朝方2時を回って沼津を目差す。やっと発進というときに躓いてしまった。ETCカードがない。財布にもカードケースにもなく、なんとカメラのメディア入れから出てくる。そんなこんなで遅くなり、手間取って沼津インターを下りたのが4時過ぎ。しかも途中立ち寄ったコンビニで家人が静岡限定発売のカップ麺を発見して、「お土産にいくつ買おうかしら?」なんてのんびりしたことをやっている。それで魚市場到着が4時半を過ぎてしまう。
沼津魚市場は沼津駅からの道を南下、その昔市場のあった魚町、いくつかの狩野川にかかる橋を左手に見ながらいつの間にか行き当たる。ここは伊豆半島の山懐から流れ出した狩野川の河口部にあたる。右手の細長い建物の入り口近辺から中程まで陸送(日本各地から集まってきた魚貝類)が並び、地元静岡の荷があり、焼津などのもの、伊豆七島、定置などのスペース、活け、サザエやアワビなどのカゴと水槽。そして底引き網の選別競り場、いちばん南、狩野川近くがマグロの競り場になっている。底引きの競り場に急ぐとき冷凍物を扱う場所で山田さんを見かける。挨拶をしてやっと競り場に到着した。建物の西側には埠頭、あかあかと明るいのは巻き網の水揚げが始まっているためだ。
沼津市の太共丸、大成丸が赤えび(ツノナガチヒロエビ)の仕分けをしている。大成丸の船頭さんに
「てながえび(アカザエビ)とれてるね」
声をかけると、
「今年はとれすぎだよ。昨日はもっとあった。ボタンも安いよ」
よく見ると地面はエビとかさご(ユメカサゴ)で真っ赤に染まっている。そのエビの間から最初に見つけたのがキチジである。北海道の斜里や網走が産地である高級魚のキチジ(きんき)の南限に駿河湾はあたる。トゲヒラタエビ、オキナエビ、アカモンミノエビ、ミノエビ、クダヒゲエビの仲間などが大成丸さんのカゴに山盛りになっている。
「こんなの幾らにもならないよ」
大成丸さんが嘆く。横で戸田の慈愛丸さんもうなずいている。
これから値を上げるアンコウ(キアンコウ)やクロムツ、アカムツ、あぶらごそ(ヒウチダイ)、ごそ(ハシキンメ)がほとんど見られない。
さて今日の底引きのエビを見るに普段貴重なボタンエビ、アカザエビがそこそこにカゴに入れられて並んでいる。甘えび(ジンケンエビ)、シマエビ(ヒカリチヒロエビ)、赤えび(ツノナガチヒロエビ)、本えび(ヒゲナガエビ)も普段通りの水揚げで、全体的に「エビの大漁」を思わせる。
エビやかさご(ユメカサゴ)の真ん中にアラがぽつんとある
魚は5キロ近いアラ、マアナゴ、キダイ、でんでん(ワキヤハタ、ナガオオメ)、目光(アオメエソ)、ムシガレイ、ヤナギムシガレイ、ムツ、ごそ(ハシキンメ)があり、げほう(トウジン)、のどぐろ(チゴダラ)も見える。またチヒロダコ、テナガコウイカ。
底引きはエビの豊漁に仲買や魚屋は喜び、漁師は泣くという状況のようだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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