相模原綜合卸売市場「デイトレード」は本来冷凍ものなどを扱っている。本拠地は神奈川県平塚市。それが今年4月に相模原綜合卸売市場に支店を開業。それとともに平塚、大磯、佐島など相模湾海の幸を運んでくるようになった。その魚が素晴らしい。相模湾の地魚というと相模原、三多摩地区からも近くふんだんに見かけてもおかしくないだろう、と思うはず。ところが残念なことに関東での流通は東西にはあっても南北は手薄だ。八王子などにくる相模湾の地物も総て築地や太田、横浜中央から経由して一日置いての入荷となる。
そんな状況にやっと「デイトレード」を見つけたときにはうれしかった。相模湾であがったばかりのヒラソウダが炭焼き(クロシビカマス)が活けのホウボウが平塚に揚がってから数時間の後には相模原に来る。これから寒くなるとアラやアカアマダイ、マダイなども来るはずで大いに楽しみである。
「デイトレード」は相模原綜合卸売市場の奥の目立たぬところにある。市場内を見て回ると、鮮魚を扱う仲卸は多く優秀な店や貝を多く扱う店などなかなか充実していると感心させられた。でもどの店舗もあまり特徴があるとは思えない。さあ帰ろうかと諦めかけたとき薄暗い通路の奥に相模湾のスマ、白むつ(ワキヤハタ)を見つけたのだ。市場の1区画だけの小さな店舗ながら。店長の小田剛さんをはじめスタッフも若く、従来の仲卸とは一線を画している。
この小田さんにさっそく平塚の定置網、魚市場の状況をお聞きして、17日には相模湾に向かい早朝の国道を南下した。平塚魚市場、平塚港で見聞きしたことは別に記すが、小田さんを通じて平塚定置の責任者磯崎さん、大磯の大磯森谷さんなど多くの知古を得た。
残念ながら当日そして、今週初めまでの相模湾は不漁をかこっており、市場に並ぶ魚は少なかった。でもそこで見たさまざまな魚たちの見事さは水揚げ港ならではのもの。ボクはあっという間に相模湾の魚貝類の虜になってしまったのだ。それから土日を挟んでの3日間、毎日「デイトレード」に通う。
活けのアイブリ、ホウボウ。どれも「活かし」の難しい魚たちなのだ
相変わらず不漁続きながら「市場寿司 たか」に多くの寿司ネタをもたらした。それをこの週末から寿司図鑑の1ページにまとめるが、相模原という内陸部で水揚げされたばかりの魚貝類を手にする感激は例えようもなく、またありがたいものである。
「デイトレード」 神奈川県相模原市東淵野辺4-15-1 相模原綜合卸売市場内
相模原綜合卸売市場のことは
http://www.sagamihara-ichiba.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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ヒラソウダのいり焼き