深夜雨、しとしと降るなかを駐車場に下りる。午前1時過ぎ、国道129号線は思った以上にクルマが走る。TBSで選挙特番。ぼんやり聞いていて、小泉政権が右傾化を押し出してきたり、靖国参拝、また憲法第9条を改正するなんてことはないだろうな? と心細く思う。今、東京都では少しずつ右傾化が進んでいてそれにはしゃいでいる愚かな鬼がいる。
雨は秦野中井を過ぎて止む。沼津魚市場には午前3時に到着。そこには5月以来の底引きの選別作業が始まっている。その量たるや凄まじい。そして到着したのが大成丸の鈴木尚光さん。
「久しぶりだね。解禁の日にこんなにエビがとれるなんて久しぶりだ」
と彼の回りのバケツには赤えび(ツノナガチヒロエビ)、本えび(ヒカリチヒロエビ)、甘えび(ジンケンエビ)、アカザエビが見える。そして喉黒(のどくろ ユメカサゴ)にソコアマダイ。
後から戸田の船が到着してきて競り場は満杯状態になる。
競り場に並ぶのは売れ筋のエビや魚ばかりで珍しいものが見あたらない。仕方なく活けを見て、伊豆七島回りの場所を見るがこちらも寂しい。第二売り場に来ると手頃なツムブリがあり、これを山丁・菊貞 菊地利雄さんに確保してもらった。
ヨロイイタチウオ(ひげだら)で3キロオーバーはすごい。
岸壁では巻き網の水揚げが始まる。もう時計は5時を過ぎている。その選別の足元に体長も尾の長さもともに1メートルほどのオナガザメがころがっている。これは競りにかけられて、きっと練り物にでもなるのだろう。
底引きの競り場には赤えび(ツノナガチヒロエビ)、喉黒(のどくろ ユメカサゴ)、ごそ(ハシキンメ)の濃い赤、ジンケンエビの桃色、そしてクロムツやアラ、アオメエソにニギス、ギスもある。キアンコウは思ったよりも少なく、またチヒロダコも本の数箱しか見あたらない。
底引きの向こうでは巻き網の水揚げが始まっている
この選別したカゴがとても並びきらない。
午後7時近くになって底引きの競りがはじめる。このすぐ岸壁側では、しらすの水揚げ競りもはじまり、両方を競る仲買の方が走る。佐政水産の青木さんも激しく動き回っていて、今日はどれほど競り落としたものか。
今回、思ったよりも、しらすが水揚げされていた。仲買さんは底引きに、巻き網に、マグロに走る走る。
8時前にあまりの空腹に前に菊地利雄さんに教えてもらった『魚河岸 にし与』で朝定食をかき込む。ムツの煮つけ、とりささみのフライ、ポテトサラダ、お新香、塩昆布、シジミのみそ汁と大盛り加減のご飯で800円はまことに安い。そのまま市場を散策して地元の納豆を見つけて買う。この地納豆を買うのが旅の楽しみのひとつ。
食事から帰ると8時半。市場の19番の柱に行くと忙しそうに菊地利雄さんが動き回っている。駐車場までクルマを取りに行くと菊地さんのご両親に会う。大正5年、4年生まれであるということだが、とてもそのお年には見えない。こんどイルカの煮方や、沼津の昔話を聞かなくては。
山丁 菊貞・菊地利雄さん。今回は目を開けた画像がとれた。
確保してくれたジンケンエビ(甘えび)、ツムブリ、キビレカワハギを受け取り、今度は佐政水産へ。ここで青木さんかた赤えび(ツノナガチヒロエビ)を受け取る。
帰途についたのが9時過ぎ。
市場から沼津駅に向かう道路沿いにあんぱん専門店を見つける。暖簾に「あんぱん」の文字が揺れて、見上げると木の板に「恵比」とある。中に入ると小振りの丸いパンがあり、中のあんの種類が8種類で総て100円。全種とこしあん、小倉あんを2つ買い、計10個をお土産にする。
帰路の東名はガラガラ、帰宅は正午。画像の整理をして、1時間仮眠。3時前に八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか』へ。ツムブリ、キビレカワハギ、ジンケンエビ、ツノナガチヒロエビの握りを撮影。
帰宅は4時半。また眠くなって起きたのが6時。部屋が薄暗くなっている。
夕食は、ツノナガチヒロエビの天ぷらとあり合わせのもので済ませる。なにもする気力がなく、やっと画像整理だけは終わらせる。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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