我が家から甲府までは高速で、上り坂だとはいえ1時間前後しかかからない。海のない県、山梨の市場を一度見てみたいと思っていたので、善は急げで中央高速にのる。早朝のETC割引で甲府南まで1時間弱、料金は1100円。ここから山梨中央市場までは10分足らずである。インターを下りてお茶を買ったのがヤマザキデイリーストア、それから各所で見かける。山梨にはヤマザキデイリーストアが多いのだろうか?
中央市場の門はすんなり通過。駐車場も空きが多く、すぐに場内に入ることができた。中央市場に入って左が青果棟、右が魚市場、青果棟を背にして入り左が山梨中央水産の競り場、右が仲卸である。当然競りは終了しているので仲卸を見て回る。
『菊島商店』、『金源商店』、『東香水産』、『富士水産』、『ヤマカ水産』などの店名が読みとれる。甲府の仲卸の特徴は鮮魚、塩干、加工品をともに扱う店舗がほとんどであること。また値つけが手堅いということか、品揃えは豊富でバッタものがなく、とても山国とは思えないいいものも見られる。
ここで富山からの白えび【オキエビ科のシラエビ。日本海、太平洋など広く分布するが、流通するに足りるほどとれるのは富山湾だけ】、青森県から本ます【サクラマス】、北海道根室からロシア産オオズワイガニ【市場ではバルダイと呼ばれる。ズワイよりもより北方種。我が国領海ではとれない】。
6時過ぎから8時過ぎまでいて、あまり一般客はいないな、と思っていたら山梨中央水産の加藤さんから仲卸が別に東隣に店舗を構えているのだと教えていただく。東にあるいて『山水協(山梨水産物商業協同組合)』の建物。これは2階が事務所で1階が店舗。ここも鮮魚塩干加工品を売る。また歩くと東西に細長く数棟の店舗が並び、多くはシャッターを閉めて寂しいなか乾物、アイスクリーム菓子、水産などの店舗が見える。面白いのはダンス教室まである。空腹感を感じて食堂を探すが見つからない。「そば」の旗を見つけたが、どこにも暖簾がない。
市場のいちばんはずれに活気のある仲卸を見つける。『千里水産』であり、断って中を見せてもらう。すると、これがなかなかの品揃え。今まで見てきた中、鮮魚ではもっとも品揃えが豊富。たぶん九州からであろう、鮮度のいいテンジクタチ【和歌山以南の太平洋側、九州西岸に棲息する大型のタチウオ】がある。大分産のマテガイ【マルスダレガイ目マテガイ科の干潟に棲息する二枚貝】、アマダイ、クロムツ、キンメ。長崎から天然もののマダイ。
そしてここで見つけたのが沼津佐政水産のアカムツ【スズキ目ホタルジャコ科のやや深海性の高級魚。日本海側では「のどくろ」という】。今回の目的のひとつが沼津と山梨の繋がりを見ること。やっとここで一箱みつけることが出来た。沼津は漁が少なく、それでもこれほどのアカムツを仕入れているのは立派。
山梨中央市場の競りは早く、そして今回はすっかり荷が仲卸などに渡ってしまった後。富士吉田や河口湖など甲府からすると一山超えたところからの仕入れも多いという。だとすると市場内の仲卸でみる荷はほんの一部なのかも知れない。また山梨ならではというものはほとんど見つからない。それでも探しに探すと「煮いか」「酢いか」など、また冷凍物を取り扱う業者も多そうだ。荷受けに並んだ塩鮭塩ますの量も多いようで、これも山梨らしさかな。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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愛知の味「エビフライ巻き」