2007年12月13日アーカイブ

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 ボクは名前に「郎」がつくのが大好きだ。息子も「太郎」だし猫も「松太郎」、乗っているクルマも「次郎」という名にした。だから食べ物でも「太郎」はいいのである。ということでヨシダシーフーズの干物に「木枯し太郎」を見つけて“買わずにいられない”ほどの衝動を感じた。

 どうやらこれは南下し始めたサンマの脂が少ないものを選んで、食べられない頭を取り去り、やや干し加減に仕上げたものらしい。これを見て思い出すのが千葉県、伊豆半島、紀州(三重県、和歌山県)などで作られるサンマの丸干しである。南下してきた脂のないものを、秋風に強く干し上げる。独特の渋みというか熟成された旨さが楽しめる晩秋から初冬にかけての風物詩といった代物。これよりは脂があるようで、「木枯し太郎」は軟らかく、塩が強くない。

 ヨシダシーフーズには「サンマの酒香干し」というのがある。脂ののったサンマに酒の風味が加わったものでサンマの干物としてはもっとも優れたものである。そこにあるのは脂と酒がもたらすまろやかな味わい。それからすると「木枯し太郎」はより脂の少ないサンマを選んで作っているようで、さっぱりしている。焼きながら食うと、止まらなくなりそうな味わいといった方がわかりやすいのだろうか。

 ボクはこの干物に「木枯し太郎」という名をつけた理由がしみじみわかる。これは気仙沼に木枯らしの吹く頃に作る、といった意味合いもあるだろうけど、「からっと木枯らしのような味がする」からに違いない。

ヨシダシーフーズ 宮城県気仙沼市東みなと町
http://www.sakaboshi.com/


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 広島県倉橋島の日美丸さんからの荷物には小振りのクロアナゴも入っていた。小振りといっても、大振りのマアナゴくらいはある。
 これをどうしようと思案しながら開き、その脂がありそうな真っ白な身を見ている間にハモのように「ちり鍋」にしてみようと思い立った。それでこの日、夕食の主菜は「クロアナゴのちり」となる。

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 クロアナゴもこれくらいの大きさなら骨も細く軟らかい。骨切りするに、ハモよりもむしろ手応えは弱いくらいに、包丁が身に沈み込む。これを熱湯に放り込み、花びらのように開かせて、冷水にとる。味見すると、思った通り、脂がのっていて、口の中でホロリと崩れる。

 当日は塩焼きも食べてみたかったので、鍋材料としては寂しい。だから白に白を足す形で「すけ白(すけしら スケトウダラの白子)」を助っ人にして、芹、タモギタケ、他いろいろ。
 クロアナゴというと大きなものばかりに当たってきたので、いつも悪戦苦闘していた。それがこのサイズならハモに負けず劣らず美味だ。これは最近の一大発見である。

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 鍋の後に焼いた塩焼きもうまいものであった。雑炊に満腹となった家族を尻目に酒の肴としてゆっくり味わって食べることが出来たのも幸いした。やはり「酒はしずかに飲むべかりけれ」だな。

広島県倉橋島『日美丸』へ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、クロアナゴへ
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