源七の若だんな、アサリをむく

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 東京湾などではアサリの産卵期は春と秋に2回ある。それで春に産卵を終えたアサリが盛んにエサの浮遊有機物を食べて、身を太らせてくるのが夏なのである。だから「春は貝」というがアサリに限っては「夏も貝」なのだ。
 源七の若だんなの前、ザルにある黒っぽいアサリは船橋沖三番瀬でとれたもの。東京湾も三番瀬、木更津、富津と産地が続き、今さかんにアサリ漁が行われている。

 三番瀬でアサリの漁があると船橋っ子の若だんななどは時間を見つけてはアサリをむくのだけれど、このむき身が絶品である。市場では産地不明のアサリのむき身が袋に入れられて売っているのだが、時間が経てば経つほどに苦みが出る。だからアサリはむきたてがいい。

 剥いたばかりのを育ちすぎた梅雨三つ葉の茎と合わせてかき揚げに、醤油、味噌仕立て好みのままに汁にしてぶっかけめしに、また炊き込んで深川めしに。深川めしに二通りの作り方があり、汁かけめしというのもそう言えば「深川めし」であった。めしと言えば、アサリのむき身をゴボウ、ニンジン、油揚げなどと酢(これは好みだ)、醤油、酒、砂糖で煮て、混ぜご飯もうまいぞ。
 またまた軽く茹でて和え物や、今風ならサラダもいい。また単に茹でて生醤油・ショウガというのもうまいのだ。酒がすすむ。ついでについでにスパゲッティを茹でながら、トマトをコンカッセ(やや小振りの角切り)に切っておく、アルデンテ以上に硬めに茹で上がったばかりのスパゲッティに大量のむき身を混ぜ、少し置き、オリーブオイル、コンカッセを投入というのもうまい。アサリの柳川、みそ焼き、茹でてなめろう、グラタンもうまいぞ。
 いかん朝飯を食ったばかりなのに腹が減った。

「若だんな、うまそうだな」
「うまそうなら買ってけよ」
「だめなんだ。さっきアサリ買ったばかりだ」
「おめーはいつも間の悪いヤツだな」
 大きなお世話だ。

asarimuki.jpg

八王子魚市場内『源七』にて

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このページは、管理人が2006年6月30日 08:14に書いたブログ記事です。

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