青森市田向商店「赤魚の煮つけ」

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 さて、ここで予め書いておくべきことは、田向商店の味わいの方向性について。それで「青森」というのは本当に「東北なのか」というのから話を進めたい。
 初めて青森市に行ったのは青函トンネルの開通したときだから1988年なのである。青森駅の近くには三角形の汚い建物が出来て、開通記念の博覧会のようなものをやっていたのだ。岩手からやっと青森へとクルマを走らせて、なんという美しい山野だろうかと感動したのに、その象徴的な建物(これを作ったヤツは馬鹿者だ)のアホさ加減、拙い発想に急激に気分が暗くなってしまった。その急落感を立て直してくれたのが青森駅前の不思議な空間、市場群なのである。
 その市場で感じたのは三上寛の歌から感じられる強烈な個性であり、決して吉幾三(この人の歌、能動的に聞いたことがない。コマーシャルなどから受ける印象である)のわかりやすい東北のイメージではない。その市場の薄暗い路地、迷路にはまるで東南アジアのような激しい色合いがあるし、どこにも単に「北国」を思わせるものはなかった。
 市場に盛り上げられた赤いホヤのかたまり、大量のサメの頭、蠢くシロウオ。太いおっかさんの二の腕に、ぜんぜん理解できない言語。これがボクの青森の第一印象であるが、2度3度と訪れてもこの印象は薄れない。その市場のお総菜の甘辛さ、食堂で食べた煮つけの甘さ、濃厚さ、また汁の辛さ。ニンニクの風味。青森では味つけも熱帯の熱さを持っている、と勝手に思いこんでいたのだ。

 そして田向商店を知ったのは築地魚市場なのである。アブラツノザメの皮を剥かれた身が2〜3本。細長い発泡に入って脇に大きな文字で「田向商店」とある。これはここでは触れないがこの「むき鮫」というのは八王子と深い関わりがある。それで田向商店に電話で問い合わせたのだ。そしてアブラツノザメなどを送ってもらった上に田向商店で作られているサメの煮つけなどのレトルトパックもいただく。この味わいが思っても見ない上品なものであったのだ。決して甘すぎず、そして塩分濃度も低い。それでも味気なくないのはアブラツノザメから出てくる旨味があるからなのがわかる。すなわちアブラツノザメの旨味を活かすために味付けが淡いのである。これは田向商店の「サメで培われた繊細さ」なんだと改めて思ったのが、今回送ってもらった「赤魚の煮つけ」である。
 アラスカメヌケ(赤魚)は白身なのだがゼラチン質の皮目に多量の旨味を保持している。これを濃厚な味付けで閉じこめてしまうということも考えられるが、淡い味付けで汁と身に旨味を等分に閉じこめるという方法もある。田向商店のは明らかに後者の味わい。赤魚の身をほぐしながら汁ごと食べるのだが、これがまことに地味豊かである。これなど昼飯に出てくると今時の都会のサラリーマンの緊張感を適度に抑えて、ほっと一息つかせてくれそうだし、夕食にあると家庭に和やかな空気を作り出してもくれそうだ。
 今回、田向商店から送られてきたのが「まふぐの一夜干し」「キアンコウのブツ、肝」「赤魚の煮つけ」、もうひとつ不思議な固形物があるが、解凍してみなければ。この1パック1パックを開けるのがなんとも楽しみである。

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田向商店
http://www.tamukaisyoten.co.jp/


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コメント(2)

ご紹介ありがとうございます

実は、「アンコウ」らしきものは、鱈の頭なのです。ABEEという磁力を使った瞬間凍結を施してあり、溶け易い鱈の肝臓がしっかりしています。これはうちの商品ではありません。宮城県塩釜市㈱山政さんの商品です。
それと、よく分からない物体は、「サメ節」です。
一度これの出汁でそばを召し上がってください。
沸騰したお湯2Lに、ねぎの青い部分と削ったサメ節を70g〜ほどいれて5〜7分。
醤油を足して弱火で味をなじませて完成です。
そばは、できれば㈱澤製麺の干蕎麦を・・
WeBサイトはないようです、
長野県上伊那郡箕輪町中箕輪1620-1
フリーダイヤル
0120-79-2063
数年前までは●Yで売られていましたが今はありません。
青森では一軒しかおいてませんが、東京ならばどこかにおいてあると思います。

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田向さん、じょじょに試していきます。昨日、マフグを塩抜きしないで鍋にしましたが塩分濃度は気になりませんでした。これも近々。明日は沼津なので慌ただしい土曜日、また来週中にご報告します。

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このページは、管理人が2006年9月 9日 14:58に書いたブログ記事です。

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