メバチ、しかもこの大きさじゃうまくないだろうな? 考えた末に買ってきたのがメバチのかまトロ肉。ちょうど胸肉に残る脂身なのである。まあ刺身にすれば旨味はなくてもそこそこ食べられるだろう。でも「ねぎま」にしてうまいとはとても思えないのだ。でも市場を見回す限り鍋に仕立ててうまそうなネタが見つからない。できればカキを買いたかったのだがあいにくまだ9月なのである。パック詰めやカンカンのカキは週明けから入荷が始まるはずである。
「ねぎま」というのを知る人も市場にあっても少なくなっている。面白かったのは市場で「なぎま」の話をしていると「焼き鳥屋に行くんですか?」なんて完全に勘違いをしてくれる若い衆がいる。彼の出身は静岡県。当地で「ねぎま」というのは「葱間」、ネギの間に鶏の正肉を挟んで焼いたもの。マグロが材料の「ねぎま」を簡単に説明すると、江戸時代、マグロの脂身、すなわち中トロや大トロの安かったときに、これと白い一本ネギを汁にした「ねぎま汁」というのが食べられていた。それを鍋に仕立てたもの。すなわち「ねぎ」と「ま」ぐろで「葱鮪(ねぎま)」汁なのである。
そこで仕方なくマバチのかま肉を買って帰る。そして家族はなんと大好きなたこ焼き。子供の友達までさそってタコだチーズだウインナーだと大騒ぎ。そんな隅っこで小鍋仕立てのねぎま鍋。
まず最初にカツオ節出しをとる。イノシンは少なくしたいのでカツオ節は少な目。このあっさりした出しに酒、ほんの少しの味醂、塩、醤油で味付けをする。普通、ちりには昆布だしだけと決めているのだが、ねぎまには旨出八方と決めている。たとえば同じ組み合わせなら魚すき、すなわち魚を使ったすき焼きでもいいが、この場合も味付けはしっかりつけるに限る。
この小振りのメバチのかまトロで作った「ねぎま」であるが、やはりこれでは旨味に欠けてうまい鍋にはならなかった。しかもネギもまだまだ甘味が少なく旬とは言えない。次回は本鮪の八の字、下仁田ネギの上等を買い込んで「ねぎま」といきたいものだ。
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ネギは長いほど旨味が増します(byNHKためしてガッテン@実験済み)。
写真の3〜4倍の長さに切れば、そこそこいけるのではないかと思いますが。
SMさん、あの3〜4倍だとうまいかもわかりませんが、酒のアテとしては煩わしいのではないかな? ちなみにテレビの「ある種のことをクローズアップして考える」というのはボクのように曖昧模糊を楽しんでいる人間にはついていけないんです。