活けスルを仕込んでいた『市場寿司 たか』、渡辺隆之さんが、「あらよ!」と軽く湯がいたゲソを握ってくれた。あとは耳との二かん。これが絶品というか官能的な旨さだ。
この美しいお身足(ゲソ)に興奮するひとも多いだろうなー。あるいはこの握りを見てふと恋人と会いたくなるとか、独り身が切なくなるとか、どこかしら心の中がざわついてくる。
そして食べたらもっと、もっと、心の中のざわめきが大きくなるのである。きっとこんな握り二かんのために寂しいオヤジはやるせなくて死んでしまうかも知れない。しかも急に秋めいてきている。遠くで聞こえるのは「美しい水車小屋の娘」の旋律、ビオロンの音だろうか? 「寂しいな」、五十路オヤジには夢も恋もないのだ。
せめてあと3,4かんゲソと耳を握ってくれたら五十路オヤジは救われるのになー。
「おーい、たかさん、ゲソを追加」
「ダメ……」。
『市場寿司 たか』
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