埼玉県というのは広大な土地、そして膨大な人口を誇る。当然築地に匹敵する卸売市場があってもいいはずで、期待を込めて調べてみたのである。すると水産に関する限り、卸売市場はさいたま市大宮と川越の2カ所しか見あたらず、どちらも規模からするとたいしたことはないらしい。
蛇の道は蛇とは言うけれど、市場人には各地の市場に精通する人が多い。そこで「川越の市場を知っている人はいますか?」と八王子各市場で問うと、思った以上にたくさんの情報が舞い込んできた。まずは漬物屋である八王子総合卸売協同組合「十一屋ジャパン」は川越に店を出している。マグロの「カネトモ」は八王子綜合卸売センターを閉店して川越に統合したばかり。
その話をまとめると、
情報1/規模は小さいけど、競り場がある。「魚屋」はがんばっているよ。
情報2/青果市場と併設している。
情報3/一般人でも入場しやすい。気軽な市場となっている。
情報4/市場内の飲食店はまずい。
情報5/八王子から45分で着く。
ということになる。
それで国道16号を北上して多摩川を渡ったのが6時半過ぎのこと。ここまではスイスイ。立川からの道にぶつかり左折。ビックリしたのは曲がった途端に大渋滞であったこと。このほんの数キロを30分近く費やして、右折。ここから青梅線を超えるまでがまたまた渋滞中なのである。
イライラしながら聞くラジオからは社会保険庁とコムスンのことが流れてきている。しかし文化人という人たちは「どうして天下り役人が信じられない給料と退職金をもらえるのか?」、「この怪しい仕組みを誰が作ったのか?」、「国の権限で各法人(この団体はどうやってお金を得ているのだろう? なんのためにあるんだろうね)の給料や退職金を非常に低く抑えることは出来ないのか?」に言及しないのか。今のこの瞬間にも無駄金がたくさん無駄に支払われているに違いない。きっとその根本的な疑問を投げかけるというのに文化人や政治経済の評論家は人生の赤信号を感じるんだろうね。この責任は自民党や旧社会党にある。とにかく過去の社会保険庁長官は人でなしだ。最低の人類だ。カエルツボカビ病にでもなってしまえ! と渋滞にいらつきながら思う。
福生の米軍基地周辺までくると道路はすいていて、飛行場の上には青空が広がっている。つかの間の快適なドライブで入間まで来て、時刻は7時を回る。「なんとか7時半には市場に着けそうだ」と思ったのが甘い。狭山市に入ると16号線は突然2車線に狭まり、またまた渋滞に陥ってしまったのだ。左右を見ると、ここらあたりは道路拡張の最中であるらしい。
「大袋新田の交差点を左に曲がるんです」というのは「十一屋ジャパン」の若だんな。「あのなよく聞けよ。右手にロッテの工場があってその先を右だぞ」とは「カネトモ」の琴矢さん。その大袋新田もロッテの工場もぜんぜん見えてこない。道が4車線となり、やっと大きな工場、大袋新田交差点を見つけたときすでに8時となってしまっている。
左に曲がると左右に人家はまばら、やがて田園地帯となり、左手に森が見える。この緑の中に市場の標識があって左折、ほどなく市場の駐車場になる。
さてここで川越綜合地方卸売市場に「川越」とはあっても、この大袋新田は「藏の街川越」とはまったく別の場所だというのを書いておきたい。川越市に属しているものの大袋新田は狭山市に近く、たぶん古くは一面の田園地帯であったはず。16号沿線には大規模店舗や工場が並び、入間川に向かうと今でも田畑や森がある。埼玉県の田舎町の典型を見るような、なにもない地域でしかない。
市場の建物の前、広大な駐車場に陽炎が立っている。クルマを止めたのが8時5分、コンクリートが強い日差しに熱気を跳ね返している。非常に暑い。
まずは建物を撮影する。しかしこの建物のなんと無機質なことか。どう考えたらこのような気持ちの悪い形や色合いとなるのか? 近年の市場建築での設計のあり方に疑問符をいっぱい投げつけたい。もっと外観にも内部構造にも工夫は出来ないのだろうか? この小規模な地方市場の建物にも豊洲市場の未来図を見てしまう。築地がこんな不気味な建物に変造するのは耐え難いと思うし、また現築地市場建築の美しさを改めて思い知るのだ。
真夏のような日差しから建物のなかに逃げ込むとひんやりと気持ちがいい。とりあえず飛び込んだのは青果仲卸の区域であるらしい。
埼玉川越総合地方卸売市場 川越市大袋650
http://www.kawashijyo.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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改訂記
コムスン、どこが引き受けるんですかね。