食べる甲殻類学 異尾類タラバガニ科 転がり出てきたのはイガグリ君だった

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 深い場所を曳くトロール船のある港でときどき目にするのがイガグリガニである。我が娘はこれを見て思わず「かわい〜〜い」と叫び。底引きの船頭は「幾らにもなりゃしねー」と蹴飛ばし。沼津の甲殻類学者飯塚さんは「これはいい標本が出来そうだ」と笑みを浮かべる。そしてボクは思わず「うまそうだ」と思いながらも「いたそうだな」と躊躇する。そんな甲殻類なのだ。
「まさかこんなぬいぐるみのような生き物を食べるの? 可愛そう」なんて思うのはあまりに了見が違う。「可愛いから殺してはいけない。頭がいいからイルカを保護しろ」なんて言うグリーンピースのような陥穽に落っこちることだけは絶対にやめよう。周辺海で海産物をうまーく利用しなければならない我が国の人類であるなら「食えるもの、また殺してしまったものは食うのだ。これが宿命なのだ」。水産物をうまく利用しないと自然など保護できるわけがない。
 と言うことで要するにイガグリガニはうまいのである。料理法は蒸してもいいし、塩ゆででもいい。とにかく毬(いが すなわち栗の実に似ている)の痛さに絶えながら、それでも乏しい足の肉、甲羅の下の肉をちまちまと食う。微かだが甘味があるし、旨味というか味にコクもある。
 味がいいのはさておき「歩留まりが悪い」、「棘とげで取り扱いが大変」、「あまりとれない」の3点を持って商品価値はかなり低い。それでも水産物に興味のある、また好奇心旺盛、食の冒険が大好きな人、これは是非一度お食べてみて欲しい。

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このページは、管理人が2006年11月14日 08:31に書いたブログ記事です。

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