市場でご飯・市場食堂の最近のブログ記事

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徳島中央市場を土地の人間は「沖洲市場」という。
「沖洲」は「おきのす」と言う。
ここに徳島で揚がる総ての水産物、農産物が見られる。
6時前から魚貝類を見て、野菜を見て回ると、かなり歩く。
このとき7時を回っている。
歩き回ること1時間半。

疲れ果てて飛び込むのが『サッポロ』だ。
中央にコの字型の厨房があって、これがオープンタイプ。
オッチャンが揚げ物を作っているのやら、煮ものを作っているのやらが言える。
今回もおかずケースには数々の小鉢や皿が並ぶ。
が、残念ながら魚貝類よりも卵焼きや揚げ物が多い。
ので、地味なものばかり、ようするに低カロリーのものだけを選ぶ。

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厚揚げとナスの炊いた(徳島では「煮る」という言語がない)もの。
シラス干しにしじみ汁。
このところ吉野川河口域のシジミが豊漁に思えて、これは間違いなく地物なんだろう。
徳島県の料理能力は高い。
基本的にはんなり、「うまいでよ」。

しらすにぎゅっとスダチを絞り、ご飯をかき込む。
「ああ、メンチカツが食いたいな」と思うものの、我慢する。
久しぶりの『サッポロ』は軽い朝ご飯でやめておく。



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 大都魚類での反省会の後、8人で二次会へ。ボクが築地の怪人、つきじろうさんにリクエストしたのが「多け乃(たけの)」である。私が初めて築地に足を踏み入れてはや30年なのであるが、飯を食うならこの店がいちばんうまいと思っている。この思い込みなど、毎朝築地で3食は食べている、つきじろうさんには“お笑い”かも知れないが、とにかく「魚のうまい築地の店」というと場内にはなく、この店が浮かんでくる。

 問題は過去に定食しか食べたことがなく、ビールはともかく日本酒が飲めるのかが不安だった。そんな不安は、つきじろうさんがすぐに払拭してくれる。さっそく『多け乃』の二階を予約して、場外に出る。ここでヒモマキバイさんは忙しそうに「明日の宴会用の魚が足りない」といってもう一度場内に。
 途中、場外の「三軒屋」で血合いありのかつお節を買い込む。この店はお願いしてから削ってくれるし、店の人も親切。この日、古草さんと、キヌバリさんが一緒で、店のオジサン、あんまり2人が美しいので、ボクが削ってもらった残りをプレゼントしていた。

『多け乃』は晴海通りから路地を入ったところで、なかなか見つけづらい場所にある。しかも方向音痴のボクは過去に晴海通りからしか来たことがなく、鮟鱇さん船頭で路地裏に突然みつけたときには別の店かと思った。しかし中に入ると、いつものようにたくさんの品書きの紙が下がり、そこから階段をトントンと上がると、ヒモマキバイさん、つきじろうさんたちが待っていてくれた。既にカワハギの刺身などが注文されていて、つきじろうさんが馴れた手つきでコップを配り、ウーロン茶を冷蔵庫から出して、どんどん机の上を宴会らしくしていってくれる。そして乾杯してのビールがうまいね。

 さて、料理はなにがいいだろう。考えるまでもない。名物の天ぷら盛り合わせ、刺身盛り合わせに、煮つけに、ポテトサラダ。

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 二階にいるのは我々だけで、従業員の方はいない。どうやって注文するのか? というのを、つきじろうさんが説明してくれる。それは階段を上がって冷蔵庫の真横。そこに塩化ビニールのパイプがあって、そこに紙切れに書いた注文を入れるというわけだ。それが一階についてからの段取りもいいのだろうな。刺身も天ぷらも、ほどよい間でやってくる。この素早さこそいい店の最低条件なのである。

 大皿に盛られた刺身。墨いか(コウイカ)、メバチマグロの赤身、なかずみ(コノシロの15センチ前後)、わらさ(ブリの50センチ前後のもの)、あわび(メカイアワビかな?)はなんとなくわかるが白身が難しい。ヒラメ、ホウボウ、そしてもうひとつがどうしてもわからない。ひょっとしたらマトウダイかもしれない。やはり白身というのは難しい。

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 どれも鮮度が良く、吟味されている。また赤身がうまいのは特筆すべきかも。

 長太郎さんとは利根川の話、古草さんの絵、話題は尽きず、酒がクイクイ進むほどに楽しいな。(でも、帰り着いたら、何を話したかぜんぜん憶えていない)

 次にまたまた大皿三枚の天ぷらがくる。穴子(マアナゴ)にシロギスに、かき揚げ。このかき揚げが丸くネギ一杯で、中にはイカらしいものが入っている。天ぷらもカラリと揚がって、軽い味わいなのがさすがだ。

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 そこに真っ黒な煮魚。ヒラメの頭などいろんな魚のアラが放り込まれ、ざっかけなく煮つけられている。煮汁の黒さとは裏腹にさっぱりした味わいなのも、技ありだね。

 たくさんおしゃべりし、皆さんと仲良くなり、ビールも冷酒(伏見の『富翁』)も机に並びきらないくらい飲み、うまいものてんこ盛りで満足度200パーセントの宴となった。これで支払はひとり4000円ほど。やはりボクは築地じゃ『多け乃』がいちばんだな。改めて思うのだった。

 蛇足ですけど、ぼうずコンニャクは一度一緒に酒を飲んだ人は親戚になるのだ、と思ってしまうクセがある。ということで今回も親戚が増えたなー!

一日十食、つきじろうさんの『春は築地で朝ご飯』
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 中央高速に入ったのが前日の夜10時前、岡山には翌5時過ぎに到着、そして市場を見て回ること3時間あまり。このあたりで疲労の頂点がやってきた。昨日の6時前に起きて以来、27時間睡眠ゼロなのである。
 このとき、「どこでもいいから飯を食いたい」というのと「せっかく市場でご飯なのだからうまいものを食べたい」というのがせめぎ合う。こんなときいちばん大切なのは聞き込みというヤツ。競り場で聞いた店「備前」というのは土曜日で休み。ヒモマキバイさんが海苔の佃煮「アラ」を買った乾物などを売る店で「うまい店はどこですか?」と単刀直入に聞いてみる。
「そうですな。魚なら『笑福亭』、洋食なら『シモショク』でしょうかな」

 その「笑福亭」は目の前なのである。店の前で自転車になにやら積んでいる、おっちゃんに「ここの店おいしいですか?(「この店」というと関東、「ここの」と「こ」がひとつ多いと関西風表現)」、「おいしいでー」とだめ押しをして暖簾をくぐる(自転車に何か積んでヒモにゴムひもをかけているという光景がなぜだかボクは無性に好きだ。どうしてだろう)。
 考えてみたら“笑福亭”となると“松鶴”だろう。“松鶴”のファンのおっちゃんが店主? と、店内に入ると若い夫婦が店を切り盛りしている。ちょうど真四角の店内の真半分以上が櫓を組んで厨房。その厨房をおかずの陳列台やポット、湯飲み、そして垂れ下がる品書きなどがあってまことに狭苦しい。

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 その下がった品書き
●「海鮮¥800メニュー」に、“イクラ丼、うなぎ丼、刺身定食、ズワイガニ丼“
●イクラサーモンの海鮮親子丼¥750
●マグロ丼¥600
●海鮮丼¥750
●日替定食が“ツノギ煮付け”
●その下の、“スタミナセットおまかせ定食”¥650というのは「魚がダメな人にどうぞ」というのが見えてくる。

 そのおかずの陳列台を見てみよう。刺身定食は品書きのみ、“奉仕品”というのは今時時代遅れの感があってこれが面白い。見たところサワラの塩焼き。下に「日替定食¥550」とあってカワハギ科の煮つけが並ぶ。これが“ツノギ煮付け”であるらしい。

 この店、魚のうまい店かも知れないが、品書きは少なく、選択の余地はほとんどない。これも土曜日で関連棟を利用する人が少ないためだろうか? この選択の余地のまったくないはずのところに、サワラの塩焼きがある。でもこれがちょっと小さいのだ。とすると残るはひとつではないか。
「“つのぎ”ってなんですか?」
 まあ、いかにも「旅してきましたボクらは」、と問い掛ける。このようにわかっていても聞いてみるというのが旅の奥義なのだ。
「“はげ”ですね。カワハギの黒いヤツ」
 これはわかりやすい。ウマヅラハギを岡山では「つのぎ」と呼ぶのである。

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 ヒモマキバイさんは感が冴えて当然日替わりの“ツノギ煮付け”に即決、ボクも選択の余地なしと右へならえ。ここで「朝から魚でもないだろう」といった、きんのり丸さんがかなり深く深刻な人生の選択に懊悩しているのが見て取れる。そしてボクが考えるもっとも危険な賭に出る。注文したのが“うなぎ丼”なのである。これは懐にあるのがあと千円札一枚というときに競馬で万馬券を狙うがごとき(ボクは賭け事をやらないのだけど、きっとそうなのだろうね)。この無謀さが、若さなんだろうね? 「きんのり丸青春記」とともに今回もっとも光る一瞬であった。このときのきんのり丸さんには後光が差していたといっても過言ではない。
 机の向こうではヒモマキバイさんが「あれ?」という顔つきをしている。この人、魚市場にきたら「魚を食べなきゃならんぞ」というわかりやすい方向性を持っている。このあたりの信念は自宅にいやいや残してきた可愛い子猫ちゃんに「ダーリンは一生懸命魚を食ってくるからねー」と叫んでいるように思える。実を言うと、このときにボクはヒモマキバイさんと友達になれそうだと思った。そう言えば、仕事場で知り合ってもなかなか友は作れるものではない。それに比べると旅はなんともた安く、友を作り出してくれることか。

 まずやって来たのは“ツノギ煮付け”。これは予め煮てあるもので、しかもどうやら今まさに煮上がったばかりといった気配である。この膳が見事だ。“ツノギ煮付け”がどでんと左上というのがいい。主役を左上のいちばん目がいきやすいところに置いてあるのになみなみならぬ店主の力量が感じられる。あとはその他足軽といったところだが、ご飯、素直な油揚げ入りみそ汁、黄色いタクワンがいいね。卵豆腐はちょっと残念。卵豆腐というのは食品の世界でも微妙な地位にいる。手作りは高級料理でも、市販品は下手である。それくらい本来襟を正して食うものを、朝の日替定食に置いていいのか? これには現在の天地真理をノーメークで出してきたような無分別を感じるのだ。これが白いただの豆腐ならボクは舞い踊りしてもよかった。そして右上にいるのは足軽組頭になったばかりの木下藤吉郎を思わせるイカとドジョウインゲンの天ぷらである。
注/高速で通り過ぎた地が“小野”“三木”“別所”だというのを忘れないで欲しい。すべて豊臣秀吉と一戦交えた戦国大名である

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この市場飯はボクの出会った中でももっともコストパフォーマンスの高いもの。素晴らしいー

 この天ぷらに何をかけるべきか? ここでボクは深く悩むのである。岡山という土地では「天ぷらは醤油かソースか」。「天ぷらにかけるのは何でしょうね」と笑福亭主人に聞く。奥さんが「あれ、ポン酢でもあげましょか」、「いえいえ醤油かソースか」ということで「醤油でもソースでもどっちでもお好きな方をかけてくださいね」となった。ボクは「ソースでしょう」という返事を期待したのである。でも岡山でも「天ぷらにソース」が至って日常的であることだけは判明した。
 朝一番のみそ汁をすする。この味噌が関東とは違って米麹大豆味噌ながら、甘口である。そして“ツノギ煮付け”の骨離れのいい身を口に放り込む。これがうまーい。煮汁がよく身に染みこんでいて、その煮汁の味わいが関西風でさっぱりしているのがいい。これをたっぷりご飯にのせて、ガツっとかき込む。この瞬間にボクの頭にはサイモンとガーファンクルのブックエンドのテーマが浮かぶ。静かに静かにボクと“ツノギ煮付け”の時が流れていく。幸せだな!
 この心地よい時間を破ったのは、きんのり丸さんの前に来た“うなぎ丼”である。それは間違いなく“うなぎ丼”なのだが明らかに『笑福亭』では「これもあった方がいいだろううね」的なもの。ひょっとしたら同じ関連棟の『岡山淡水魚介』で仕入れただけかも知れない。
 まあ、きんのり丸さんは放っておくとして、あまり上手に揚がっているとは言えない天ぷらにイカリソースをかける。このイカリソースがいいのである。これがブルドックだったらボクは泣いてしまったかも知れない。岡山では何と言ってもイカリソースでなければならない。でも久しぶりにソースで食べた天ぷらは、それほどうまいものではなかった。
注/今回の後悔のひとつが岡山県での地ソースを探さなかったことだ。後半日生で地ソースを買って来られなくもなかったのに、帰り道を急いだせいで自分で自分を納得させて諦めている

 同じ“ツノギ煮付け”を選んだヒモマキバイさんにも満足の笑顔が浮かんでいる。ボクも早食いだが、こちらの膳にもあらかた食い物が残っていない。ヒモマキバイさん、男は早食いがいいねー。
 ふと正面を見れば、きんのり丸さんが、丼ではない丸い重の“うなぎ丼”と格闘している。ここにはまったく笑顔はなく、充足感を顔に浮かべているヒモマキバイさんとは好対照である。以後、きんのり丸さんの無手勝流には本人も気が付かないであろう、不思議な人生の輝きがあるのをここに発見したのだ。ボクはきんのり丸さんをして「食の無頼派」と位置づけたい。

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 ほとんど食べ終えたときに大きな失敗を犯してしまったことに気づく。バカなことに遠路岡山まで来たというのに普通の朝ご飯を、普通に食べてしまったということ。ボクが誇る無限大の好奇心が疲れが頂点に来ていたために影をひそめてしまっていたのだ。失敗だ、大失敗だ。「サワラの塩焼きも刺身も、そして店にある全部注文すればよかったのだ」。ここで2千円や3千円使っても後悔するよりもましだった。

 食後のお茶をすすりながら『笑福亭』という店の由来を聞いてみた。するとそこに名がでてきたのは、確かに笑福亭松鶴の流れは汲むものの、その弟子の仁鶴の、そのまた弟子と知り合いだという、それだけの理由で店名にしたのかー。これは五十路オヤジにはつまらんな。


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戸田・沼津の旅 ありがとう五/飯塚さんにごちそうしてもらった『たか嶋』の朝ずし
 沼津魚市場には午前3時には到着している。そこから底引き網の選別を見て、陸送もの、伊豆の各地、焼津、田子の浦、定置網、しらす漁などを見る。いつの間にか6時を回り、7時すら過ぎる。その頃、一緒に市場を見て回っていて飯塚栄一さんが「そろそろ朝ご飯行きましょうか?」と声をかけてくれる。
 そして競り場からほんの数十秒で『たか嶋』の前までたどりつく。この店、入ると右手にカウンター、左手にテーブルと天ぷらのカウンターがある。飯塚さんともども右手のカウンターに座る。中には職人さんふたり、カウンターに席をとるほとんどが市場関係者、帽子もそのままという人が多い。
 ときどきこのプロ達から「今日はなにかありました」と声がかかる。この沼津の仲買さん達はまことに優しいのである。
 席に着くと、まずみそ汁がくる。これは平凡なものだが、何しろ昨日の睡眠時間が4時間ほど、一昨日からの一時間弱を足しても疲労は頂点となっている。そこに味噌の香ばしさ、そして塩気が心地よいな。
 いつものように、本日の握りが数種、巻物にこはだ、玉子焼き。真っ先に出してくれたカンパチ、マグロの赤身、アジ、サヨリがなんとも素晴らしい。特にカンパチにはうなる。かなり大振りのものの背の身をつかったものか。これがシコっとして、旨味がのり、たまらなくうまい。
 飯塚さんは「生しらすないの……」とご不満のようであったが、この早朝の『たか嶋』の寿司はうまい。

 飯塚さんいつもありがとう。

飯塚さんの海の世界
http://www.numazu.to/sea/
市場魚貝類図鑑
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双葉寿司・たか嶋
http://www.izu-kaisen.com/umaimono/futabatakasima.htm


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 何度も書いて申し訳ないが、「築地グルメ」とか「築地は食の聖地」なんていうのを信じて場内の寿司屋なんかに一生懸命並んでいるのが不思議で仕方ない。築地の飲食店が他を圧倒してうまいなんて一度も思ったことがない。それは明らかに幻想である。

 築地場内を見て回るべく、朝方7時前には海幸橋を渡るのだが、この時点でやっておくべきなのが腹ごしらえである。いつもはこの時間から9時前までぶっ通しで狭苦しい場内を見て回る。空腹ではとても体力がもたないのだ。そんなとき入るのは晴海通り近くの立ち食いそばの「ゆで太郎」とか場内の「ふぢの」で中華そば。もっともっと時間が迫っているなら大物競り場前の売店で焼きそばパンと牛乳というので済ましてしまう。
 そして場内歩きで疲労困憊して「豊ちゃん」でも「大和寿司」でも並んでまで食う気になれると思う? 絶対になれないだろう。最近は場内歩きの後は思い切って勝鬨橋を渡って「月よし」というのがいちばんいい。もしくは場外「きつねや」の肉豆腐、煮込みでどんぶり飯かな? と残念ながらこの場外「きつねや」は「築地グルメ」なんてバカなことを言っているヤツラのせいで並ばなくてはならなくなった。

 ちょっと蛇足だが場内で働く人でマスコミに取り上げられるような店で食べている人を知らない。もちろん場内にも築地人御用達の店はあるが、一般人の群れ集う時刻にはけっしてそんなところには足を運ばない。むしろ場内の店舗脇でお弁当やてんでに賄い飯を食べているのが関の山だ。すなわち「築地でグルメを気取っている」のは部外者ばかりなのだ。

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 さて、そんな築地人のための食堂といった雰囲気なのが「東都グリル」である。築地人の尻高鰤さんによると築地市場は24時間営業であるという。すると時間帯はバラバラに仕事を終えてくる人たちがいる。そんな人たちがほっと一時を過ごせる場所、それが「東都グリル」であるのが今回わかったのだ。
 海幸橋から晴海通りに抜ける、その左手のビルの地階。あまりにも素っ気ない「東都グリル」のカンバンがある。そして食堂ならではの食品サンプルのケース、そこから階段を下ると、そこはいきなり1970年代そのものの食堂がある。中に入ると思った以上に広い。そして客のほとんどは市場で働く人たち。
 驚くのはそこで働くお姉さんもコック(シェフではない)さんも、タイムトリップしたかのように昭和そのもの。顔つきまでレトロだ。
 実は築地に初めて足を踏み入れてから30年くらいになる。それでいつも前を通りながら気になっていたのに一度もこの店には入っていなかったのだ。いつも一人なので、地階に下りる勇気が湧いてこなかったというのもある。それを鮟鱇さんがいたので敢行できたというわけだ。でも注文した定食はいたって平凡なもの。鶏肉のムニエル、カキのソテー、そしてサラダという取り合わせもよくないし、うまくもない。AだったかBだったかの定食に小ジョッキ生をつけて950円なりで、これまた決して安くない。

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 まあ、うまいもんを食いに来る店ではないというのが判明したわけだが、今回の土曜会の打ち上げはここで執り行った。そして初めてこの店のすごさを感じたのが大ジョッキ生の巨大きさと800円という値段の安さにである。しかも鶏の唐揚げや煮込みなどで散々粘ってもなんの文句も言われない。

 深夜から激務に追われてきた築地人、きっと求めているのは、こんなのんきな食堂でのひとときであるのだろう。けっして「うまいもん食いたい」なんて思っているわけがない。ボクもそんな築地人と求めるものは変わらないな。
 
東都グリル 東京都中央区築地6丁目22-4


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 東横線中目黒駅を出ると目の前にはガード下に横断歩道がある。それを渡って線路の右側にすすみすぐのビルの5階。なんだか懐かしい漁港の裏通りのような向こうにあるのが『漁師炉端 ぼうずこんにゃく』だ。駅からは数分とかからない。
 店内に入った途端に沼津や原釜、佐世保からの魚貝類が並んでいる。それがとても豊かで、うまそうな空間を作っているのである。その奥に炭火の炉。まだ若い板前が焼いているのはなんだろう。

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 今回は朝日新聞の小堀さんと鮟鱇さんとの三人連れ。初めてなのに目の前に並ぶ魚がボクの魚貝類を探す旅で出合ったものばかりというのがうれしい。そしてウキウキしてくる。
 考えてみればこの店を経営するヘンリーブロスの江嶋力さんと初めてお会いしてどれくらいだろう? ボクの「魚貝類を探す旅」になんどもご一緒した。「そこで見つけたものを丹念に調べて、経営する店に出したい」そういった話が目の前に実現しているのだ。同じヘンリーブロスの「銀座黒尊」でも多彩な魚貝類を味わえると言う意味では同じであるが、こちらの方がより多彩になっている。
 そして最初の一品に選んだのが「万腸」すなわちマンボウの腸である。これは沼津魚の達人菊地利雄さんのもたらしたもの。鮟鱇さんなど、これに感激している。

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 また原釜の大穴子の芳醇な旨味。これら焼き物に共通するのが上手な香辛料、辛味野菜の使い方だ。
 刺身盛り合わせには不漁期なのに佐世保からのハマフエフキがある。また活けのマアジのうまいこと。
 揚げ物では本えび(ヒゲナガエビ)、ニギスの天ぷら。

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 これが好漁期になると、どれだけ盛りだくさんになることかと思うとワクワクしてくる。

漁師炉端 ぼうずこんにゃく 目黒区上目黒1の22の4 中目黒勧業ビル5階


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 築地で朝飯というとめんどくさいので「豊ちゃん」とか「中栄」のインドカレーというのが多い。すなわち場内の食堂群で適当に済ましてしまうのだ。
 それが10月21日の「築地土曜会」では築地に勤める尻高鰤さんの案内で厚生会館一階の『魚四季』という店で会食した。まずボクなんかが立ち寄らない店である。なぜなら外見が「高そう」だからである。
 ところがいざ、品書きを見てみると朝の定食が良く覚えていないが600円前後、後の定食も1000円前後とお手頃。生ビールをたっぷり飲んでも一人2000円でおつりが来る。
 しかもなかなか味がいいのである。
 ちょっと遅くなったが画像を掲載する。

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あら煮定食

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マグロもつ煮

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朝定食

値段をすっかりメモし忘れてしまった。残念。

築地市場内 魚四季
http://r.gnavi.co.jp/g406401/


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 横浜中央卸売市場関連棟は水産棟の隣にある。細長い建物で入ると寿司屋、中華料理屋、そば屋に食堂らしきもの。少ないながらどれも魅力的な店ばかりで、なんども行き来してどこにはいるか迷いに迷う。ここが魅力的なのは川崎北部市場のように、または浜松市の市場のように店舗がさみしい二階に追いやられていないところ。前を行き交う人も多く、なんだか市場らしく騒々しい。しかも前からのぞくと数人の男達がうまそうになにやら食っている。

 迷うこと数十秒、最後に残ったのが「伊豆屋」と「木村屋」。結局「木村屋」にする。これは昔、好きになった女の子が木村やよいさんだったというそれだけの理由なのだ。とほほ、当然思いっきりふられたのだけど。
 店の前の品書きを見て、明らかに天ぷらの店であると思う。そこに「アナゴ、メゴチミックスてんぷら定食」1100円というのがあり惹かれること大。なにしろ横浜と言えば本牧、金沢八景、小柴というアナゴの本場がある。でもミックスというと「フライ」だわね。天ぷらには合わない。まあそんなことはどうでもいいか?
 店に入ると思ったよりも店内は狭く、入って右から細長く奥にかけて、そして奥全体が厨房になっている。すなわち店内のほとんどは厨房に対面するカウンター席。ぽつんと2人がけのテーブルがある。店の色合いは黒く落ち着いている。イスは丸い回転式、座り心地が悪い。
 注文したのは予定通り「アナゴ、メゴチミックスてんぷら定食」。せっかく横浜まで来たのだからこれくらい散財してもいいだろう。
 天ぷらが揚がるまで、手持ちぶさたでウロキョロ見ていると店内にすーっと入ってきて「や」と声をかけて2階に上がる人が数名。どうも上にも席があるようだ。

 思った以上に待って、出てきたのがアナゴ1本、めごち4本、シシトウ2本の豪華な盛り合わせ。なかなかいいな、と予想以上の定食に喜んでいると、そこにマグロのブツの入った小鉢まできた。どう見てもメバチマグロの赤身だが「うれしいな」と感激。

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 そして天ぷらのサクサクして、ジワリとマアナゴのコクのある旨味がフワリと浮かぶ。そしてめごちもいいのである。形からすると福島あたりのセトヌメリではないだろうか。これにお新香とシジミのみそ汁がついている。
 やっぱり市場の飯屋はこれくらい豪勢なものを出してほしいな。今回の横浜での朝飯は大当たりであった。

横浜市中央卸売市場関連事業者協同組合
http://www.yokohama-ichiba.com/


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 さて、最近「市場でうまい飯」なんて雑誌なんかの特集を見かけるが、そんなあまいもんやおまへんな市場飯は。そんなに取り立ててうまいものがあるはずがない。その上、特集なんかで取り上げられるのは実際に市場で仕事をしている方達が利用しない店だったりする。そんな店は横に置き、せっかく市場に来たなら市場人と同じ店で飯を食おう。それを川崎北部市場で探すと、この「富士弁」という店がいちばん利用率が高いように思えた。
 なにしろ後から後から客が絶えることなく訪れる。そして勢いよく飯をかき込んですぐにまた仕事にもどる。それで食券機の前まで来て、その品書きの多さに迷ってしまう。うどん、そば、ラーメンに定食、無造作に置かれたおにぎり各種。そのなかで珍しいので「まぐろの生姜焼き」というのにしてみる。
 驚いたことに、お願いするとフライパンでマグロを焼きはじめた。カウンターにはうどんやお握りを買っていく人がどんどん詰めかけてくる。そこでウロウロとそれなりに待ち、出来上がった皿を受け取り、みそ汁にご飯を持ったオバサンが、こちらを見て「これは持っていけないわ」といってテーブルまで運んでくれた。
 思ったよりもあっさりしたみそ汁、そしてマグロは薄味に焼かれて、大根おろしに醤油を垂らして搦めながら食べる。生姜焼きの味わいはやや野性味に欠けてミスマッチな上品さがあり、それほど「うまいもん」ではない。でも飯もそこそこうまい。そこに大根おろしに搦めた醤油味のメバチマグロのほお肉や筋を焼いたものということで、がっしがっしとかき込んで、まさに満足度からすると超合格点。
 この店の人気は市場人がもっとも大事にしていること、「値段と時間と味わいのバランスの良さ」にある。

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 ボクの沼津行は深夜に魚市場に着いて朝方には帰途に着く、あまりにハードな、そしてせわしない旅となる。そんなとき初めて「双葉寿司へ行きましょう。11時まで待つのは大変なんですが、おいしいんです」とヘンリーブロスの方から言われて、たっぷり駿河湾の美味を堪能した。

 沼津魚市場周辺の飲食店は今では明らかに観光地化がすすんでしまって、素朴さはまったくない。この観光地化というのはかれこれ20年くらい前から始まっていたように思えるのだがいかがだろう。それが言うなれば「沼津で地魚を食べる」というのが定着して、休日には行列が出来るようになったのはここ10年ほどのことだという。その沼津魚市場周辺でもっとも初期の頃から「市場の寿司屋」から「一般客相手の寿司屋」に変身を遂げていたのが「双葉寿司」なのだ。それが証拠にこの店の開店は11時、しかももっとも客が押し寄せるのが休日なのである。
 そのために少々敬遠していたのだ。「観光地化されたところはよしましょう」なんて沼津っ子飯塚栄一さんになんどもお願いした記憶が蘇る。その「観光地化された」というのが決して悪い方向性ではないというのを思い知らされたのである「双葉寿司の握りの旨さ」がために。

 今回は休日のために早めに「双葉寿司」のカウンターに陣取り、ネタケースの彩り、また職人さんとの会話を楽しみながら一時を過ごす。ヘンリーブロスのE氏は沼津に来るや真っ先に「双葉寿司」に飛び込んだ御仁である。彼の若さ故の偏見のなさがうらやましいと思ったのは最初の一かんを食べたときである。
 最初の一かんはゴマサバをお願いした。身幅が10センチを遙かに超える巨大なゴマサバであり、驚いたことに明らかにマサバとは違う旨さが舌に感動を打ち付けてくる。
 名物の「かまとろ焼き」、「小鰺」、「〆鯛」、「トコブシ」と一手間加えたネタがみなよし。「ハガツオ」、「マイワシ」も脂がのってネタの仕入れの確かさが感じられる。
「これじゃ、ちょっと食べても支払が大変でしょ」
 これは普通ではとても聞けないことなのだが、今回は沼津魚市場仲卸の理事を務める菊地利雄さんが一緒なので大丈夫なのだ。
「まさか、普通に握りを食って、足らなきゃ追加してもせいぜい3500円見当。東京の築地よりぜんぜん安いでしょ」
 これなら交通費を出しても充分に価値がある。

 それで改めて菊地さんに沼津の寿司屋事情を聞くと、
「今では市場関係者に聞いても『うまい寿司屋』はそれぞれ違うんですよ。それくらい沼津にはいい寿司屋が多いんです」
 このように沼津に寿司の名店が増えたのも最初に「双葉寿司」ありきであるようだ。
「今じゃ軽く食って10000円なんて店もありますし」
 寿司屋が増えて、今では寿司の値段にも高低があり、また仕込み方にも独自の個性がある。これを食べ歩くのも沼津の楽しみ方のひとつである。
 ちなみに沼津っ子の飯塚さんに連れて行ってもらっている「たか嶋」もこの店の支店なのである。 「双葉寿司」よりもちょっと気軽に寿司をつまみたいなら「たか嶋」で朝の寿司という手もある。
 おそるべし沼津の寿司屋なのだ。


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