市場魚貝類図鑑「寿司図鑑」をどのように作っているのかというと、「市場寿司 たか」の開き時間に魚を持ち込む、それをたかさんが握る、食べてみる。当たり前だろ、と言われそうなくらいに当たり前のことを繰り返しているのだ。そこに登場するのが市場の住人たち。本日の出演は八王子綜合卸売センター「平成食品」のシンゴちゃん。けっしてスマップ(「SMUP」ではない。でもこのアルファベット間違っているかな。ぜんぜん興味がないしあんまり見たことがないのでたぶん初めて文字として書く)のシンゴちゃんではない。だいたい似ていないらしい。
この男の特技がたまに「信楽焼の狸」になること。ある日、「平成食品」の前を90歳だというお婆さんが通りかかり、シンゴちゃんを見た。そしてポツリと「見事な狸さんだこと」と言って拝んでいたのを見ている。そいつがまさに目の前で「信楽焼」の置物のようになっているのだ。
「こら起きろ狸」
「あああのさ、これ何」
「メアジだろ」
コヤツ勝手に顔を出して寿司図鑑につくったメアジの握りを、勝手に食ってしまったのだ。
「うまいのか」
「あのさ、メアジってどんな魚かな」
「目が大きなアジだな」
「アジなんだ」
「どんな漢字書くの」
「目はこれ(たかさんアッカンベーをする)」
「目が飛び出るくらいにうまいから目鰺というわけよ」
これはボクのウソです。
「そうなんだ。オレこんなうまい魚食ったのは初めてだ」
実を言うとたかさんもボクもあまりのうまさに驚いていたのだ。このメアジ、平塚の定置網で揚がったばかり。水揚げを見に行って、こんなに幅広のメアジも珍しいなと「川長 三晃丸」の磯崎さんにわけてもらった。今年一番の不漁で魚が少ないなか輝くようなメアジは貴重なもの。まったくありがたいやら申し訳ないやら。「磯崎さん、ありがとう」。
メアジに関しても四季を通して食べてみると明らかに旬は晩秋から冬であるのがわかる。今年の夏、秋口のものは明らかに「ダメだな」とたかさんとメアジの評価を下げていたのだ。まずいわけじゃないが脂から来る甘味に欠けているのだ。それが今日のメアジは値千金。脂が持つ甘味の心地よく口に広がって、そこに青魚の風味がフワリを浮き上がる。やはり脂のためだろう、口の中で「とろけるよう」なのだ。念のためにマアジも握って食べ比べてみたが、マアジは明らかに旬から外れている。メアジの敵ではないのである。
シンゴちゃんもアオリイカ、ヤリイカ、ネジヌキバイと豪華な朝ご飯を満喫して帰っていった。
さて本日の「市場寿司 たか」ではうまいメアジにアオリイカ、そのたいろいろ特ネタが楽しめるのだ。またシンゴちゃんの冷凍肉屋「平成食品」は毎日特売だぞ!
市場魚貝類図鑑のメアジへは
http://www.zukan-bouz.com/aji/aji/meaji.html
八王子の市場については
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
市場寿司 たか
http://www.zukan-bouz.com/zkan/zkan/rink/gest.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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