関東などにもよく来る白貝(シロガイ)とは、やや北方系のニッコウガイ科二枚貝で、1種類ではなくサラガイ、アラスジサラガイ、ベニザラガイの三種類の総称なのである。
北海道などではホッキガイ(ウバガイ)漁の副産物だ。
副産物だからだろうか? 味がいいのに安い。
「どうして安いんだろうね」
知り合いのすし職人に聞くと、
「味に個性がないからだろ」
そうなのだ青柳(バカガイ)には青柳ならではの、渋みというか個性がある。
白貝を刺身で食べると、クセがなく食べやすいのだけど、どこか物足りない、のである。
白貝は生で食べるよりも焼いたり、ソテーしたり、汁にしたりがいい。
ここに登場するのがタジン鍋である。
もともと北アフリカのモロッコのもの。
水が貴重な風土で少量の水分で調理できるように、形が特化してとんがり帽子のようになっている。
これは素材から上がった蒸気が熱源から遠い先のトンガリ部分で冷やされて水になり、底の素材にもどるようになっている。
要するに少ない水分で蒸し物が出来ることになる。
しかもタジン鍋のいいところは、このまま食卓に出せてしまうこと。
肝心のタジン鍋はどこで手に入るのかというと、最近はどこでも売っている。
我が家には2個タジン鍋があって、その1個は2千円以下で近所のホームセンターで買い求めた。
もう一個は小振りのものが欲しかったので駅前のイトーヨーカドーで買ったもので、小さいのにこちらの方が高くて2400円だった。
どっちにしろそんなに高くない。
どこにでも売っているので、1つくらいは買った方がいい。
さて、サラガイが安い。
キロあたり600円しかしない。
これを6つ買い、百円玉3つでおつりがきた。
そして冷蔵庫をのぞき白菜、ニンジン、三つ葉があったので、後は簡単。
野菜に貝をのせて火にかけるだけ。
島根県奥出雲町、森田醤油のぽん酢をつけつけ食べる。
生で食べると平凡なのに、ほどよく蒸し上げると、甘みがあって貝らしい風味が浮き上がる。
下に敷いた、野菜にはたっぷりとサラガイのエキスが落ちて、これがまた絶品なのだ。
たっぷりの野菜がとれるし、酒の肴としても佳いのであるから、まことに目出度い。
夏バテ気味なので日本酒は重い。
メーカーズ・マークのハイボールを作ってぼんやりとiPadでネットニュースをのぞく。
「へー、梨元勝が死んだのか」
材料
サラガイ6個、白菜、ニンジン、三つ葉適宜
酒80㏄、ポン酢、七味唐辛子
作り方
1 サラガイは厚みのない方の貝殻を外し、片方の貝柱を切り、流水で砂を洗いながす。ニンジンは千切り、後の野菜は食べやすい大きさに切る。
サラガイは片方の貝殻を取り、残った貝殻の2個ある貝柱の一個を切り、砂などを流水で洗い流す。サラガイはよく砂を噛んでいる。
2 タジン鍋に野菜を敷き、サラガイを並べ、酒を振りかける。
3 最初は中火、蓋の鍋から蒸気が出てきたら弱火にして3分。5分ほどそのままにして食卓でタジンの蓋を取る。ポン酢、七味唐辛子で食べる。
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