2006年11月アーカイブ

 久しぶりにアブラガニを食べた。「うまいね」。寿司図鑑の撮影をしながら「市場寿司 たか」渡辺隆之さんと大満足。「アブラガニは偽物だってどんどん言ってくれると値が下がっていいかな」そこに通り合わせた市場人が呟く。「そりゃアブラガニがかわいそうでしょ。これだけうまいんだから高くてもいいでしょ」カニ大好き人間のたかさんが正論をはく。「このアブラがね、キロあたり1500円、そして今日タラバガニの値段が2500円から2800円だから、安いよね」とボク。「オレはタラバガニよりアブラガニが偉いと思うな」、庶民派たかさんの意見に大賛成である。味の良さからタラバガニと同じ値段になると嫌だけど、「ボクはアブラガニの身方です」。

 師走を目前にして目立ってきたのがアブラガニ。たぶん「アブラガニ」という言葉を多くの人が知るようになったのは2004年の「アブラガニをタラバガニと偽って販売」事件以来のことではないか? このときは全国的に「アブラガニってなに?」ということで注目されたはずである。
 アブラガニは日本海ロシア海域、カラフト、オホーツク海北部、ベーリング海に棲息。十脚目異尾類タラバガニ科に属している。こタラバガニ科の甲殻類(エビやカニの仲間)はハサミ第一胸脚から数えて5番目の脚がない。本当はあるのだが甲羅の下に隠れて鰓の掃除など目立たぬながら重要な役目を果たしているのだ。それでハサミを含めて8本の脚しか見えないのが特徴である。異尾類にはヤドカリ、カニダマシなどがあって本には「タラバガニってヤドカリの仲間」なんて見出しがついていることがある。でも「ヤドカリは異尾類を代表するもの」かもしれないが「食べ物」としては魅力を増す表現とは言えない。良識的にいって「タラバガニ科というおいしいエビカニの仲間がいる」と思った方がいい。

 国内ではとれないのでアブラガニのすべてが輸入ものである。北海道でとれるタラバガニ科には2種ある。代表的なのがタラバガニ、そしてハナサキガニ。これが我が国海域内での資源が年々減少している。そこに登場してきたのがアブラガニである。昔から輸入されたり遠洋でとれていたもの。別段、タラバガニとして売られていてもその道のプロにしかわからない存在であったのではないか? それがJAS法の施行での取り締まりを契機に悪者、偽物のように思われている。生鮮品の産地表示、また標準和名を基本にするなど優れた法律なのだが「違反するとそれがまがい物のように受け取られがち」である。
「アブラガニをタラバガニと偽るのは犯罪」だが「アブラガニをうまい」と言って売るのは大正解、また消費者にとってもありがたいことではないかと思う。よくニュースなどでカニの専門家然とした人が「タラバガニと比べてアブラは味が落ちますね」なんて言うがボクにはどうにもそれが納得できない。アブラだってタラバガニに負けずにうまい。そこでどうも「アブラガニは輸入もの」だから「タラバガニの偽物」として扱われるのだろうか? と邪推する。でもタラバガニも市場で見る限りほとんどが輸入ものである。生鮮品として状況は2種とも変わらないのだ。またはっきり言って流通するタラバガニにもいいものと劣悪なものが混在する。タラバガニ、アブラガニが並んでいるとき殻を押して身の入り具合などを見て種に関わりなく仕入れていくプロ(魚屋)も少なくないのである。
 それで結論だが、現自民党政府はますます庶民いじめをしたいらしい。改革も忘れて昔ながらの箱もの行政や庶民生活の切り捨て、ゆるせない自然破壊を続行するみたいでもある。昔「貧乏人は麦を食え」と池田勇人という首相が言った。それならボクは「賢い消費者は実をとれ」と言いたい。

ABURA0611.jpg

市場魚貝類図鑑のアブラガニへ
http://www.zukan-bouz.com/koukakurui/tarabagani/aburagani.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

寝る時間がない

0

 図鑑は改訂が続いている。作り始めたときから改訂につぐ改訂。図鑑本体だけで2千ページを超えているのでぜんぜん進まないのだ。そして画像の保存、整理、また保存。各地からとどく情報も徐々に整理を終えなければならない。「魚貝類の呼び名」をこれまた大改訂するか悩む。根本的にページ立てを変更したくなっている。そして「市場図鑑」を作成。各地の市場自体の案内ページで作り始めると膨大な情報量に茫然自失。

koushuuk0611.jpg

甲州街道、西八王子から並木町

 雨模様の日曜日、外出は裏高尾へ。甲州街道はイチョウで黄金色に燃え上がっているようだ。いっとき止んでいたために少しだけ山歩きしようと高尾の入り口までくると大雨。しかたなく「ふじだな」でコーヒーを飲み、クッキーを買う。摺差、峰尾豆腐店で豆腐2丁。道ばたの直売所で漬物。
 結局、日曜日の夜も5時間足らずしか眠っていない。ボクはどうしても7時間半眠らないと調子が悪い。と言うことで毎日絶不調である。

 月曜。八王子魚市場内「源七」で岩手県宮古市産オウゴンムラソイを見つける。オウゴンムラソイは小さな卵巣を抱えている。ソイを4種別立てで扱うか、難問であって結論が出ない。これはメバルも同様である。チゴダラとエゾイソアイナメに関しては分類学の世界の話は置くとしても東北と沼津などでは価値観がまったく違っている。これを二種として扱うのは魚貝類図鑑としては妥当なのだ。

takano0611.jpg

高野水産は週明けから戦場とかす。そしてトラックいっぱいの荷があっというまになくなるのだから凄い

 帰宅後オウゴンムラソイを撮影。雑事を済ませてすでに正午近い。大慌てで外出。
 いろいろあって帰宅は深夜の3時半。
 
 そして昨日見つけたのがアブラガニとわたり(婚姻色のでた)アイナメ。このところアブラガニが入荷してきている。これなども忘年会の時期の近いことを感じさせる。そして12月もなかば近くになると暮れの年末商戦が始まるわけで、冷凍タラバにまざってアブラガニが大活躍をする。アイナメの握りを撮影。アイナメの白子はまだ小さい。また、たかさんと握りについてあれこれ話して帰宅する。
 帰宅後アブラガニの撮影をする。時刻はすでに11時を回っている。
 お昼はアイナメの刺身や市場のハムカツ。
 メールなどの返信、雑事で1時に外出。
 そろそろ師走というお茶の水駅、いつもよりも雨のせいかひっそりしている。コンビニでたくさんの飲み物を買って神保町に下る。雑事を済ませて帰宅は11時半。疲れ果ててやっと雑事をこなす。
 布団にもぐり込むとすでに2時半。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 日本海側でよく見かけるものにスルメイカをワタごと干し上げた干物がある。特に佐渡島のものは都心のデパートでもよく見かける。
 スルメイカの旨味はヤリイカやアオリイカよりも多いようだ。当然、干し上げたときの風味香りも強い。すなわちやや個性的な味わいながら、それが多くの人を惹きつける。そこによりスルメイカらしい味わいである肝が加わるとどうなるのか? 肝は生でも旨味と渋みと甘味とが凝縮されて濃厚なのだ。それを干し上げるとここに熟成と濃縮がなされる。
 またこの濃厚な旨味に倍するほどに心を揺さぶる魅力がスルメイカの干物にはある。それが香りである。日本海は柏崎から出雲崎、新潟市、村上市という旅に出かけたことがある。その中間に位置する寺泊の市場で焼かれていたのがスルメイカの丸干しなのである。まず、いかれてしまったのはその香りである。まるで香りに引っ張られるように売り場へと連れて行かれ試食、当然のごとく一袋買ってきてしまった。
 たぶんスルメイカの丸干しというのは日本海側に多いのだと思われる。そして今回のは富山県は射水のもの。炙りはじめると、すぐにあの香りが食欲よりも酒欲を引き出す。かなりの塩辛さなので酒なくしてはとても充分に味わえない。ほんの5ミリほどに切ったものを口に入れるとすぐにスルメ干しの濃厚さが来て、そこにより強い、微かに酸味すら感じられる肝が流れ出してくる。味わいの根底にあるのは渋みであり、これが旨味甘味を倍増させている。塩辛いのでほんの4,5切れでいい。これを肴にぼんやりと無為の時を過ごす。これが疲れたオヤジの心を癒してくれるのだなあ。
 酒は焼酎、もしくは日本酒の原酒が合うように思える。菊姫の赤いラベルの原酒などいいかも知れない。

marubosi0611.jpg

中宗 富山県射水市堀岡明神新53


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 八王子綜合卸売センター土産なら「市場寿司 たか」の「豪海投げ込み丼スペシャル」持ち帰り版がおすすめだ。こんなことを書くとあからさまな宣伝ではないかと思われるかも知れないけど。その通り宣伝なので悪しからず。なにしろ「寿司図鑑1000かん」の道遠しである。たかさんにはそれなりに潤ってもらいたい。
 この「豪海投げ込み丼」の中身はときにネタがかわるのだが、今回のは中トロ、赤身、カゴカキダイ、サーモントラウトにイカ、カニばらけ、イクラ、ムラサキウニに自家製玉子焼き。これで千円なり。将来的には特ネタを盛り込んだ「特ネタ豪海投げ込み丼」も作りたいがまだまだそこまではいかない。
 画像のものは常連さんが市場での買い物前に、ご夫婦2人前を注文していった。夫婦仲むつまじいというのもうらやましいぞ。

tanagekomi0611.jpg

市場寿司 たか
http://www.zukan-bouz.com/zkan/zkan/rink/gest.html
八王子の市場のことなら
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

「いりやき」は「炒り焼き」と書いていいのか迷う。広辞苑にあるのは鶏を鍋でそれこそ「煎る」料理だし、「炒る」というのも水分を飛ばすという意味合いがある。それで今回は「いり焼き」とする。
 要するに酒、みりん、砂糖、醤油、水で地を作り。これを浅く鍋に張る。それが沸いてきたら魚の切り身をたいていくのだ。簡単に言うと魚を使ったすき焼き。
 熱の通し方は好みで、ボクは酒の肴には生っぽく、ご飯にはしっかり煮てしまう。鍋料理なので野菜が欲しいところだが、味からしてすき焼きと同じようなものを揃えばいいのであるが、玉ねぎは絶対になくてはならない。また玉ねぎだけでもいい。
 魚はゴマサバ、マサバ、サワラ、ヒラソウダ、マルソウダ、スマ。すなわちスズキ目サバ亜目ならなんでもいい。他にはアコウ、キンメなんてのもありだな。
 今回は相模湾佐島で揚がったばかり、脂のりのりのヒラソウダ。休肝日なのに酎ハイボールを1ぱいだけ。すぐにご飯のおかずとした。とろとろに煮えた玉ねぎとヒラソウダの旨味たっぷりの身で、おかわりおかわりと、また一層太ってしまった。ボクの人生後悔ばかりだ!
 最後にボクが思うに「ヒラソウダのいり焼き」は小春日和の日、冷え込んだ夕べにいい。と言うことで初冬の季語としたい。

hihi0611.jpg


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

detoredo0611.jpg

 相模原綜合卸売市場「デイトレード」は本来冷凍ものなどを扱っている。本拠地は神奈川県平塚市。それが今年4月に相模原綜合卸売市場に支店を開業。それとともに平塚、大磯、佐島など相模湾海の幸を運んでくるようになった。その魚が素晴らしい。相模湾の地魚というと相模原、三多摩地区からも近くふんだんに見かけてもおかしくないだろう、と思うはず。ところが残念なことに関東での流通は東西にはあっても南北は手薄だ。八王子などにくる相模湾の地物も総て築地や太田、横浜中央から経由して一日置いての入荷となる。
 そんな状況にやっと「デイトレード」を見つけたときにはうれしかった。相模湾であがったばかりのヒラソウダが炭焼き(クロシビカマス)が活けのホウボウが平塚に揚がってから数時間の後には相模原に来る。これから寒くなるとアラやアカアマダイ、マダイなども来るはずで大いに楽しみである。

「デイトレード」は相模原綜合卸売市場の奥の目立たぬところにある。市場内を見て回ると、鮮魚を扱う仲卸は多く優秀な店や貝を多く扱う店などなかなか充実していると感心させられた。でもどの店舗もあまり特徴があるとは思えない。さあ帰ろうかと諦めかけたとき薄暗い通路の奥に相模湾のスマ、白むつ(ワキヤハタ)を見つけたのだ。市場の1区画だけの小さな店舗ながら。店長の小田剛さんをはじめスタッフも若く、従来の仲卸とは一線を画している。
 この小田さんにさっそく平塚の定置網、魚市場の状況をお聞きして、17日には相模湾に向かい早朝の国道を南下した。平塚魚市場、平塚港で見聞きしたことは別に記すが、小田さんを通じて平塚定置の責任者磯崎さん、大磯の大磯森谷さんなど多くの知古を得た。

hiratuka06111.jpg

 残念ながら当日そして、今週初めまでの相模湾は不漁をかこっており、市場に並ぶ魚は少なかった。でもそこで見たさまざまな魚たちの見事さは水揚げ港ならではのもの。ボクはあっという間に相模湾の魚貝類の虜になってしまったのだ。それから土日を挟んでの3日間、毎日「デイトレード」に通う。

houai0611.jpg

活けのアイブリ、ホウボウ。どれも「活かし」の難しい魚たちなのだ

 相変わらず不漁続きながら「市場寿司 たか」に多くの寿司ネタをもたらした。それをこの週末から寿司図鑑の1ページにまとめるが、相模原という内陸部で水揚げされたばかりの魚貝類を手にする感激は例えようもなく、またありがたいものである。

「デイトレード」 神奈川県相模原市東淵野辺4-15-1 相模原綜合卸売市場内
相模原綜合卸売市場のことは
http://www.sagamihara-ichiba.co.jp/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

コウイカ科を改訂

0

ウスベニコウイカのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/kouika/usubenikouika.html

ウスベニコウイカは同定に問題がある。これなどに関して情報をいただけるとありがたい。
またイカタコの画像を上下反対にすべきか検討中

掲載種 1817


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

シャコガイ科を改訂

0

シラナミガイのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/shakogai/siranami.html

沖縄県水産海洋研究センター石垣支所久保弘文さんからは貴重な情報、ご意見を頂きました感謝します。


掲載種 1816


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

穴子の干物

0

anagohi0611.jpg

 三河湾、伊勢湾沿岸に旅に出ると必ず見かけるのが「めじろの開き」、すなわち干物である。「めじろ」は「目白」であり、白目の広いマアナゴのことを差す。面白いことにこの地方で「あなご」と言えばギンアナゴなので、お間違えなきよう。一色魚市場などでよく目にするのだが「アナゴが安いね」なんて感激しているほとんどはギンアナゴ、「めじろ」はやはりある程度は値が張るのだ。この三河、伊勢地方のマアナゴの干物は絶品である。そして干物の中にあって酒の肴(あて)としても最上のものなのである。

mejiro0611.jpg

マアナゴの白目の部分は純白で広い

 さて、その知っているつもりの「マアナゴの干物のうまさ」をこれまた嫌と言うほど教えてくれたのは千葉県市原市の「しげ鮨」。大振りのマアナゴを開いて干してぱりっと焼き上げたもの。千葉の海人つづきさんに連れていってもらった地元でも有名なお店だ。確かに寿司にも感激したが、これなどほかでは味わえないものだ。その「しげ鮨」で教わって自分なりに干物造りに励んでいる。
 マアナゴは出来れば大きいものを選びたい。小振りなものもジワリと脂を感じて、ふわっとアナゴ特有の香りが味わえる。でもマアナゴの圧倒的な脂の甘味、皮目の濃厚な旨味は大きいほど強い。
 残念ながら今回のものは平塚の定置網に入った小振りのマアナゴ。平塚ではいろんな魚をまぜこぜに入れ込んだ荷(箱)を「口もの」と呼ぶのだが、そこに1本だけ紛れ込んでいた。これを「市場寿司 たか」で開きにしてもらい塩焼き程度に振り塩。これをビニール袋に密閉して少し寝かせて「半たて」状態にする。そして半日干し上げる。実をいうともう少し強く干し上げたかった。でも当日の酒の肴がないのだ。酒は「土佐鶴」。辛口のくいくい大酒を飲むのに向いているコストパフォーマンスに優れた本醸造。この肴にまさか柿の種ともいくまい。それで半乾きのをやや強めに焼き上げた。
 まあ満足いくできではないが肴としては上々である。マアナゴのこの風味はウナギ目の魚特有のものだろう。これは皮目ではなく真っ白な身から浮き上がってくる。皮から感じられるのは香ばしさと脂の甘さ。
 味わいを表現しても納得いく文字が浮かばない。空回りする。とにかく酒の進む肴である。

●今回の「口もの」は相模原綜合卸売市場腹「デイトレード」にて購入

市場魚貝類図鑑のマアナゴへ
http://www.zukan-bouz.com/unagi/anago/anago.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 さて毎週来るものそれは「市場寿司 たか」の戦場のような土曜日。それでもこの日はクルマのフロントグラスが凍り付くほどの寒さ、さすがに客足は遅い。それで本日は撮影のついでに「豪海投げ込み丼」で朝飯をしたためます。ボクの前には「お任せ握り」1000円を2人前を作っている。今回ありますマグロは残念ながらばち(メバチマグロ)。でもマグロ屋の言うことにゃ、「この秋いちばんのばちだよ」。なかなか「そんじょそこらの寿司屋じゃ仕入れは出来ない」そうである。あとはホウボウにカンパチに穴子、玉子焼きにこはだ、後はなんだろね。

susitaka06111111.jpg

susitakakakkateka.jpg

 ネタケース(種ケース)を見ると17日に平塚から持ち帰った30センチほどの小振りのマサバがある。ボクの目当てはこれを撮影すること。
 ほーら「おまかせ握り」が終わって、と思ったらイクラをのせていなかった。それで出来上がり。
 それから小サバを食べたらひっくり返るほどに驚いた。「うますぎるじゃないか」、「ゆるしてくれ」、「うますぎてまた太る」。これが定置に入った小サバかい。こんなにうまいってことを平塚港川長磯崎船長に言わなきゃならない。
 ふと振り向くと席が空かないかと店の前を何度も往復する人が数人。悪いのでさっさと店を出る。「豪海投げ込み丼ぼうずコンニャクスペシャル」の代金500円を支払おうとしたら「いらないよ」だって。たかさん、ありがとう。
 また来週早々にも平塚の魚を仕入れてくるからね。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

ハコフグ科を改訂

0

コンゴウフグのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/fygu/hakofugu/kongoufugu.html

掲載種 1815


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 千葉県九十九里はカタクチイワシの加工で有名である。ボクが大好きな「みりん干し」、そして「胡麻漬け」もある。この小さなカタクチイワシを熨して繋げて作る「みりん干し」はたぶん九十九里独特のものだろう。それが証拠に市場で探しても加工地は千葉県九十九里周辺ばかりである。
 そして「塩田水産」のものだが、やや味付けは薄口、そこにこれでもかというほど胡麻がかかっている。これがまことに香ばしくてたまらん。
 毎回思うことだが、この熨された「みりん干し」は酒の肴にいい。とくに熱燗にした秋田の両関なんて相性がよすぎる。贅沢だが飛騨コンロで焼きながら好みの焦げ加減で楽しむのがいちばんである。ただし火傷に注意。

siota0611.jpg

塩田水産 千葉県山武郡九十九里町6928-94 0475-76-2166
http://www.king.co.jp/kanea/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 久しぶりに横須賀市佐島の新さんにケータイをいれた。漁の模様を聞くためだが
「今はあまり漁がないんですよ。これからですね。それとヒラソウダが多くて困っているんです。今時のヒラソウダはうまいんですが、海辺の人間はわかっているんですが、いざ築地などに持っていくと雑魚扱いです」
 そんな翌日に同じ相模湾平塚までくるとまったくヒラソウダがとれていない。平塚と佐島では海上の直線距離からすると目と鼻の先ではないか?
 不思議と言えば、八王子をはじめ三多摩地区、相模原などにとっていちばん近い海は相模湾なのである。相模湾であれほど珍重しているヒラソウダの味わいを内陸部ではまったく知らないのだ。これが交通事情の悪い昔の話だというのではない。
 そんな平塚魚市場にも佐島からヒラソウダが届いていた。これを確保していたのが相模原綜合卸売市場の「デイトレード」である。
 これを1本購入して相模湾冬の美味を堪能した。この刺身のうまさは何に例えようもない、間違いなくヒラソウダだけがもっている至味である。とにかく突出して舌を刺激するのが白く甘い脂である。その甘味のあとにはカツオよりも濃厚な赤身のうまさがくる。
 ヒラソウダの旬は秋口からなのだが寒い時期になってからの方がより脂があってうまい。すなわちヒラソウダは秋の季語なのだ。
 人として生まれて「ヒラソウダのうまさを知らぬ」のは不幸である。

hirasouda0611.jpg

市場魚貝類図鑑のヒラソウダへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/saba/soudagatuo.html
佐島港のさかな建ち
http://members.jcom.home.ne.jp/shin-sajimakou/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

uomasa0611.jpg

 時間があると無駄歩きをする。歩くのは下町の商店街が多く、そこで「いいな」と思った魚屋を見つけると「しめ鯖(大阪では生ずし)」を買う。
 個人で経営する魚屋が年々減少している。これはとても残念であるとともに、子供を持つ身には「食を学ぶ場所」が消えつつあるわけで大変嘆かわしい。今時の政治家や都知事は「破壊者」ではあっても「温存」を重要視する、「平和的な存在」ではない。だからまだまだずーっと魚屋の減少は続いて行くに違いない。早く一軒でも多くの魚屋を見て置かなくては絶滅してしまうのだ、魚屋が。

 横道にそれるが、今時流行(流行でしかない)の「食育」というのがある。これを声高々に言っているヤツら、どこかずれている。またおかしい。「食育」が無農薬・自然食と置き換わったり、「料理を楽しみましょう」なんてバカ野郎までいるのだ。「食育」というのはそんなもんじゃないだろ。無駄金、無駄な労力を使うよりも「子供達を、また食に無知なヤカラを魚屋に行かせろ」、その方が何千倍も意義がある。

 閑話休題。
 西日暮里から三河島、そして地下鉄日比谷線三ノ輪橋駅に向かっているとき、突然煌々と灯のともる店が見えた。冷蔵陳列台(この言葉正確ではない)があるので魚屋に違いない。
 時刻は5時前。店の中には優しそうな女将さんがいて「めじまぐろの刺身」を並べている。その横に「しめさば350円」「さんまの酢300円」。

uomasa06113.jpg

uomasa06112.jpg

 これはどうみても自家製のもの。値段も安くて「いいな」と思っていたら、女将さんが出てきて
「なにか差し上げましょうか」
 この間がなんとも絶妙である。
 もう一度陳列台をみる。よく見ると中がピカピカにみがかれてる。「さんまの酢」というのに少し惹かれて迷ったが初志を貫徹して「しめさば」を買う。
「あの少し撮影してもいいですか」
 おずおずと聞くと
「いいですよ。どうするんですか」
「いえ、下町歩いてしめ鯖を買うのが趣味なんです。この店は何年くらいやってるんですか」
「ウチは2代目なんです。お父さん何年くらいね」
 店の前を掃除していたご主人が、
「どこから来たんですか」
「八王子の方なんです」
「へえ驚いた。ええとねウチは60年かな」
「この辺りも昔は賑やかだったんでしょ」
「そうだね。昔はにぎやかだった」

 最近気がついたことだが、魚屋さんや和菓子屋、パン屋さんで創業の時期を聞くと「60年くらいかな」というのが多いのだ。これを単純に考えると終戦後すぐの食糧事情のもっとも悪い時代にあたる。街の復興よりも「まず食べること」が最優先だったのだろう。それを裏付けるかのごとく1946年に復活したメーデーを「食料メーデー」と呼んでいる。

「魚正」の間近にオリンピックというスーパーがある。ボクとしてはスーパーとは今のままでは「食文化の破壊者」でしかない。たぶんまだまだ健在な商店が多いとはいえ、この商店街もこのような大型店舗につぶされてしまうのだろうか?

 ぼんやり考えていると「魚正」のご夫婦が
「また立ち寄ってください」
 優しい声をかけてくれた。

 さて自宅に帰り着いてさっそく「魚正」の「しめさば」を肴に酒を飲む。この「しめさば」がうまいのである。酢はやや控えめ、ほんのり味わいに甘味を感じるのは砂糖を使っているのかも知れない。使っているサバもいい。家人などボクの肴だというのに半分以上横取りをする。失敗したと思ったが遅い。
「さんまの酢も買えばよかった」


魚正 東京都荒川区東日暮里1丁目31-1 03-3801-0046


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 市場魚貝類図鑑周辺から発生する話題を取り上げているのが、「お魚三昧日記」「うまいもん日記」「酒日記」「本のページ」「まんじゅうこわい」「季節の野菜図鑑」の6つのブログである。これはあくまでデータベースを作る副産物であってブログのための文章ではない。またブログを見てもらうと市場魚貝類図鑑が単に水産物だけのデータベースではなく食とか歴史とか、地域情報とか多彩なものから出来ているのがわかってもらえるはずだと思う。
 それでブログはしばしば改訂、ページが移動する。「まんじゅうこわい」は甘味とお茶やパンなどのページなので他のブログにあるそれらは最終的にここに落ち着く。また市場でのご飯、「市場めし」では水産物を食べたときには「お魚三昧日記」、それ以外は「うまいもん日記」に区別することにした。
 専門家の方なら周知のことだと思うがデータベースは大きくなるほど区分が増え、またより細分化する。例えば魚貝類に関しては東京都に流通するほとんど総ての種を集めることが出来た。あとは欠落した種を埋め合わせていく作業を行っている。また値段の移り変わりも総て盛り込んでいこうとしているのだが、これも画像、文字での資料化が進んできている。この過程での周辺のデータをどう整理するかを早く考えなくてはいけない。
 我がデータベースもそろそろ「ギガ」ではなく「テラ」を1単位とすることになりそうで、一人っきりで整理する限界に近づきつつある。そんなことでブログはボクのデータ整理日記でもあるし、悪戦苦闘する日々の記録でもある。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

sumiyaki0611.jpg

 まな板の前で「どうしたらいいんだろうね」、たかさん、腕組みしてこまっているのだ。「たかさん、がんばってね。今日朝、大磯にあがったばかり、朝どれだからね」、ボクはかたわらで声をかけるだけで楽なものだ。

 まな板の上には真っ黒なクロシビカマス。相模湾一帯では「炭焼き(すみやき)」と呼ばれている。個人的にはどうしてクロシビカマスなんてへたくそな和名になってしまったのか? 残念でならない。絶対に「スミヤキ」がよかったのである。間違いない。それが証拠にこの和名をよく忘れてしまうのだ。それでときどき「炭焼き」の標準和名って「なんだっけな」と思い出せずに苦しむ。この魚、太平洋側では千葉県外房沖からやや温かい地域に棲息する。日中はやや深いところにいて、夜になると浅い場所に来てイワシなどの小魚を追いかけている。見かけも実際にも獰猛な肉食魚である。その歯は鋭く釣り上げたときなど注意しないと怪我をする。

takatakakaka0611.jpg

 まな板の上のクロシビカマスはとりあえずは三枚に卸されている。たかさん、まずは皮を引いてしまう。血合いの部分に小骨が入っているのはいいとしても、皮から身の方に斜めに太くしっかりした骨が並んでいる。これを皮近くの身をそぎ取るようにするとやっと刺身用のリボンのような冊がとれた。「とすると皮は引かなくて最初から骨を避けて身をそぎとればいいのかな?」っとやっと一本分を仕込み終わる。
 まな板の上には大小4枚のリボン状の冊。これを刺身で食べてみる。
「これなんだ」
 追って言葉が出てこないようだ。
「うまいよね」
「…………」
「脂かな甘いのは、それに身の食感もいいでしょ」
 シコシコとした食感で噛みしめるほどに甘味がくる、それが明らかに脂の味わいだろう。そして身自体のうまみもある。
「これなら苦労のしがいがある」

 それを握りで、また帰宅してから煮付け、鍋材料にして堪能した。そして感動した。「炭焼き愛してるよ」と言ってしまった。あまりのうまさに幸せな気分になった。
 あまりにうまかったので手に入れた相模原綜合卸売市場「デイトレード」の小田剛さんにケータイを入れてみた。すると「炭焼きはこれからもっと脂がのってうまくなるんです。しかも値も下がる」とのこと。勝手に「炭焼き(クロシビカマス)」は冬の季語にしてしまおうかな。

今回のものは神奈川県大磯の釣りものである。旬は寒い時期。これからどんどんうまくなってくる。
相模原市相模原綜合卸売市場「デイトレード」にて

市場魚貝類図鑑のクロシビカマスへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/kurotatikamsu/kurotatikamasu.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 昨日は相模湾平塚に魚貝類を見に行ってきた。案内してくれたのが相模原の「デイトレード」の方達。そこでいろいろ仕入れてきたものを本日「市場寿司 たか」の特ネタとします。
 今がまさに旬であるものばかり、しかもそんじょそこらでは食べられないものもあるので食べてみる価値ありすぎだ!

カゴカキダイ
小ムツ
小イサキ
マイワシ、
ホウボウ
マルアジ
マアジ
マサバ
クロシビカマス(炭焼き)

tokuneta.jpg

平塚魚市場に地ものが並ぶ

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
http://www.zukan-bouz.com/zkan/zkan/rink/gest.html
昼の営業は朝11時から
ネタが尽きるまでの営業


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

カレイ目は改訂の途中である。
カラスガレイのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/karei/karei/karasugarei.html

掲載種 1814


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 深い場所を曳くトロール船のある港でときどき目にするのがイガグリガニである。我が娘はこれを見て思わず「かわい〜〜い」と叫び。底引きの船頭は「幾らにもなりゃしねー」と蹴飛ばし。沼津の甲殻類学者飯塚さんは「これはいい標本が出来そうだ」と笑みを浮かべる。そしてボクは思わず「うまそうだ」と思いながらも「いたそうだな」と躊躇する。そんな甲殻類なのだ。
「まさかこんなぬいぐるみのような生き物を食べるの? 可愛そう」なんて思うのはあまりに了見が違う。「可愛いから殺してはいけない。頭がいいからイルカを保護しろ」なんて言うグリーンピースのような陥穽に落っこちることだけは絶対にやめよう。周辺海で海産物をうまーく利用しなければならない我が国の人類であるなら「食えるもの、また殺してしまったものは食うのだ。これが宿命なのだ」。水産物をうまく利用しないと自然など保護できるわけがない。
 と言うことで要するにイガグリガニはうまいのである。料理法は蒸してもいいし、塩ゆででもいい。とにかく毬(いが すなわち栗の実に似ている)の痛さに絶えながら、それでも乏しい足の肉、甲羅の下の肉をちまちまと食う。微かだが甘味があるし、旨味というか味にコクもある。
 味がいいのはさておき「歩留まりが悪い」、「棘とげで取り扱いが大変」、「あまりとれない」の3点を持って商品価値はかなり低い。それでも水産物に興味のある、また好奇心旺盛、食の冒険が大好きな人、これは是非一度お食べてみて欲しい。

igaguri0611.jpg

市場魚貝類図鑑のイガグリガニへ
http://www.zukan-bouz.com/koukakurui/tarabagani/igagurigani.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 さて「市場寿司 たか」の沼津特別仕入れ人ぼうずコンニャクは昨日とれたての珍しい魚を運んできました。沼津底引き名物の「ごそ(ハシキンメ)」をはじめ、「でんでん(ナガオオメ)」、クログチ、「青あじ(マルアジ)」、深海の愛くるしいイガグリガニまでてんこ盛りに並べております。
 総て1かん100円なりの激安価格。特ネタは11時からですのでなにとぞごひいきのほど、またご賞味いただきたく、ズズズズーいとおん願い奉ります。

gosogoso0611.jpg

市場寿司 たか
http://www.zukan-bouz.com/zkan/zkan/rink/gest.html
八王子魚市場の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 築地で朝飯というとめんどくさいので「豊ちゃん」とか「中栄」のインドカレーというのが多い。すなわち場内の食堂群で適当に済ましてしまうのだ。
 それが10月21日の「築地土曜会」では築地に勤める尻高鰤さんの案内で厚生会館一階の『魚四季』という店で会食した。まずボクなんかが立ち寄らない店である。なぜなら外見が「高そう」だからである。
 ところがいざ、品書きを見てみると朝の定食が良く覚えていないが600円前後、後の定食も1000円前後とお手頃。生ビールをたっぷり飲んでも一人2000円でおつりが来る。
 しかもなかなか味がいいのである。
 ちょっと遅くなったが画像を掲載する。

arani.jpg

あら煮定食

maguromotuni.jpg

マグロもつ煮

asateo0611.jpg

朝定食

値段をすっかりメモし忘れてしまった。残念。

築地市場内 魚四季
http://r.gnavi.co.jp/g406401/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 最近の水産加工品を見渡して目立って多いなと思われるのが魚の〆ものである。すなわちしめ鯖、しめサワラ、しめサンマ。そんななかで思わずうまそうなので買ってしまったのがこれである。
 サバで表面に焼き目を入れているのが目立ってきているがサンマでは初めて見た。それで思わず1枚だけ買い、晩酌の肴とした。これがなかなか美味なのだ。酸味が軽く爽やかなのはタレ、すなわちポン酢にリンゴ酢を使っているからかも知れない。この製品で問題なのは2匹分だと晩酌には多く、今時の核家族が進みすぎた世にあっては持てあましかねないこと。1匹ずつ別梱包の方がいいと思う。
 また「手焼き」とはなんだろう。手でひとつひとつ焼き目をつけたのだろうか? このあたりは意味不明だ。

 しかしこのように市販のものの味わいが上がってきているがために、街の魚屋で〆ものを作らないという店が出てきている。ボクはまだまだ手作りで作り上げたものの方が市販の製品よりも上だと思っている。

teyaki0611.jpg

島倉水産 青森県八戸市江陽5の7の29


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

kimuraya0611.jpg

 横浜中央卸売市場関連棟は水産棟の隣にある。細長い建物で入ると寿司屋、中華料理屋、そば屋に食堂らしきもの。少ないながらどれも魅力的な店ばかりで、なんども行き来してどこにはいるか迷いに迷う。ここが魅力的なのは川崎北部市場のように、または浜松市の市場のように店舗がさみしい二階に追いやられていないところ。前を行き交う人も多く、なんだか市場らしく騒々しい。しかも前からのぞくと数人の男達がうまそうになにやら食っている。

 迷うこと数十秒、最後に残ったのが「伊豆屋」と「木村屋」。結局「木村屋」にする。これは昔、好きになった女の子が木村やよいさんだったというそれだけの理由なのだ。とほほ、当然思いっきりふられたのだけど。
 店の前の品書きを見て、明らかに天ぷらの店であると思う。そこに「アナゴ、メゴチミックスてんぷら定食」1100円というのがあり惹かれること大。なにしろ横浜と言えば本牧、金沢八景、小柴というアナゴの本場がある。でもミックスというと「フライ」だわね。天ぷらには合わない。まあそんなことはどうでもいいか?
 店に入ると思ったよりも店内は狭く、入って右から細長く奥にかけて、そして奥全体が厨房になっている。すなわち店内のほとんどは厨房に対面するカウンター席。ぽつんと2人がけのテーブルがある。店の色合いは黒く落ち着いている。イスは丸い回転式、座り心地が悪い。
 注文したのは予定通り「アナゴ、メゴチミックスてんぷら定食」。せっかく横浜まで来たのだからこれくらい散財してもいいだろう。
 天ぷらが揚がるまで、手持ちぶさたでウロキョロ見ていると店内にすーっと入ってきて「や」と声をかけて2階に上がる人が数名。どうも上にも席があるようだ。

 思った以上に待って、出てきたのがアナゴ1本、めごち4本、シシトウ2本の豪華な盛り合わせ。なかなかいいな、と予想以上の定食に喜んでいると、そこにマグロのブツの入った小鉢まできた。どう見てもメバチマグロの赤身だが「うれしいな」と感激。

tendon0611.jpg

 そして天ぷらのサクサクして、ジワリとマアナゴのコクのある旨味がフワリと浮かぶ。そしてめごちもいいのである。形からすると福島あたりのセトヌメリではないだろうか。これにお新香とシジミのみそ汁がついている。
 やっぱり市場の飯屋はこれくらい豪勢なものを出してほしいな。今回の横浜での朝飯は大当たりであった。

横浜市中央卸売市場関連事業者協同組合
http://www.yokohama-ichiba.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

ツツイカ目を改訂

0

スジイカのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/sujiika.html

掲載種 1813


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

和歌山、静岡県などのページ他を改訂しました
http://www.zukan-bouz.com/zkanb/hougen/hougenmokuji.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

iriguthhhakai.jpg

 横浜中央卸売市場から北上して帰りに立ち寄ったのが相模原綜合卸売市場。実をいうと八王子の市場群とは至近にある。また入っている業者なども共通点が多くて八王子での顔見知りの何人かはこちらに移ってきている。
 さて相模原綜合卸売市場は国道16号、相模原小淵にある。古淵はJR横浜線に駅があり、そこから歩ける距離。またクルマでの買い出しなら町田、城山町、座間、大和市なども圏内になるのだと思われる。

TUURURO0611.jpg

 16号から入ると相模原綜合卸売市場とひとくくりになってはいるが無数の建物が点在して、しかも独立性が低く東西南北、どこからでも市場に入ってこれる。また青果では競り場があるが水産に関しては中央市場などから仕入れをする仲卸だけの寄せ集めである。

tuurororo06112.jpg

 市場内は建物が多いためもあって細い通路が十字には交差しないで「筋違い」になっている。これが迷路のようになって歩いていて楽しい。ひとつの建物をまっすぐ進むとやや筋違いに次の通路が続く。そこに漬物屋あり米屋あり、飲食店もある。また八百屋、肉屋があって魚屋もある。

 まず16号に近い駐車場にクルマを止める。正面には珍味などを売る店。その暗い通路にはいると厨房機器の店がある。この建物は通路もまっすぐで1つの建物だというのがわかる。通路を抜けると、まるで仕舞た屋のような建物が並び短い通路がまた奥に続く。水産物を見て行くにあまり珍しいものも出色のものもない。これはここだけのことではなく天候のせいである。値段も手頃で鮮度的にも申し分のないものがある。また水産物の種類はやはり多く、16店舗の仲卸を回ればかなり充実した買い物が楽しめそうだ。
 また食肉、青果は明らかに八王子に劣る。でもスーパーなどで買い物をするくらいならプロ相手の市場の店で買った方が絶対にいいに決まっている。

YAMAISI0611.jpg

sagamitansui0611.jpg

暗い通路で見つけた「さがみ淡水」。確か八王子綜合卸売センター「八王子淡水」の松本さんがウナギ割きの技術を学んだのはここだったはず

 今回の急ぎ足の相模原綜合卸売市場巡りで見つけたのが「デイトレード」という店。まず店先に1キロ以上のスマが2本、それにワキヤハタ。奥の水槽にはカワハギ、ホウボウ、イサキが泳いでいる。
 スマを見た限りどう見ても近場のものである。値段を聞くとキロあたり1800円。これは思い切った値段だが鮮度からすると価値は充分にある。産地を聞くと平塚に揚がったものだという。旬のスマなら高くはない。またワキヤハタも相模湾での釣りものだという。キロ/1000円なら寿司ネタにして安い買い物。

DEI010611.jpg

スマ、ワキヤハタ、アカアマダイなど。神奈川の地物が並んでいる

 スマを買いながら店長らしき人に聞くと「デイトレード」という店名は本来は輸入水産物を扱っているがため。そこに代表である、この小田剛さんと縁のある平塚から鮮魚を持ってくるようになったのは客からの要望に応えるがためなのだという。
 相模湾と言えば神奈川県の前海にあたる。まさしく地物ではないか。それが平塚から到来するとはなんとも魅力的だ。相模原綜合卸売市場には「デイトレード」を見に来るだけでも価値有りと思った。また来るべし。


相模原綜合卸売市場
http://www.sagamihara-ichiba.co.jp/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 朝5時前、まだ真っ暗ななかクルマで南下する。相模原に入りセルフのガソリンスタンドで給油していたら、思わずブルゾンの袖を立てるほどに肌寒い。
 町田を超えるとバイパスはもう渋滞が始まっている。246と交差するこの数キロの長いこと。かれこれ20年以上この道を利用しているが渋滞はまったく緩和されていない。無駄な道路を造るよりもこんな日常的な不便を解消しろよ、とお役人さんに申し上げたい。

 今回目差しているのは横浜中央卸売市場。横浜駅の真東にあるというのはわかっているので、とにかく駅を目差せば行けるだろうと思っている。そのまま首都高に入り、横浜駅東口出口を下りる。そして東海道(国道一号)を北上すると目の前に「市場入り口」の標識。

 横浜駅周辺の無機質な近未来的な高層多層な景色が右に曲がると一変する。古くさび付いたガード、乾物屋、八百屋とあって道路沿いには延々とクルマが止まっている。そして行き着いたところが市場であった。道の左に青果棟、右に水産棟。どこにクルマを止めればいいのかわからない。行き交うクルマ、人、ターラーと混雑の中心で途方に暮れる。仕方なくクルマの誘導をしているオジサンに聞くととりあえずその辺に止めておくといいと教わる。これがなんとも不安。

tuuro0611.jpg

 水産棟に入ると右に関連棟(食堂や雑貨、乾物など)、正面に駐車場があり、左が仲卸の店が続いている。そのまた左にあるのが競り場なのである。
 仲卸の店を端から見ていく。

tuuro061122.jpg

HONNMAKU.jpg

 荷を見てもとりたてて横浜らしいものは見あたらない。小柴のタチウオ、シロギス、本牧とある箱にイボダイ。横須賀佐島のミシマオコゼ。タチウオがさすがに東京湾産でうまそうではあるが、ここでタチウオを買ってこなくてもいいだろう。少々さみしい。

misima0611.jpg

 また活けのヒガンフグ(市場では赤目)を見つけた。キロ/3500円は買えない値段ではない。残念なことにこれは売約済みであった。
 場内では「伊勢三」という店が地物を多く置くという。

isesan0611.jpg

 横浜で見る必要はないのであるが八王子には最近、「Bつぶ」が来ない。そんななかここには三陸のチヂミエゾボラ、根室から和名のわからないものなどがあった。じっくり見ようとしたら、親切心からだろう「つぶ」の説明をしてくれる。残念ながら関東の市場の仲卸でエゾバイ科に関しての知識を持っている人は皆無。まったく大間違い、もしくは幼稚な話を一生懸命にされると迷惑極まりない。

 まったくミニ版築地とも言えそうなところであった横浜中央卸売市場。ここに来てみようと思ったのは横浜中華街へのケツギョや熱帯のハタ、コイなどを扱っているかもしれないと思ったため。残念ながらそれらしき気配すらなかった。あとは小柴、本牧、横須賀などの地物だが、それも本日は少ない。我が家から渋滞もあって二時間かかる。もう一度来る必要はあるのだろうか?

iriguti0611.jpg

横浜中央卸売市場
http://www.iris.or.jp/~ysijouci/

最後に横浜らしい風景を。これも味わいのない建物ばかりだ。「みなとみらい」というらしい。こんな無機質で味気ないものに未来はない。だいたい昭和20年代、30年代のオヤジやオバハンが人口の多くを占める世の中になったはずだ。こんな幼稚なものは「いらん」と叫ぼう。ついでに、こんなもの作るヤツは大嫌いだ。

minatomitai0611.jpg


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 伊豆半島では古くからイルカの追い込み漁が行われてきた。これは例えば江戸時代前半までのクジラ漁も追い込み漁、もしくはそれに網漁を組み合わせたものであってクジラ類の原始的な漁ともいえそうだ。そこで作られてきたのが「たれ」なのだ。「たれ」とは「塩たれる」から来たとも言われているがまだ深くは探求していない。とにかくイルカの肉に塩味をつけて干し上げたものだ。
 この「たれ」が千葉県内房外房ではツチクジラで作られている。三重県ではサメなのである。すなわち「たれ」と言う食品は伊豆半島に孤立して作られてきたものではない。「たれ」の起源を伊勢、三重県では奈良平安からあった「楚割」が起源とするようである。とすると伊豆の国の楚割はイルカだったのだろうか?

 その伊豆の名物「イルカのたれ」を一度食べてみたいものだと思っていた。清水や蒲原のものは味わっているが伊豆こそ本場ではないか、と思っていたからだ。そのあたりは今後調べなくてはならない。まったく時間とのせめぎ合いだ。

 ともかく目の前の「たれ」を焼き上げる。イルカの「たれ」は中火で香ばしく焼き上げるのがいい。強火では中がふっくらとはならない。それを熱いウチに手で割いて、あとは要するに肴とするわけだ。
 驚いたことに魚武の「イルカのたれ」には嫌な臭いがまったくない。むしろ上等のビーフジャーキーを食べているかのごとくだが、それよりも味わいは深い。また水産生物ならではの海水の息吹が感じられる。これはうまい。手で割いて熱いのだが、ついつい慌ただしく「アチチ」と声が出る。そしてそこに日本酒を流し込む。今日は京都府の「玉乃井」だが、いちばん合うのは秋田の「両関」などがいいと思う。
 ともかく過去に食べた「たれ」では最上級の代物だ。これは肌寒い晩秋にまさに打ってつけ。焼酎にも合うのだろうか? 今度試してみよう。

tare0611.jpg

魚武水産 静岡県賀茂郡西伊豆町安良里中島655-1


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

カサゴ目を改訂

0

カタボシアカメバルのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru02/katabosiakamebaru.html
ヤナギメバルのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru02/yanagimebaru.html
イソカサゴのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/kasago/fusakasago/isokasago.html
アブラボウズのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/kasago/sonota/aburabouzu.html

掲載種 1812


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 カゴカキダイがいかにうまい魚であるか発見したのが24年前のこと。伊豆で防波堤釣りをしていたとき地元の漁師さんから教えられた。
「こんなうめ、魚すてんなよ」
 と、怒鳴られたのであるが。きっと漁師さんはいたって平穏な会話を交わしたつもりなのだろう。

 そしてどう見ても熱帯魚か観賞魚にしか見えないのを刺身にして食べたのだ。そのとき釣り上げたのがトウゴロウイワシや小メジナ、伊豆で金魚と呼ばれるネンブツダイだけであったのも食べようと思った理由である。
 それがすこぶるつきにうまいのであった。たった3匹、しかも大小有りを丁寧に卸しても釣り仲間とふたりではもの足りなかった。
 そして11月3日、佐政水産・青木修一さんと沼津魚の達人・菊地利雄さんに集めてももらったカゴカキを握りに刺身に久しぶりに堪能した。これは寿司職人渡辺隆之さん曰く。
「やっぱ秋にはカゴカキがなくっちゃね。始まりません」
 まさに寿司ネタにもっとも入荷の待ち望まれる魚なのだ。
 また今回驚いたのは大きなカゴカキダイが底引きで揚がっていたことである。普通磯回りの浅い場所にいるはずのカゴカキがなぜ大トロ(深い場所を曳く底引き)に揚がっていたのか、まさに謎だね。

kagokakidai0611.jpg

これは沼津魚市場、戸田トロールに入っていた大きなカゴカキダイ

市場魚貝類図鑑のカゴカキダイへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/sonota/kagokakidai.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 いかんタイトルを書いてしまって気がついた。「金の草鞋を履いてでも探す」のは年上の姉さん女房であった。その点からするとテングダイは「亭主の好きな赤烏帽子」の方だろう。なんとか出来ないのだろうか、この趣味の悪さ、派手すぎる背ビレ。こんな魚と結婚(食べても)しても幸せになれるだろうか? なれるわけがない。と思われても仕方ない。まあ、某野球団監督の妻などその最たるものである。
 閑話休題。
 このテングダイが秋になると正しく変身する。うすっぺらな外見ばかり気にして厚化粧女から、まるで「功名が辻」の千代さんのごとく。いかんそろそろ本題に行かなくては。
 閑話休題、閑話休題。
 もともと市場では希な魚ではあるが秋になると大分や和歌山から入荷がある。また沼津や伊豆、相模湾などの定置網にも紛れ込む。この時期、来春の産卵に向けて脂をため込んでいる。それで白いきれいな身ではあるが、少々味わいに欠けてしまっていたのが俄然甘味を得るし、その上、じわりと旨味すら感じる。シコっとした食感もまことに心地よい。特に背ビレの縁側など「ああ…」とため息が出るほどうまい。
 思うにテングダイのカワビシャ科の魚はどれをとってもうまい魚ばかりだ。ツボダイ、クサカリツボダイ、カワビシャ、そこにテングダイだけのけ者にする理由などまったくあるはずがない。
 こうなるとまるで元禄縞のように派手過ぎる横のラインと高すぎる鼻が市場の評価では仇となる。でも貧乏人や「お客の懐を気にして、安くてうまい魚を探している」優しい飲食店主には狙い目の魚であるな。

tengudai0611.jpg

大分県「丸昌水産」からきたもの。出来るだけ大きいものを選ぶ

市場魚貝類図鑑のテングダイへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/kawabisha/tengudai.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 金曜日文化の日には早朝から沼津魚市場。今回は家人を連れてなので4時半過ぎに着いてあれこれ水揚げ、競りなどを見る。そして「たか嶋」で寿司に天ぷらを食べて9時過ぎには沼津を後にする。今回の沼津行きは家人の「目」もあって実り多きものであった。
 東名を一路東に秦野で下りて「田原ふるさと公園」へ。ここで秦野の美味しい農産物をたっぷり買い込む。秦野のサツマイモはとてもうまいのだ。

HADANO0611.jpg

「田原ふるさと公園」
http://navi.city.hadano.kanagawa.jp/nousan/furusato/furusato.html

 ここから246を厚木に出て帰宅は1時過ぎ。疲労困憊でシャワーを浴びて3時間近くダウン。
 沼津からの魚貝類を6時過ぎまで撮影。
 夕食はマトウダイの鍋、沼津「やいづ屋」の黒はんぺん、里芋、田原ふるさと公園で買った手作りコンニャクでおでん。ヒラソウダの刺身。
 午後10時近くになって寝床にもぐり込んだまでは覚えているのだが、あとは4時に起きるまでこんこんと熟睡。

 4時に起きてメールチェック、掲示板のいたずらかき込みを消す。まったく世の中ろくでなしが多いな、とネットをやっているとつくづく思う。今の世に何とかして欲しいのはあまりに右傾向の今の内閣と、このネットでの風俗の書き込みだ。4時半に八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」へ。

takaaasaaa0611.jpg

「市場寿司 たか」では朝一に1本(4キロ)のすし飯を切る。たったひとりの寿司屋で一日に3本、12キロを使うときもある

kagokaki061111.jpg

カゴカキダイなどを卸す

 昨日の沼津からの寿司ネタを渡す。これがなんと9種類。「市場寿司 たか」に一時間だけネタの整理でいて6時に帰宅。少しだけデータ整理。田原ふるさと公園で買った京小町というサツマイモを
ふかして、たかさんの朝ご飯用に紙袋に詰める。7時過ぎに、こんどは姫を連れて八王子綜合卸売センターへ。市場に着くや、サツマイモを忘れていることに気がつく。
 あまりの空腹感に「光陽」でラーメン。姫はふかし芋2つでお腹いっぱいなので肉屋の手伝い。連休の谷間なので市場は閑散としている。それでも「高野水産」は客が押し合いへし合い。

takano061111.jpg

あいかわらず土曜日の「高野水産」は驚異的な混雑ぶり

 8時半には「市場寿司 たか」に入り、沼津の魚貝類を撮影。カゴカキダイ、アイブリ、マトウダイ、ギマ、ヒラソウダ、シロアマダイ、シロカサゴ、アオミシマ。撮影に2時間近くかかる。

 帰宅は11時前。寿司のみの画像整理。終わったのが2時前。ここで少しダウン。午後にまた魚貝類の撮影。終了が6時過ぎとなる。
 沼津からの魚貝類で夕食を作る。
 メアジやカナド、ギマなどを全部寄せ集めて煮付け。おでんの残り、ヒラソウダとシロアマダイの刺身。

nituke0611.jpg

 食後なにも出来ずにぼんやり過ごす。いつの間にか寝床にいた。

 本日5日は5時過ぎに起きて掲示板あらしの削除、メールチェック。画像の整理をする。
 7時半には朝食を作り始める。肉屋の平成食品でもらった挽肉でハンバーグ、レタスのサラダ、イズカサゴの塩焼き、昨日の煮つけの残り。煮つけの煮こごりが官能的にうまくて身もだえる。「うふ〜ん」とは言っていないから安心して欲しい。
 午前中はそのまま画像の整理。一段落ついたのが1時前。
 テレビ東京の「なんでも鑑定団」を見ながら「くさデカラーメン」という静岡限定のカップラーメンを昼ご飯とする。
 1時半になって1時間ほど撮影・画像整理。
 4時に近所の酒屋へ。悩んだあげく「玉乃光」にする。
 帰宅後画像の保存を開始。出来るだけCDに焼く。そして5時になって夕食の用意。食事をとり酒を飲んだら今日はダメダメになりそうだ。


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

NEBIDARAKE0611.jpg

 朝方2時を回って沼津を目差す。やっと発進というときに躓いてしまった。ETCカードがない。財布にもカードケースにもなく、なんとカメラのメディア入れから出てくる。そんなこんなで遅くなり、手間取って沼津インターを下りたのが4時過ぎ。しかも途中立ち寄ったコンビニで家人が静岡限定発売のカップ麺を発見して、「お土産にいくつ買おうかしら?」なんてのんびりしたことをやっている。それで魚市場到着が4時半を過ぎてしまう。

 沼津魚市場は沼津駅からの道を南下、その昔市場のあった魚町、いくつかの狩野川にかかる橋を左手に見ながらいつの間にか行き当たる。ここは伊豆半島の山懐から流れ出した狩野川の河口部にあたる。右手の細長い建物の入り口近辺から中程まで陸送(日本各地から集まってきた魚貝類)が並び、地元静岡の荷があり、焼津などのもの、伊豆七島、定置などのスペース、活け、サザエやアワビなどのカゴと水槽。そして底引き網の選別競り場、いちばん南、狩野川近くがマグロの競り場になっている。底引きの競り場に急ぐとき冷凍物を扱う場所で山田さんを見かける。挨拶をしてやっと競り場に到着した。建物の西側には埠頭、あかあかと明るいのは巻き網の水揚げが始まっているためだ。

 沼津市の太共丸、大成丸が赤えび(ツノナガチヒロエビ)の仕分けをしている。大成丸の船頭さんに
「てながえび(アカザエビ)とれてるね」
 声をかけると、
「今年はとれすぎだよ。昨日はもっとあった。ボタンも安いよ」
 よく見ると地面はエビとかさご(ユメカサゴ)で真っ赤に染まっている。そのエビの間から最初に見つけたのがキチジである。北海道の斜里や網走が産地である高級魚のキチジ(きんき)の南限に駿河湾はあたる。トゲヒラタエビ、オキナエビ、アカモンミノエビ、ミノエビ、クダヒゲエビの仲間などが大成丸さんのカゴに山盛りになっている。
「こんなの幾らにもならないよ」
 大成丸さんが嘆く。横で戸田の慈愛丸さんもうなずいている。
 これから値を上げるアンコウ(キアンコウ)やクロムツ、アカムツ、あぶらごそ(ヒウチダイ)、ごそ(ハシキンメ)がほとんど見られない。
 さて今日の底引きのエビを見るに普段貴重なボタンエビ、アカザエビがそこそこにカゴに入れられて並んでいる。甘えび(ジンケンエビ)、シマエビ(ヒカリチヒロエビ)、赤えび(ツノナガチヒロエビ)、本えび(ヒゲナガエビ)も普段通りの水揚げで、全体的に「エビの大漁」を思わせる。

NARARARA0611.jpg

エビやかさご(ユメカサゴ)の真ん中にアラがぽつんとある

 魚は5キロ近いアラ、マアナゴ、キダイ、でんでん(ワキヤハタ、ナガオオメ)、目光(アオメエソ)、ムシガレイ、ヤナギムシガレイ、ムツ、ごそ(ハシキンメ)があり、げほう(トウジン)、のどぐろ(チゴダラ)も見える。またチヒロダコ、テナガコウイカ。
 底引きはエビの豊漁に仲買や魚屋は喜び、漁師は泣くという状況のようだ。

NSERI0611.jpg


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

 昨日は不眠のまま沼津に行き、帰宅して魚の撮影をしている間にダウン。今日も朝方5時前には八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」へ昨日沼津から持ち帰った魚貝類を持っていき、特ネタにして撮影。帰宅が10時過ぎとなってそろそろ一休みしたくなった。
 それでなにはともあれ、本日の「市場寿司 たか」の沼津土産特ネタだけを挙げて休息タイムにする。
1 白川(シロアマダイ)
2 籠かき鯛(カゴカキダイ)
3 平宋太(ヒラソウダ)
4 城笠子(シロカサゴ)
5 青三島(アオミシマ)
6 真鯛(マダイ)
7 擬馬(ギマ)
8 的鯛(マトウダイ)
9 合鰤(アイブリ)

 昨日の沼津魚市場便りは後ほど。底引きに巻き網もあって面白かった。

makimakai.jpg


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

煮たて穴子の快楽

0

 昨日の朝、沼津のカラスガレイを持って「市場寿司 たか」の店内に入ると、炊飯器がカチャリと音を立てる。鍋には穴子(マアナゴ)が白く浮かんで見える。
「毎日、穴子だね」
「まあ、これで一日分、余ると投げ込み丼だから作ったらすぐなくなる」
 そこに、カワベハムのコマちゃんが店をのぞきにきた。
「おはよう。今日は沼津のカラスガレイと大分のテングダイがあるから来いよ」
 コマちゃん、知らんぷりして退場。
「たかさん、あいつ何しにきたのかな」
「まあ、すぐわかるよ」
 テングダイ、カラスガレイの握りを撮影する。
「カラスガレイってすごいな」
 たかさんが絶賛する。そしてテングダイの縁側のシコっとした味わい。カラスガレイの縁側と2つ並べると方やシコっとしてジワリと旨味と脂、そして甘味。カラスガレイはトロリと甘味が来て旨味もある。今日明日はこれを特ネタに使える。あとはハタハタの酢締め、こはだ、カンパチ、ホウボウ、マイワシ、そして穴子。
「あとはイカでも仕入れるのかな」
「いや魚も貝も足りないよ」

 そこにまたコマちゃんがまた顔を出す。たかさんはしゃり切り中。そして出汁巻き卵の用意。
「しょうゆ入れた」
「待ってろよ」
「おい店長が胡麻売ってて、従業員が困るだろ」
 と、たかさんが穴子を火から下ろす。
「あと30分くらいかな」
 そして待つこと暫し。
 またまたコマちゃんが来て、
「早く出してよ」
「あいよ」
 コマちゃんの狙いは穴子か。一本目をバットに上げ、半分にちぎってコマちゃんと味見する。
「おう、今日の飯は穴子丼にするぜ」
 コマちゃんのうれしそうな声。
 羨ましそうに見ていると、ボクの前にはまだ湯気を立てている穴子の握り。何気なく口に放り込む。トロントロンと甘い、甘いなー、ホックリと穴子と醤油の微かな香り、すし飯の方が食感としては大きい。不思議なことに穴子は口に入れた途端に溶ける。もうひとつをじっくり見ると小骨がはっきり日の光の中に浮かんで見える。でも穴子の食感はどうしても感じられないのだ。
「あれ」
「そうだろ、あれ、だろ、あっれっかな。たかさん穴子丼、昼前に一丁ね」
 コマちゃんはあっという間に消えていくのだ。まるでアリに砂糖、チンパンジーにバナナ、猫にマタタビ、たかさんにパチンコ屋、うどんに炭団みたいだ。
「あいつこれで穴子二人前はくっちまうんだ」
「おかしいな。穴子が口の中で溶けてさ。味だけがフワリと立つんだね」
「そうだね。煮あげたばかりだからね。少し置くと、ちょっと硬くなるんだけど、まだ溶けるようだよ。だから寿司屋じゃ、その日煮た穴子を『煮立て穴子』って言うわけ」
「でも毎日は無理だろ」
「いや穴子があれば作るよ」
 ぼんやり湯気の上がる穴子を見ていると、
「だめだよ。後はお客の」

秋深し 煮立て穴子を もういっかん

nitate06101.jpg

八王子の市場のことは
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
市場魚貝類図鑑へは
http://www.zukan-bouz.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

月別 アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、2006年11月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2006年10月です。

次のアーカイブは2006年12月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。