重要食文化遺産の最近のブログ記事

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2014年の、年の初めは雑煮作りから。

今年は兵庫県姫路市坊勢島のヒガレイを使った雑煮を作ってみた。

ヒガレイはタマガンゾウビラメのことで、

漁獲して必ず「干す」ので「干鰈」となったようだ。

ちなみに「左平目の右鰈」は関東でのことで、

他の地域は「平目も鰈もすべて鰈」である。

このヒガレイの、強く干し上げたものをあぶり、

骨を外したものをだしにして、

坊勢島の「島しょうゆ」である『富士大醤油』で味つけしたもの。

小豆島で作られる甘口の『富士大醤油』なくして

家島群島の食は語れない。

 

ヒガレイでとっただしは濃厚で独特の風味がある。

そこににんじん、ごぼう、大根などを入れて煮て、

だしに使ったヒガレイを戻す。

みりん、酒、『富士大醤油』で味を調え、焼かない餅を入れる。

 

『富士大醤油』を使ったせいか、

どことなく鄙びた味わいになっている。

根菜の甘みと、ほろほろと軟らかいヒガレイとが、

うま味の強いだしのなかで調和している。

 

年末年始に日本各地の雑煮を再現してみているが、

坊勢島の雑煮はなかでも抜き出でた味である。

滋味豊かな味わいに昨年お世話になった

坊勢島の方々の温かい心遣いが浮かび上がってくる。

「坊勢島の方々、昨年はお世話になりました」

再現した雑煮を二杯食べることは希なのに、

午後にもまた一椀いけそうだ。

 

さて、坊勢島の雑煮を新年の初食いとして、

今年も「日々1ミクロンでも前に!」を

モットーに生きていこうと思う。

新年あけましておめでとうございます。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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兵庫県姫路市家島群島坊勢島で教わった郷土料理を再現してみた。

坊勢島で「干がれ」というのはタマガンゾウビラメの素干しのこと。広島県尾道、岡山県ではデベラなどという。一般には木槌などでたたいて軟らかくし、あぶって食べるものだが、島では様々な料理に利用されている。

なかでも飯に漬け込んだ「干がれ」をご飯に挟み、またのせたのが「がんぞがれい飯」。古くは柳行李の弁当入れに入れ漁に出たという。

「干がれ」はあぶって香ばしく、濃厚なうま味がある。これに「富士大醤油」で作った甘辛いタレをしみこませて、ご飯に合わせたのだからまずいわけがない。

「干がれ」ででしか生み出せない味わいで、まことにこれなら一升飯もじさずといううまさ。しかも低カロリーではないかな、などと思う。


作り方

1 まずはタレを作る。みりん、酒、水を鍋に入れてアルコールを飛ばし、富士大醤油を加えて少し煮つめる。

2 干がれはあぶって食べやすい大きさにちぎる。

3 2をタレに漬け込む。

4 一昼夜漬け込んだら、柳行李にご飯を半分つめ、漬け込んだ干がれを乗せ、またご飯を盛り、一番上に干がれを乗せる。


坊勢漁業協同組合


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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なくしてはいけない、食と食文化の遺産というものがある。
これが今も、知らぬうちにどんどん消えてしまっている。
これじゃあ、いかんだろうということで、
私、ぼうずコンニャクが日本各地の
重要食文化遺産を勝手に認定していく。
その第一号を兵庫県明石市から。

兵庫県明石市ではナイカイスジエビと

アシナガモエが一緒に取れるので、

おしなべて「モチエビ」と呼んでいる。

小エビなので唐揚げにしたり、素麺のだしをとったりと

産地ならでの使われ方をしている。


熱を通すとエビの風味と甘みが出るので、用途は広そうだと思っていたら、

地元民である明石浦漁協の宮部さんのご実家「井野豆腐店」で、

この小エビ類を卯の花に使っているというではないか。


「一度食べてみたい」という、わがままなリクエストに

7月なかばのある日、しっかり応えてくれて、

豆腐、厚揚げなどとともに送って頂いた。

さっそく、炊きたてのご飯にのせて食べたら、

まことに穏やかな総菜らしい味わいで、

ご飯がすすむ、すすむ。


小エビが入っていることで、

ただの卯の花にエビの風味と甘みが足し算されていて、

味わいに奥行きが出ているのがいい。

なんというか、酒にも合うし、ご飯にもいい。

同店では単に「おから」として売っていると言うが、

こんな銘品がひっそりと作られているところに、明石の食の底力を感じる。


井野豆腐店 兵庫県明石市大明石町1丁目13−30


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