つぶ学15 モスソガイはうまい“つぶ”だ

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「“あわびつ”てなんだろうね」八王子魚市場の貝担当・鈴木さんからとケータイに。
「どこから“来たの”」
「何言ってるの。ここは“北野だよ”(オヤジギャグ)。ええと福島いわき」
「そりゃモスソガイだな。うまいよ。高く売れば」
「売れないよ。べとべとだもん」
 と言うことで八王子魚市場に行くと、モスソガイが思った以上に売れている。でもキロ当たり500円は安すぎるだろ。
「オレなら1500円でも買うな」
「そお、じゃ、1500円で0.5ね」
「よろしく」
 一通り市場を見回って会計に回ると300円でいっぱい一円玉込みのおつりがきた。

 青森県では“おでんつぶ”なんて呼んでいる。大きいのは茹でて串に刺して売っているが、市場にあって見事と言うしかない。売っていたオバサンがいろいろ食い方を教えてくれたんだけど、そう言えば何を言っているんだか「わかんね」。困った困った、青森旅行だったのである。宮城でも、福島でも「うまい“つぶ”だよ」と定評がある。
 面白いのはこのモスソガイが決して北国の貝ではないということ。最初に見たのが青森駅前市場であったのでボクも最初はそう思いこんでいたのだ。でも生息域は瀬戸内海以北。だいたい三河湾での底引きにも入る。これはマボヤなんかと似た勘違いである。
 だいたいそもそも「perryi」とあり、記載が1855年というのは彼の黒船のペリー提督のこと。東京湾で空砲をドンドコリン、ドンドコリンと撃ちながら、こんなものアメリカに持ち帰っていたわけだ。(注/ペリー来航は1853年(嘉永6年)、と翌(安政1年)である)

 この関東では馴染みのない“つぶ”は似て食うとしみじみ「うまいんだ」。他には青森のおっかさんが言ったようにおでんに入れても旨い。そのときは1匹単位で串かなんか売って鍋で泳がして欲しい。

 しかし鈴木さん、キロ当たり500円はあまりに漁師さんに申し訳ない。ぼうずコンニャクは勝手に「モスソガイはもっと高く売れ」というファンクラブを立ち上げることにする。

mosuso0701.jpg

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このページは、管理人が2007年1月19日 08:26に書いたブログ記事です。

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