浅草橋にはときどき立ち寄るが、なかなか柳橋までは行かない。なぜか行き止まりというか、目的がないように思えてならない。
その昔、柳橋というと粋筋の街。また古きよき情緒の残った街だったはず。それが戦後、完膚無きまでに破壊が進み、その南に位置する両国とともに忘れ去られてしまった。江戸名所図絵の両国、それは今で言う東日本橋。そして神田川が隅田川に合流するところが柳橋である。
今では殺伐とした柳橋にあって唯一江戸の情緒を残しているのが小松屋。小松屋には佃煮屋と船宿があるのだが川を挟んで南が船宿、北の浅草橋に近いのが佃煮屋。これは長い間、同じ店が二業種を営んでいるのだとばかり思っていた。
どうもふたつは親戚筋ではあっても別の店であるという。過去に舟遊びはしたことがなく、遠い昔に佃煮屋で故郷への土産を買ったことがある。そして30年振りの小松屋。迷った末に海苔、あみなどを買ってきた。これがどれも絶品である。値段は1つ700円前後と高めながらどれをとっても過不足ない味つけ。特に海苔の佃煮などまさに昔ながらのしょうゆ辛さ。また買ってきた佃煮すべてがうまい。
ちなみにこの海苔の佃煮、やはりヒトエグサが原料だろうか? 興味深々なれど聞く勇気がない。
有名店は避けてきたのであるが。そろそろ考え直してみるかな。
佃煮 小松屋
http://www.tsukudani.net/shop/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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