2009年5月アーカイブ

 予想外に早く帰って来られたので、がんばろうと資料を読み始めたら眠くなる。
 昨日は睡眠時間4時間なので、素直に寝る。
 時計を見たら11時過ぎたばかり。
 あさ5時前に起きて、がんばろうと思ったのが大失敗。
 目覚めたら7時を回っている。
 ふとヘルスメーターにのると、なんと昨日と同じ95キロ。
 こんなに努力をしているのになぜ痩せないんだろう。
 神様の意地悪ーーー!(五十路なのにバカだな)
 家族がパンを食べているので、朝食をとらないで市場へ。

 八王子総合卸売センター『さくら』で一昨日のイトウを料理してもらう。皮とフィレを香ばしく焼いてホワイトソースと合わせたもの。
 これが素晴らしい。イトウはクセがなく、色合いがきれなので、中華料理の材料としてももってこいだ。
 市場を回り、八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』でふっこ(スズキ)を買う。
 八王子総合卸売センター『総市』で殻ほ(殻付きの活けホタテ)を3枚。
 土谷食品でオカアサンの作った無数に切れ目の入って痛々しいコンニャクのピリカラ炒め。
 これがついつい手が出るうまさだ。

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 『市場寿司 たか』で殻付きのままホタテをゆでる。水に受けてあら熱を取り、ネタの切り付けをすると、中はまだ生の状態。
 ふっことともに握ってもらう。

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 そろそろうまくなっているだろうと思ったふっこは思ったほどでもない。もの足りない。
 ホタテガイは真反対に想像以上にうまい。このように少し火を通すと、より甘みがますのだ。

 すしを食べると、余計に腹が減ったので、『さくら』でナスのはさみ揚げ定食。

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 これは『さくら』さんが作る市場人限定のもの。朝から揚げ物食べて痩せられるんだろうか?

 帰宅してから、作っておいたイトウとヒラマサのマリネを撮影。
 ともに5切れずつ食べる。
 イトウのマリネが最高にうまい!

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 正午に外出。
 お昼は抜き。

 夜7時半まで都内某所にいて、これまた都内某所で会食。
 秘密の会合なので省く。

 そのまま都内新富町キャピタル東京に宿泊。
 室内にヘルスメーターはないので体重は不明。
 日付は替わって1時にダウン。
 
八王子の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 深夜3時まで起きていたので、目覚めたら7時を回っている。
 本日水曜日、市場は休みだ。
 居間では姫が冷やし中華を食べている。
 お腹がしくしく痛むので、そのままパソコンで図鑑を改訂。

 午前9時過ぎに、朝ご飯。

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 イトウの塩焼き、島根県浜田市『いそまる本舗』にいただいたカメノテのみそ汁、『マリンフーズ』の「いか黄金」、萩のちりめん、山口市で買った刻みワカメで、ご飯軽くいっぱい。
 イトウの塩焼きが予想以上にうまい。
 これで酒があったらいいだろうな。

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 デザート代わりにjasminさんに頂いたミニトマト。
 口中さわやかになる。

 10時過ぎに歩いて20分のところにあるスーパーへ買い物に出かける。
 ヘルスメーター、1グラム単位で量れる量り、計算機、ビニールシートに自転車のゴムバンド(なんていうんだろう)、クッションを買う。
 クッションは今度滋賀、三重の旅に出るとき我が車に同乗する、ねずみふぐさんが腰痛だからだ。このように細やかな気遣いができるボクの本質はだれもわかってくれない。残念だ。
 往復小一時間も歩くのだから、間食してもいいだろう。
 スーパーの近くにあるパン屋『ベルゲン』であんぱん1、子供用にメロンパン。
 そう言えばベルゲンのオバサン最近急に老け込んだ。大丈夫?

 大好物のあんぱんとお茶で、朝日新聞を読む。
 12時24分まで図鑑の改訂、寿司図鑑などのブログを書く。
 買ってきたばかりのヘルスメーターに乗ると、94キロ。
 今日は食い物を減らして、目標500グラム減なのだ。

 外出すると初夏の陽気だ。
 アジサイの花がそろそろ咲き始めている。
 午後の中央線、マスクをしている人、一車両の3人、4人。
 新型インフルエンザも一段落だろうか?

 立川駅で途中下車して、中央線上りホーム奥多摩そばで、にしんそば。
 奥多摩そばは中央線ではいちばん味がいい。

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 かけそばに煮た身欠きニシンがのっているだけだから、カロリーは低いに違いない。
 ホームに高校生が多い、これがやたらに五月蠅い。

 午後8時過ぎ、帰路につく。
 途中三鷹駅で途中下車。
 駅中の『ちよだ鮨』ですしを買う。

 帰宅後、握りを量りに乗せながら、食べる。
 こんなことをやっていると、ぜんぜんすしがおいしくない。

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 ネタは穴子(マアナゴだろう?)、イクラ、ネギトロ軍艦(種はわからず)、イカ(たぶん東南アジア産ヤリイカ科)、メバチマグロ赤身、養殖マダイ、サーモントラウト、ホタテ、ブラックタイガー。これで790円は安いと思う。
 この十かん、どこに消えたやら。

 念のためにシャワーのあとヘルスメーターに乗ると95キロ。
 明日の目標は94キロにしよう。

マリンフーズ
http://www.marinefoods.co.jp/
いそまる本舗
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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 故郷での法事を行った。
 時間をみつけて徳島県つるぎ町貞光町に唯一残った銭湯に行く。
 久しぶりに脱衣所で体重を量ると、大変なことになっている。大台が近いのだ。
 なぜ、なぜこんなことになったのだろう? たぶん寿司図鑑のせいに違いない。
 すしのカロリーが高いためではなく、すしは食べても食べても、むしろ食欲が湧く。これがいけないのだ。
 『市場寿司 たか』の握りは量ってみると20グラムから24グラムある。関係ないかも知れないが、お隣『さくら』のチャーハンはいつも大盛りなので一人前250グラム強だ。
 思い出すと、煮いかを作っては握ってもらい、また握ってもらい。また新しい寿司ネタを持っていくなどすると、一度に十かん以上の握りをつまむ。それ以外にまた三食まともに食べていたのが失敗だった。
 寿司職人のたかさんの記憶では、
「一年に千かん(千個)はいかないけど、それに近い数の握りを食べてるだろうよ、それが全部肉になったんだな」
 2003年に始めて、はや七年。五千かんくらいの握りが、当時80キロを超えて、「仕方がないか?」と思っていのを「大台超え」を間近にしている。
 そこで思いついたのが食べたものを記録するダイエット。
 本日から消極的にやってみることにする。

 朝ご飯。
 ご飯、茶碗に軽く1、超具だくさんみそ汁1、萩のジャコ、刻みワカメ、イトウの刺身二切れ、イトウのフライ小1、ムニエル小1、金太郎干物1、トマト二切れ、お茶。

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イトウの刺身。寄生虫がいるので食べると危険だ。食べる食べないは自己責任で。

 朝食後、キタムラサキウニの撮影。
 二個食べてみる。
 思ったよりもうまい。

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千葉県銚子からきたキタムラサキウニ。小振りだけど思ったよりも身(生殖巣)が詰まっている。美味、美味。これはきっとカロリー低いだろうな。

 八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』でイトウの握り2、タイ産モンゴウイカの握り1、サーモントラウトの握り1。

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握りの大きさの法則と、寿司ネタの値段を調べている。

 帰宅後、お茶だけ飲む。
 ヒラマサを撮影。小振りのもので味見で刺身二切れ。

 外出して、残ったイトウ、ヒラマサをjasminさんに東京駅で待ち合わせ差し上げる。
 駅構内のしゃれたカフェでコーヒー1ぱいだけ。砂糖もクリームも我慢する。
 そう言えばjasminさんのジージャンの肩が破けていた。
 お金に困っているんだろうか?

 午後三時空腹感を覚えて、ファミマの「鮭トロ青磯海苔」というのを一個。
 最近コンビニのおむすびが面白い。面白すぎる。表示の鮭というだけで色々だし、その工夫の際限のなさは凄まじいばかりだ。
 今回の鮭はチリで養殖されたであろうサーモントラウト(三倍体のニジマス)。
 やや脂の強いサーモントラウトをネギトロ風に作っている。
 このおむすびを買っているどれくらいの人がこの鮭の素性をわかって食べているのだろう。

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最近コンビニおむすびが面白いな。買うたびに新しい発見がある。本日サーモントラウトは2回目の登場。

 都内某所に移動。11時までいろいろ。
 夕食はお弁当。
 来たのはハンバーグで、出来るだけ残す。

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ハンバーグ3分の1,ご飯3分の1、残す。これが結構つらい。

 帰宅は0時半。
 ヘルスメーターに乗ると、一回目94キロ、二回目92キロ、三回目94キロ。
 乗るたびに違う。どうやら壊れているらしい。新しいのを買わなくちゃ。
 ダイエットはお金がかかる。

 本日の反省点はなし。
 襲ってくる食欲にも勝てたし、これなら間違いなくダイエット成功するに違いない。

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 八王子総合卸売センター『総市』を通りかかったら、ミノルちゃん(総市の鮮魚部部長なのだ)が、
「そこのBツブ1キロ量っておいて」
 店の若い衆にどなっている。
 そのBツブをよく見ると、(北海道)厚岸産のアツエゾボラなのだ。
 面白いことに築地を筆頭に市場人で、エゾバイ科エゾボラ属の種を見分けられる人は皆無だ。
 市場人の感心は「真ツブ」であるのか、違うのか?
 実は大方の市場人が値段の張る「真ツブ」、すなわちエゾボラだけは見分けることが出来る。
 でも「真ツブ」だって、そんなに単純ではないのだけど、それは次回の話とする。
 市場で「真ツブ」をAツブといい、以外のものをBツブと呼んでいるのだ。
 でもアツエゾボラはエゾボラ属では見分けやすいもの。
 せめて、こいつくらい種名で呼んでやってくれないだろうか?
「おい、Bツブ量ったか、●●屋さんのトラックに乗せて置くように」
 ミノルちゃん、それはアツエゾボラだから。

 アツエゾボラはエゾボラ同様に味がいい。
 難点は足(筋肉)がやや黄色みがかっていることくらい。
 その上、断然安いんだからお買い得。
 刺身もうまいけど、煮たらもっと凄いのよ〜〜。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アツエゾボラへ
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 秋に色づくのがアイナメだ。真黄っ黄に染まる。
 これは産卵期の雄の婚姻色。
 この産卵期のアイナメも悪くない。
 けっしてまずくはないのだけど、やっぱりアイナメを食べたくなるのは春から夏にかけてだろう。
 そして5月のアイナメがうまい。
 今回のものは常磐から来た、活け締めのもの。
 死後硬直した状態で鮮度もいい。
 たった1本だけだけど買い込んだら、キロあたり1500円で650円也。
 これほど見事なアイナメなのに安すぎないだろうか。

 夕食用に水洗いして三枚おろし、血合い骨を抜き取る。
 皮目を焼いて氷水に落として、よーくよーく水分を拭き取る。
 飾りに万能ネギをのせてみると、なんだか5月らしくなった。

 さて、改めて書くまでもないが、5月のアイナメはうまい。
 皮下に旨味があって、ほんのり甘いのは脂だろう。
 活け締めなので、シコっと食感もいい。

 もう一本買い込むべきであった。
 後悔先に立たずなのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アイナメへ
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 〈刻みワカメ〉を調べていたら、『聞き書 山口の食事』(農文協)に、だいだい酢としょうゆを少しかけ、唐辛子とネギを混ぜ合わせると手っ取り早いおかずになる、というのを見つけた。
 これは明らかに刻みワカメの調理法として確立した山口の定番おかずに違いない。
 偶然だが、土谷食品に見事なミョウガタケ(ミョウガの茎の軟化栽培)を見つけたので、柑橘酢としょうゆで簡単に同じようなものを作ってみる。
 ミョウガタケを使うと、おかずではなく酒の肴になるはずだ。

 まずはミョウガタケを刻む。
 ワカメを加える。レモンをしぼり込み、生醤油を少し。
 後は混ぜるだけだ。
 唐辛子を加えないのは子供のことを考えてのこと。
 子供は不思議に思えるくらい酒の肴が大好きなのだ。

 調理時間はまさに3分。
 それなのに食べてみると非常にうまい。
 これぞ超簡単に出来上がる佳肴。
 爽やかに大酒が飲めること受け合いだ。
 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ワカメへ
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 八王子市元八王子にある『鮨忠』さんは大の真つぶ好き。
「味がいいからね、ついつい仕入れちゃうんだよ」
 なんて笑う。
「それで、この貝の本名ってなんだっけ?」
 ここで“本名”というのは標準和名のこと。
「エゾボラですよ。何度も教えているでしょ」

 面白いもので真つぶの標準和名を何度も聞いてくるのは『鮨忠』さんだけではない。
 市場に集う誰もがやることなのだ。
 要するに、標準和名なんてどうでもいいのだけど、最近の傾向からして「それじゃ、いかん」という思いも浮かぶ。
 だから何度も“本名”を聞くわけだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、エゾボラへ
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 島根県庁で会議の準備に追われていた。
 そんなとき、4月まで隠岐勤務であったルーさんが、
「隠岐から“しいしび”持ってきてるんで見ませんか?」
 と呼びに来た。
 松江で隠岐の産物を売る展示会があったようで、残ったものを見せに来たらしい。
 また、普通、隠岐の方がわざわざ県庁を訪ねてくることってあるんだろうか、と鑑みるに、どうやらルーさんの人徳もあるようだ。
 さて、見せてもらった“しいしび”とはスルメイカの一夜干しのことであった。
 隠岐近海でとれたもので、それはそれは立派なもの。
 これを1枚500円で売っているという。
 特別にわけてもらい、帰宅後に酒の肴に焼く。

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 このスルメの一夜干しに目がないのは子供達。
 焼けるそばから食べて、もっとくれという。
 結局大きなスルメイカ2枚とも焼いて食べたのだが、驚いたのは塩味だけなのに甘みが強いし、風味がいい。
 不思議なくらいに柔らかい。
 これはスルメイカが生かっている内に作られたためだろう。

 “しいしび”は正しく名品の誉れ高い。
 島根に来たら、おすすめしたいお土産のひとつだ。

海の駅 松島
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
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 山口県北浦地方、萩などで作られる加工品には見るべきものが多い。
 干物、乾物、海藻類など、調べ始めたら切りがないように思えるほどだ。
 どれもが魅力的なのだが、昨年以来、夢中になっているのが刻みワカメ(きざみわかめ)である。
 これは生のワカメを干したものを、細かく刻んで、また干し上げたもの。もしくは刻んだだけのもの。
 できるだけ細かく刻むのは大変根気がいる模様で、天然ワカメを使ったものはなかなか高級品となっている。
 今回のものは山口市川端市場内国弘商店のもの。
 そんなに大きくない1袋が1000円もするが、食べてみると、この値段が「安い」と思うはずだ。

 これを朝の炊きたてご飯に混ぜ込んで、楽しむ。
 刻みワカメはなんと、ご飯に混ぜ込むだけの歴史の長いインスタント食品ともいえそうだ。
 この刻みワカメご飯がなんとも香り高く、適度な塩気を感じるもので、箸がすすむ。
 我が家の太郎も久しぶりに朝からおかわり。

 さて、炊きたてのご飯で食べるのもいいが、ぜひともお弁当には「ワカメおにぎり」を作るべし。
 ワカメにはアルギン酸があるので、ご飯の腐敗防止にもなる。
 最近、お弁当作りがブームだ。
 でも東京では、こんなおにぎり見たことない、に違いない。
 これこそ、作って優越感に浸れるお弁当の主役となるはず。
 
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ワカメへ
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 “桜干し”、“末広干し”、“みりんぼし”などと呼ばれるものがあって、マイワシ、小型のマアジ、カタクチイワシなどで作られる。
 大正時代に九州で作られ始めたもので、甘辛い味の干ものなのである。
 各地で作られ、特に山口県、静岡県、茨城県などに多い。
 ただ本格的に味醂を使ったものと、砂糖と醤油でまるで駄菓子のような甘い味に作り上げてものがあって、見た目も、味わいからも別種とすると、加工品の分類からして呼び方・名称を変えるべきだと思っている。

 その駄菓子的な味わいの最たるものが九十九里の“みりんぼし”。
 原材料はカタクチイワシ、砂糖、醤油、デンプン、アミノ酸。
 関東では定番的なもので、ある意味、食料品店にはなくてはならない。
 しかも今時の超大型スーパーにだって置いてある。

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 軽くあぶって食べるのだけど、熱い内に手でほぐして盛り合わせる。
 砂糖と醤油だから、とにかく甘い。
 そこにごまの香ばしい香りがして、適度な硬さで、噛みしめると確かにカタクチイワシの味がする。

 アミノ酸も使っているし、あんまり上等とはいえない食べものだが、なぜかボクはコイツが好き。
 ときどきビールのともとして、楽しんでいるのだけど、ボクの脇では子供が、やはり駄菓子気分で食べている。
 自然食とかスローフードなんて喧しいが、このような懐かしいような、どこか卑俗な食いものがなくなると寂しいなと思うのである。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、カタクチイワシへ
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 故郷、徳島県の名産というと柑橘類。
 スダチだけではなく、ハッサクにユズ、温州ミカンの栽培も盛んだ。
 毎年箱でやってくるハッサクが、この時期になっても残っている。
 これをエスカベッシュの漬け汁に使う。
 ハッサクジュース、白ワインビネガー、太白胡麻油、塩コショウ、少量のタバスコ。
 調味料、ハッサクジュースの比率は味をみながら適当に、量はたっぷり。
 これとやっと出てきた「バライカ(スルメイカ)」を軽く揚げて合わせる。
 要するに、塩コショウして小麦粉をまぶした「バライカ」をフリット(揚げる)にして、ソースの中で小一時間漬け込むのだ。

 合わせる野菜は近くにある旗野農園のトマト、市場で買った水菜、マーシュ、フリゼレタスにまだ贅沢なヤングコーン。
 ヤングコーンだけは焼いている。
 野菜を盛りつけて、後はエスカベッシュを漬け汁とともに加えるだけ。

 最近100キロを目前として、やっとダイエットに目覚めている。
 これなら健康的だし、とりあえず90キロ切りを目差しての体重減も夢じゃない。
 ただしアルコールを控えることができたなら、だけど。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
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5月の旅 序章

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 徳島県、香川県、島根県、山口県と1週間にわたって旅をしてきた。
 今回は大方が仕事と、私事なのだけど、それでも新しい発見多々であって、ときに深く深く感動することもあった。
 香川県では高松にある中央市場を見学。高松という全国有数の都市であって、しかも地魚の豊富さに驚く。
 夏の魚であるメイタガレイ、キジハタ(あこう)、ハモにコウイカ(はりいか)。うまそうであったが、ここで魚を一般人が買うのは難しい。

 故郷のことは省くつもりだが、徳島県穴吹町にある「油屋」というホテル(旅館かな?)は素晴らしかったな。
 食べ物さえ食べなければ、こんなに居心地のいい宿泊施設は他にはないだろう。

 島根県松江では会議、会議で終始。
 夜は島根県職員の方とは痛飲した。
 今回の島根県水産振興の会議は見事なものだと自負している。
 先ず間違いなく水産アドバイザーとしては、これ以上のことは誰にも出来ないだろう。
 ただし島根県人の議論好きに、やや閉口。
 浜田市に立ち寄り、大磯で軽い会議。

 そのまま山口市に立ち寄る。
 ボクは今回、山口市という街がいかに魅力的かを発見する。
 案内してくれたセトポン、ハタポン、若ポンに感謝。
 気に掛かっていた川端市場のことは、とにかくなくなることはなく、移転することとなったようだ。
 この市場の重要性は山口県庁、市役所も認知すべきだ。

 さて昨日20日、一週間の旅を終えて帰宅する。
 とても疲れたのだ。

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 掲載した画像は山口市にある某居酒屋で出た刺身盛り合わせ。
 あまりにうまかたので、ここに画像を掲載する。
 店の名はセトポンが怒るだろうか秘す。
 本当の魚好きにはこたえられない居酒屋であった。

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 市場の塩干の店でウルメイワシの頬刺しを見つけた。
 なぜこんな在り来たりのものを“見つけた”のかというと、一目見て、なかなか見事なものだなと感じられたからだ。
 ウルメイワシの干物は乾きの強い方が好きだ。
 だが、なかなかそんな上物が見つからない。
 そして出来るだけ大きい方が望ましい。

 残念ながら今回のものは小振りだけど、酒のアテを求めていたので、さっそく買い込んだ。
 仲買に聞くと、産地は大分県なのだという。

 ちなみに「目刺し」とは目に串などを刺し通して干し上げたもの。
 「頬刺し」とは鰓蓋から口に串を通したものだ。
 最近見る限り頬刺しばかりで「目刺し」を見かけない。
 やっと見つけたらカタクチイワシだったりする。

「ウルメイワシの目刺し、どこにいったんだろう?」

 さて夕べとなって、ロング缶ビールとウルメイワシの頬刺し。
 風薫る季節で、窓辺で沈みゆく太陽を見ながら飲むビールがうまい。

2008年5月14日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ウルメイワシへ
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明日から四国です

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明日から四国徳島です。
その後、島根に移動して松江で会議。
帰宅は来週水曜日となります。
ご用の方は携帯に。
もしくは掲示板に書き込んでください。


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 “つぶ”とか“ぼら”、“ばい”とか語尾についてくる巻き貝のほとんどが、エゾバイ科だ。
 エゾバイ科には「まつぶ(エゾボラ)」、「磯つぶ(エゾバイ)」、「青つぶ(ヒメエゾボラモドキ)」、「白ばい(エッチュウバイ)」、バイなど食用として重要なものが目白押し。
“つぶ”は別として、標準和名(カタカナ)の語尾に“ボラ”とつくとエゾボラ属(唾液腺にテトラミンがある)、“バイ”とつくと大体エゾバイ属(唾液腺にテトラミンがない)であることが多い、が例外があってまぎらわしい。
 まぎらわしいといえば、もっともっとエゾバイ科を深く調べていくと、迷宮に迷い込んだようになってしまう。

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 そして今回のエゾバイ属2種、エッチュウバイとオオエッチュウバイのこと。
 上の画像を見ると、よーくよーく見ると、いちばん上の1個だけ、違っているように見えないだろうか?
 この1個だけは貝殻がやや硬く、手ではつぶれない。硬いから貝殻が壊れていない。
 後の4つは貝殻自体の膨らみが強く、手で簡単につぶれるのだ。
 やや硬くて、よくよく見るとスマートなのがエッチュウバイ、ふっくらとして貝殻が柔らかいのがオオエッチュウバイになる。
 ただし、ここまで似ていては一般の人に見分けがつくはずがない。

 北陸から、とくに新潟になると、この膨らんだオオエッチュウバイを非常に珍重する。
 ときにキロ当たり5000円くらいというのも珍しくないらしい。
 新潟では「なんばんえび(ホッコクアカエビ)」漁でとれるもの。
 画像のものは「JFしまね」の箱だから鳥取県境港からきたものだ。
 「しまね」なのに鳥取県の港なのはおかしいのだけど、境港に入る多くの漁船が島根県籍なので、取り扱いが「JFしまね」となる。
 たぶん隠岐(隠岐島町)のバイカゴ漁(ベニズワイ漁の可能性もある)でとれたもの。
 さて、ホッコクアカエビカゴ漁もバイカゴも水深500メートルを超えて行われる。
 深海に餌を入れたカゴを沈めての漁なのだ。
 エッチュバイとオオエッチュウバイは生息する水深が違っている。
 エッチュウバイは水深200メートルから500メートル。
 オオエッチュウバイは水深400メートルから1000メートル(以上)。
 浅いところにエッチュウバイがいて、深くなるにしたがいオオエッチュバイが見られるようになるということになる。
 また水深が浅いと「貝殻が硬く、スマート」であり、深くなると「貝殻が柔らかくなり、膨らんでくる」というのがわかってくる。
 この2種の巻き貝が本当に独立した種といえるのか、ときどき疑問に思えてならない。
 このような疑問は総ての貝(特に巻き貝)に感じることだ。
 一つの箱に両種が混ざるということからとれた水深も推測がつく。
 水深400メートルから500メートルくらいにバイカゴ(巻き貝をとる)を落としての漁に違いないのだ。

 さて、動物学的な話は置く。
 エチュウバイとオオエッチュバイの味だけど、ほとんど同じだ。
 違いはこれまた硬さだろう。
 エゾバイ属の巻き貝は身(足)がやや柔らかい。
 これが関東で、エッチュバイの刺身が受けない最大の原因とされている。
 関東の人は巻き貝の刺身にコリコリとした食感を求める。味よりも食感なのだ。
 対するにエッチュバイは、食感は悪いが旨味はむしろ、柔らかいから強く感じられる。
 この柔らかいエッチュバイよりも柔らかいのがオオエッチュバイ。

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 例えば酒蒸しにすると、一瞬、「マダカアワビの酒蒸し」なんじゃないだろうか? と思えるほどだし。
 その味わいは甘みが強く、旨味も適度に感じられる。ようするに非常に美味。
 唯一乏しいのが巻き貝独特の磯臭さ、貝臭さだけなんだから、味は万人向きだ。

 オオエッチュウバイには、まさに大物、もしくは上物の風格がある。
 こんな名品、上物が、価値のわからぬ関東に来てしまうと、とたんに捨て値となって、ボクのような違いのわかる人間を喜ばせるのだ。
 漁師の方達には申し訳ないことではあるけど。

2008年5月7日
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 ときどき魚でもっともうまいのは「何だろう?」と思って、ふわりと頭に浮かんでくるのがカイワリだったりする。
 カイワリといっても知名度は低くて、もしも「名前を知っていたら偉いな」とほめてあげたいくらいだ。
 味がいい魚なのに知名度が低いのは、あまりまとまってとれないせい。
 ただし、東京からすると目と鼻の先、相模湾小田原などでは名物ともなっていて、関東に住んでいると知らず知らずに食べている可能性も高い。

 ここで今日の市場で、カイワリを見つけた状況説明をしよう。
 今回のものは神奈川県産、市場人などが「入会」という入荷方法でやってきた。
 これは様々雑多な魚が一緒くたになって送られてきたもので、こんな中には、それこそお宝的なものが多々混ざり込んでいる。
 そんな入会の中から見つけ出した、たった一尾のお宝がカイワリだったのだ。
 まとまってとれない魚だけに、こんな形での入荷が多い。
 もしも市場を歩く機会があって、入会を見つけたら、じっくりお宝探しをして欲しいものだ。
 キロ当たり1200円で値段が一尾で180円ほど。
 140グラムといっても本来小振りなカイワリとしては、立派な部類になる。

 カイワリは煮つけにしても、塩焼きにしても、刺身、カルパッチョにしても「うますぎる」。
 そして今回は素直に刺身に造る。

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 春なのに、もしくは春だからうまいのだろうか、身が白濁するほどに脂がのっており、鮮度がいいのでシコっとして歯触りがいい。
 普段は本醸造の醤油をつけるのだけど、今回は山口県柳井の最仕込み醤油をたらす。
 濃厚で、深みのある味わいに麹の香りがする。
 なぜかというと、ご飯にのせて、おかずとするためだ。

 カイワリの甘みと、最仕込み醤油の甘み、ご飯の甘みが加わって、甘み以上の旨味となっている。
 このお昼ご飯のうまかったことは名状しがたい。

2008年5月12日
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 急に暖かくなり、並木のアメリカハナミズキも散ってしまった。
 ツツジも野イチゴの花も、そろそろ盛りを終えて、初夏の花、エゴのつぼみが膨らんでいる。
 なんだかポカポカと気持ちいい。
 こんな時期になると、近所の農業の師匠・旗野さんの畑に行きたくなる。
 日野市にある数少ない専業農家、旗野農園ではイチゴが終わり、トマトの収穫期となっている。
 最近の品種を食べてみる限り、トマトは5月がいちばんうまい。
 畑をそれこそ死にものぐるいでやっていたころに、たどり着いたトマトの旬は5月から梅雨前。
 例えば古い品種・ポンテローザだって、実際に作ってみると真夏ではなく、初夏までに出来た物がうまいのだから、トマトは猛暑がきらいなんだろう。
 ハウスがあって初めて素晴らしいトマトが出来るのも、畑で覚えたことだ。
 ちなみにハウスは加温のためというよりもトマトに対しては雨よけだ。
 トマトに関しては、いかに水分をやらないかが「うまいトマト」を作る決め手だ。

 旗野農園で、旬のトマトを買う。
 暖かいので成長が早く、収穫が遅れると、大きく成りすぎたり、ムクムクとあっちこっちが膨らんで歪になる。
 これを旗野農園では「キズトマト」といって安く売っている。
 面白い物でちゃんとした形のものよりも、筋がいくつも走っていて、凸凹した方が甘みも香りも強く思える。
 これを築地場内で買ってきたマグロ(いろんなのが混じっているそうだ)と合わせる。
 ボクはこれを「トンノマリネー」と呼んでいるのだけど、フレンチ・イタリアン混合の造語なので、深く追求しないで欲しい。

 マグロは筋の多いところを取り去る。
 ボウルに放り込んでやや多目の塩を振り込む。
 少しおいておくと汗(水分)が出てくる。
 これをよく拭き取る。
 ボウルはそのままでここにトマトを切り込んでいく。
 ていねいに作るなら皮を剥き、種を抜いた方がいい。
 そしてピーマンを加え和える。
 これを冷蔵庫で冷たく冷やすと出来上がり。
 野菜はピーマン、玉ねぎ、ルッコラ、セロリ、ズッキーニ、エストラゴンがあってもいい。
 ただトマトがあくまで主役なのでトマト5に対して他の野菜は1〜2くらいまで。

 冷えたら、塩コショウで味をととのえ、レモンを絞り込む。
 子供抜きならタバスコがあると一際うまくなる。

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 これが我が家の「めちゃくちゃ簡単」なサラダ。
 子供が好きで好きで、なかなか大人まで回ってこないと言う、ある意味残念な初夏の味だ。

2008年5月9日
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 ボクは徳島県人なので竹輪といったら、当たり前だけど竹竹輪が世界一うまいと揺るぎなく思っている。
 竹竹輪とは、細い竹に魚のすり身を巻いて焼いたもの。
 徳島県人にとってはご飯のおかずでもあり、ときにはおやつでもある。

 これだけは練り物に溢れている四国各県にあっても、徳島県の竹竹輪が突出して優秀なのだ、と思っていたのだ。
 あにはからんや、困ったことに、ここに薬師神かまぼこの「竹竹輪」がある。
 姿形は同じようだが、子細に見ると徳島県東部(海辺)で作っているものと、まったく別物だ。
 この違いは驚くべきもので、例えば徳島のは焼いた皮がすり身本体から離れてぶかぶかの焦げ茶色のキャミソールを着たようになっている。
 薬師神さんのは、焼き目がうっすらとベージュ色に思えるほどで、ぜんぜん浮き上がっていないのだ。

 実は食べるともっと大きな違いを感じる。
 徳島のは足(弾力)がなく、ザラサクっといった歯触りで糖分添加のためかまざまざと甘い。
 薬師神さんには足が強く、しかも座り(身が安定)はよく、シコプルっとして魚(白身)の香りと焼いた香りがふわっと立つ。
 甘みは表面的ではなく、むしろ素っ気ないくらいで、魚を食っている実感の方を、練り物なのに強く感じるのだ。

 徳島のキッチュな竹竹輪は、それなりにうまいな、と思う。
 だいたいこの味が体に染みついてしまっているので、定期的に食べないと寂しくなるのだ。
 さてさてさて、宇和島の薬師神さんの竹輪だけど、これってうますぎないだろうか?
 ほめているのではない、やっぱりほめていることになるのだろうか?
 食べると、他の竹輪が空しく思えるほどにうまい。
 毎日、食卓に一本あると幸せだな!

薬師神かまぼこ
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 最近目につくもの、それは嘘つきな人類だな。
 「正しい食事」とか「食育」とか語ってしまう、やな感じの人類。はたまた全然野菜をしらないのに何とか検定とか受けて、野菜のソムリエなんて本気で肩書き並べているバカな人類。
 漢字検定問題もそうだけど、この「検定」なんてやってるヤカラ大丈夫なんだろうか?
 その内、ボクが「食の無頼派検定」を行って、正しくない、正直な食の世界を教えるから、それまで無駄な検定を受けないようにすべきだ。

 これくらい目に飛び込んでくるくらいだから、それこそうようよ蠢いているんだろう、「正しい人々」って。
 気持ち悪いな。
 なんども書いているけど、ボクは正しい人間でも、正しい食べ物が好きな人間でもない。
 敢えて言えば正直な人類だろうな。
 かっこいいこと、見てくれだけいいことは言わないし、できない。
 そう言えば、ボクの知人に魚が嫌いな漁師がいる。
 この男がほんまにいいヤツだなと、確信した、その最大のものは、「ボクは漁師なんだけど魚が好きじゃないんで」とあっけらかんと言ったからだろうな。
 いかん、こんな酒飲みを登場させるつもりじゃなかった。枕が長くなりすぎている。
 結論として、正しい、いいことだらけのことばっかり話し、語る人類は不要だ、もしくは「とっても危険だ」と思っている。
 だから雑誌などでこの手の人類をたくさん見かけるようになったのは、非常に“危険な社会”に突入しようとしてるんじゃないのか、心配なんだけど。

 さて、今回のテーマは「子供向けの料理は必要か?」というもの。
 我が家ではボクが夕食を作るとき、とにかく料理の速度だけは速いので、2種類の料理を作る。
 1つは和食系、1つは肉系。
 例えば、ハンバーグとか、ポークソテー、グラタンに鶏の唐揚げ。
 方や魚の煮つけ、酢の物、和え物、蒸しものに、焼き物。
 さて、子供はどっち系をよく食べるのかというと、そのときどきで違っていて、判然としないのだ。

 そこで登場するのがオウゴンムラソイだ。
 ムラソイ自体が非常に目立たない、地味な魚。
 魚類学者がムラソイはよくよく分類すると4種類になる、「いや2種類だ」なんて言っているので、こっちの方面だけでスポットライトを浴びている。
 でも市場に並ぶと、あまりに地味で哀愁漂いすぎに見える。
 ある日、市場でたまたま“分類学者の目”であったときに、オウゴンムラソイの典型的なのを見つけたために、感激して3尾購入した。
 これを持ち帰り検索(同定、種を判別)して、煮つけにしたのだ。
 オウゴンは「黄金」なのだけどまことに地味な煮つけになった。
 ちなみに今回は酒と砂糖、醤油で甘辛く煮た。
 酒を使うか、味醂を使うか、砂糖を入れるか、入れないかは、「魚の身がしっかりしている(酒)、柔らかい(味醂)」、「ご飯のおかずにするのか(砂糖入れ)、酒の肴にするのか(砂糖なし)」などと考えているけど、気分で決めていることが多い。

 3尾とも煮てしまったのにはわけがあって、2尾ほど酒の肴に、おかずに食べて、残った1尾を明日朝に焼いてしまおう、と思ったのだ。
 煮魚をまたじんわり焼いて食うというのは瀬戸内海などでやっているのだけど、まことに鄙びていて好きなのだ。
 ところがここに誤算があって、この日も二系統の料理を作っている。
 子供達は大量に作ったポークソテーとグラタンも食べるには食べるのだけど、むしろ標的を煮つけに向けたことだ。
 3尾の煮つけが、あっという間に消えた。
 煮汁も、ご飯にかけて一滴も残らなかったのだ。
 我が家の子供達は、敢えて魚を食え、なんて一度も強制していないし、また魚好きでもない。
 だから、これを大誤算と思ったわけだ。

 オウゴンムラソイの煮つけも確かに美味であった。
 この煮汁に侵入をはねつけた真っ白い身が、まことに旨味が強く、またほろほろと舌でほどけていくのが、心地よかった。
 ムラソイはカサゴ目だけど、その姿のせいかとても安い。
 安い上に、これほどうまいのだから、ムラソイって偉いんだなと改めて思った次第でもある。

 ここで改めて検証してみるに、子供が好きなのは「ただ単にうまいもん」じゃないのかね。
 子供向けの料理なんて作るんじゃなくて、親はうまいもんを作るべし、かな?
 そう言えば、ポークソテーをいちばん食べたのは誰なんだろうか、というと“いちばん食べてはいけない人”だったりして。
 現在の体重90キロ弱なのであった。

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 最近、あいついで魚関連の本を読んでいる。
 買ったわけではなく、写真などを貸したので送ってもらったものだ。
 送ってくれたのはありがたいけど、間違いや、読者に誤解を招くような表現が多い。
 だいたい基本となる魚選びを大いに誤っている。
 このところの何冊か見ても、たぶんぜんぜん実際には使えないだろうな、という本ばかりだ。
 と、どうしてこんなことを書いているかというと、近年となってもまだ「魚をしっかり食べていないヤカラ」が魚の教科書的な本を書いているのに、少々不愉快だからだ。
 魚貝類はとにかく死にものぐるいで食うしかない。
 食い飽きて、顔を見るのもイヤなのよ、となって初めて魚のよしあしがわかる。
 要するにもっと魚を食べてから本を書きなさいよ、ということだ。

 だいたい本(お魚本とか、雑誌)を隅から隅まで読んでも「近海のユメカサゴのことが掲載されていない」ではないか。
 これほど飛び抜けてうまい魚もいないのだ。
 それなのに、なぜなぜ、この旨さを伝えないのだ。
 「飛び抜ける」のは近海のもの、のみだけど、遠洋漁業のものだって、長崎あたりにあがるものだって、「かなりうまい」。

 これほどうまい魚を掲載しないと言うことは、遠洋も近海のユメカサゴを食べていないんだろう。
 ついでに言って置くが、近年「喉黒(のどくろ)」というとアカムツのこととなる。
 島根県県水産物アドバイザーをやっているので、アカムツは実にうまいといっておくが、冷静に食べ比べるに駿河湾「のどくろ(ユメカサゴ)」とおっつかっつではないだろうか?
 しかも値段からすると、遙かにユメカサゴのほうが安いんだから「のどくろ」としてはユメカサゴの勝ちだろう。

 今回のものは駿河湾底曳網で揚がった新鮮極まりないユメカサゴ。
 佐政水産の青木修一さんにわけてもらって、その日の内に、料理して食ってしまったら、名状しがたい感動に打ち震えた。
「うう、うまいなんてもんじゃない。これは奇跡だ」
 まあちょっと大げさだけど、焼霜造りの美しさに感激し、その皮目の旨さよ、皮下の脂の甘さ、食感の素晴らしさよ、はたまたまだ生であるうす紅色の身の旨きことよ、と酒を飲むのさえ忘れるのだ。

 今年の駿河湾底曳網の禁漁はいつだっただろう?
 確か5月中旬のはずだ。
 なんとしてでも禁漁前に沼津に行き、今度は菊貞・山長菊池利雄さんに、市場でいちばん見事な「のどくろ」を競り落としてもらうのだ。

2009年4月13日
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 サクラマスの入荷がまだまだ続いている。
 その優美な姿からか、なかなか値段が落ちない。
 連休前なので、これをマリネーしようと買って帰る。
 姫が自分で卸してみたいという稽古台でもある。

 実際に卸してみたら、思ったよりも見事。
 酢でしめようか、洋風にマリネーか?
 当人にきいたら、意外に和風がいいという。
 振り塩までやらせて、半日ほど待つ。
 これを少しだけ砂糖を加えた酢でしめる

 半日酢でしめて、酢を捨てる。
 切ってみると、中ほどは生の状態となっている。
 これがまことにうまい。

 最近思うことは雑誌、テレビなどで「若い人たちのために」といいながらフライや、フランス料理の技法を加えた、手の込みすぎた料理を見ることがある。
 我が家で実際に子供にたずねても、それほど洋に偏しているわけでもなく、子供子供で好みが分かれる。
 子供向けだから「洋」とか、フライだとか、いうのは無意味なんじゃないだろうか?
 ちなみに先日、同い年のオヤジと話していると、孫(なんと小学校高学年)は、彼のつまむ酒の肴が好きでこまっているという。
 特に孫が愛しているのが、東北地方の大手水産加工品メーカーのイカの塩辛というのも不思議だよな。
 塩焼き、煮つけ、なんでもこい、子供というのはあなどれぬものなのだ。

 ことほど左様に、大人の偏見ほどこわいものはない。
 まるで「子供の嗜好に合わせる」というのは現代版「ふるやのもり」のようだな。

 さて、サクラマスを酢でしめると、なんといったらいいのだろう。
 和洋折衷の味がする。
 面白いのは家族はつけ合わせの玉ねぎのスライスとレモンで食べている。
 太郎はやっぱりマヨネーズ。
 1キロほどのサクラマスの半身がきれいさっぱりなくなったのだ。

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 山口県水産研究センター内海研究部畑間さんから、珍しいものが送られてきた。
 それは一見ただの乾燥した海藻に見えるけど、これこそが幻のカイガラアマノリなのだ。
 カイガラアマノリは東京湾三番瀬、伊勢湾、瀬戸内海などで見つかっているが、とにかく珍しい海藻。
 まさか養殖に成功するなんて思ってもいなかった。
 たぶんほとんどだれも食べたことはないだろう、養殖が始まったばかりのノリ。

 これをあれこれ食べてみる。
 まずは普通に軽く焙って、ご飯にかける。
 残念なことに香りは薄い、がうまみが強い。
 生醤油で味つけして、なおノリの甘みが舌に強く感じる。
 これはうまい。
 ここで閃いたのが、このノリの特性は旨味にあるはずだということ。

 それで薄いカツオ節だしの汁に浮かべてみる。
 これがまさしく濃厚で、芳醇で、豊かな汁となったではないか?
 カイガラアマノリの汁は抜群にうまい。
 山口県では養殖もやっと軌道にのったようだけど、これほどの味わいなら引っ張りだこになりそうだ。


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●カイガラアマノリは『紅きらら』の商品名で道の駅などで売られています


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ニゴロブナから個体画像がなくてもコンテンツに立てることにしました。
これからフィレなどのページが増えていきます。

ウチワエビモドキのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/ebi/semiebi/utiwaebimodoki.html
テラオクルマエビのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/ebi/kurumaebi/teraokurumaebi.html

掲載種 2007


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クルマエビ科の改訂をする。
インドエビの和名を「テンジククルマエビ」に改める。
http://www.zukan-bouz.com/zkanmein/koukakumokujiebi.html#kurumaebika
テラオクルマエビのページを作成
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掲載種 2005


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 魚の糠漬けは加工品としても非常に重要なもの。
 江戸時代から記録に残るもので、主に日本海越前以北、北海道などで作られている。
 糠にはビタミン類、栄養素が豊富である上、独特な風味がある。
 魚の生臭みを取る働きもあるように思う。

 だだいいことずくめの糠漬けにも、大きな欠点があった。
 それは塩分濃度が高いことだ。
 塩っ辛い、昔ながらのものは、確かに独特の旨味があり、酒の肴としては上々だろう。
 ただ、高い塩分ではあまり量が食べられない、食べるのが恐くなる。
 そこへいくとこの「ぬかさんま」は塩分濃度が低い。
 低いのに適度に熟成して糠とサンマの合わさった旨味がたっぷり感じられる。

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 酒の肴にもいいし、しかもご飯にもいける。
 最近、「昔ながらの加工品」が単にいいとは思えなくなって、このような私自身に優しい水産加工品をありがたいと思うようになってきている。
 
岡田水産北海道 北海道赤平市共和町
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 山口県萩市で金太郎に平太郎、これが何なのかをわかる人は偉い。
 かなりの食通(嫌いな言葉だが)だと思われる。
 金太郎はヒメジ、平太郎はオキヒイラギのこと。
 高知県では「ニロギ」なんて呼ばれて名物となっている。

 高知で名高い「ニロギ」が山口県では「平太郎」なのだ。
 この地方名の豊かさも水産物ならではの文化だ。
 まことにこの国の魚貝類の呼び名は多種多様だ。
 多種多様といえば干物となる魚も数知れず。
 たぶん食用魚貝類のほとんど総てが、原材料になり得ると思えるくらいだ。
 この多様な種を原料とするからこそ、干物という食べ物が非常に自然に優しい、ということになる。
 とにかく人間は食べなければ生きていけない。
 出来るだけ自然に優しく食べるとは、どのようなものなのか?
 そこにいろんな答えが見いだせるのだが、そのひとつが多様な種を食べることだろう。
 干物の素晴らしさは大きい魚でも小さな魚でも、二枚貝でも巻き貝でも、エビだって小さなカニだって原料になること。
 生の状態では難ありというのが、意外に干物にすると名品となったりする。
 だから自然のことを考えると、もっと干物を食べるべき。
 しかも、できるだけ多種多様な干物を。

 そんな生ではちょっとイマイチな小魚であるオキヒイラギが、干物になると大変身をとげる。
 滅法やたらにうまくなる。
 小さいのに脂がのっている。
 ワタはほとんどないに等しいが、ここにも適度な苦みがあってよろしい。
 薄っぺらな魚であるために、焼くと香ばしくなる。
 だから日本酒よりもビールに合ったりする。

 ボクなど旅人、作家の川本三郎さんの大ファンなのだけど、この方、どこへいってもビールを飲まれている。
 もしも会えたら「オキヒイラギの干物でビールを飲むと最高です」と教えてあげたくなる。
 そうだ、今度「萩しーまーと」へ行ったなら、無理を言って平太郎を焼いていただこう。
 海辺で飲むビールはうまいだろうな。

萩しーまーと
http://www.axis.or.jp/~seamart/
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 富山県氷見からたっぷり入荷してきたのが、2キロほどのサワラ。
 ちょっと中途半端な大きさだけど、鮮度のよさから買い込んでみる。
 サワラは大きいほどうまい。
 3キロ以上でないと、旨味が薄い。

 それを補うのが料理法。
 例えば甘く旨味のある白みそで漬ける。
 幽庵地(しょうゆ、みりん、酒)に漬けるのも、旨味をつけ加える意味合いがある。
 今回のものは、尾に近い方を幽庵地に漬け込んで、残りを焼き霜造りにする。

 サワラは半身買い。
 頭に近い部分を腹と背に分けて、直火で皮に焼き目をつける。
 氷水におとして水分をとり、あとは平造りに。

 サワラの持ち味は、とことん上品であること。
 どこにも嫌みがない。その分、小振りのものには旨味が薄いともいえそうだ。
 焼き霜造りにして、ここでもう一工夫。
 つけ醤油を山口県柳井『佐川醤油店』の甘露しょうゆとする。
 甘み旨味のあるトロっとしたもので、ちゃんと醸造香が立つ。

 こうやって食らうサワラがうまい。
 皮目を焼くと、多少日向臭いような風味が出る。
 これが濃厚な醤油と合わさって、これがまたいいのだ。

 酒の肴とした残りを甘露醤油に漬け込んで、翌日茶漬けにしてみたら、これもよかった。
 一キロ1000円のサワラ半身、なかなかコストパフォーマンスが高い。

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