千葉県船橋市を本拠とする八王子魚市場内「源七」には教えられることが多い。その「源七」がこのところ続けて持ってきているのがアカニシである。
これ船橋では単に「にし」と呼ばれている。各地で「うまい貝」という評価がある割に「売り物」としては「弱い」アカニシのだ。築地や八王子でときどき見かけるが、あまり引き取り手がないのか数日店頭に晒されたままという風情である。
「源七」では、これを茹でて貝殻から取りだして売っているのだが、火の通し加減がいいのか軟らかく、また旨味も充分感じられる。味に嫌みがないので京都の白みそで和えてみた。これが冷や酒の肴にぴったり。
これはまったくの余談だが、「源七」のあんちゃんにもらったアカニシを切り、酢みそ和えにしていた。そこに娘が来て「夕ご飯はなに」と聞くので「●●と●●と、アカニシの酢みそ和え」と言ったら。「いやーん、じん君を酢みそ和えにしたの」と身もだえながら言うのだ。まったく変なことを言うバカな娘だと思っていて、それでもこれが謎でもあったのだが、調べてみるとタレントに「赤西仁」という若い衆がいるのである。「赤西」というとボクなどは「赤西仁」ではなく伊丹万作の「赤西蠣太」が思い浮かぶ。この主人公の名などたぶん愛媛県松山市生まれの伊丹万作が日常食べていたのがアカニシやカキだったからつけたのではないか? と勝手に思っているのだ。
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