関連棟は水産棟から駐車場を挟んで建つ。細長い建物で長さは100メートル以上ありそうだ。とりあえず無手勝流にいちばん端っこから見て歩く。
入ってすぐに目に飛び込んできたのが『ハセイ』というかまぼこ屋さん。徳島ではこのような店のことを「てんぷら屋」とか「ちっくぁ屋」とか呼ぶのだが、岡山では「かまぼこ屋」でいいようだ。ここには実に多彩な練り製品が並んでいる。どれも魅力的だ。少しずつでも買えるというので、へっぽこトリオはあれもこれもと買い込んだ。
特にヒモマキさんの買った玉ねぎのさつま揚げをその場で食べたら、これがうまい。ボクが買ったのが「うす板」「特板」「赤板」。考えてみると我が徳島県では「かまぼこ」という言葉がなかったとまでは言わないが、ほとんど使わなかった。所謂「かまぼこ」は「板つけ」と呼んでいたのだ。岡山でも「板」がつくのだなと、懐かしくなる。ついでにこれも彩りの懐かしい丸い平たい紅ショウガなどがちりばめられた天ぷらに、なにも入っていないヤツ。この練り製品を持ち帰って食べたのだがいい味だった。
長谷井商店 市場支店のかた達は親切だった
徳島県人にも懐かしい色合い、味の天ぷら。このハデさというのは西日本ならではのもの
ハセイ
http://www.hasei.co.jp/frame.html
関連棟はまるで巨大なハーモニカのような造りになっている。長い建物にはいくつもの入り口があり、その奥、建物に沿って長い長い通路が続く。
その長い通路の端に『岡山淡水魚介』という店を見つけた。ここではウナギや穴子を割いて焼いている。ウナギも穴子も頭つき腹開きで、ウナギは蒸しをかけない。ウナギの西と東の割き方の違いがアナゴにも及ぶことは気がついていたはずだが、実際に見ると感慨深い。ここでウナギかアナゴを一本食べてみたかったが、どうやら大変そうなので諦める。
これはウナギ。この頭の部分を「半助」なんて出汁などに使う
この焼き穴子は市場内はもとより岡山のスーパーなどにもあった。
関連棟はシャッターを下ろしている店が多い。これは明らかに土曜日のせいである。たぶん平日ならもっと何倍も賑やかであろう。
飲食店の数が多い。これではどこで食べればいいのかまったく見当がつかない。寿司を製造するメーカー、漬物屋も目につく。
中ほどに豆腐屋があり、岡山本来の豆腐の形を聞いてみる。すると真四角であろうと思っていたのがくつがえり、やや長方形、そして背の高い形なのだという。
「そこにありますよね。もめんのパック、それが昔からの豆腐じゃなー」というのを見ると確かに真四角ではなく長方形。とすると油揚げの形も「真四角ではない?」と思ったらこちらは真四角なのだという。ちなみに四国徳島では豆腐も油揚げも真四角。そのために「きつねずし(関東でのいなりずし)」の形も真四角を半分に切った形の三角形。
これが岡山県本来の豆腐の形?
関連棟で「きつねずし」を探すと、間違いなく三角形のものがお菓子や弁当を置く店で見つかる。
真四角の油揚げを対角線で切り、甘いすし飯を詰め込むので三角形となる
きんのり丸さんと岡山の海苔屋を見たいなと探したが、専門店は見つからない。やっと乾物、調味料、瓶詰の加工品などともに売られているのを見つけた。ここにある海苔の産地は兵庫県だという。店にあった西日本にしかない海苔の佃煮「アラ」をヒモマキバイさんにすすめる。これは桃屋の「江戸むらさき」よりも甘口で海苔の香りが強い。この店にはもっと懐かしい「磯じまん」もあった。「一箱単位でしか売れまへん」と言われて泣く泣く断念。
磯じまん
http://www.isojiman.co.jp/index.html
関連棟の長い通路を歩くのがだんだん辛くなってきた。前日の忙しさのまま徹夜で高速を飛ばして、競りを、また仲卸を見て回る。その果ての関連棟だが、立ち止まり目を閉じるとクラクラ体が揺れているのがわかる。さて、ここで一休みして、ついでに腹の虫をなだめることにする。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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『市場寿司 たか』の限定「豪海ぶつぶつ丼」値段は????
私の買った「アラ!」、なぜか家に着いたら無かったんですが、いったいどこに...
ヒモマキバイさん、やっぱりクルマの中には「アラ」がない。どこへ行ったんだろう?