福岡など九州北部ではブリの若魚のことを「ヤズ」と呼ぶ。関西では「ハマチ」、関東では「いなだ」のブリの若魚である。が最近は「ヤズ」だったら九州ものだろうとわかる仲買も少なくなっていないだろうか? 最低限八王子ではその感を強くしている。
産地表示や魚名のことで標準和名での流通が叫ばれているが、実を言うとボクは大反対である。標準和名は最低限でいい。例えば、アマダイと言うよりも「ぐじ」だろうし、別に千葉県産のケンサキイカが「赤いか」と呼ばれてもいいではないか。
国産魚に関する限り地方名を大いに尊重して標準和名を排除すべし。そこに登場して頂きたいのがプロの方達なのだ。例えば、ボクが思うのは仲買というのは掛けかえのない職種だと思っている。この魚を選んで仕入れて、卸売りをする人たちに、この「ヤズ」を理解するようなプロが多いのだと思う。またその前段階にいる荷受けもかくあるべし。
そんな玄人の世界があるからこそ、食文化が深くて、奥行きがあるのである。近年、この食文化の玄妙さ、奥深さの大切なことがわからぬ人が多すぎる。そんな唐変木が安易に豊海移転だなんて短絡的なことを言い始めるのだ。例えば築地には底知れぬ食文化の深淵がある。それを壊してはならない。それと同次元で魚貝類の地方名もなくしてはならないのである。
まさかと思うけど京都で「ぐじ」がアマダイになったら最低だろう。また関東で「赤いか」がケンサキイカというのも変だ。例えば関西では「ぐれ」であってメジナであっていいはずがない。
さてさてたくさんの「ヤズ」を前にしてブリの若魚の低価格を寂しいな、と思う。これは今時の大バカ野郎の必要以上のグルメ嗜好と、魚貝類のような自然界にあるものに、工業製品に求めるべき画一性を要求する唐変木が増えているからだ。「おい唐変木ども、もっと深みのわかる大人になりなー」。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ブリへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/buri/buri.html
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小売でも地方名で出しても良いと思いますね。例えば
ビンタ 室戸沖(標準和名 キハダマグロ)
ネイリ 土佐清水沖(標準和名 カンパチ)
ハナダイ 鳴門(標準和名 チダイ)
みたいに。
標準和名での流通を云々といっても,そもそも標準和名より地方名が名の通っている
メヒカリみたいなのはどうするんでしょうね?
まあチダイに「マダイ」として売っている店があるくらいだから望むべくもないのかなあ?
個人的には地方名の方が美味しそうに感じます。
例えばアカムツ、クロダイ、メダイよりもノドグロ、チヌ、ダルマの方が美味しそうです(慣れもあるでしょうが)
ただ、イカは一口に真イカ、白いか、赤いかと言っても地域によって違うので標準和名を併記した方がよいでしょうね。
また、以前問題になったように、マゼランアイナメをアマダイ、シルバーワレフを沖ブリといったように輸入魚を国産漁のように標記するという問題もありますし。
現状では、併記するしかないのではないでしょうか(あまり徹底されていないようですが)
神在月さん、確かに良識というものも必要かも? でも市場の流通はどこか不可思議さが欲しいな。島根県からタイワンガザミが来るときにはぜひとも「青手」として欲しいものです。
あ2さん、ボクも地方名の方がうまいように思えるひとりです。それと確かに「チダイ」をマダイはありますね。値段的には安いでしょうから赦せるけど。