日本海側でよく見かけるものにスルメイカをワタごと干し上げた干物がある。特に佐渡島のものは都心のデパートでもよく見かける。
スルメイカの旨味はヤリイカやアオリイカよりも多いようだ。当然、干し上げたときの風味香りも強い。すなわちやや個性的な味わいながら、それが多くの人を惹きつける。そこによりスルメイカらしい味わいである肝が加わるとどうなるのか? 肝は生でも旨味と渋みと甘味とが凝縮されて濃厚なのだ。それを干し上げるとここに熟成と濃縮がなされる。
またこの濃厚な旨味に倍するほどに心を揺さぶる魅力がスルメイカの干物にはある。それが香りである。日本海は柏崎から出雲崎、新潟市、村上市という旅に出かけたことがある。その中間に位置する寺泊の市場で焼かれていたのがスルメイカの丸干しなのである。まず、いかれてしまったのはその香りである。まるで香りに引っ張られるように売り場へと連れて行かれ試食、当然のごとく一袋買ってきてしまった。
たぶんスルメイカの丸干しというのは日本海側に多いのだと思われる。そして今回のは富山県は射水のもの。炙りはじめると、すぐにあの香りが食欲よりも酒欲を引き出す。かなりの塩辛さなので酒なくしてはとても充分に味わえない。ほんの5ミリほどに切ったものを口に入れるとすぐにスルメ干しの濃厚さが来て、そこにより強い、微かに酸味すら感じられる肝が流れ出してくる。味わいの根底にあるのは渋みであり、これが旨味甘味を倍増させている。塩辛いのでほんの4,5切れでいい。これを肴にぼんやりと無為の時を過ごす。これが疲れたオヤジの心を癒してくれるのだなあ。
酒は焼酎、もしくは日本酒の原酒が合うように思える。菊姫の赤いラベルの原酒などいいかも知れない。
中宗 富山県射水市堀岡明神新53
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寝る時間がない
これは旨いですね。大好物です。
明日から舞阪です。
最近海は荒れ模様。船が出ているといいな。