世に知られていない美味はまだまだあるもんだと改めて思い知らされたのがクサウオである。関東の市場では「むきどんこ」と呼ばれている。皮を剥いているので「どんな魚かわからない」となかなか魚屋さんにも受け入れられていないようだ。
これがカサゴ目クサウオ科のクサウオなのである。ボクが近所の魚屋に「クサウオという魚なんです」と教えると「臭いから“臭魚”だろ」なんて失礼なことを言ってくれるが「草色の魚」であるので「草魚」である。これは丸のままを見ると一目瞭然である。
今回原釜では地元での「みずどんこ」の食べかたさ聞いてきた。すると浜のおっかさーが
「これはね三枚におろすだっぺ。そうして生のまま切るの。それを大根おろしで食べるの」
これに回りのおっかさ、びっくらこくほど美人の娘さーが「うんだ、うんだ」とうなずいているのだ。
「後ね。これにポン酢かけて食うのがうまいんだっぺ」
ポン酢は某メーカーの●ぽんがいいとか「ちがうべさ」、昆布の入ったのがいいとか言うが「市販のもので充分だ」と言うことだ。その浜の女たちのほっぺが輝くほどつやつやして柔らかそう。どうも「むずどんこさ、食べてるからこうなるんだっぺ」というのは本当らしい。
「後はね。干物にするとか、煮付けもいいだっぺ」
「そうだ卵もね。醤油漬けにするとうまいんだ」
これを原釜八巻水産(ヤ印)に分けてもらいことごとく試してみたが、すべて絶品であった。うまいぞクサウオ。
市場魚貝類図鑑のクサウオへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/kusauo/kusauo.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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