走りの白魚は冬の季語

0

『新版 俳句歳時記 春の部』(角川書店)に白魚はある。とすると白魚の季語は春となる。さて、この白魚がスズキ目ハゼ亜目ハゼ科、これはちと面倒くさい表現だが、ハゼの仲間のシロウオならすんなり春だがサケ目シラウオ科のシラウオならばそうはいかない。この見極めが難しいのだ。
 角川の季語事典、中村草田男の「白魚汲み乙女の白き膝の皿」が上げられていてこれは明らかにシロウオ。加倉井秋を「白魚船恥じらえる帆を孕ましぬ」はシラウオであるように感じる。このように長年混同されてきたシロウオ(素魚)とシラウオ(白魚)はしっかり分けるべきである。
 現在の市場で見る限り走りのシロウオでも入荷は2月から。旧暦でも1月である。すなわち季語は当然春となる。反してシラウオの入荷は年末から盛んとなっていて、これは春にもあるが「走り」を冠にして季語は冬だろう。
 厳寒に、いまでは益々暖房を効かせて熱燗をやると頬が火照るようである。そこに柚の香を聞かせたシラウオ、辛子酢みそを脇に置けば、外の雪を見ながら感極まれる肴となる。春未だ遠しで、冬ごもりに冷たいシラウオがうまい。

白魚に名残の柚をきかせたり(秋野まさし)

sirauo.jpg

市場魚貝類図鑑のシラウオ
http://www.zukan-bouz.com/kyuriuo/sirauo.html


このエントリーをはてなブックマークに追加

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

トラックバック(2)

トラックバックURL: http://blog.zukan-bouz.com/mt-app/mt/mt-tb.cgi/332

お魚奮闘記〜新鮮な鮮魚情報  中央市場発! - 冬が旬の魚、鰤ですがいつまでが旬かご存知? (2006年1月23日 16:25)

魚情報盛りだくさんですね。魚選びの事ならお任せ下さい。 続きを読む

「今日も冷たい雨が降る(索引)」を書いたのは、今月の1日だった。そして今、外を覗 続きを読む

月別 アーカイブ

このブログ記事について

このページは、管理人が2006年1月21日 21:47に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「イワガニ科を改訂」です。

次のブログ記事は「1月21日(土曜)の市場便り」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。