まことに鯛は美しい。このように締められて市場に並んでも、どうしてこのように美しいのか? 長い間、相模湾、東京湾、外房などでマダイ釣りに熱中したのだが、その発熱の根源はこの美しさにある。
しゃくり竿をしばし沈めて、軽く上げる、そのとき微かな違和感を感じて、合わせにリールを4回、5回巻き上げる。ここでしっかとマダイにハリかがりさせて2度、3度、しゃくり竿が押さえ込まれる。マダイののしに耐えて、水深40メートルからリールを巻き上げる。そして水面にコバルトブルーの胸ビレ、そこから紫水晶が水中にはじけて、赤い魚体が舞い上がってくる。春、3月になり、2キロもののマダイは胸ビレのあたりを黒く汚している。明らかにのっこみのオスである。
この2月下旬から3月のマダイを桜鯛と言うのはおかしい。やはり桃鯛、梅鯛と呼ぶべきか? ただどうにも決まらない音ではないか? サクラダイという標準和名を持つサクラダイには申し訳ないが、やはりここは「桜鯛」としておこう。
マダイがいちばんうまいのは2月までだと思う。3月には「うま〜い」ピークは過ぎている。それでもやはり春めいた夕風に桜鯛の霜皮造りで、酒は吟醸香が穏やかな三千盛の純米酒。これは人知れず極楽気分ではないか。
2月23日、八王子魚市場特種にあった天然マダイ
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