築地フレッシュ丸都

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 先日金曜日の朝方のことである。築地「大都魚類」藤井恵次さんに最近のサケ類の市場での動向をいろいろ教わっていた。それが予想以上の養殖魚の増加や国産サケの消費低迷という悲しい現状がありでかなり興味津々であったのだ。
 そんなときケータイがなる。ちょうど藤井さんにも用事があり、そのケータイの呼び出し音に話を打ち切った。相手は築地市場の怪人尻高鰤さんであった。
「あの。晴海通りに出るよね………。勝鬨橋を渡って………」
 それはボクに対する秘密の指令であった。
 言われた通りに都バスを降りると、そこに尻高鰤さんが待ちかまえていた。そしてとある殺風景なビルに連れ込まれたのである。まるで「太陽に吠えろ」で山さんが軟禁されたような不気味なビルである。そのビルの通路がまことに狭い。また各所に秘密の部屋があり、その一つでは美女軍団がなにやらセロファンに包んでいる。まさか「ヤク(薬)」?
 そんなビルのいちばん奥にある殺風景な部屋に連れ込まれると、そこにはまことに厳つい男たちが居並んでいた。そして出されたのがキンメダイのお頭の一夜干しだ。なんだ犯罪とは関係ないのか? 少々がっかりしたが目の前の焼いた一夜干しがいい匂いである。でもそこに罠が?

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 うまそうなので手に取ると「アチチチチ」と火傷したのだ。これはボクの自己責任かもしれないが一言「熱いよ」くらい言って欲しかった。
 でもこれがうまい。やめられないほどにうまくて手がベトベトになって困っていたら、すーっとペーパータオルが来た。偉い!
「これなんだっけ(固有名詞が出てこなくなったら老人だ)、ええと、なんだっけな」
 尻高鰤さんが困っていると、やけに濃厚な顔つきの首謀者とおぼしきオヤジが
「伊豆稲取のキンメ」
 そうか、これはうまいはずである。
「これ昨日はいったのかな、漬け魚の原料、キンメがあまりにいいんで頭を干したんだ」
 なんだかこの厳つすぎるオヤジ達がいい人に見えてきた。
 その上、またまたこんどは西京漬けが2切れ来た。
「メロです。これはまだ味噌が入っていない(漬かっていない)かもな。味噌の味はいいでしょ」

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 本当にみその味わいがすこぶるつきにいい。一箸つけると止まらなくなる。味噌の味は気温や魚の状況でいろいろ変えているという。よくこの厳つすぎる男たちを見ていると、どこからか中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」が聞こえてくる。そのひとりひとりが魚に関しては凄腕のプロたちだったのだ。
 うまいうまいとベロリと2切れ食べてしまうと男たちは消えてしまった。忙しいのだろうか? これ2切れだけじゃ嫌だな。お土産も欲しい。
 見知らぬビルの細い通路を抜けて重いビニールのカーテンをあけると、さっき美女たちのいた部屋に出た。そしてその美しい女性たちはよく見るとただのオバサンだった。でも詰め合わせているのはギンダラの西京漬けである。

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「ここはね、全部手作りなのよ」
 なんて色っぽく教えてくれる。
 やっぱりなんとかお土産はもらえないだろうか? また廊下に出るとなにやら箱につめて包装の最中。

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「まあ、お土産ですから食べてみてください」
 やった! これがなくちゃ世の中味気ない。

 この「築地フレッシュ丸都」のことを尻高鰤さんにもういちど聞いてみると、やはり従業員の方はみな魚に関してはプロばかり。味付けのプロも何人かいて、水産加工品作りに関して侃々諤々の話し合い、試行錯誤をしているらしい。その甲斐あってというのは失礼だが「ものすごーうみゃー」のであるこの西京漬けが。そしてこれは都内でなら簡単に手にはいるという。とすると東京名物のひとつとでも言えるかも?

築地フレッシュ丸都
http://www.ginmi-maruto.com/


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このページは、管理人が2007年2月 3日 16:46に書いたブログ記事です。

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