青森県や秋田県など東北で出合うものに麹を使った海産物がある。これが甘く、そして塩辛く、なかなか東北の甘く重い酒に合う。この麹をつかった海産物の漬物では秋田の三五八漬けは昨年、市内のなべ婦人にいただき。どうせなら秋田の酒をと飛良泉の山廃を合わせてやった。
そして今回来たのが青森市の田向商店が通販している『内海商店』、「鰊の切込み」である。「切込み」というのは東北では塩辛にあてた言葉であるという。でも今回のものは麹を加えている。しっかり塩味がついているので、内臓が入っていなくても塩辛なのだろうか。鰊の細切りの塩漬け。これに麹を加えて甘さとアミノ酸を膨らましたもの。これが青森県での「切込み」の定義ならそれはそれで発見だと思える。
味わいはまったり、少し甘味が感じられて塩辛い。すなわち複雑な味わいである。余韻のように旨味が後を引く。当然、肴にして合わせたいのは甘口、もしくは旨口の酒。残念ながら青森では思いつかなくて、秋田の両関の熱燗。家人はご飯にのせてもいいと話すので〆はまだ暖かい白飯にのせてみた。う〜ん、確かにご飯にも合う。
このような珍味佳肴が年々減少傾向にあるように感じる。すなわち大手食品会社が作り出す、無難な味わいばかりで土地土地の個性派がいなくなっていこうとしているのだ。『内海水産』の「鰊の切込み」も末永く作り続けて欲しいな。
青森市田向商店
http://www.tamukaisyoten.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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