市場を歩いているときがいちばんのんびり出来る。そんな慌ただしい時を過ごしている。それなのに市場はやや停滞。春休みも終わり、そろそろ会社でも新入社員を迎えて飲食店などが忙しくなる。それまでの停滞に違いない。
八王子魚市場について最近思うのは四十物【あいもの 干物や乾物、加工食品】に面白いものが見られること。この日もヨシダシーフーズの「酒香干し」があり、これを持ってくるとは偉いとしか言いようがない。すかさず5本購入。
特種には「バルダイ」と書かれたオオズワイガニ。根室の「マルコウ水産」のもので、表記もしっかりしており荷主として誠実。またオオズワイガニ【Chionoeceten bairdiはベーリング海やアリューシャン列島にいるもので日本近海ではとれない】は味わいはズワイガニと勝るとも劣らない。けっして偽物扱いしてはならない。実際食べてもうまい。
市場魚貝類図鑑のオオズワイガニへ
http://www.zukan-bouz.com/kani/kumoganika/oozuwaigani.html
千葉県勝浦【勝浦は生のカツオの水揚げで全国一にもなったところ】からカツオ【世界中の温帯熱帯域に棲息する。日本では太平洋側が産地となり、日本海側ではほとんどとれない】。身の色合いに曇りが出て脂がのってきているのがわかる。切り身を見ていていかにもうまそうな。横須賀からせいご【スズキの30センチから50センチほどのもの。大きさの定義はまちまち。日本各地の内湾などに多い。昔は淡水で生かすことが出来るために冷蔵庫以前では高級魚であった。それが現在では値の安い、しかもまことに味のいい魚。もっとどんどん食べていい】、富山県氷見からはバラいか【スルメイカの小さな物】、北海道室蘭、根室からマガレイ【北海道、日本海、福島県など産地はやや北方系。値段も手頃でうまい】。
『海老辰』には熊本県天草郡苓北町【この町名好きだな。苓とは漢和辞典で調べると「きのこ」とか薬草の名だという、合併して無粋な地名になるのが嫌な感じだ】から美しいヒオウギガイ【房総半島以南に生息するイタヤガイ科(ホタテガイなど)の二枚貝】。
市場魚貝類図鑑のヒオウギガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/itaya/hiougi.html
『源七』には養殖のもののアユ【北海道南部から九州まで棲息。稚魚の時期は内湾や川の河口域でいて、春には川を登る】。養殖でもこれを見ると季節の進んでいることを感じる。
八王子綜合卸売センター『高野水産』には和歌山県串本市「出口水産【市場で見る限りもっとも面白い魚を送ってくる】」から「ムギメシ」とかかれてクロサギ【千葉県外房から九州の浅い沿岸部に棲息。産地で消費されることが多い。煮つけ、塩焼きにして美味。刺身は色合いが悪いが鮮度さえよければうまい】。
市場魚貝類図鑑のクロサギへ
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それからコロダイ【イサキ科の魚。南日本、たぶん千葉県外房以南に生息。あまり見かけない魚であったが近年入荷が増えている。非常に美味な上、刺身にして血合いがうす紅色で美しい】、福島県からエゾハリイカ【小型のコウイカ。日本海、東北、北海道に多く。市場では福島県のものをよく見かける。年中とれるが産卵期である春にまとまる】。
また驚いたのは活けのサクラマス【本マスと呼ばれることが多い。ヤマメはこれの陸封型。サクラマスの産地は新潟、山形、などの東北地方、北海道】が入荷していて、福島県産だという。これは当然確保。
市場魚貝類図鑑のサクラマスへ
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その隣にはマツカワガレイ【茨城県以北の太平洋側、日本海では東北以北に棲息する。非常に高価なカレイで、とうぜんやたらにうまい】、宮崎県からカツオ。カツオは半分に卸したものがあり何人もの飲食店主が真剣に品定めをしていく。ここで八王子の「スーパーイシカワ」石川さんとスルメイカが高いという立ち話。スルメイカは値が手頃で魚屋でも刺身で売りやすい。しかも美味なんであるから高くなりすぎると困るわけだ。
『市場寿司 たか』でクロサギ、サクラマス、エゾハリイカの握りを撮影。サクラマスがうますぎて「困っちゃうな【1966年山本リンダのヒット曲。昭和20年30年生まれはついつい「こまちゃうな」と言ってしまう】」。
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4月13日(木曜)山梨中央市場便り
はじめまして、赤海老エイトの木枯らしさんのところからやってきました。
昨日CSでベーリング海のズワイガニ漁のドキュメンタリーをやっていました。
海の男が命をかけて水揚げしたカニ、やはり日本に届けられていたんですね。
だいばーさん、そんな番組があるなんて知りませんでした。見たかったですね。ときどきぜひ遊びに来てください。