9日のニュースで秋田西岸にハタハタの押し寄せてきたのが映し出されていた。八森、深浦、ハタハタに埋もれるようにして漁師さんが悪戦苦闘している。まさに季節がもたらす豊穣をかいま見たように思えた。そして翌日曜日には秋田の、なべ婦人から「ハタハタの便り」が届く。デッカイ雌、小さなオス。そうだハタハタはノミの夫婦だよな、と改めて思ったりした。こんなところにも遠来の荷物をあける楽しみがある。
ハタハタは秋には山陰沖からとれ始め、秋田に接岸するのが冬となっている。もともと秋田の魚そのものであったのは、寒い冬を迎えて“前浜でとれる希有な魚”の到来をまるで神の贈り物でもあるかのごとくありがたがったところにある。昔は真冬の海、沖合で魚をとるなんてできることではなかったのだ。
魚へんに「神」とはそこからくる。雷と結びつけて「はただ神」すなわりカミナリさんと結びつけるのも同じく豊穣への感謝かもしれない。ハタハタの語源を深く探ると文献が多すぎて明らかに迷路にはまるので置いておく。
さて巨大な「ぶりこ(卵巣)」を抱えて秋田に接岸、その翌日に我が家に到来。このうれしさは、久しく季節感を失っていた身に「冬の到来」を告げる。
家人と「しょっつる鍋」にするべきか塩焼きにするべきか悩んで、結局塩焼きにした。そして本日は当然、「しょっつる鍋」となる。
ハタハタはワタもウロコも取らなくていい。まことに清らかな魚である。そのまま塩焼きにするのだけれど、腹には一物もない。レンガで遠火にしてじっくりゆっくり焼き上げる。すると雌の腹がパンパンに膨らみ卵がゴムまりのようになる。焼き上がると子供たちは卵に箸を向ける。雌の場合、卵に隠れて身はちょっぴりであるが、ボクはこの上品な白身も大好きである。身をほぐして“ぶりこ”をまぶして食べるのもいい。そしてかわって雄が焼き上がる。卵がないので、こちらは人気薄なのだが、はっきりいって白子のうまさはマダラに劣らない。その上、身の方も雌よりもうまいのである。「ハタハタのお父さんは小振りだけど“しっかりした働き者”だね」なんてむさぼるように食らう。檀一雄のエッセイに太宰治とハタハタが出てきて、それこそ二人の小説家がむさぼり食うというのがある。ことほどさようにハタハタは上品に食ってはいけない。鍋でも塩焼きでも飽食するほどに食らうのだ。
関東とはいえ内陸部の多摩地区では本日もしんしんと冷え込んできている。さすれば秋田はいかがだろう? 酒が進みすぎて、どんどん眠気の波が襲ってくる。これぞ我が至福の時。
秋田のなべ婦人、ご主人に感謝したい。
市場魚貝類図鑑のハタハタへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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徳島県美波町にいや蒲鉾店「珍味かまぼこ」3本セット定価1995円
いつもホームページを楽しく拝見させていただいております。なべ婦人の夫改め『踊る中年剣士』でございます。今年の秋田の12月は暖かな日が多くなかなか冬を実感できませんでしたが、先日のハタハタの到来により「やっと来たか、秋田の冬!!」とぼうずコンニャクさん同様酒の進みが速くなっております。
これからも合間を見つけこちらのページもしくはうまいもの日記及び酒日記にもお邪魔したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
踊る中年剣士さん、「中年剣士」というのは「少年剣士」からとりましたね。ちょっと古すぎるけど、わかるボクもかなり古い。たぶんこのブログの読者にはわかるひと「多数」でしょうね? こんど秋田に行きましたら死なない程度にやりましょう。楽しみです。奥様にも、またまたよろしく。
こんばんは。「少年剣士」って?・・・わからなくてすみません。でも、ハタハタの旨さは知ってます!
ハタハタは「ぶりこ」はもちろん、身も上品な味で、本当にいくらでも食べられますよね。先日意外にも「ハナマサ」で売ってたので、買って焼いて食べました。小さかったけどおいしかったですよ〜。
ハタハタといえば、けっこう昔のことですが「ハタハタの鮨」(麹漬けかな?)を作るのを手伝ったことがあります。
かなりうろ覚えなんですが、ハタハタ(たぶんオス)を三日くらい血抜きして、塩、麹、炊いた米、京にんじん、大根と漬けるんです。いずしとか、なれずしとか、そんなような感じかな〜?
出来上がったものはビリビリっと発酵していて、それはそれは美味しいものでした。市販の物とは比べ物にならなかった。
いま思うとちゃんとレシピとして残しておけば良かった(教えてくれた人がすでに故人なので・・・)と後悔しています。
moonさん、うらやましい。ハタハタのいずしですね。「いずし」は「飯すし」、すなわちご飯と魚で乳酸発酵させたものですね。これに関しては田向商店の田向さんなんかが詳しそうですが、ボクも大大大好きなんです。
料理ブログを書いています。
図鑑を参考にさせていただいています。
瀬戸内海のお魚が中心です。
私のブログの画像で使えるものが
ありましたら、どうぞ使ってください。
お魚でも料理でも自由にお使いください。
サイトの紹介なども要りません。
これからもどんどんアップしますので。