戸田トロール滋愛丸賄い料理02 煮つけ

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 戸田沼津の旅の「ありがとう」の二つ目。
 朝ご飯がうまいので、急に元気が出てきた。不思議なことに揺れる船の上を軽やかに動けるようになった。だから網上げとともに選別の手伝いだってできる。船室へ、胴へ、また艫(船の後ろ側)へと船員の佐藤さん達とともに素早く、そして頻繁に行き来する。そして太陽は頭上にある。「もう昼時かな」なんて期待していると佐藤吉信さんが船室に消えるのだ。
 それにのこのこついていって船室をのぞくと、驚いたことにもう鍋が吹いている。そして甘辛い香りがぷーーーーんと来た。
「煮つけですよね」
「そうだ。朝はみそ汁、昼は煮つけということだら」
 不覚にも腹の虫がぎゅううううう、と長い鳴き声を上げる。

 そしてこの間に4回目の網揚げが行われる。佐藤さんはガス台の火をとめて、艫に走る。早く昼ご飯が食べたいのでボクもせっせと働くのだ。

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 そして待ちに待った昼ご飯。

 出てきたのは朝ご飯と同じスタイル。
「毎日、おんなじでも全然あきない。どうしてかって言うととれたてのカサゴだら、それをいきなり鍋に放り込む。これはね陸に上がって同じように作っても、まずいね」
 佐藤正次さんがいきなり赤えび(ツノナガチヒロエビ)の頭にかぶりついている。ちゅうちゅう吸っているのは濃厚なミソである。身はほろほろと甘く、そこに濃厚なミソの味わい。これが白いご飯にもあうから面白い。
「ミソがねうまいだら」

 ツノナガチヒロエビの煮つけがこれほどうまいものだとは思わなかった。どうしても生に近い霜降りなどで食べていたのが、どうやら失敗であったようだ。戸田でも煮つけがいちばんよく作られるという。
 白いご飯に煮汁をかけ回して、最後の一粒まで食い尽くす。
 満足至極でポカポカと暖かい胴の間でぼんやりしていると、残った煮つけに熱湯をそそいで佐藤吉信さんが持ってきてくれる。船足が速くなって5回目の網上げが始まっている。
「まあゆっきり飲んでいていい」
 吉信さんが目尻にシワを寄せて笑うのに甘えて、じっくりカサゴやエビの滋味を堪能した。

滋愛荘 静岡県沼津市戸田270-3 電話0558-94-2643


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このページは、管理人が2007年4月14日 19:50に書いたブログ記事です。

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