鍋図鑑の最近のブログ記事

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メダイを白身と言っていいかは微妙である。
スズキ目イボダイ亜目にはメダイ、イボダイ、マナガツオなどがあって、一応白身魚と考えてもいいだろうが、代表的な白身であるヒラメとくらべると質的には大きく違っている。
このあたりは別項をたてるのでお待ち願うとして、スーパーなどで普通に売られている切り身を鍋の具にするときのコツをご披露してみたい。

メダイはやや高めながらスーパーなどで1切れ200円から300円で売られている。
決して珍しくはない。
普通、煮つけや塩焼き、ムニエル、フライなどに利用するが、肌寒の候である。
やっぱり鍋でしょう。
さて、メダイは比較的クセがなく、また旨みが強いわけでもない。
無個性な八方美人的なメダイ切り身は椀種(吸い物)には向いているが、鍋物にはちょっと一工夫が必要になる。
吸い物の場合には役者で言えば、脇役でいいのだが、鍋物だと主役を張らなくてはだめ。

鍋物には、だしを使う「寄せ鍋」と、使わない「ちり」というのがある。
寄せ鍋の汁は基本的にカツオ節だしを使った八方だしで、具材を煮る前から飲んでもうまい。
ちりの場合は具を煮る前は、まだ単に昆布の風味があるだけの不完全な汁なのである。
寄せ鍋の主役は下味をつけるが生のまま入れる。
ちりの場合は煮出すということから霜降りにしてアクをのぞいて利用する。

メダイの切り身はどっちに向いているか? というと寄せ鍋仕立ての方である。
だから買い求めてきたら食べやすい大きさに切り、下味をつける。
カツオ節をベースに酒塩で味つけした汁を用意しておく。
汁は当然インスタントでいいので、顆粒状のものをさらさらで大丈夫。
メダイの下味と言っても酒、醤油、みりんを合わせてまぶして半時間以上置くだけだから、なんの技もいらない。
後は野菜をたっぷり用意しよう。
豆腐はあってもなくてもいい。
意外にコンニャクやお麩などもいいのだよ。
そうだ練り製品もいけます。
何を入れてもいいので寄せ鍋というのだろうね。

さて、小鍋仕立てでも、大鍋仕立てでも、どっちでもよいのが寄せ鍋の利点。
これをご飯としても酒の肴としてもよい。
具に素麺やうどんが入ると、ご飯だろうな。
この鍋に入れたうどんって、子供の頃大好きだった。
さて、これでは家族団らん幸せ者だけの鍋と思われそうだが、本当は寄せ鍋こそ小鍋仕立てに向いているのだ。
幸不幸綾なす秋の夜、なーのだ。

材料(2人分)/メダイ切り身2切れ、カツオ節だし400㏄、酒100㏄、塩適宜
野菜などはなんでもよい。
今回は海老名の海老さんの柚を脇役に生かした。

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作り方
1 メダイを酒1、みりん1、しょうゆ1に合わせたものに漬け込む。30分以上漬け込む。

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2 だしと酒を合わせ、塩で飲んでちょっと物足りないなというくらいに味つけ。
3 だしを加え、後は具材を自由お好みで放り込んでいただく。
汁と具材を一緒にすくい、物足りなかったら柑橘類、醤油などを垂らす。ポン酢をかけるなどして食らう。



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月並みすぎて作らないというのが、鱈ちり。
使うのはマダラ。
漢字で書くと「真の鱈」となる。
スケトウダラでもいいのだけど、やっぱりマダラがいちばん。

体長50センチほど、重さは1キロ弱。
まあぎりぎりタラと言ってもいいのだけど、市場でこれを選んでいたら「ポンダラ買うなら、別に白子持って行きなよ」と声が飛ぶ。
そうなのだ。
マダラは白子がなくちゃね。
「ポンダラ=小振りのタラ」という意味合いで、白子も真子も抱えていないだろう。
だから「(パック詰めの)白子持ってかないと鍋が寂しいぞ」とでもいいたかったんだろう。

実は今回作りたかったのはリエットであって、鱈ちりではない。
でもリエットだけでは1尾のマダラは使い切れないので、白子抜きの鱈ちりとなった。
マダラ半身、肝に胃袋に粗。
野菜はあるものだけですます。

この白子を欠く鱈ちりがうまかったのだ。
マダラのなんのクセもない白身に、ポン酢。
じわりじわりと汁の味もよくなって、この汁がまた酒の肴となる。
多摩地区は農作物からすると準寒冷地だそうだ。
寒いのである。
窓の外においた一升瓶がきりきりに冷えている。
多摩地区には鱈ちりがよく似合う。

作り方
1 タラは細かい鱗があるのでよくよく丁寧にひく。三枚に下ろして適当にぶつ切り。
2 でかいボウルにタラの身を放り込み、塩ひとつかみをまぶす。
3 小一時間おき、水分が出てきたら、熱湯に少しずつくぐらせて冷水に落とす。
4 水分をよく切って、マダラの仕込みは終わり。野菜、豆腐などを用意する。
5 鍋に昆布だし、酒2合ほどに塩。ここで材料を煮ながら食べる。ポン酢、生醤油つけるものはなんでもいい。
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久しぶりにアラ鍋

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築地場内『大音』さんでアラを見つけた。
鮮度は今イチながら安い。
しかも魚体がきれいなので即購入。
1キロ足らずなので、千円少々とは手元不如意のボクにはありがたい。
ちなみに今回のアラは、標準和名のアラ。
九州などの「アラ」すなわちクエとは違う。
そういえばアラはクエに劣らず高い。

これを適当に切り、鍋にする。
送られてきたばかりの故郷のスダチがグッドタイミングなのだ。
だしは昆布に酒塩。
野菜はまだまだ夏もののツルムラサキ。
水菜にシイタケ。

熱を通すとぐっとしまるのがハタ科の魚の特徴。
その割りに、口の中でもホロっとほどける。
甘み、旨味もあっていい感じだ。

野菜たっぷりで、しかもうまいためか酒がすすまない。
鍋はほんまに健康的である。

作り方
作り方
1 アラの鱗を取り、適当にぶつ切り、振り塩をしておく。小一時間おき、湯引き。
2 鍋に昆布をしき、だしを取る。ここに酒と塩で味つけ。
3 野菜などと盛りつける。
4 魚から入れて、適宜に野菜。しょうゆ、スダチかポン酢で味わう。

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キチヌが標準和名(図鑑などにのる)で、比較的一般的に使われる呼び名がキビレ。
語呂を考えるとキビレの方が好きだな。
母音に「い」が二つ並んではいけないと思う。
キチヌはタイの仲間だが「タイ=赤い」というイメージから外れる。
黒いタイなのだ。
このあたりもタイという言葉って難しいね。

まあ、どうでもいいか?
三重県から入会(いろんな魚が混ざって一箱となる)でキチヌがやってきた。
1キロ以上あるもので、まことに見事というしかない。
こいつを鍋物、刺身にする。

鍋にするためにまずは片身をこんがりと焼く。
準主役が豆腐なので、だしが濃厚にならぬように、アラは使わない。
こちらは明日のみそ汁にでもするとして、とにかくこんがりと焼いておく。
だしは昆布に日本酒と塩。

これでゆでたムラサキイガイ(ムールガイ)、べかな(山東菜のあまり大きく育たない品種)、春菊、豆腐。
ムラサキイガイは高野水産の頂き物。
鍋物に貝類が少しでも入ると、味がぐんとよくなる。

関東ではこの手の鍋を押し並べて湯豆腐という。
関西ではちりだろうか?
とにかくだしがあっさりして淡白である必要がある。

さて、昆布だしで温めた焼いたキチヌがうまいのである。
生臭身がなく、焼いた香ばしさが生きていて、しかも口に入れてほろっと崩れる。
ポン酢でもいいのだけど、なんといっても柑橘類と醤油をその場で合わせて食べるのがいい。

本日の酒は兵庫県姫路市の「奥播磨」。
知らなかったねー、こんなにクイクイ飲める酒だとは。

1 昆布を水に浸しておく。弱火で煮だして、昆布を出す。そこに日本酒と塩で味加減。
2 三枚に下ろしたキチヌを素焼きにする。他の具材を用意する。
3 鍋に具材を入れながら温まったら食べていく。
柑橘類に醤油、もしくはポン酢、生醤油などなんでもいい。とにかく好きな味で食べる。

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 3月も半となった。
 日増しに温かくなってきている。
 ハクモクレン、梅の花、関東タンポポ、オオイヌノフグリ。
 ふと野辺で佇めば、春はすでに到来していると感じるのだ。
 ただし、夕方の冷え込みはまだまだ厳しい。

 とても慌ただしい時期なので、手間を惜しむ意味合いからも、まだまだ鍋の季節は去ってはいない。
 それも春を感じるものを、と考えてボクなりに「春らしい鍋」を仕立てる。
 まずは薹立ち間近の水菜の葉先、佐島の生わかめ、タイワンハマグリに主役はマダイの白子。
 豆腐は冬の名残。
 本当は生麩といきたいが、予算がゆるさない。

 これを昆布だし、酒塩でいただく。
 冬越ししたスダチに生醤油、ぽん酢でもいい。
 家族は汁ごと鍋の具をすくい取り、適当にスダチを絞り込み生醤油で味つけしながら食べる。

 澄んだ汁の中でハマグリの殻が揺れるのを見て、どれが殻を開けるのかを見極める。
 開いたら間髪入れずに食べる。
 マダイの白子はとろっととろけて甘く、その割りにさっぱりとした後味だ。
 築地場内で真子よりも白子の方が高い理由がわかってくる。
 ワカメは鍋の中でしゃぶしゃぶに。
 青く色変わりしたら、ほんの少しだけ生醤油に浸して食らう。
 ワカメの軟らかいこと、しかも磯の香り立つ。
 冬越しした水菜はそろそろ薹立ちして終わりとなり、春植のものに交代する。
 この時期葉先だけを食べてもやや硬めだが、味はいいのだ。

 最後は雑炊とやりたいところだけど、我が家の鍋の特徴はほとんど汁の残らないこと。
 それで春の鍋には、おむすびというのが付き物となっている。
 デザートは旗野農園のイチゴ。
 
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「だんごにしてよ父さん」
「ああ、いいよーー」
 姫のリクエストにさっそくマイワシのすり身を買い込む。

 帰宅後、千葉の海人ツヅキさんにナガイモを頂いていたことを思い出す。。
 ナガイモ、少量の片栗粉、全卵一個分、刻んだネギ(玉ねぎでもいい)にしょうがの絞り汁を加えてゆるいだんご地を作る。
 ナガイモを加えると団子はフワフワになる。
 これを湯に落として、だんごが出来上がる。

 合わせますものはホタテに野菜は季節のものいろいろ。
 何でもいいのだけど、今回はワカメ、金時ニンジン、芹(せり)、いただきものの大根、シイタケ、若玉ねぎ。
 鍋の汁は昆布だしに酒と塩。
 この汁に関してはあまり凝らない方がいい。

 これを姫はぽん酢、ボクは生醤油に柚、要するに家族テンデンバラバラの食べ方で食べる。
 しめは我が故郷の隣町(今はともにつるぎ町)半田の「半田そうめん」。
 太めのそうめんが鍋物にもってこいだ。
 
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 市場には、その土地ならではの食べ物が見つかる。
 最近、地方に行っても、急速にその土地ならではの食い物、個人商店が消滅していく。
 それこそハンバーガー屋、牛丼屋、カフェ、居酒屋チェーンなどは、まるでガン細胞のようではないか。
 こんなものは今すぐ全部消えてしまってもなんの問題もない。
 ばかりではなく自然保護の立場からも消えてしまって+ではあるが-ではない。

 さて、久しぶりに訪れた金沢近江町は大きく変貌していた。
 なんだか、徐々に野性味というか、北陸の市場ならではのよさがなくなって行きつつあるように思える。
 とくに、市場の半分に立つ、汚らしいビルはなんだね。
 金沢で驚くのは、本来美しい街並みをたもっていたはずなのに、醜い建造物がブツブツ吹き出物のように立っていること。
 金沢駅西口など、まともな人類ではとても作れないに違いないウルトラろくでもないオブジェが立ち、また生き物としての人間にまことに使いづらいものとなっている。
 そして近江町もかよ、といいたい。

 いかん、怒りが先に立つ。
 閑話休題。
 まあ無粋な建物が出来つつあるが、やはり近江町市場は魅力いっぱいだ。
 今回見つけたものは昔ならではの水魚(ノロゲンゲ)、まぐろ(マカジキ)、がんど(ブリ)、梅貝(エッチュウバイ)に香箱蟹(こうばこがに ズワイガニのメス)、甘えび(ホッコクアカエビ)。
 フグの子のぬか漬け、かぶらずし、大根ずしに、ドジョウの蒲焼き。
 野菜ではレンコンに加賀太きゅうりに、金時草。
 白菜があるのもいいではないか。

 近江町市場を歩きながらお土産として買ったのは梅貝、まぐろ(マカジキ)、能登のマガキ、めぎす(ニギス)のすりみである。
 能登七尾湾のマガキは関東にはまったく入荷してこない。
 めぎすのすり身も珍しい。

 すり身は卵、ヤマトイモ、ネギ、塩で熱湯に落として団子にする。
 能登のマガキは大根おろしで汚れと臭みを落とす。
 大きさの関係から生食用を買い求めたので、生で味見。
 やはり日本海のマガキは味がいい。
 加うるに天然のキノコ。
 「霜起こし」、「ちたけ」はともにイグチ科であるように思えるのだけど、種名はわからない。
 これに春菊、豆腐、海老名の海老さんにいただいた柚で鍋にする。
 汁は昆布だしに酒塩。
 鍋の味付けは単純である方がいい。

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 まずは鍋に「めぎすの団子」を放り込み。
 ニギスの骨は軟らかく、これをそのまますり身にしているので、だしが出る。
 そこにマガキを入れて、適度に熱を通して食べる。
 後はどうでも好きにしろ!
 豆腐に春菊、キノコを放り込んで、どんどん食べていく。

 鍋の時には、多少飲み過ぎても翌日に残らない。
 だから『加賀の月 純米吟醸』四合瓶をあけてしまった。

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 疲れているという自覚はない。思った以上に元気だ、と喜んでいたら、突然首が曲がらなくなってしまった。しかも寝返りをうったり、なにげに振り向いたときにくる痛みが気持ち悪い。近所の薬屋にいる美人のお姉ちゃんに相談すると「血圧が高いとか、疲れがたまっているんじゃないですか」なんて可愛らしい声で言ってくれる。すすめてくれたのがピップ内服液というやつだけど、ぜんぜん効き目無し。

 疲れている可能性があるとしたら、我が家には「豚牡蠣鍋」を作り食べるという手があったのだ。なぜなんだろうね、豚肉とマガキの剥き身が落ち込んでいる体力を回復してくれる。
 材料は当たり前だけど湯通しした豚のロースと、汚れを落としたマガキの剥き身。大阪の叔母にもらった徳島県小鳴門海峡の塩ワカメ。野菜は芹、浅葱、白菜、ブナシメジに豆腐もたっぷり。
 鍋の汁は昆布だしに清酒をたっぷり、そこに塩味を微かにきかせる。
 疲れをとってくれるのは豚やマガキの成分によるのだろうけど、とにかく大量に野菜を食らう。
 陸の豚と海のマガキが、不思議なほどに相性がよく、猛烈にうまいだしとなっている。ついついだしをすくっては飲むので最後のぞうすいは諦める。
 今回は山口県山口市堅小路にある『ヤマコー』の「山口の味つけぽん酢」で食べたのだけど、これもなかなかあなどれぬ味わい。橙(だいだい)の酸っぱさが、余計に疲れを落としてくれている。

 さて、一夜明けて、曲がらぬ首が元通りによくなったかというと、ますます辛くなってきている。まさか首の痛みで病院に行くのも変だしねー。

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 島根県に「へか焼き」、「いり焼き」というものがあるというのは何度も書いてきた。ともに起源は農耕での鋤を調理道具にして肉や魚貝類を焼くことからきている。すなわちまさに「すき焼き」である。
 これを調べていくと、島根県出雲地方、岩見地方では「へか焼き」、益田など西部では「いり焼き」と呼ばれているようだ。

 ともに料理法は同じ、ただし現在では魚貝類を使うときにこう呼ばれているらしい。この「へか焼き」がどのようなものかネットや県の方達といろいろ調べてみたが、どれもあまりに洗練されすぎて、本来のよさを大幅に失ってしまっているようだ。料理として確立する方向性が間違っているのだ。
 それでボクが理想とする「へか焼き」の形を示す。

 まずは材料だが魚貝類ならなんでもいい。ただし背の青い魚の方がうまいように思う。理想としてはサバ、サワラ、ブリ。ちょっと落ちるがカワハギ、フグ、アカムツ(のどくろ)でもいいし、要するに、あるものなら何でもいい。

 我が家で今回作ったのは「わらさ(ブリの4キロ弱のもの)。これをまずは刺身にする。そして粗は湯通し。野菜はたっぷり。
「わらさ」は鍋が沸いてくるまでは刺身で食べる。すなわち刺身と鍋を両立させるのだ。すき焼きの地だから酒、醤油、砂糖などでやや濃いめの甘辛い味。
 最初に放り込むのは粗で、そこに野菜。刺身が食べ飽きたら、刺身をしゃぶしゃぶしながら食べる。

 鍋物と刺身を同時進行すると、楽しみが二倍以上になる。いちばん理想なのは、そのときイカだとか、カキだとかカワハギだとか、雑魚だとか多種類の魚貝類を用意して、好みの時間すき焼き地のなかで泳がせて食べる。当然、総て刺身として用意しているわけだから、生のままがいいなら、それを通せばいい。

 この楽しみの多い、豊かさを感じる鍋をボクの理想の「へか焼き」だとしたい。いかがだろう? 魚好きの方々、刺身と魚すきを同時にやって見て欲しい。

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 八王子総合卸売センター『さくら』はラーメンを種とした中華料理の店。でもこの店が単に「ラーメン屋」と思うのは大間違いである。ときどき牛肉などを使って店主のまささんの作り出す味覚の奥は深く、圧倒される。
 そのような店だから、テーブルに置かれている、自家製の唐辛子味噌が平凡なものであるはずがない。たぶん唐辛子を潰して、なんらかの味つけをし、それから熟成させる。辛みの強い、この赤いペーストが自宅で、思わぬときに思わぬ料理に威力を発揮してくれる。

 今回登場するのは小振りの生食用カキ。これを買ったまま、数日冷蔵庫に置き忘れて、とても生で食べる気にはなれない。そこで鍋物にするのだけど、その日、家族は妻の実家に行っており、久しぶりの「小鍋仕立て」となる。
 冷蔵庫にはシイタケ、ネギ、大根、海老名の海老さんにいただいた柚。これを薄目の鰹昆布だし、酒、味醂、『さくら』の唐辛子味噌で汁を仕立てて煮ていく。

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 唐辛子味噌は最初は少量、徐々に足していくのだけど、最後には汁を飲むと飛び上がるほどの辛さに。このヒリヒリするくらいの汁がうまいのだ。マガキの旨味と熟成した唐辛子は、まことに出合いのものとしか言い様がなく、一人っきりの薄ら寒い部屋で大汗をかく。
 ここにチンチンに冷えた壱岐の麦焼酎の心地よいこと。「たまりませんな」と五十路男は独り言をテレビ画面に呟くのだ。

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