルに蒲鉾をとりだしてからの竹下さんの手つきが鮮やかだった。
 和江名物の「漁協蒲鉾」は練り製品の区分では「す巻きかまぼこ」と呼ばれるもの。愛媛県八幡浜や山口県萩などでも盛んに作られている。その昔は麦わらを蒲鉾型に成型したすり身をぐるっと巻き上げて蒸す。これが現代ではプラスティックに取って代わっている。蒲鉾のプラステックのストローは輪ゴムで止めているのだけど、竹下さんはそれをを外して、両手でゴムをひっぱり、そのまま蒲鉾に押しつけてきれいに切ってくれる。
 あまりにも手つきが鮮やかなので見ほれてしまう。後々聞いたことからすると、こうやって全国に販売促進に回っていたのだと思われる。

 実はこの蒲鉾が思いもかけぬ名品であった。島根県大田というと、東京からするとかなり鄙の地である。きっと泥臭いものだろうと考えていたのが、愚かであった。
 目の前にあるのは非常に洗練された、質の高い練り製品なのである。なによりも適度に足(弾力)があるのがいい。しかも旨味が感じられて、甘味が程良い。
 なぜにこれほどうまいのかというと、基本的にスケトウダラのすり身を加えてはいるが、地元産の小魚。例えばクラカケトラギス、マエソ、季節によっては「れんこ(キダイ)」を使っている。今回のものはトラギスだが、「れんこ」の蒲鉾はどんな味がするのだろう。想像するだけで唾がわいてくる。

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 そしてそしてこの名品がなんと300円だというのに驚愕する。関東の市場、惣菜仲卸に並ぶ、どの蒲鉾よりも味がよく、小田原の特級品とも互角以上の味わい。「それが300円なのかーーー」。
 しかもしかもここで終わったわけではない、なんと今回のは並製品であり、地魚だけを使った特上品787円というのもあるという。この特上品は地魚がまとまって上がったときにだけ作られると言うが、なんとしてでも手に入れてみたい。

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 蒲鉾とともに試食した「燻製蒲鉾」も素晴らしかった。
 お土産に一本頂いた上に、地元のバシさんが「これもどうぞ」と言ってもう一本。ありがとう、バシさん。

 帰宅して、さっそく我が家の蒲鉾評論家である姫に食べてもらう。姫はただ無言のまま、ほとんど2本を独り占めにしたのだ。

 蛇足の蛇足だが、大田和江を浜田に向かう車中。トーボさんが
「漁業蒲鉾ってダサイんですよねー」
 この言い方いやだなー。この人、本当は子供の頃はいじめっ子だったのではないか。
「ごめんなさい。漁協蒲鉾もあり、ですね」
 漁港蒲鉾も「あり」、「あり」なんてものじゃないよ、これは。毎日でも食べたい「漁協蒲鉾」じゃないかね。
「早合点はうまいものを逃す」とは、ぼうずコンニャク五十路の悟りである。

島根県大田市和江漁協
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 風もなく長閑な朝で、日差しが柔らかい。「いい天気ですね」、のんきに十九百さんに話すと、
「明日から海が荒れてくるようです」
 まさかと思うほどに港から見える沖合は波がない。これから向かう島根は大丈夫だろうか?

『浜勝商店』の建物の前に直売所がある。
 港から、ここまでは指呼の間にあって、さっき競り落とした魚貝類がもう到着している。
 建物に入るとまず目に飛び込んでくるのが大量の「松葉がに」である。

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 この台に乗っているのは比較的お買い得品ばかり。小振りの「若松葉(脱皮したばかり)」なら1ぱい1000円ほどで買える。それに立派な「松葉がに」でも5500円は安いな。ちなみの、この格安なものに加えて、水槽には2キロを超える大物で1万円を遙かに超す高級なカニもある。
 店頭を見ると冬の鳥取はカニだらけなのだ、と改めて思う。

 十九百さんが小振りで赤味を帯びたカニを持ち、
「競り場で話した“ももちゃん”というのがこれですね。ツメがまだ小さいし、ちょっと赤いでしょう。“松葉がに”にはなっておらんのです」

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 さて、「松葉がに」が冬を代表する味覚であるというのは全国的に有名だが、地元の人たちが、こんな高級品を毎日食べているはずもない。そんな庶民派の味覚が「白はた(ハタハタ)」だろう。
 ほどなく店に入ってきた川上寿郎さん(岩美町産業観光課で町の振興に努める)も
「“白はた”はほんまにうまいんですよ。毎日食べても、煮ても焼いてもうまいね」
 この時期大量にとれる「白はた」は干物になったり、鮮魚で出回ったりして岩美町、鳥取市の食卓をにぎわすのだ。

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冷凍庫には珍しい「どぎ」の干物もある。『浜勝商店』で作る干物類も非常に美味。当日味わった小振りのイカを一夜干しにしたものには感激した。また食べたいなー。

「松葉がに漁」の副産物なのだろう。「赤えび(関東では“甘えび”。ホッコクアカエビ)」、「しまえび(モロトゲアカエビ)」のタラバエビ課種。それに「もさえび(クロザコエビ)」、「がらもさ(トゲクロザコエビ)」が並ぶ。「もさえび」などはまだ生きていて、そのまま食べてみたいという誘惑にかられる。

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「赤えび(甘えび ホッコクアカエビ)」と「しまえび(モロトゲアカエビ)」が並んでいるのはうれしいね。でも鳥取など山陰でぜひ食べたいのが「もさえび(クロザコエビ)」と「がらもさ(トゲクロザコエビ)」。

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アカガレイに「白はた(ハタハタ)」は岩美町の冬を代表する味覚だ

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「どぎ(ノロゲンゲ)」は鍋物に汁にするのだけど、最近では関東にもお目見えしてきている。新食材として注目して欲しい

 まだ、開店前なので他にはアカガレイと「どぎ(ノロゲンゲ)」しかない。これが全部揃うと、どうなるのか見てみたい欲求をおぼえるが限られた旅の時間なので断念する。

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『浜勝商店』のラベルデザインは市場という環境からすると複雑すぎてダメなのだけど、何度も見ているとおぼえてしまうもの。現在もっともよくできたラベル。マークの丸の中は「八(8)」ではなく「ハ(は)」だ。

鳥取市岩美町浜勝商店
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鳥取県岩美郡岩美町
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 天下に鳴り響いているので、今更説明するのも可笑しいがズワイガニのオスを山陰では「松葉がに」と呼ぶ。
 岩美町はその「松葉がに」の水揚げ量では日本一なのだという。
 それが証拠に、ここ岩美町網代港、目の前には大量の「松葉がに」が置かれている。

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 水槽には関東ではあまり見ることの出来ない最上級、大型のもの。それからやや小振りのものはブルーシートの上に小山になって置かれていて、そこにはキズや指とれなどと書かれた札がある。
「大きさで10段階、汚れ、指とれ、赤、脱皮したての“若松葉”とかで状態で7通りに分かれます」
 気に掛かるのは「赤」というもの。
 これに関しては十九百さんの言葉を補足するように、通りがかりの方が、
「紅(ベニズワイ)との合いの子じゃな。ここ(ハサミを持って)が小さいだろ」
「味はどうなんですかね」
「そうじゃな。松葉よりは落ちるけど紅(ベニズワイ)よりも上じゃな」

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左下がベニズワイとズワイガニのハイブリット。

「後ね“ももちゃん”というのがこれ、ハサミが細いでしょ。まだ『松葉がに』になっとらんのよ」

「松葉がに(ズワイガニ)」の隣にはホタルイカ。まだ身は赤味を帯びていて透明感がある。
「ここにホタルイカに似ているヤツでホタルイカモドキというのがいませんか」
 十九百さんが「おるよ、探してみましょうか」といってホタルイカの発泡からすぐに一匹見つけてくれる。
「ホタルイカのなかには必ずこれがおるな」
 昔漁師さんだったという人が話しかけてくる。
「味はどうですか」
「ホタルイカの方がええね。こっち(ホタルイカモドキ)にはワタがない」

 網代港の競り場は港に向かって東西に細長く、西に向かって見て歩いている。
 そこにあったのが「本もさ(クロザコエビ)」と「がらもさ(トゲクロザコエビ)」、そして「赤えび(ホッコクアカエビ)」。

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 ホッコクアカエビは直に氷に当てない方がいいのではないだろうか? 網代港のやり方が北海道西岸と比べて雑に思える。
「“もさ”はどっちが高いんですか?」
「『本もさ』の方が値がええですね」

 大きな「白ばい(エッチュウバイ)」があって、
「これは主に関西から金沢に行きますね」
 隣に「赤ばい(チヂミエゾボラとエゾボラモドキ)」がある。
 立派なチヂミエゾボラがゴロンと置かれているのだけど、この辺りでは安いものらしい。新潟での高値からすると不思議だ。

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左が「赤ばい(チヂミエゾボラとエゾボラモドキ)」、右が「白ばい(エッチュウバイ)」。

 テナガダコにボウズイカ。ボウズイカは「びんだこ」もしくは「耳だこ」と呼ばれ、
「ほんまはイカなんじゃろ」
 荷を運ぶオバサンが呟く。

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見た目はタコだけど、イカですよー

 十九百さんは8時を過ぎて、「松葉がに」の入札のために水槽の方に消えていく。

 アカガレイが多いのだが卵巣は目立たない。

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「沖いわし(ニギス)」、マダラ、「えてがれい(ソウハチガレイ)」、「べらんす(ヒレグロ)」。
 タナカゲンゲがあって、「なまず」と箱にある。岩美では「ちょうせんなまず」、「ばばあ」とも呼ぶらしい。これは本来、漁師さんのおかずや、練り製品などに使われていたもの。

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ズワイガニ漁などに混ざってとれるもの。鍋物にして美味。

 競り場の中程に発泡の山が出来ていて、これが総て「白はた(ハタハタ)」であった。そこまで来たときに役場の川上寿郎さんがやって来た。

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 この方が「ばば」、もしくは「ばばあ」と呼ばれていたタナカゲンゲに「ちゃん」をつけて、鍋物にして売り出した張本人だ。
 初対面の挨拶もそこそこに、
「『白はた』はこの辺では刺身でも食べるんですよ」
「そうなんですか。関東では酢締めにはしますけど」
「これ(指さして)ハタハタって図鑑にはあるけど、『白はた』とハタハタは別の魚ですね。色が違うでしょ」

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鮮度抜群の「白はた(ハタハタ)」。

 関東では北海道ものも山陰ものも、東北日本海側のも総て揃った状態で見るのだけど。違いはあまりわからない。
 ここからは川上さんと競り場を見て回る。
 それにしても凄い量の「白はた」である。

 競りは「松葉がに」から始められる。一匹が1万円を超すカニの競りであるから、熱気を帯びている。それから西に西に競られていき、最後が「白はた」。

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 6時半前に到着して、実際に競りとなるまでが非常に早く。競り後の荷の片づけも速やかだ。
 ここで活躍するのがやけに肌がすべすべとしたお婆さんたち。このきれいな肌は岩美の魚貝類をたっぷり食べているためだろう。
 競りが終わって十九百さんが戻ってくる。
 川上さんに「浜勝に行きましょう」と声をかけて、十九百さんとクルマで網代港を後にする。

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鳥取市岩美町浜勝商店
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鳥取県岩美郡岩美町
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 長い島根の旅を益田(県の最西端)で終えようとするときに、同行してくれたヤマトシジミさんから、この缶詰をいただいた。
 初めて、「隠岐さざえ」を見たのは境港のJFしまねの支所。ここに飾られてあって、見た目の素朴さになんとなく好感をもった。地方の産物はこれくらいデザイン性が低くて、素朴度が高い方がいい。そして持ち上げて、あれっと驚いたのだ。缶の大きさから想像していた重さからすると、意外なほど軽い。大型の缶を見て、持ってみたら、だまされたような、不思議な気分になる。
 値段は1400円とかなり高い。ただし例えば缶詰の高級品というとニチロのベニザケ缶詰がスーパーなどでは1000円台、タラバガニの缶詰が4000円くらいだから、「サザエという珍しさ」から値段は良識的だ。
「来月は隠岐」というとき、島の土産として買うべきか? と考えると「持ったときの不自然な感覚」から止めてしまうかも知れない。そんな思いでいたときに手渡されて、実を言うと大いに期待をした。期待を抱かせたのはヤマトシジミさんからいただいたため。この人の食への探求心は本物である(ちょっとご本人に注意をしたいことがあって、ここに書く、まだ若いのだから、うまいもんと日本酒に溺れないように)。

 遠路帰宅して、また毎日の市場がよいが始まったのだけど、八王子の市場にめぼしい魚がない。手ぶらで帰った夕食に、さっそく「隠岐さざえ」を開けてみる。
 開けると、缶の半分よりやや大目の偏った醤油色の煮こごりがある。そこにゴロゴロしているのがサザエの身だけど10個以上までは数えられた。とすると貝殻つきのサザエにすると1キロ以上入っていることになる。

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 当日、サザエの価格がキロ当たり1200円だから。中身の値段だけでも卸値で1200円以上することになる。商品なのだから普通は、これに加工費、利潤が乗る。産地とはいえ採算は大丈夫なのだろうか? 心配になる。

 まずは煮こごりごと身を5個ほどすくい取り湯煎にかける。これを武内立爾さんの六角皿にとる。辰砂に醤油の濁りのない汁が美しい。魚貝類を煮つけるときにいちばん気をつけたいのが、「濁らせないこと」なのでこれはまことに見事だ。

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 味の方も見た目の美しさに、勝るほどいい。醤油と砂糖だけで煮たとあるが、汁に出ているサザエの風味、旨味が濃厚である。そして軟らかな身。これは缶詰の王様かも知れないと食べながら思う。
 さて、たった5個の身で酒のつまみとし、我慢に我慢をして後は残す。なぜかと言うに、缶詰の横にこんなことが書かれているのだ。
「酒のつまみに、また汁を使って炊き込みご飯(一缶でお米三合分)にしてもおいしくいただけます」
 そう、朝ご飯に「隠岐さざえ」の炊き込みご飯を作ることに決めたのだ。

 翌朝、用意したのは二合半のお米、そこに煮汁を入れて、ゴボウ、ニンジン、竹の子を加えて炊く。我が家は小型の羽釜で炊くので、強火で釜が吹いてチリチリ吹いてきたら、弱火で八分。ここでサザエの身を適宜に切り加えて、強火で30秒数える。後は15分ほど蒸らすのみ。

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 早朝の柔らかな日差しの中、炊き込みご飯の湯気がのぼるのだけれど、それがなんとも香ばしく甘い。その上、この味をどう表現すべきか迷うほど、この炊き込みご飯はうまい。調味料は砂糖と醤油だけとのことだけど、本当なのだろうか? もっと複雑に、より濃厚に旨味を感じるのはサザエ自体の味ってこと? あまりの味のよさに我が家だけで食べてしまうのが惜しいので、『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんにも試食してもらう。

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「これ本当に缶詰なの。いい味だね。サザエの身もうまい」

 さて、この絶品缶詰を作った隠岐浦郷の方達に感謝したい思いとなる。当然、島根最強の食の冒険家であるヤマトシジミさんにも感謝感激。
 最後に、どうして缶詰の中に空洞の部分が必要なのだろう。缶詰の大きさと、重さがアンバランスなので、買う側に躊躇させる要素となる。例えばタラバガニの缶詰が小振りなのに、なかから圧縮された思った以上のカニの身が出てくるように出来ないのだろうか? 「隠岐さざえ」のファンになってしまったので、ちょっと残念。
 
JFしまね浦郷支所
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島根県水産課
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JFしまね
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『児島湾』という本があって、これ以上ないくらいに、かつて有明海に匹敵するほど広大な干潟をもっていた岡山県の汽水域のことが載っている。
 様々な児島湾周辺での料理が書かれているのであるが、そこに「妹尾の鮒飯」というのがある。
 岡山には有名な「こち飯」というのがあり、マゴチをゆでて、身をほぐし、そのゆで汁で野菜をたいて、酒醤油などで味つけする。これにほぐした身を加えてご飯にかける。料理法の分類からいうと「汁かけ飯」にあたるもの。これをフナで作るのだろうと勝手に想像していた。

 今回の旅(2月11日〜16日)の終わりは、岡山市岡山中央市場。そこから駅まで県水のゴージャス合地さんに送っていただいたので、少し街歩きがしたいと考えていた。
 ところが、合地さんのゴージャスなクルマを下りて、リュックを背負った途端に一週間の疲れがどっと押し寄せてきた。とてものんきに街歩きをするなんてできそうにない。
 ここまで全然重たさを感じなかったカメラ用のリュックが、子泣き爺になったようだ。仕方なく駅周辺を一週する。これが全然面白くなかった。仕方なく入った高島屋もろくなもんじゃない、と思ったら魚屋を発見。屋号は「中島水産」。
 握りや、切り身などが並ぶ中、まだ生きているサルエビに、アキアミ、そしてなんと「ふなミンチ」なんてのがある。うれしかったなー。不毛に思えた岡山駅前がぱっと明るく感じられた一瞬だ。
「ふなミンチ」は市内野田屋町にある『光吉商店』が製造したもの。そこに「ふな飯」の作り方が載っているのだ。

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 その作り方を転記する。
●ミンチを油でよくいためる。
●野菜(こんにゃく、ねぎ、せり、ごぼう、にんじん、あげ)をいためる。
●醤油味の汁にし、御飯の上にかける。

 実を言うと、これでは作り方が浮かんでこない。
 これを要約すると
1 ミンチを油で炒める。
2 野菜を加えてまた少し炒める。
3 水を加えて煮立たせる。
4 酒と醤油で味を調えて汁にする。
 と言うことだと判断した。
 フナはマゴチなどと比べると泥臭いために、油で炒める行程があるのだろう。

 当日我が家にあった野菜で「ふなの汁」を作ってみた。これがすこぶるつきにうまいのである。
 油で炒めたフナから濃厚な旨味が染み出していて、それでいてクセがない。ときどきミンチの中に残っていた小骨がコチりと歯にあたるのだけど、大人にはまったく気にならないほどのもの。
 子供達も夢中になるほどに端的にうまい汁で、ご飯にかけて最高であった。

 この『光吉商店』の「ふな飯」の作り方が、『児島湾』にある「妹尾の鮒飯」と同じものなのか? 念のために岡山の『光吉商店』に電話でフナの産地を聞いてみた。すると「たぶん、フナは妹尾近辺でとれたものでしょう」という。とするとその昔、児島湾妹尾ではこのように「鮒飯」を作っていた可能性が大きいはずだ。
 この妹尾の「鮒飯」に関しては情報求む。
●児島湾周辺にいるフナはキンブナもしくはギンブナではないだろうか?
●参考文献/『児島湾』同前峰雄 岡山文庫 日本文教出版株式会社


光吉商店
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これではどこにいるのかわからない。鳥取駅前にて

 予め銘記したいのは、今回の旅の目的は「島根県の漁業を見て歩く」というもの。そこで必要なのは、「山陰」とひとくくりにされている地域をできるだけ広く探ることだ。
 そのためにはやっと作った時間を、できるだけ有効に使いたい。いろいろ考えた結果である遠路深夜バスに乗って鳥取を目差す。これは経験しないとわからないことだろうが、バスで東京→鳥取というのは凄まじく大変なのだ。肥満気味のボクには、座席がすっぽり身動きできない幅しかなく、走行中はカーテンが引かれて暗い、車内環境は最悪である。9時間近くかかって鳥取駅前にたどり着いたときには体中が痛くて、しかも睡眠不足のせいか頭がクラクラする。

 鳥取には、かれこれ20年ほど前に来たことがある。駅前は雑然としていて、北に商店街が続き、賑やかな市場がふたつあった。とそんなこと考えていても、現在時刻は6時50分。バスから降りる人以外に人影はなく、思ったほど寒くはないけれど、なんだか街が整然と硬質な感じに冷たく様変わりしている。このような地方都市の区画整理が、本当は街を寂れさせる一大原因であることが、なぜそこにいる人たち、お役人さんたちに理解できないのか、激しく著しく理解不能である。

 ここで『浜勝商店』の十九百(つづお)さんにケータイをいれる。
「10分くらいで行きます」
 ということで、大慌てで駅構内に入り、腹ごしらえできる店を探す。なにしろ昨夕の食事が、お握り一個とワンカップという寂しいもので、お腹がグウウーグウーなっている。
 駅に走り込んで見つけたのが「砂丘そば」という店。ここで天ぷらうどんを食べる。残念ながら鳥取砂丘にちなんだ店名にしては味がよろしくないな、とがっかり。
 食べ終わったとき、十九百(つづお)さんから「どこにいます」というケータイ。大慌てでバス停付近まで走る。止まっていたのは4DWワンボックス。初対面の挨拶もそこそこに、なぜか鳥取砂丘を目差す。
「せっかく鳥取まできたんなら、見て置いた方がええでしょ」
 ボクにはときどき初対面なのに古くからの友人のごとく思える人がいて、十九百さんはまさにそんな人であった。ちょっと残念なのはボクよりも痩せている。ケータイで話していたときの想像では、かなりのメタボリックだと思ったのだけどなー。
 市内から北に商店の並ぶ通りを抜けて行く。肝心の駅前市場を探すが、見あたらない。地下にあった「太平市場」の入り口には居酒屋チェーンの看板しかない。大丈夫か? あの懐かしい市場たちよ! この鳥取駅前の市場の現状は後ほど書く。

 駅から砂丘までは、あっという間の時間だった。
 砂丘というとサンドカラー(グレイ)だと思っていたらサンドベージュで黄色みを帯びている。

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鳥取砂丘は今回の旅で唯一の観光。たった数分だったけど。

 十九百さん、砂丘の向こうを指さして、
「先に海が見えるでしょう。ここはほんまにきれいなとこなんです」
 薄雲の上に青空が見える。風はなく、穏やかであるが、身が引き締まるほど冷たい。
 遠く海の向こうに岬のような場所があり、漁港らしきものが見える。あれが賀露港ではないだろうか? 賀露も鳥取を代表する漁港だ。

 鳥取の真東にある岩美町網代港までは砂丘から10分ほどもかからない距離にあった。
 まずは『浜勝商店』の方に挨拶して、網代港の競り場に。
 網代港は思ったよりも小さな港である。大阪中央市場、築地などでも「鳥取 網代港」のパッチをよく見かけるので、水産に興味があると誰でも知っている港だろう。それがこんなに静かで風光明媚であるとは思ってもみなかった。

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穏やかな網代港。ここで今回の旅の天候は間違いなく最高だ! と確信したのは大間違いだった

 競り場に入って、真っ先に目に飛びこんで来たのが「松葉がに(ズワイガニのオス)」である。水槽に、また床に直においてあるもの、箱に入ったもの、そのどれもがゆっくり脚を動かしている。
 そこに様々な札が置かれていて、「若松葉」は脱皮したてのもの。「指折れ」は脚のないもので、「1本」「2本」とこれも細かく分かれている。
 この「松葉がに」の区分がまことに細かく、その上、大きさも10段階に選別されるのだという。
 床を這っていたカニビルを手のひらにのせて遊んでいると、十九百(つづお)教授の「松葉がに」講義が始まる。

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一九百さんは島根でも有名な人だった

「指のとれたのに1本2本なんてあるでしょ。最後には『だるま』というのもある」
 網代港の競り場はそんなに広くはない。しかし、これを総て見て歩くのはたっぷり時間が必要だろう。
 十九百さんの「松葉がに講義」を含めて、お後は次回に。

鳥取市岩美町浜勝商店
http://www.hamakatu.co.jp/
鳥取県岩美郡岩美町
http://www.iwami.gr.jp/


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築地土曜会の案内

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 3月8日に築地場内案内を行います。
 築地場内を見て回り、懇談会後にお昼ご飯(自由参加)というものです。
 参加費無料の気楽なものです。

参加の申し込みは
http://csi.or.tv/mail/doyoukai.html
詳しいことは、掲示板で問い合わせてください
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi


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 関東で暮らしていて「うまい干物が食いたいな」と考えるとき、静岡県や神奈川県、千葉県と干物業がさかんな地域に囲まれているせいで、なかなか西日本に目がいかない。「干物の島根県」というのはもっと浮かばないだろう。また残念ながら、昨今の干物業全般が包装紙や、パッケージに様々な工夫をしているとき、山陰の干物はどこか泥臭く感じる。

 このように関東の消費者としては島根県の干物は、どうにも「沼津・小田原」ほどにはピンとこない。
 でも島根県に着いてみると、そこにあるのは大量の干物だった。その最たる地が浜田なのであり、当然干物好きとしては喜び勇んで大量買いすることになる。さて、いざ買い込む場所は『浜田市公設水産物仲買売場』である。

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市場で、こんな光景が見られるのがいい

 この『浜田市公設水産物仲買売場』の魚貝類はまことに素晴らしいの一語に尽きる。ただしこの市場には致命的な問題点があって、それは、ここがあくまでプロ相手なので、わかりやすい名前がないということ。だいたい一般の人や観光客が『浜田市公設水産物仲買売場』なんてわけのわからん名前を覚えられるはずがない。このあたりを改善して(建物はそのままでいい。照明など増やす)くれると一般客や観光客も入りやすくなる。
●注/ここは一般客も買い物ができる。ただし、注意するべきは原則的にはプロ相手なので、やや遅めの8時とか9時に行く配慮をすべきだ。売っているものは総て、いいものばかりだ。

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浜田の干物はお取り寄せできる

 そこで見つけたのが、「金太郎」、「温泉ガレイ」、「大穴子」の干物。
「金太郎」と「温泉ガレイ」は『浜崎乾魚店』、「大穴子」は『松下鮮魚店』。方や干物の専門店であり、方や鮮魚を売るかたわら、店の前で簡便に作る呈のもの。まあ魚好きが、この両店の干物を見て黙って通り過ぎることができるだろうか? 否だろうね。

「金太郎」は島根県、山口県でのヒメジの呼び名、「温泉ガレイ」というのは島根県にたくさんある温泉地の朝食用に小振りのカレイを開きにしたものであるようだ。このふたつは「のどくろ(アカムツ)」、「甘鯛(アカアマダイ)」、「きつねがれい(ソウハチガレイ)」、「あじ(マアジ)」とともに島根県の干物の代表的なものだ。
「温泉ガレイ」の味わいは平凡だが、小型のカレイ類を開きにするというのは他に類を見ない。それだけでも賞賛に値する。

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温泉ガレイというのは通称だろう? ようするにソウハチガレイ、アカガレイの小さなものを丁寧に開いたもの。子供にも、お年寄りでも食べやすい。

 対するに「金太郎」が素晴らしかった。塩加減は適度なものだし、脂がのっている。その上、なんといってもヒメジの持つ甘味を伴う風味が絶品としかいいようがない。その上、その上、その上の上、今回、大発見があって、丸干しのヒメジのワタが旨味が強くコクがあるということ。このようにワタの旨さを生臭みなく感じられるというのは原料がよほど新鮮なのだろう。

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「金太郎」は標準和名のヒメジ。焼くと脂がジュウジュウしたたり落ちる。

「大穴子」は『松下鮮魚店』の店頭に干してあった。その大きさに圧倒されるとともに値段が1本1000円というのに、また安くてビックリする。この豪快な干物に海辺ならではのよさを感じる。ちなみに『松下鮮魚店』の鮮魚が干物以上に素晴らしいものであることもつけ加える。
 この肉厚の穴子の身を香ばしく焼き上げたら、これも食べ口は上品なのに、旨味があり、みりん干しであるからつけ加えられている甘味もほどよい。これなど多彩な漁が行われる浜田に来ないと食べられないものかも知れない。

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開いて、干物にして1本1キロ近くになる。このドデカイ干物がなんと1本1000円なのだ。

 ボクも五十路になって、思ったことは、「地方(東京も含めて)は行ってみなければわからないことばかりだ」ということ。これほど島根県の干物がうまいものであるとは、思ってもみなかった。それで改めて、過去のデータを紐解くと、島根の干物に関するものは少なくなく、どれも味わいは上のものばかり。こんは「水産県島根」のイメージが薄かったためだと考えている。その内、関東でも「水産物加工がさかんな島根」というのも認識されるに違いない。

 最後に、肝心要の島根の水産加工品感を書く。日常感じるに今現在でも急速に和食文化が衰退しているように思える。そして「この国のほとんど8割方が食に無関心である」と思っているのだけど大げさだろうか? ボクには大げさどころか、「食育をさけぶやから(この多くが低級かつ愚か)の、その多くを再教育しないといけないように思う」ことからも「2割の真に食に感心あり」の比率も危ういと思っている。
 とするとボクが大好きな「泥臭さ」「懐かしさ」はある程度残しながら、今現在の食品流通に迎合していかないとダメだと思う。すなわち、「家族バラバラの食事」、また「外食でも取り扱いやすさが売りやすさに繋がっている」、スーパーで「売りやすいか(並べやすいか)」。
 これが島根県の水産加工の課題だろう。


島根県庁
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島根県水産課
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JFしまね
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島根への旅での成果
チョウセンボラのページを作成
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掲載種 1972


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 厳寒の夜に山陰に旅立った。目的地は島根県であるが、とにかく鳥取県を目差す。
 今回の旅はあくまでも島根県の魚貝類を見るのが目的。主題は島根県だが、予め調べるたくさんの項目があり、また東西隣接する県の漁業も見てみるべきだというのが、ボクの考えだ。
 深夜バスを降りると、思ったよりも寒くない。ここから山陰の旅が始まるかと思うと、拍子抜けするほどだ。

 この山陰到着が11日早朝、ここから夕方には島根県に入る。そして松江市、出雲市、境港市、大田市、浜田市、益田市と長い長い島根県を東西に踏破する。
 鳥取県での松葉がに(ズワイガニ)、ばばちゃん(タナカゲンゲ)、じいぼ(「ジイボ」もしくは「シーボ」と発音)というイソギンチャクなどを見て驚き。
 以後の島根に期待したら、そこは吹雪き、高波でほとんど水揚げが見られなかった。

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これが標準和名のわからない「じいぼ」もしくは「じーぼ」。ツブカゴやズワイの底引き網にはいるもの

 荒天の海を見て、「これは誰のせいだろうか?」ということでヤマトシジミさんが「ボクのせいでしょう」と言ってくれるが、どうやら「責任はぼうずコンニャクにあり」であるようだ。ヤマトシジミさんの欠点はこの優し過ぎるところ。

 それでも島根の水産物は素晴らしいものだった。
 12日、松江市内から魚貝類を見ていく。
 松江魚市場でみた宍道湖の巨大かつ美しいシラウオ、フナ(オオキンブナらしい)、隠岐産の松葉がに(ズワイガニ 島根県隠岐周辺はズワイガニの一大産地である)、サワラ、ブリ、カレイ類(ババガレイを「いんどがれい」と呼ぶのには笑えた)。

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市内で魚屋を営む笑顔が可愛い本川保成さん。

 松江市内、恵曇などの平凡な魚屋、スーパーにおかれた魚貝類の安さ、新鮮さ。これなど旅人をして、感動を呼ぶに充分だ。ボクなど松江の銘菓に加えて、水産物をお土産にするべきだと旅人にアドバイスしたい。
 また出雲市日御碕の大国紀子さん、民宿幕島の女将さんには、そぞの料理を作っていただく。これがまことにうまかったし、出雲女の魅力にも触れられた。

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これぞ日御碕を代表する美女。画像よりも実物の方がより美しい

 大社漁協でのお話しがあって、直売所を覗く。船は出ていない。
 松江市内での宴も素晴らしかったな。結論めいたことを言うようだが、松江にきたら、宍道湖のものだけではなく、豪華絢爛、多種多様な日本海の幸も食べないと損である。この豊富さ、味の良さは有名な富山をしのぎそうだ。

 13日は強行軍だった。早朝、松江市内から鳥取県境港へ向かう。
 鳥取県境港の巨大な市場のほとんどを占めているのが、隠岐をはじめ島根の魚貝類なのも大発見だった。築地などで「境港だから鳥取県産だね」なんて仲卸が答えているのが大きな間違いであるわけだ。
「境港は鳥取にあるが、並ぶ魚貝類のほとんどは島根県産」なのだと銘記されたい。
 美保関での漁師さんたちとの語らいも楽しかった。
 そこから松江市内を抜けて、出雲市を通り、懐かしい多岐を通り過ぎて大田に。和江の港では元組合長の月森さんの話が面白く、また和江で作られる「漁協かまぼこ」が知る人ぞ知る一品であることを、遅まきながら知る。この「漁協かまぼこ」の顛末は後に語る。

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夏の静かな日本海しか知らなかったので、荒れ狂う海も新鮮ではあった。ただし漁船は出られないよな!

 夜には浜田市に入る。なんと夕食は「すし蔵」という回転寿司。ここで、ばとう(マトウダイ)やミズダコの握りを食べたのだが、寿司飯のあまりの甘さ、追い打ちをかけるかのごとき醤油の甘さに八王子『市場寿司 たか』の握りが懐かしくなる。

 14日、早朝は浜田港での水揚げを見る。その量、また種類の多さには圧倒される。また、浜田の水産物を支えているのが干物などの加工業であることもすぐにわかる。懐かしい「水産物仲卸市場」の凄さも、より実感できた。これは五十路オヤジめ! と一喝されそうだが、この市場には美人が多い。この港前の市場はその内お魚好きの聖地ともなりそうだが、名前の長さや知名度の低さが残念でならない。
 浜田市内には『浜田食品市場』という可愛らしい市場があった。この市場は地元のトーボくん(さん)がいてこそたどり着けたものと思われる。ここでたくさんの発見をする。トーボくんありがとう!

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浜田では魚貝類の洪水に合う。このもの凄い量を一度経験すると島根の水産物に対する認識は変わる

 浜田の水産技術センター、漁協などに立ち寄り、興味深い話を聞いて、昼には益田を目差す。
 益田市は県ではいちばん西部にあり、静かな自然豊かな町である。市内を流れる高津川は清流日本一に輝いている。
 ここで県のトーボくん、ヤマトシジミさん、バシさん、中東さんとお別れする。
 またここで向かえてくれたJFしまねの佐々木さんには夕食までご馳走になる。

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佐々木さんにはまことにお世話になった。3月20日の「清流高津川日本一を祝う会」の成功を祈る。

 ここでちょっと話はそれるが、ボクの旅はいろんな人に迷惑をかけて、やっと成立する呈のもの。鳥取の浜勝商店さん、十九百(つづお)さん、川上寿郎さん。
 島根県水産部の方たち、JFしまねの皆さん。漁業者の方達、市場で出会った方達。
 また出雲市日御碕の大国紀子さん、民宿幕島の女将さん。
 山口県では「道の駅萩しーまーと」の篠原充さん、瀬戸内海を愛する、セトポンには萩から山口、山陽道まで送っていただいた。
 まことにみなさんご迷惑でしょうけど、ぼうずコンニャクをこれからもよろしく。また物質的な感謝はできませんが、心から、そして一生感謝致します。

 夜9時半には寂しい寂しい一両編成山陰本線で萩を目差す。ここで初対面の「道の駅萩しーまーと」の篠原充さんの家で休ませてもらい。また翌日にも大変お世話になった。萩魚市場の場長藤田さんにも感謝。
 15日には早朝に萩での水産物の水揚げをみて、篠原さんとFM萩に出演。篠原さんはラジオパーソナリティーとしても有名だったのだ。しかし初めてのラジオ出演は緊張した。

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篠原さんのもうひとつの顔はラジオパーソナリティー。番組をいくつももっている

「道の駅萩しーまーと」にまた戻り、「マフグのフルコース」をご馳走になる。これがうまかった。ついでにつけ加えると萩の「道の駅萩しーまーと」がいかに優れた水産物の施設であるかは、歩いていて楽しく、おいしいものがたっぷり、安く買える。それだけでわかって頂けると思う。萩に行くならお土産は「道の駅萩しーまーと」というのがいい。
 ここでぼうずコンニャクという迷惑きわまりない五十路オヤジを篠原さんからセトポンにバトンタッチ。
 山口市では川端市場を案内してもらう。この市場が、まさにボクがもっとも未来に残したい素晴らしいものだった。こんな市場に出合えるのも、釣りと食を愛するセトポンに出会えたからだ。愛してるよ、セトポン。

 セトポンに徳山まで送っていただき、倉敷を目差す。そう言えば徳山市が「周南市」に名を変えていたのが残念だ。これは市の名前を合併で変更するときには慎重に、いろいろ考えてやるべきだ、という代表的なもの。
 夜8時過ぎには倉敷市酒津の武内立爾さんのお宅にお世話になる。ボクの旅はこうやってどんどん迷惑をかける人を増やしていく。その夜の楽しかったこと。

 翌16日朝には武内さんと岡山を目差す。お別れに送っていただいたお母様と、奥様には感謝。お母様にはお身体に気をつけていただきたい。
 9時過ぎの岡山中央市場は残念ながらすでに終了していた。武内さんに市場案内をするつもりが、残念。ふたりで児島湖、児島湾を一周する。堰にあった波止(防波堤)で老人達がボラを釣っていた。この波止の名が「年金波止場」という。
 中央市場に帰り着き、武内さんと分かれる。「武内さん、こんどはじっくり遊ぼうね」と心に誓いながら、関連棟でビニール袋、アラ(海苔の佃煮)を買う。
 今回の中央市場は岡山県水の合地さんなどに島根の水産物に関してお聞きするため。これがまことに面白いし、また深く考え込まざる終えないものだった。
 岡山駅には合地さんに送って頂く。まことに感謝。
 1時過ぎには、のぞみで帰途に着く。東京ではたくさんの雑用が待っているのだ。

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 島根県に「へか焼き」、「いり焼き」というものがあるというのは何度も書いてきた。ともに起源は農耕での鋤を調理道具にして肉や魚貝類を焼くことからきている。すなわちまさに「すき焼き」である。
 これを調べていくと、島根県出雲地方、岩見地方では「へか焼き」、益田など西部では「いり焼き」と呼ばれているようだ。

 ともに料理法は同じ、ただし現在では魚貝類を使うときにこう呼ばれているらしい。この「へか焼き」がどのようなものかネットや県の方達といろいろ調べてみたが、どれもあまりに洗練されすぎて、本来のよさを大幅に失ってしまっているようだ。料理として確立する方向性が間違っているのだ。
 それでボクが理想とする「へか焼き」の形を示す。

 まずは材料だが魚貝類ならなんでもいい。ただし背の青い魚の方がうまいように思う。理想としてはサバ、サワラ、ブリ。ちょっと落ちるがカワハギ、フグ、アカムツ(のどくろ)でもいいし、要するに、あるものなら何でもいい。

 我が家で今回作ったのは「わらさ(ブリの4キロ弱のもの)。これをまずは刺身にする。そして粗は湯通し。野菜はたっぷり。
「わらさ」は鍋が沸いてくるまでは刺身で食べる。すなわち刺身と鍋を両立させるのだ。すき焼きの地だから酒、醤油、砂糖などでやや濃いめの甘辛い味。
 最初に放り込むのは粗で、そこに野菜。刺身が食べ飽きたら、刺身をしゃぶしゃぶしながら食べる。

 鍋物と刺身を同時進行すると、楽しみが二倍以上になる。いちばん理想なのは、そのときイカだとか、カキだとかカワハギだとか、雑魚だとか多種類の魚貝類を用意して、好みの時間すき焼き地のなかで泳がせて食べる。当然、総て刺身として用意しているわけだから、生のままがいいなら、それを通せばいい。

 この楽しみの多い、豊かさを感じる鍋をボクの理想の「へか焼き」だとしたい。いかがだろう? 魚好きの方々、刺身と魚すきを同時にやって見て欲しい。

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島根の日程

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ぼうずコンニャクの旅の行程です。
私はメタボで平凡な五十路のオヤジです。
私を見かけたら声をおかけください。
現地での情報がいっぱい欲しい。

11日朝、7時に鳥取駅着
     8時に岩美町網代漁港
     水揚げを見る。(岩見での「松葉がに」ズワイガニの水揚げ、
     荷の作り方などを見る。島根との比較のため。
     また変わった魚貝類があったら採取。
     お昼は岩美町役場の川上寿郎さん、
     浜勝商店の一九百さんなどと「ばばちゃん」などをいただく。

     午後、鳥取駅にもどり、駅前市場などを見る。

     松江市着 市内ビジネスホテルに宿泊

12日  6時から10時前後まで松江魚市場
     11時から小伊津 アマダイなどの水揚げをみる 
     出雲市大社町へ
     大社港、日御碕方面を見て歩く。
     20時松江市に帰り
     松江泊

13日  朝5時半から境港で水揚げを見る。
     美保関へ
     午後には大田。
     久手、和江、仁摩漁港を見て回る。
     浜田市へ。浜田泊

14日  早朝浜田漁港での水揚げを見る。
     浜田の市場などを見学する。
     午後には益田へ。
     夜まで益田。
     山口県萩に移動。

15日  萩での水揚げ、白バイなどの出荷方法などをみる。(島根との比較のため)
     山口市の水産物の専門家勢登さんのクルマで午後山口市に移動。
     出来たら勢登さんと市内の市場を見て、瀬戸内海の底引き網を見る。
     
     この日、出来たら倉敷の武内さん宅に宿泊、
     もしくは大阪市に宿泊。

16日  瀬戸内海のどこかで海を満喫。
     もしくは大阪中央市場を見て回る。
     昼過ぎに岡山中央卸売市場で荷受けの方と島根県の水産物のことを聞く。
     もしくは大阪泊の場合には大阪中央市場の荷受けの方に島根県の水産物のことを聞く。

     帰宅。

 これをどこまで実現できるのか、ボクの体力は持つのだろうか???


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 この頃テレビなどを見ていて笑えるのは、グルメ番組などでの間違い、もしくは料理店、観光旅館の嘘。
 例を挙げると、昔ドラマで活躍していた女優が登場。泊まるのは宮城県の高級そうな旅館。「うちは地物しか使いません」なんて女将が説明していて、皿に載っているのがカナダからのスポッテッドプラウン。これを宮城県産の「ぼたんえび」なんて言っていけしゃーしゃーと威張っている。まあ旅館の女将なんて魚貝類に詳しいとは必ずしも言えないだろうから、無知から来る事例だろうな。
 そしてある日の夕方、この時間帯はグルメ情報がものすごく多い。アナウンサーが暖簾をくぐったのが都内のいかにもうまそうな、割烹料理店。誠実そうな板前さんが、「うちは近海ものしか使いません」といって出しているのがカリフォルニア産のマイワシ。
 そしてそしてボクが新宿を歩いていて見つけたのが、高級なデパ地下のお総菜売り場。サバのみそ煮をよく見ると、これが大西洋で上がるサバであり、その店は「“冷凍物、輸入物”は使いませんと」は書いていないが、一切れ500円もするのに「これはないだろう」と憤慨する。

 ことほどさように世間では嘘がはびこっている。何しろ、総ての加工品には材料表示は義務づけていない。しかも義務づけしていても材料に占める量が少ないと、産地も原材料もいい加減でいいと法律で決まっているんだから、政府は加工食品の世界で「偽装や嘘をやっていいよ」と言っているのに等しい。

 さて、そのごまかし素材の代表格である、北大西洋産のサバであるが、ボクはうまい魚であると思う。偽物として使われるのは惜しい。むしろ堂々と「ノルウェー産」と表示して「だから脂がのっているんだよ」と“売り”にして欲しいくらいだ。
 八王子総合卸売センター『フレッシュフーズ福泉』で買い求めたのがノルウェー産のサバ2本。これを自然解凍して筒切りにする。この切り口が真っ白であるのは、身全体に脂がある証拠。
 これを湯引きして、田舎味噌、白みそで煮あげていく。
 サバのみそ煮のコツは湯引きしたサバをヒタヒタの砂糖、酒を加えた煮汁でゆっくり長時間火を通す。身が柔らかくなったら、合わせみそを加えて、ここからもとろ火で、味噌がクリーム状になるまで煮るのだ。

 この北大西洋の脂がのったサバのみそ煮が、すばらしい惣菜となり、2日、3日と食卓に置かれる。3日目には最後の一切れが電子レンジで温められて、食べきりとなるのが理想だ。

 昨今、食堂などで出るサバのみそ煮は、みなこの北大西洋のサバである。きっとほとんど総ての人が、ご飯とともに「うまいうまい」と食べているだろう。ボクもその一人。だたしボクが特別なのは、そのみそ煮のサバの産地がわかることくらいだ。

 蛇足となりそうだがあえて書くと、そろそろ魚貝類(愚かにも水を含めて食料)を輸入してまで食べる時代は終わるのではないか、と思っている。原油高、中国・ソ連・インドなどの経済的な発展が進む、アフリカでの飢餓を考えると、とても海外から水産物を輸入などしていられないだろう。また国内での養殖というのも無理かもしれない。なぜならばその餌は国産だけではまかなえないからだ。
 こうなってくると原材料の表示は非常に大切になってくる。自然保護のために養殖魚は食べたくない、と思っても、例えばコンビニのおむすびにギンザケが使われていても、「チリ産養殖」の文字がどこにもない。また「焼きサバずし」というのがあって、ここにあるのも「原材料/さば」といういい加減なもの。サバの文様は明らかにノルウェー産であるといっているのに。
 ボクが考えるに政府は出来るだけ早く、食品表示のもっと厳しい義務づけを進めるべきだ。現状では自然保護・健康などに注意している人にまったく必要な情報を伝えていない。また国民の安全な食生活を送る権利を確保していない。がんばって欲しいな、厚生労働省もしくは農林水産省の人たちよ。

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 八王子総合卸売センター『さくら』はラーメンを種とした中華料理の店。でもこの店が単に「ラーメン屋」と思うのは大間違いである。ときどき牛肉などを使って店主のまささんの作り出す味覚の奥は深く、圧倒される。
 そのような店だから、テーブルに置かれている、自家製の唐辛子味噌が平凡なものであるはずがない。たぶん唐辛子を潰して、なんらかの味つけをし、それから熟成させる。辛みの強い、この赤いペーストが自宅で、思わぬときに思わぬ料理に威力を発揮してくれる。

 今回登場するのは小振りの生食用カキ。これを買ったまま、数日冷蔵庫に置き忘れて、とても生で食べる気にはなれない。そこで鍋物にするのだけど、その日、家族は妻の実家に行っており、久しぶりの「小鍋仕立て」となる。
 冷蔵庫にはシイタケ、ネギ、大根、海老名の海老さんにいただいた柚。これを薄目の鰹昆布だし、酒、味醂、『さくら』の唐辛子味噌で汁を仕立てて煮ていく。

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 唐辛子味噌は最初は少量、徐々に足していくのだけど、最後には汁を飲むと飛び上がるほどの辛さに。このヒリヒリするくらいの汁がうまいのだ。マガキの旨味と熟成した唐辛子は、まことに出合いのものとしか言い様がなく、一人っきりの薄ら寒い部屋で大汗をかく。
 ここにチンチンに冷えた壱岐の麦焼酎の心地よいこと。「たまりませんな」と五十路男は独り言をテレビ画面に呟くのだ。

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八王子の市場に関しては
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 ヤリイカが盛期を向かえている。それこそ連日ヤリイカのない日はない。
 大きいほど高いヤリイカであるが、別に大きいからいい、ということはない。しかも小さいヤリイカにはお宝が詰まっているのだ。それが卵だ。
 ヤリイカが含まれるヤリイカ科の特徴は、オスが大きいこと。だから小振りのものはメスであることがほとんどだ。そして産卵期を控えて、ほとんどの胴のなかに卵が張り付いている。

 このヤリイカの卵が、この時期の風物詩とも言える味覚。冬から春にかけて市場に出回るときに、どちらかというと春を感じる味かもしれない。

 小振りのを刺身にする。これはさすがに高級イカらしく甘味があり、しかも透明感のある程良い硬さの一切れは絶品としかいいようがない。

 ここで卸したときの刺身の切れっ端とか、耳とかゲソとか真子とかを取り分けて置いて、翌朝煮つけにする。まあ別に刺身とともに夜に煮つけを出せばいいのだけど、朝の炊きたてのご飯に、ヤリイカの真子入りの煮つけが素晴らしいおかずとなるのだ。

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 このコックリした甘さをどう表現していいか、まことにこまる。確かに甘味の一種ではあるのだけど、旨味「濃く」とでもいうのだろうか、口の中で殷々と広がる。ボクはこの真子をのせたご飯が大好きである。
 困ったことには、原則的には刺身に造った副産物なので、量は少なく、わずかばかり。子供達と分けっこしながら、ご飯にのせて、後は一気にかきこむというせわしないことになる。

 さて、毎年ヤリイカは晩春までは楽しめている。今年もたっぷりヤリイカを食ってやるのだ。

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「フグって本当にうまいなー」と毎冬のように、つくづく思う。これは、たまに行く釣りでも、ついついフグ乗り合いを選んでしまうくらいにうまい。他を寄せ付けないうまさだとも言えそうだ。

 さて、フグと言っても種類は多く、例えばフグ目の魚であることは確実だが、その下の科の段階でも多岐にわたる。例えばハコフグ科、ハリセンボン科、そしてフグ科。当然、フグらしいフグというのはフグ科であり、そこにいくつかの属があるが、食用となるのはサバフグ属とトラフグ属のふたつ。2つの属ではトラフグ属の方が圧倒的に味がいい。そしてそしてフグの頂点に君臨するのが、ボクの個人的な意見かもしれないが、ヒガンフグ(関東では赤目河豚)とトラフグ(カラスフグも含めて)のふたつだろうと思っている。
 さて、その頂点にある2種のどっちがフグの王様なのだろう? これが意外に難しいのだ。
 普通は断然トラフグで決まりなのだけど、安いトラフグ、例えば養殖物とヒガンフグでは、間違いなくヒガンフグが上、では天然の上物ならば、残念ながら定評通りにトラフグが上を行く。
 でもトラフグであり、天然であって、しかも上物となると、1キロ当たり1万円以上する。そこにヒガンフグは総て天然なのだから、上物でもキロ当たり3000円前後、高くても4000円ほどしかしない。となると経済的な観念(あまり豊かでないなら)を含めるとヒガンフグはフグの中では王様に値するということになる。

 さて、今年はヒガンフグの当たり年なのかもしれない。暮れから1月にかけて入荷が多く、値段も安かった。

 見つけたら当然買い込み、知り合いのフグ調理師に毒の除去をお願いして、まずはペーパータオルにくるんで一日寝かせる。トラフグもそうだけど、さばいた当日はあんまり味がない。

 これを翌夕方に鉄さ(てっさ)にする。ヒガンフグの刺身を食べて、最初に感じることは、シコっとした身の硬さであり、それを噛みしめたときの旨味の濃さだ。この旨味を濃いというのは間違いかも知れぬ。甘味も旨味も平凡なのだけど、その硬さ故に長々と舌に感じられる。

 刺身の後は、鍋にする。これもトラフグに負けぬほどにうまい。なんとも言えぬ旨味が満ちた、しかもクセのない汁なのだろう。鍋をつつきながら、ついつい汁を飲みたくなるし、しまった身の味もいい。

 これならヒガンフグを食べて、彼岸に行ってもいい、なんていうのは洒落であるが、それほどに美味だ。

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 ズワイガニが発見され種として記載されたのは江戸時代だが、漁業対象として再発見されたの明治大正期である。また漁場が見つかって食用となり始めたのは昭和であり、戦前のこと。だから「松葉がに」とか「越前がに」とかいう呼び名もそんなに古いものではない。
 ズワイガニの本場はテレビなどでは福井、兵庫、鳥取と見なされている。これはまったくこまった誤解であって、新潟、富山、石川、飛んで飛んで島根でもとれる。

 例えば島根などとれる量も少なくないわけだし、「松葉がに」と呼ぶのは鳥取だけの専売特許ではない。
 冬の山陰の味覚では王様ともいえる「松葉がに」、その産地から島根がはずれたわけは簡単な理由による。
 なぜなら島根での「松葉がに」の水揚げ港は境港なのである。市場関係者にはもっと地理のお勉強をしていただきたい。
 例えば、この巨大な港の水揚げされる水産物の実体を知らない人が、「境港」であがったというと、それは単純に言えば「鳥取県の港で水揚げされたもの」であるから鳥取産となる。でも漁獲したのは島根県隠岐諸島周辺、隠岐だったら、島根産ではないか。
 ここまで書いたらわかってもらえると思うが島根県は「松葉かに」の一大産地なのだ。

 そして1月に八王子総合卸売センター『高野水産』で見つけたズワイガニ(松葉がに)の足に付いていたのが「島根県・隠岐」のタグ。実をいうと本日、築地荷受けでいかに産地表示の重要性がとわれる時代となったかを聞いてきたばかりだ。例えば境港(鳥取産)と取り引き先に告げて、実は島根の荷主だったら大手スーパーなどでは大問題になると言う。繰り返すが、この国に対して無関心な人が増えている割には産地表示には非常に神経質な時代となっているのだ。

 そしてそんな時代にあって、このタグの素晴らしいのは県名と水揚げした地域が並んでいることだ。こうすると島根県のとっても隠岐にとってもプラスになる。

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 大分県と言えば、佐賀関でとれる「関あじ」「関さば」で有名である。この徹底的に出荷時の品質保持に勤めた経験が、実を言うと他の魚貝類の出荷に関しても好影響をもたらしている。
 なかでも『丸昌水産』のものは凄い。活けものは必ず〆ているし、神経抜きをほどこしてある。そして平箱に鮮度保持のシートを敷き、丁寧に方向を違えて並んでいるのだ。

 この時期のマアジはけっして状態がいいわけではない。むしろ平均的に見るともっとも脂の落ちた時期にあたる。
 さて、基本的に味わいにあまり期待できないときに、この理想的な出荷方法の『丸昌水産』のマアジはどうなのだろう。好奇心から1本買い求める。

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 刺身したときに、もう脂ののりは低いのだとわかる。身は透明なのである。白濁していない。
 では、まずいのだろうか? というとあにはからんや、非常にうまいのである。ないと思われた脂であるが、少ないが甘味を感じさせるくらいにはあり、なによりも身がシコっとしている。
 真冬のマアジとしては、これ以上のものはあまり見あたらないのではないか?

 大分県の水産物の出荷を見ていると、やはり佐賀関から南の魚が極端に目立っている。これはアジサバに限らず、まったく珍魚としか言い様のないものまで、出荷方法が優れているのでいい値となっている。
 ただし、大分県の北部の地方が対比して霞んで見える。むしろ目立たなくなっている。
 そしてビックリしたのは、知人に問い掛けると「関あじはどこでとれているか?」と聞くと一般人は曖昧なのだ。「大分」「大分県佐賀関」と正確に答えた人が多かったものの、宮崎という答えが東国原知事のせいか2番目に多く。九州とだけしかわからなかった人が3位。あとは回答なしと、福岡、長崎となる。
 荷を考えると県名を明記しないと、どこか「弱いんだ」というのが、これほどブランド化した魚にもいえるのだ。

 さて、最後に築地などで見る限り、大分県佐伯市の『丸昌水産』の魚は素晴らしいな。ボクは迷ったときにはここの魚を買い求める。

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 さて「ばばちゃん(タナカゲンゲ)」をどう料理するか? 非常に慌ただしい日だったので、八王子総合卸売センター『さくら』のまささんに丸投げしたことを書いた。
 タナカゲンゲは鳥取県岩美町で、「ばばちゃん」として売り出しており、味がいいのはお墨付き。ただし、ご当地でやるがごとく鍋物にするのは面白みがない。あれこれ考えている内に、ひょっとすると中華はいける、と思いついたのだ。

 これがまさに的中だった。まささんの料理人としての力量が、タナカゲンゲをそれこそ高級中華のごときものに作り替えてしまった。なぜ「ごときもの」かというと突然の持ち込みで飾りに使う材料を欠いていた。それだけのことで、味の方は最上級であったのだ。

 さて作りっていただきましたもの、その一は刺身だ。これはともかく生のままで食べてみようということで、特製中華ダレでいただく。残念ながら、これは中華ダレがうますぎた。というか生のタナカゲンゲに味がなかったのだ。
 そしてその二が中華煮込み。豆腐、ネギに白菜、キクラゲなどで、ベースは『さくら』の鶏ガラスープ。ここにきてタナカゲンゲの味わいの本質がわかってきた。
 大型で表面がヌルヌルして、全体が柔らかい。じゃあ水っぽい身をしているかというと、違うのだ。熱を通すと、とたんに味わいが濃くなり、出しがでる。
 これをまさしく立証したのが最後に奥さんが作ってくれた塩味だけのスープ。この単純な塩味に濃厚な旨味が溶け出して、また熱を通すことで引き締まった身自体がうまい。

 来週に迫った島根・山陰の旅の始まりは、鳥取県岩美町から始まる。そこで当地で味わえる「ばばちゃん」料理を堪能できそうなのだ。さて、ご当地の味わいやいかに?

 最後に我が『市場魚貝類図鑑』作成にご協力いただいた『さくら』さんに感謝。

浜勝商店
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岩美町役場
http://www.iwami.gr.jp/
岩見町観光協会
http://www.iwamikanko.org/index.html
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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』に「ババノテ」という貝が入荷していた。
 クマゴロウが「なんだろね、これ?」というので見たらエゾキンチャクガイだ。
 エゾキンチャクガイは東北より北の枚貝で、ホタテガイなどと同じ場所に暮らす。当然、ホタテガイ漁をすると混ざるのでまとまれば関東の市場にも入荷してくる。ただし量的には非常に少ないものだ。
 1個100円は高いが、めったに入荷するようなものではない。とにかく10個ほども買い求めて、『市場寿司 たか』で握りを撮影。
 そのとき奇遇にも、ボクの『つり丸』のコラムを読んでくれているという方が居合わせて、一緒に『寿司図鑑』体験をしていただく。
 その身も肝、ワタなどもうまかったー。ヒモだってコリコリと甘味があって、感激。おっ、おおっと、ここでのことは『寿司図鑑』に書くとして。

 持ち帰ったものを刺身と、ムニエルにして味わう。それがまた「絶品」としか言いようのない味わい。刺身の甘さもホタテガイの負けず劣らず、なによりもムニエルがうまかった。どうもこのように「貝自体がうまい」というものには複雑な料理は必要としないようだ。

 久しぶりに味わうエゾキンチャクガイに感激しながら「婆の手」という呼び名は失礼だろう、と改めて思う。「婆の手」というのは根室地方の呼び名らしいが、これが函館だったら「母の手(母貝)」なのだ。
 千葉市の、『どんぐりつうしん』変集長・谷口さんから、お聞きしたところでは、函館では「お母さんの手のようにごつごつしている」から「母貝」というらしい。その昔の炊事で手が荒れた優しいお母さんの手のような貝、これは優しそうだし、いい表現であるな。

 ボク、ぼうずコンニャクは幼い頃に「母ちゃん」を無くしており、その母の愛情というものを知るすべもなかった。これは我が人生でどうにも取り返しようにない、補いようのないもの。当然、母の愛情というのには強く憧れている。
 ひとりエゾキンチャクガイの節くれ立った指のような畝を見ながら、突然名状しがたい気持ちになってきた。なんだか寂しいなー。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、エゾキンチャクガイ
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ぼうずコンニャクです。
来週から島根に行きます。
島根が中心ですけど、鳥取県岩美町、山口県萩市にも立ち寄ろうと思っています。

その方面の情報がありましたらお寄せ下さい。

メールアドレス
yobi@ZUKAN-BOUZ.COM


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 一昨年の春のこと、千葉県立博物館海の博物館での海藻採取会でフサイワヅタという、うまそうな海藻を採取した。海藻学者の菊地則雄さんを囲んでの同定のとき、「これは食べると沖縄のクビレヅタに似た味がするんです」と教わって、きっとこの国のどこかで食用にしているに違いないと考えていた。

 そんなとき熊本県水産課の長山さんに情報をいただき、天草郡苓北町にある天草漁協苓北支所(れいほく)支所長角岡さんを紹介していただく。
 角岡さんは船の碇ロープなどにつくフサイワズタを見つけて、沖縄の「海ぶどう(クビレヅタ)」に負けないくらいにうまいということに気づく。それで「海ぶどう」として商品化を進めているのだ。

 この苓北町のフサイワヅタが非常にうまい。一緒に試食した寿司職人の『市場寿司 たか』渡辺隆之さん(以後たかさん)によると、微かに梅干しのような風味があって、やめられないほどにうまいんだとのこと。確かに明らかに沖縄の「海ぶどう」よりも酸味があるようにも感じられる。
 たかさんに握りにしてもらい、これがなかなか面白い。またレタスや玉ねぎなどとサラダにしても美味だ。
 
 非常に美味な海藻なので、これは食に感心のある向きには見逃せないもののひとつだろう。旬は1月から春にかけて、いちど食べてみて欲しい。

 ここで最後に気になったことを挙げておきたい。
 苓北支所の角岡さんたちは、このフサイワヅタを「海ぶどう」として出荷している。これでは沖縄のクビレヅタと混同されるおそれがある。できればオリジナルの商品名をつける方が最善策だろう。
 ボクの勝手な思いつきだが、「藤の花藻」、「ふじのはな藻」、「五十鈴藻」なんてどうだろう。要するに海藻の茎の部分にマスカット状の総が着いているというのを、和的に表現できれば和食などで活用しやすい。

 蛇足になるが、この国では年々海藻の食文化を消失していっている。食べる海藻の種類が減っているのだ。ガンなど、都会的な生活からくる病気が増えているに関わらず、その予防に効果がある海藻を食べないというのは大きな問題である。もっと多種類の海藻を食べる努力をもっとするべきではないかねー?

天草漁業協同組合苓北支所
熊本県天草郡苓北町富岡3028-4

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 ハマトビウオは別名「角飛び」。トビウオ科ではもっとも大きくなる種であり、大衆魚であるトビウオのなかではやや高値となる。
 毎年新年早々鹿児島県屋久島からまとまって入荷してくる。これが新たな年の始まりを告げるようでもあるし、厳寒の多摩地区で暮らしていると遠く鹿児島県の春を思わせる。

 料理法としては、まずは三枚に卸して皮、血あい骨を抜き。サイコロ状に切る。これをわけぎや、山菜であるウルイなどと和えるのだ。和えるのは醤油、味醂(煮きる)、柚など。
 この小鉢ものが、なんとも春めいていい。

 そして半身だけど、我が家で定番となっているのが「よしる干し」。能登半島の魚醤「よしる」はマイワシを塩漬けして、染み出してきた汁を発酵させたもの。白身で旨味に欠けるトビウオに濃厚な旨味を追加してくれる。
 この「トビウオのよしる干し」を肴に壱岐の麦焼酎というのが、素晴らしい一時をもたらしてくれる。まさに「幸せだな」という一瞬である。

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 世の中に流通しない魚で、それこそ産地だけで味わえる秘密の味覚、美味というのがある。そんな魚は少なくないのだけど、中でもかなり希少だと思うのが鳥取県での「おとく」である。
「おとく」というのは女性の名前だけど、おかしな事にお婆さんを連想してしまう。例えば江戸時代のおとくさんにも、明治時代の、おとくさんにも若くピチピチした娘時代があったはずなのに、この名前から浮かんでくるのは、お婆さん以外にあり得ない。例えば江戸時代の「おせんさん」とか「おちよさん」とか「おしまさん」とかよりも、より老人的な名である。
 当然「おとく」と呼ばれる魚の顔つきが可愛らしいワケがない。
 しかも標準和名がガンコとくる。ガンコはたぶん頑固親父が怒ったときのような面つきという意味合い。実際にガンコの顔つきはびっくりするほどいかめしい。
 ここで浮かんでくる格言がある。「醜い魚ほどうまい」というものだ。例えば、「あんこう(キアンコウ)」、「おこぜ(オニオコゼ)」、「おにかさご(イズカサゴ)」などなど挙げたら切りがない。
 まさにガンコなどその格言通りに「醜い魚であるから」うまい。これは想像だけど、日本海で底引き網などを曳いている。網が上がってくる。その多種多様な魚貝類、ゴミに混ざって「おとく」があったら漁師はにやりと笑うのではないか? 当然、漁の後は「おとく」で鍋となり、あけた一升瓶からの冷や酒がうまい。

 さて、今回の「おとく」は鳥取に出張していた、まささんが「こんな魚知ってますか?」と画像を送ってくれたことに端を発している。ちょうど島根県での魚貝類を調べていて、底引き網だからタナカゲンゲもいるだろうなと思い至る。そしてこの魚「ばばちゃん」と呼ばれていたな、なんてまたまた記憶が蘇り、我が家の資料をもう一度見直す。そこに出てきたのが鳥取県岩美町である。
 矢も立ても溜まらなくなり、岩美町役場に電話した。「ばばちゃんの事が知りたいのですけど」というのに対応してくれたのが産業観光課の川上寿郎さん。なんとタナカゲンゲを「ばばちゃん」として売り出した仕掛け人である。そして川上さんが紹介してくれたのが『浜勝商店』。ここでも出会いがあり、電話対応に応じていろいろ教えてくれたのが一九百(つづお)さんと言う方。見知らぬ得体の知れないボクのために「ばばちゃん」と「おとく」を見つけて送ってくれたのだ。

 そして久方ぶりのガンコの鍋である。ガンコは何度食べてもうまいもので、例えば同じくブヨブヨ系魚(おれはボクの造語)のなかでも最高峰にあると思っている。

 なにしろ昆布と一緒にたくと、素晴らしいだしが出る。これが絶品としかいいようがないのだけど、この身がまた煮るとうまいのである。
 鍋に仕立てるなら醤油味ではなく塩味に仕立てて欲しい。醤油味にするのは、魚自体にもうひと味たりないときの手段であって、ガンコには醤油のアミノ酸はむしろ邪魔である。
 またガンコの肝は朱色が濃く、そして見た目通りに旨味がある。腸管、胃、皮、骨など、ほとんど捨てる部分がないのもうれしいではないか。

 ガンコがいかにうまいものか、ぜひ味わってもらいたいものだ。ただ唯一困ったことは、ガンコはなかなか手に入いらないということ。どうやら沖でとれてもうますぎる魚であるため、漁師さんが市場に出さないでこっそり食べているらしい。
 ここで漁師さんにお願い。ガンコをもっと我々消費者にも分けて欲しい。

『浜勝商店』
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鳥取県岩美郡岩美町
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 北海道、青森県などで「ごっこ」と呼ばれている、ぶよぶよして、やたらにメタボリックで、不細工で、汚い色合いの魚は標準和名をホテイウオという。この魚を布袋さんに例えたのは天才的な閃きというしかない。前から見てご覧よ、本当に布袋様なんだから。
 この魚、その昔には漁師さんたちが賄いで食べるくらいで、あまり食用として出回るようなものではなかったようだ。それがいつの間にかぶよぶよした不思議な食感のせいか、鍋材料として北海道などで人気が出てきている。値段も決して安いものではない。

 市場にはオスとメスが分けられて入荷してくる。メスが大きくオスが小柄な、それこそノミの夫婦そのもの。そして体格に合わせるかのようにメスの方が断然高い。なぜかというに、そのメスの太り気味のゴムマリのような身体の半分近くが卵巣で占められていて、これがうまいからだ。
 北海道では、メスの「ごっこ(ホテイウオ)」をとにかくぶつ切りにして、卵巣共々鍋にするようだ。ところが、ボクが思うに、この卵巣入りの鍋がうまいとはぜんぜん思えない。湯引きして、滑りを丁寧に水洗いして昆布だしで鍋に仕立てるのだけど、卵巣はバラバラになって沈んでしまう。このバラバラした卵のどこがうまいんだろう、理解不能だ。

 我が家では卵巣は別に醤油漬けにする。そして身は肝、胃袋などとともに湯がき、きれいに滑りをとる。
 これをじっくり昆布だしでたくのだ。そうするとこのぶよぶよした身からジワリと旨味が染み出してくる。素晴らしい出しとなる。味つけは醤油と酒だけでいい。

 ここまで書いたらおわかりだろうけど、鍋にする限りオスでもメスでもなんら違いはない。あえて言えば白子のあるオスの方が旨味に富んでいる。だから「鍋」と決めたらオスを買い求めて、とにかくぶつ切りにして、うまい出しとともにぶよぶよした食感を楽しむのだ。ちなみにボクは、このぶよぶよした身がそんなにうまいと思ったことはない。鍋材料としては下手だな、とも思う。

 でも寒い夜には、このブニュブニュしたとらえどころのない鍋もまた“よろし”と思えるようになっている。五十路になって、間口の広い考え方が出来るようになったということか。これまた感慨深いものである。

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 鳥取県岩美町『浜勝商店』一九百(つづお)さんから「ばばちゃん(タナカゲンゲ)」、「おとく(ガンコ)」、「どぎ(ノロゲンゲ)」、ヒメクロザコエビが送られてきた。

 タナカゲンゲは岩美町の役場職員川上寿郎さんの発案で、地元名「ばば」に「ちゃん」をつけて、鍋ものになって現地での名物になっているもの。ガンコのうまさはわかっているものの、この大きなタナカゲンゲをいかに調理するか? 考えあぐねて、八王子総合卸売センター『さくら』のまささんに丸投げすることにした。
 八王子総合卸売センター『さくら』はラーメンの世界ではかなり有名な店。でもこの店の本当の凄さは、自由な発想で作り出される中華料理にある、とボクなどわかりかけてきている。中華料理の腕がいいので、「中華そば」がうまいわけだ。

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 タナカゲンゲの半身を持ち込み「ハイ!」と手渡し。これを三枚に卸して、あれこれ勝手に悩んでもらっている間に隣の『市場寿司 たか』へ。ここで「おとく(ガンコ)」と「ばばちゃん(タナカゲンゲ)」の握りを撮影。

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「これはうまくはないなー。生で食べても旨味がない。こっちは皮目を焼いたヤツ、これが湯引きね。そしてなんにもやってないの。こっちの小さいヤツ(「おとく」)はもっと難しいね」
 たかさんの感想に同感である。

 撮影の合間に、『さくら』にもどる。
「まず生で中華のタレで食べますか」
 まささんの作ったタレは酢と醤油と自家製唐辛子味噌と各種調味料を合わせたもの。これをキュウリを包んで食べる。
 撮影は『さくら』ではなく『市場寿司 たか』で行う。これは『さくら』よりも『市場寿司 たか』の方がホワイトバランスがとりやすいため。

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 たかさんとふたりでこれを味見する。
「このタレうまいね」
「魚はどう?」
「どうって、なに? わかんねーや」
 すなわち味がないのである。

 またまた『さくら』にとって帰ると、かたくり粉をまぶしたタナカゲンゲの身をゆでている。これをスープで煮込んで出来上がったのが、まるで高級中華料理店の一皿のごときもの。
「どうでしょうね?」
 これまた『市場寿司 たか』で撮影するとともに、試食する。
「うまいねー。うまいよ。火を通すとうまいんだね」

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 たかさんはお代わりまでして、このタナカゲンゲの中華風煮込みを大絶賛。
『さくら』にもどると八王子総合卸売センター『総市』商事部のタヌキオヤジが来ていたので、コヤツにも味見させる。
「塩味が足りないけど、うまいよ」
 このタヌキオヤジ、漬物にでも、あらゆるものに醤油を湯水の如くかける病的な塩分大好き人なので「塩味たりない」は無視していい。
 この「ばばちゃん中華風煮込み」がすこぶるつきにうまい。ほとんど「皿をなめ回したいほどのうまさ」とはこんなものを言うのかも知れない。なかでも驚いたのがタナカゲンゲの身がうまいことだ。生で食べて旨味がほとんど感じられなかったのに、不思議で、不思議で堪らない。

 そして最後に来たのが、これは『さくら』の奥さん特製の「ばばちゃんスープ」。中骨で出しをとり、ただ単に塩味のスープなのに、これがまた美味なのである。

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もっとも単純な塩味だけのスープがうまい

 しかし『さくら』、おそるべし。これからも魚の料理に悩んだら、まささんにお願いするしかない。
「まささん、お願い。絶対に繁盛店にならないでね。ボクと遊んでくれなくなったら困る(注/最近徐々に客の数が増えていて不安だ)」
 あまりのうまさに、ついついあらぬ事を口走ってしまった。ごめんなさい。

 また滅多に手に入らない「おとく」を探して、タナカゲンゲなどと詰め合わせて送ってくれた『浜勝商店』一九百(つづお)さんに感謝。

『浜勝商店』
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