さて市場で意外に目立つのもに「白貝」というのがある。まっしろの漆喰のような貝殻の二枚貝である。主に北海道からの入荷が多く、「北帰貝(ウバガイ)漁」に混ざってとれる。
これを一種類だと思っている人が多い。
よく見てみると形から2つに分かれることはすぐにわかってもらえるだろう。ところがよくよく見ると3種類なのである。まずはむしろ三角形というか方形に近いのがサラガイ。楕円形でサラガイよりも大きいのがアラスジサラガイとベニザラガイである。
この楕円形2種の見分け方が難しい。北海道白糠郡白老町の「宮森水産」から八王子綜合卸売協同組合『マル幸』に入荷してきていたのはベニザラガイ。表面に同心円的にある筋(成長肋)が均質であり、貝殻を開けると裏側がマゼンタ一色に近い。対するにアラスジサラガイは表面の筋が均質ではなく太い細いがあり、開けると赤藍色である。
とにかく「白貝」では楕円形が大きくなり、方形に近いものは小振りだ。そのため「宮森水産」でも「サラガイ=小」、「アラスジサラガイ・ベニザラガイ=大」と分けているようだ。
ボクとしては「大きいことはいいことだ」と思っているので楕円を歓迎している。
これは白貝全般に言えることだが、酒蒸しにしても刺身にしてもクセのない素直な貝の甘味を楽しめる、優等生じみたところがある。だから寿司職人からすると「青柳と比べると落ちるね」となる。微かな渋みとアクのあるバカガイと比べると味わいというか寿司飯にのせて曲がないということだ。
でもでも優等生の味わいは、それはそれなりに素直に楽しむべきだろう。値段の安さからしても我が家の食卓への登場回数の多い貝となっている。
刺身、酒蒸し(ワイン蒸し)、そしてもっともよく作るのがムニエルである。
このムニエルは簡単至極な料理だ。
まずは貝殻の片方を外す。砂を噛んでいたら身を完全に外して砂を洗い落とす。大丈夫だったら取り去らない方の貝殻に着いた貝柱を3分の2ほど切り離して、塩コショウ。
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今回は砂を噛んでいなかったので、着いている貝柱を三分の一ほど切り離しておく。こうすると食べやすい
小麦粉にとんとんとたたきつけて、あとは強火で(グラッセ)ソテーし。表面に焦げ目がついたら、貝を取りだして白ワインとバターでデグラッセ。
これをムニエルのソースにする。クールブイヨンや野菜のコンカッセがあるといいのだけれど、まあ家庭料理なので簡単に。ガルニチュールもほとんどなしと言うことですな。
私、ワインは素直にシャブリが好き。当然、こんな料理には冷え冷えのシャブリが欲しいな!
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
サラガイ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/saragai.html
ベニザラガイ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/nikkougai/benizaragai.html
アラスジサラガイ
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