2011年2月アーカイブ

計算機とにらめっこしていた日々が終わり、週明けとなる。
午前9時過ぎに計算機を引き出しにしまって外に出る。
紅梅白梅満開だ。
ネコヤナギの綿が暖かそうにゆれている。

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京王線、丸ノ内線、銀座線と乗り継いで虎ノ門に到着。
いつも思うことなのだけど、なぜ「虎ノ門」なのだろう?
さて、ここにある共同通信社ビルで1本目の打ち合わせ。
打ち合わせは、いつものようにスイスイ終わる。
「打ち合わせ」とはいうけど、ボクにはむしろお勉強代わりになるもので、ありがたいね。

正午過ぎ、銀座線で京橋に向かう。
ここで2本目の位置合わせ。
時間がやたら空いているので、明治屋地下にあるモルチェに入る。
この店、日本橋でアルバイトしていたとき、バイト代が入ったときビールを飲んでいた場所。

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東京生まれ、付属上がりのクラスメートが、ズンズンこんな店に入って、「ビール」なんて注文したのは、かれこれ30年以上前のこと。
ちょっとかっこいいな、と思って真似したんだっけ。
そしてたぶん20年振りに入った今日、この店の名前がモルチェということを知る。
だいたい昔、どんな店であったのか、どんなものを食べたのかなどまったく覚えていない。
ボクは食べ歩き界には無縁の人なのである。
次の打ち合わせまで1時間近くあるのでビール小とハンバーグ。
日頃魚貝類ばかり食べていると、ハンバーグが恋しくなる。
なかなか美味。
ビール込みで1820円は贅沢だけど、安いんじゃないかな。

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明治屋本店に入り、フィノ1本、ベジタブルブイヨンを購入。
道を渡ってINAXの本屋で時間つぶし。
前回大買いしたばかりなので、今回は自重。
2本目の打ち合わせをして、本町通に戻ったら3時前になっている。

有楽町方面に歩き、高知のアンテナショップでウツボのたたき、シイラジャーキー、やけど、鰹飯を購入。
3000円以上だと福引きが出来るというので、地下に下りると高知の地酒がびっしり並んでいる。
福引きでビックリするくらいにへたくそなデザインのエコバックを当てて、ついでに地酒の試飲をする。
3種類で700円くらいであったようだが忘れてしまった。

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おいしかったのは真ん中の桂月というやつ。
お隣のワシタでフーチバーを買い、有楽町線に下りる。

帰宅後は料理、料理。
そして校正、原稿書き。
テレビではパンダばっかりやっているが、興味は皆無。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
出入り口の脇にヤコウガイの貝殻を売っている。
いったい、これをどうするのだろう? 不思議。
そして第一歩。
透明なケースにヒメ、ハチジョウアカムツ、ハマダイで、ちょっとがっかり。
でのその奥にあった水槽にいたものにビックリ。
熱帯性イセエビ類のシマイセエビ、ニシキエビにゴシキエビ。

味はともかく、3種揃い踏みに興奮していたら、そこにすーっと横切るものがある。
なんとこれがウチワエビモドキなのだ!
図鑑には体長20センチ前後になる、なんてあるのに泳いでいるのは30センチ以上ありそう。

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ついつい財布に手が伸びそうになるのを我慢。
とにかくぐるりと一回り。
必要なもの、不必要なものを整理する。
沖縄を代表する食用魚であるゴマアイゴ、ヒトヅラハリセンボン、トガリエビス、ナンヨウブダイ、コクハンアラにスジアラ、カンモンハタ、ハマダイ、バラハタ。
当然県魚であるタカサゴにクマササハナムロ、ウメイロモドキなどグルクン類が並んでいる。
珍しいところではたぶんアカマチ漁の副産物だろうミナミヒシダイがある。
いきなり今回の目標であったシロクラベラが、無造作に置かれているのも驚きである。

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「お客さん、ご飯食べた?」
どの魚屋からも同じ言葉が飛んでくる。
ようするに魚を買えば2階の食堂で料理してくれるということ。
ただ、気になるのは魚の値段である。
なんともおおざっぱというか、定価というかキロ単価なんて、ないに等しい。
一尾、千円、二千円。
ちょっと高いのは三千円。
端数はあっても五百円というのがすごい。
アカマチ(ハマダイ)などは小振りのものでも三千円以上になる。

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一回りして、どうしても目がいくのがウチワエビモドキである。
与那嶺鮮魚店の水槽にシマイシガニ、セミエビ、アミメノコギリガザミがいて、その間にノコノコ歩いているのが小振りで安そう。
値段は、というと二千五百円だとのこと、高いんだか安いんだかわからない。
でも喉から手が出るほど欲しい。
結局、初日だというので買ってしまい、しめて冷凍保存してもらうことにした。

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市場を歩きながら、あまりに怪しい値段と、実ははっきり確認できなかったものの輸入もののイセエビを見かけた気がすることが、歯にものが刺さったままで取れない、そんな気持ちになる。
しかもヤコウガイの貝殻って、売れるんだろうか?
怪しい、怪しい、怪しいけど、実に面白い市場なのである。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクです。
我がデータベースはボクがたったひとりで調べているものを、いろんな方が手助けしてくれることで成り立っています。
いろんな方が参加することで、よりよいサイトになると思っています。
わがサイトに参加してみませんか?
掲示板での参加を募っています。
食べ物のこと自然のことなど、語り合いませんか?

市場でお買い物掲示板


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

イチャの墨汁

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あまりに安かったのでシリヤケイカを買い求めた。
墨袋をつぶさないように下ろして、げそなどで汁にする。
沖縄の郷土料理墨汁を再現したいわけだ。
材料は豚肉少々、イカ、苦菜(ンージャナ)、ニンジン、沖縄の鰹節とナガコンブで取っただし。

作り方は簡単で鰹節だしに泡盛少々、苦菜と豚肉、イカを放り込んでゆっくり煮るだけ。
最後に墨と塩を加えて出来上がりなのだけど、シリヤケイカ1尾分では真っ黒な汁にならない。
ここで登場するのが沖縄で作られている「いかすみ」というもの。
トビイカの身を墨と一緒に塩辛にしたもの。
塩味もこれでつけられるわけで、なんだかとっても本格的なイチャの墨汁が出来上がった。

沖縄で、不幸にして非常にまずいイチャ墨汁にであってしまった。
なんだか甘ったるくて、ぼやけた味の、食べると「イチャ墨汁とはまずいものだ
、と思い込んでしまいそうな代物。
我が家で素直に作ると、こんなにも美味だとは思わなかった。
滋味が感じられる。

沖縄の食堂などで作られている墨汁の「墨」ってなんなんだろう。
とても1固体のイカから得られる黒さではない。
今回は、これも発見のひとつ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類、シリヤケイカへ


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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沖縄料理というかチャンプルーのひとつに「にんじんしりしりー」というのがる。
これが沖縄以外でもはやっているらしい。
大量のニンジンのせん切りを炒めて塩味をつけ、溶き卵をからめたもの。
実に単純なのにまことにうまい。
ボクは明らかにこの料理を愛している、毎日食べてもいいとさえ思う。



チャンプルーに使うのは古くから沖縄にあったチデークニー(島ニンジン)ではなく、西洋ニンジン(我々が日常食べているもののこと)。
チデークニー(島ニンジン)はイリチー(炒め煮)にはするが、チャンプルー(炒め物)には利用しないのではないかと思われる。
しかも「にんじんしりしりー」ともっぱら言われるようになったのは最近のことで、たぶん「にんじんチャンプルー」が正式名称のようだ。

さて、「にんじんしりしりー」のニンジンをしりしり(表面のザラザラしたせん切り)する器械が「しりしり器」と牧志公設市場周辺(観光スポット)、マスコミなどでは言われている。
「しりしり器」とは面白い。
命名に妙がある。
でも本当に、それが正式な名称なんだろうか?

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牧志公設市場前の店で見つけたもの。

安里にある家庭用品の店にいた問屋さんに聞いた話では、
「〝しりしりー〟という言葉自体が普通になったのはテレビのせいらしいですよ。もともとは〝つき〟で、納品書にも〝つき〟って書きます」
それと本来家庭でよく使われているのは燕市(新潟県)で作られるアルミだけで作られたもの。
木製のものは総て台湾製で、どちらかというとプロ用だとのこと。
「しりしり器」という言語が誕生したわけは、マスコミにあるらしいのだが、ここに目をつけた人は非常に偉い。
やるなーー! って感じだ。

ちなみにこのような調理器具が大好きなので、見つけたらとにかく買ってしまう。
当然、このような調理器具が我が家にはわんさかある。
その「しりしり器」、もしくは「つき」、別名「けんつき」の一部を並べてみよう。

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いちばん上はニンジンなどをしりしりするもの。小型で穴も小さい。台湾製で500円。
上から二番目は野菜パパイヤをしりしりするもの。「パパイヤしりしり」とも呼ばれている。台湾製で700円。
上から3番目は沖縄の家庭でいちばん使われているもの。新潟県燕市で作られたもので400円。
以上那覇で買い求めた。
一番下は種子島で使われている大根の「けん突き」。これは種子島島内で作られていて胴の部分は竹である。1個450円。
以上、とても便利なので1個くらい持っていてもいいと思うな。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
市場に入ったら、思った以上に狭い。
例えば(いい加減な表現だが)郊外型のスーパーの5分の1以下、多摩地区だと駅前のはやらない古いスーパー程度しかない。
でも密度は濃い。
天井が低い。
狭い通路の両側に並ぶ店の冷蔵ケースが高く、その前に、またものが置いてあったり、店の人が立っていたりで、歩きづらいし、品物をゆっくり見るのが、なんとも難しい。
ただし市場で大切なのは、実はこの狭さと密度の高さなのだ。
近年街作りに関わっているノウタリンどもも「市場は密度が必要だ」と知らなきゃダメダメ、なのだ。

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入った場所が、珍味や漬け物を売っているところで、いきなり島ラッキョを手渡された。
これがなんともうまいのだけど、隣のお店でも試食、そして試食。
試食責めというのは、北海道だけの名物か? と思っていたら沖縄もそうだったのか。
いやな気分になりかけていたが、明らかに沖縄の方が暖かい。
北海道の市場のように陰険で恐いという印象がない。
「買わなくていいよ」とは言うものの、内心は「買ってね」なんだろう。
けど、「帰るのは土曜日なんで」というと、「もっと食べて」なんて......。
この手渡された島ラッキョがもう一度繰り返しになるが、とてもうまい。
今回最大の後悔というのが、最終日にこれを買い忘れたこと。

漬け物などと一緒にシナチク、昆布、豚の内臓などの千切りの袋詰めが売られている。
これが「スンシーイリチー」のセット。
スンシーはシナチクのこと、イリチーとは炒め煮のことである。
袋から出したらすぐに調理が出来るわけで、合理的で、まことに好ましく、また魅力的。
不思議なことに、こんなものを見ると沖縄で一定期間住んでみたいというアグレッシブな思いにかられるのだ。

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目を上げると、肉屋が並ぶ通路だった。
なんとなく南国風の美しいお姉さんが一段高い冷蔵ケースの内側で、豚の塊を山のように盛り上げている。
必ずマスコミで取りあげられる豚の顔もある。
お決まりの〝豚の頭にサングラス〟の前には、シーズンオフなのに人だかりが出来ている。

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肉屋のお姉さんって外見は皆優しそうに見えるけど、この豚の顔の皮を毎日剥いでいるのかな、なんて想像すると恐い。
明らかに観光客ではないオバアが、豚の顔を買っている。
これは那覇の食堂では「煮つけ(間違ってるかも)」という料理に入ってものに違いない。
この「煮つけ」、おでんみたいで、おでんではない、というものだけどなかなかうまいのだよ。

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まことに風情のある「かまぼこ屋」があり、これがじっくり見るとまことに面白い。
代表的なのは1本1キロくらいありそうな紅白カマボコ。
最終日に農連市場で知ることになるのだけど、紅白、まったく同じもので、買い手がくるとそのつど白いカマボコを赤く塗るのである。
またカステラカマボコはどの店にもある。
すり身に卵を加えたもので、なんともひなびた味わい。
チキアゲーは関西の天ぷら、関東だと薩摩揚にあたる。
沖縄の練り製品は意外に種類が少ない。
が、出番は多く、チャンプルー(炒め物)にイリチー(炒め煮)、イナムドゥチ、スバ(沖縄そば)など料理や汁の具材として無造作に使われる。
これは推測だが、南西にいくほど練り製品を料理に使い、特に関東だが、北東にいくほどそのまま食べるという傾向があるのではないか?

肉屋の一角を通り過ぎ、魚屋の通路に向かおうとしたら、なぜか団体さんたちがワイワイガヤガヤ通せんぼをしている。
仕方なく一度市場を出る。
市場周りで海藻などを売るオバアに「今日は寒いね(聞き取れなくて、たぶんこのような意味のことを言ったのだという想像)」と声をかけられる。
この日、那覇では今冬最低気温を記録した日だった。
しかもしとしとと雨が降る。
オバアの足下に電気ストーブがある。
「お土産どう」
「土曜日に買います」
「そうかい。ムーチ食べたかね」
またムーチだ。


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