2010年4月アーカイブ

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青柳(バカガイ)がうまいねーー!(以後もしばらく立川談志風に)
こりゃ、たまったもんじゃねーくらいに、味がいい。
そこいきて、あんなに高かった行者にんにくが、こっちとらも買える値段となってきてる。

当然作りますのはぬた。
貝とみそは出合いのもの。
非常に相性がいい。
みそ、酢、煮切りみりん、だし、砂糖を合わせて、姫にすり鉢ですりすりしてもらう。
ここに辛子をたっぷり。

軽く湯引きした、青柳のヒモ、水管、貝柱にゆでた行者にんにく。
これを山形の「白露垂珠 純米吟醸」の肴とする。
辛子のきいた酢みそに甘みのある青柳、そしてくさいがうまい行者にんにく。
これぞまさに木の芽どきの夕暮れに、至福のときをもたらしてくれる。

作り方
1 青柳はむきみを鍋に水と少々の塩とともに入れて、火をつける。手でかき回しながら、適度にしまり、湯が熱くなったら冷水にとる行者にんにくはゆでておく。
2 すり鉢に、みそと砂糖を合わせてする。酢、煮切りみりん、だしを少しずつ足しながらすり、辛子をあわせてする。
3 皿に青柳、行者にんにく、辛子酢味噌をもる。

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噴火湾を臨む八雲町から、ぶつ切りにしたニジカジカが入荷してきた。
ちょっと見た目は悪いけど、黄色みを帯びた卵巣が混ざり、カジカのみそ汁の美味を知っているので、惹かれるところ大である。
ニジカジカというのは東北北海道ではもっとも多産する海産カジカで、刺身にしても煮ても、焼いても平凡だ。
が、唯一、みそ汁にすると大変身する。
恐るべき美味となる。
うまいなんてものではない。
「鍋壊し」というのはトゲカジカの別名だが、ニジカジカだって鍋が壊れるくらいにうまい。

1パック350円を買って帰り、さっそく湯引き。
玉ネギやニンジン、ジャガイモの常備野菜とみそ汁に仕立てる。
このみそ汁がおかずとなって、お父さんの寂しい昼ご飯なのである。
卵巣がほろほろと甘く、しまった身の味わいもよし。
レンジで温めたご飯と、みそ汁にはほんの少量、下ろしニンニクを落としてある。
見た目は地味だが、味は豪華絢爛。
空前絶後のうまさとは、このことなのだ。

そして週末を迎えて、腐らないように二度、三度煮返した、みそ汁を酒の肴に。
これがまたうまい。

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1984年の春、函館で何気なく入った大衆食堂。
みそ汁とご飯と、とんかつという定食の、汁の実がカジカだった。
種は断定できなかったけれど、何度も何度も煮返して、見た目無残な、このどろどろしたみそ汁がうまかったのだ。
以来、私、カジカのみそ汁の身方となったのであった。

さて、この便利なぶつ切りのパック。
正式には何というのだろう。

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昨日今日作られるようになったものではなく、北海道では定番的な加工品であるはず。
明日にでもト印水産(読み方がわからない)にでも聞いてみよう。

ト印水産 北海道二海郡 八雲町落部 535−3
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ニジカジカへ

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魚類学でマグロ族といわれるのがカツオ、ハガツオ、マルソウダガツオ、ヒラソウダガツオ、スマ、ハガツオ、クロマグロ、キハダマグロ、メバチマグロなど。
この幼魚というか、ときに稚魚のようなものがうまいのである。
高知県の漁師、永野さんなどからは、「そーりゃ、当然と違いますか」なんて笑われそうだが、関東で暮らしていると、かなり通でないと、こんなことはわからない。
だから市場に来ないわけだ。
残念至極である。

そんなハガツオの子が珍しくやってきた。
荷主(産地業者)は面白い魚を出荷してくる和歌山県串本の出口水産である。

さてどうやって食べたらいいのか。
これがとても簡単、三枚に下ろして皮目をあぶるだけ。
これを切るために、「焼き切り」と呼んでいる。
小さいのに皮下に脂があり、なかなかうまいのだ。
青柚とか、ライム、スダチなど柑橘類と粗塩で食べる。
しょうゆもいい。
柚胡椒もいい。

合わせる酒は、香りのあるものがよく、静岡県の「志太泉」。
皮目の旨み、脂のわりに軽い味わいのハガツオにスダチの酸味。
山が笑っている。
これぞ春たけなわを感じる肴ではないかな。
ハガツオなどマグロ族の、新子の旬はこれからだ。

作り方
1 三枚に下ろす。血合い骨を取る。
2 皮目をガスの直火であぶる。冷水に取り、水分を拭き取っておく。

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我が家で中華風と勝手に称している料理は、正当なものではない。
例えば唐辛子が入っているから南蛮とつくようなもの。
中華煮込みに「中華」をつけたわけは、少量の紹興酒とフィッシュソース(ニョクマム)が入っているためだ。
でも淡泊な魚貝類には、非常に相性のいい料理。
しかも主菜としても見栄えがするのである。

今回のアカイサキなど中華料理、中華風の料理に使ってもっとも活躍する魚ではないか、と勝手に思い込んでいるのだけどどうだろう。
煮込みというのは、春らしくない料理だが、寒暖の差の激しい、寒にはこんなものがふと欲しくなる。

このような中華風の濃い味つけの料理は、実を言うと酒の肴には不向きだ。
例えば、魚をほぐしながら、汁と混ぜ合わせて、飯を食うからいい。
こんなもの食いながら酒は飲めません。
どちらかというと健康的な味わいとなる。
紹興酒とフィッシュソースが出合うと、途端に飯を食いたくなるから不思議。
最後に、ここに八角を加えるか、否かは好みであろう。
あればコリアンダー(香菜)をてんこ盛りにすると、非常に東南アジア的な料理になる。

作り方
1 アカイサキは三枚に下ろして、血合い骨を抜き、振り塩、そして湯通ししておく。
2 中華鍋にサラダ油を入れ、鷹の爪、しょうが、ニンニクを温めて香りだしをする。ここに紹興酒、フィッシュソースを加えて、塩で味つけ。
3 煮汁にアカイサキを入れて、強火で一気に白ネギとともに煮上げる。

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4月なんだから、春らしいものを、春らしいものを、などと思っていた桜散り、八重桜満開となる。
多摩丘陵がいちばん美しいときを迎えている。
そして八重桜も散り始めているではないか。
けだし春の進み具合は早い。

八百屋に九州の竹の子が並び、いつの間にか、地物、相模原などからの大きなものが見られるようになった。
そしてこの出盛りの竹の子に、今月初めとどいた三陸のワカメを合わせる。
気仙沼の仲買、makoさんから、
「沖合で養殖しているもので、最上級のワカメなんです。香り、味ともに最高ですから食べてください」
と送ってくれたものだ。

徳島出身なのでワカメにはうるさいつもり、のボクが圧倒されるほどに味のいいワカメであった。
「ワカメは沖合で養殖したものの方が、いいものができるようなんです」
こんなことをmakoさんに教えていただいたのも大収穫。

若竹煮は竹の子をゆでる時間と、だしをとる時間を除けば、いとも簡単、しかもしごく合理的な料理だ。
肝心なのはうまいだしをとることだけ。
今回は江戸後期、明治、大正に農家などでさかんに使われていた、素朴な石皿に盛ってみた。
若竹煮も石皿のような何気ない普段の食べ物なんだろう。

薄味で炊いた、竹の子の風味と味わい。
海をそのまま連れてきたような、ワカメの香り。
静岡県沼津で作られる『白隠正宗』の冷やがこれまた結構な味でいい。
春なのに憂鬱な日々が続き、これが唯一のなぐさめとなる。

作り方
1 竹の子は皮を適当に二三枚剥き、てっぺんを落として切れ込みを入れ、糠、鷹の爪と1時間ゆでる。そのまま一晩鍋止め。翌日水洗いして水にさらしておく。ちなみに京都周辺の竹の子なら、こんな手間はいらない。
2 カツオ節だしをとり、八方地を作る。カツオ節だし、みりん、酒、塩、薄口醤油がうまだし八方の基本。
3 竹の子を適当に切り、八方だしで煮立たせないようにたく。竹の子が煮えてきたら、別鍋に竹の子のだしをとり、少し塩加減をして味を濃いめにして、水洗いし、もどした塩ワカメをほんの5、6分たく。
4 出来上がったら竹の子、ワカメを盛り、竹の子の薄味のだしをはってできあがり。

MakoさんのAngler's- Marketへ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ワカメへ



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昨年から父の死、本の出版準備、また一身上の都合での引っ越しと、まさに疾風怒濤の日々となっています。
メールの返信忘れなど、失礼なことをしているかも知れませんが、物理的、時間的に不可能な部分があります。
引っ越し後は、よりデータベースの完成をめざして邁進する予定です。
よろしくお願いします。

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ひと味足りないのが欠点のアカイサキ。
油を利用して、ひと味足し算するのが得策と思っている。
そこで刺身にして余った片身を塩コショウ。
オリーブオイルをまぶして、一日漬け込む。
これを、オリーブオイルで焼く。

皮目からじっくりかりっとするまで焼き、身の方はしっとりと。
火が通ったら、魚を取りだし、温めたオーブンで保温。
フライパンに近所の旗野農園で作られた甘いトマトを、握りつぶして放り込む。

白ワインもハーブ類も使わない。
単純極まりない料理。
最近料理は引き算して、引き算して作る。
ついでに忙しいのと、頸椎症の激しい痛み(肩こり)のせいだろうか、極力塩分は控えめとなってしまう。
どうしてだろうな?

作り方
1 アカイサキの片身は血合い骨を抜き、塩コショウ。
2 少し置いてオリーブオイルとともにビニール袋に。一昼夜ねかせる。
3 たっぷりのオリーブオイルでつぶしたニンニクとともにじっくりこんがり焼く。火が通って皮がこんがりしたら、オーブンで保温。
4 アカイサキを焼いたフライパンにトマトを握りつぶして放り込む。トマトはほんの1分くらいで柔らかくなる。この一瞬で火をとめる。
5 皿にトマトソースを盛り、魚をのせてルッコラを飾り出来上がり。

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春になると、毎日でもいい、蕗をたく(煮る)。
栽培蕗だからアクはない。
ちょっと物足りぬほどに香りが薄い。
それをおぎなってあまりあるのが葉の部分。
これを湯がいて、シラスとジャコと合わせて佃煮にする。
これぞ春の味。

蕗と合わせるのは干しの強いジャコ(ちりめん)でも、シラスでもいい。
大切なのは蕗の葉が持つ香り、えぐみをどこまで残すか、だ。
大人はこのえぐみを楽しむのだし、子供には迷惑な存在である。
一家で食べると、このあたりが難しい。

酒の肴というよりは、おかずと位置づけたい。

作り方
1 蕗の葉はたっぷりの湯でゆでる。刻んで水にさらす。
2 太白ごま油で蕗の葉を炒めて、シラスと酒、味醂、少量の砂糖を合わせながら煮ていく。
3 少しずつ、醤油を加えて煮あげていく。

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大分県産アカイサキがあって、キロあたり卸値1500円。
微妙な値段だなと思う。
700グラム前後ありそうな雄なので、1尾千円ほどになる。
ほかにめぼしい魚があると、手を出さない値段。
だから「微妙な」という表現になる。

でも持ち帰って焼き切り(焼霜造り)にしたら、そんな微妙な気分が吹き飛んでしまった。
非常にうまいのである。
大分県からくる魚は扱いの良さから、ハズレがほとんどない。
鮮度がいいのに加えて脂がのっていた。

やや厚みのある皮下にじわりと甘みを含む層があった。
これは一片一片がうまい。
酒がすすむのである。

作り方
1 丁寧に鱗を取り、三枚に下ろす。血合い骨を切り取り半身を腹と背にわける。
2 串打ちをしてガスの直火であぶる。すぐに冷水にとる。
3 大急ぎで水を拭き取り、ほどよく切る。

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疲れていると、なんだか簡単でしかもしごくうまいものが作りたくなる。
カツオと納豆を合わせただけというのもそうだ。
こんなもの料理でも何でもない。
たった2、3分で卓上でできる。
いうなればたぶん毎日食べている納豆となんらかわりがない。

用意するのは
カツオ、みりん、しょうゆ
納豆、タバスコ、ニンニク、しょうゆ、ネギのみ

カツオを適宜に切り。みりんとしょうゆを合わせる。
一息置いてあとは材料を混ぜるだけ。
タバスコが肝心要なのである。
どうでもいいんだけど、非常にうまい。

ご飯にも合うし、酒の肴にも。
カツオの鉄分を感じるような微かな酸味と納豆の旨みと個性が適当に相殺し合うのがまたよし。

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初物食いは、まことにうきうきするもので、しかも長年待った魚ともなると、「あれやこれやいろいろ」料理したくなる。
今回は刺身、塩焼き、卵巣のスパゲッティ、煮つけにフライを作ってみた。
なかでも意外に思えるほどうまかったのが、塩焼き。
体長55㎝、2キロの胸鰭から頭部にかけてを、丸ごと遠火で焼く。

厚みがあるので、じわりじわり焼いて小一時間も待つ。
水分が多いので、魚焼き器がしゅんしゅん音を立てる。
表面は香ばしく、中はしっとりと。

このような骨格の複雑なところを食べるとき、ボクももっと正当な魚食いだったら、なと思う。
どうにも食べた後がだらしない。
後の皿の上はきれいじゃないけど、ツノガレイなかなか塩焼きにして美味であった。

また北大西洋にも似たもの、ツノガレイがいるのだが、イギリスなどではフライにしている模様だ。
当然、太平洋のツノガレイをフライにしてもうまい。

ここにまた新たな魚を手に持ち、さばき、食べてみることができた。
送っていただいた『マルトミ渡辺水産』さんには感謝。

作り方
1 頭部は厚みのある部分に適当に切れ込みを入れて振り塩。1時間以上おく。
2 強火の遠火で小一時間かけて焼く。

北海道紋別 まるとみ渡辺水産



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小振りのスルメイカをワタをとらないまま干物にしたものは、越前、北陸、越後など、日本海側で作られているもの。
これが干物としては超弩級にうまい。
焼いて食べる。
そこに大問題があって、「酒を飲み過ぎてしまう」。
それくらいにうまい。

干物として食べてうまいだけかと思ったら、調味料にするともっとうまい。
今回はスパゲッティなんだけど、これ我ながら絶品しごくて、うますぎてどうもすみません!
って感じ。

だいたい唐墨のスパゲッティよりも味は上なんだと思うのだけどね。
干した渋みは油で炒めることで消える。
スルメイカの旨みがワタごとどっとくるんだから、息苦しいくらに旨みのボリュームを感じる。

渋みの強い赤ワインに合う。
が、飲み過ぎぬこと。

作り方
1 ニンニクはつぶしておく。鷹の爪は種を除く。丸干しは細かく刻む。
2 スパゲッティをゆではじめ、傍らでオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪を入れ、香りがついたら鷹の爪を取りだし、丸いか干しを加える。非常に弱火に。
3 ゆであがったスパゲッティをフライパンに移し、パセリを加えて混ぜ合わせる。

吉川水産 福井県丹生郡 越前町三崎 79−7−1

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