館山市の南、湾を北に臨む場所に那古船形港がある。その一角にあるのが「館山船形漁業協同組合直営ふれあい市場」という水産物の直売所。その一角にあるのが『とまや』である。ここはJR内房線那古船形駅からすぐの場所。定置網などもあって、新鮮な魚貝類は当然のごとく豊富である。
ただ、この市場、少々雑然として怪しいように思える。入ると乾物や加工食品といったお土産が並ぶ。鮮魚もあるが、少々寂しいのは平日に行っているためだろうか? 「魚貝類が豊かである」という思いがあまり感じられないのだ。これは市場内の雰囲気が、漁村にある自然なものではなく観光地化されたものであるからだ。
店員さんにも素朴さがない。また「売らんかな」の姿勢はあっていいが、地元の方といった素朴さがない。これなど神奈川県真鶴とか福島県久ノ浜の『百ちゃん魚屋』とかを見習って欲しい。でも食堂はどうだろう? 残念ながらこれにもがっかりさせられた。
壁に貼られた品書き、値段は安くても800円からというのは明らかに観光客相手のものだろう。家族連れをねらってのカレーライス630円、ハンバーグライス945円というのは近くにあるファミリィーレストランと比べてどうか? これではとて地元の人は来ないだろうな。実際、ぼうずコンニャクが行った日も地元の方が気楽にお昼ご飯を食べに来ているといった雰囲気は全くなかった。
さて注文したかったのは塩焼き定食945円。ところが塩焼き用の魚はなくなってしまったという。しかたなくブリのあらぎの煮つけ。「あらぎ」というのはどうもアラのことらしい。出てきた物は真っ黒で、意外にオヤジ好みのもの、味もいい。でもである。全体にちまちまっとしているのはいかがなもんだろう? 魚のアラのみそ汁もほんの少しだし、あらぎの煮つけも食うところはわずか。形ばかりのお新香、酢の物が寒々しい。これでは煮つけの味の良さも消えてしまうだろう。
これなら多少高くても小名浜魚市場食堂のほうが数段増しである。また最近の都心での昼飯の創意工夫、そして味の良さを考えると舘山で食べるに「新鮮な驚き」がない。なぜ地方のこのような市場の食堂が都心の定食の足元にも及ばないのか? こまったもんである。
また地方のこのような施設を作ろうと思っているなら数日都心ビジネス街の食堂巡りをするべきだ。目から鱗が落ちるはずだ。地方の市場の方が魚貝類の鮮度もいいだあろうし、その値段も安い。ここに可能性を見いだせないのだろうか?
ぼうずコンニャクが提案するのはこの手の施設を繁盛させるには食に関して意欲のある人材を探すこと。また毎日、なにがうまいのか? 定置網で手頃なものを意欲的に探す、また小魚などをうまく使うなどの努力をして欲しい。また舘山にも近く鴨川にもうまい地場野菜はあるだろう。そんなものも生かせないのだろうか。
最後に都会から海辺にくる、そこで望むことは「豊かさ」「素朴さ」だろうな。海の幸に関しての新たな発見もあったらいいな。
館山船形漁業協同組合直営ふれあい市場 館山市船形 297-88番地
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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DATE: 03/31/2006 08:31:27