陸奥湾のシャコの味つけは醤油で

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 市場では木の芽時になると寿司屋が「かつぶし入ってるかな」と茹でシャコを光にすかしているのが見られる。
「ちゃんと子持ちって書いてあるでしょ」
 仲卸が言うと、
「入ってなかったら大変だろ? こっちは客に出すんだから」
「かつぶし」とは関東でのシャコの卵巣のこと。この卵巣が千金に値する。この「子持ちシャコ」が到来すると夏近し、また夏なのである。そう言えば大阪湾の住吉さん夫婦の今年のシャコの水揚げはどうだたんだろう。

 さて、7月になって、東京では連日30度を超える暑さ。そんなときに我が家に送られてきたのが青森県陸奥湾産の大きなシャコ。これは当地でホタテ養殖をなさっているパラ・ペツさんからのもの。
「シャコ送りました」
 連絡をいただき。
「そちらではどうやって食べているんですか?」
「醤油とみりんでたくんです」

 到着したばかりの荷を開けるとビックリするほど大きなシャコ。オスメスに分けられている。雄は「刺身で食べてください」とあるが、これには少々手こずる。また「醤油で煮て食べてください」とあるものを、さっそく醤油とみりんでたいて、食卓に出した。これは思った以上に面白い味わい。シャコ自体の旨味というか、甲殻類にはふさわしくない表現だが脂がのっているというか、濃厚でしかも豊かな味わい。そこにみりんの甘味が微かに感じられるのと、当然だが醤油の植物系の旨味成分が加わって素朴な味わいとなっている。
 また、今回はみりんでやや品よく作りすぎた感がある。たぶん、陸奥湾の浜では、みりんではなく砂糖を無造作に投げ入れて、醤油をドボリ。それでシャコをざざっと大量に煮あげてしまう。それを老若男女、手づかみで食うのではないか? その方がうまそうだ。

 ぼんやり考え事をしながらシャコを食べていると、
「お父さん、ちょっとたきすぎだよ」
 かつぶしが硬いと娘に文句を言われてしまったが、新しい味わいに満足満足なのだ。

 陸奥湾のパラ・ペツさんありがとう。

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このページは、管理人が2006年7月 4日 08:23に書いたブログ記事です。

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