島根県に「へか焼き」、「いり焼き」というものがあるというのは何度も書いてきた。ともに起源は農耕での鋤を調理道具にして肉や魚貝類を焼くことからきている。すなわちまさに「すき焼き」である。
これを調べていくと、島根県出雲地方、岩見地方では「へか焼き」、益田など西部では「いり焼き」と呼ばれているようだ。
ともに料理法は同じ、ただし現在では魚貝類を使うときにこう呼ばれているらしい。この「へか焼き」がどのようなものかネットや県の方達といろいろ調べてみたが、どれもあまりに洗練されすぎて、本来のよさを大幅に失ってしまっているようだ。料理として確立する方向性が間違っているのだ。
それでボクが理想とする「へか焼き」の形を示す。
まずは材料だが魚貝類ならなんでもいい。ただし背の青い魚の方がうまいように思う。理想としてはサバ、サワラ、ブリ。ちょっと落ちるがカワハギ、フグ、アカムツ(のどくろ)でもいいし、要するに、あるものなら何でもいい。
我が家で今回作ったのは「わらさ(ブリの4キロ弱のもの)。これをまずは刺身にする。そして粗は湯通し。野菜はたっぷり。
「わらさ」は鍋が沸いてくるまでは刺身で食べる。すなわち刺身と鍋を両立させるのだ。すき焼きの地だから酒、醤油、砂糖などでやや濃いめの甘辛い味。
最初に放り込むのは粗で、そこに野菜。刺身が食べ飽きたら、刺身をしゃぶしゃぶしながら食べる。
鍋物と刺身を同時進行すると、楽しみが二倍以上になる。いちばん理想なのは、そのときイカだとか、カキだとかカワハギだとか、雑魚だとか多種類の魚貝類を用意して、好みの時間すき焼き地のなかで泳がせて食べる。当然、総て刺身として用意しているわけだから、生のままがいいなら、それを通せばいい。
この楽しみの多い、豊かさを感じる鍋をボクの理想の「へか焼き」だとしたい。いかがだろう? 魚好きの方々、刺身と魚すきを同時にやって見て欲しい。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ブリへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/buri/buri.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
「サバのすき焼き」という形で出すお店は増えてきています。
http://oisi-nandarone.seesaa.net/article/89100933.html
お店のコンセプトに合わせて色々なのが出てくるのは悪くないと思います。
「へか焼き」はぼうずコンニャクさんの形が現地(大田地区)での理想型だと思います。
時代背景からすると自家製魚醤を入れるのが最終形かもしれません。